News: 2011年3月アーカイブ

March 11, 2011

ダニエル・ハーディング Music Partner of NJP就任記者発表会

●ダニエル・ハーディング&新日本フィルの記者発表会へ(10日、すみだトリフォニーホール)。ハーディングは今晩マーラー5番プロで新日本フィルとの就任披露公演を迎える。今後3年間にわたって各シーズン定期演奏会で4プログラム6公演を指揮。ハーディングが日本のオーケストラにタイトルを持つなんてスゴいっすよね。
ダニエル・ハーディング記者発表●でも、この Music Partner of NJP っていうのは首席客演指揮者とどう違うんだろうと思ってたら、「同じだと思う。ロンドン交響楽団では首席客演指揮者だけど、ここではMusic Partner。普通ではないけど、ともに音楽を作っていくという点でふさわしい名前」と(ハーディング)。
●ハーディング「新日本フィルとの関係は15年前から始まっていたのかもしれない。かつてタングルウッドで現在の新日本フィル音楽監督アルミンクといっしょに小澤征爾さんのもとで学んだことはすばらしい経験だった。こうして大きな意味での小澤ファミリーのなかで仕事をできるのは喜ばしいこと。新日本フィルは熱意と向上心を持っており、こちらの意図をすばやく実現する理解力がある」
●記者発表に先立ってリハーサルが公開された。ディテールを曖昧にしない、コントラストの強い鮮烈なマーラーが期待できそう。

March 6, 2011

Facebookページを作ってみた

●さて、Facebookなんである。当サイトの、というかワタシの「Facebookページ」を作ってみた。Facebookでは「個人アカウント」のほかに「Facebookページ」という場を作ることができる。もうホントにとりあえず作ってみただけであるが、こういうのは自分で作ってみないと何もわからないと思うので、まずは実践から。どう活用すべきかというのは「走りながら考える」方式で。たぶん、日本でも今後「Facebookページ」はホームページ、ブログに次ぐ、新たな情報発信やコミュニケーションのプラットホームとして機能していくことになるだろう。
●で、まずはワタシの「Facebookページ」を、当ブログのサブコンテンツ的に利用してみようと思う。この「Facebookページ」に流れる情報は3つある。

1) まだブログに取り上げていないけど、早めに一言紹介したいトピックス。速報したいネタ。ブログ記事にするほどの材料はないがぜひ取り上げたい話題。
2) 当ブログの更新情報(フィード)。
3) その他、おもしろそうななんでも(←なんだそりゃ)。

●1)と3)については、すでに現在ワタシのTwitterアカウント上でも同様のことを行なっているとも言えるのだが、特に1)はおそらくFacebookページのほうが向いているかもしれない。Twitterは発散的に伝達していくのでずっとリーチは長いのだが、Facebookページのほうが発信側にとって制御がしやすく、また読む側にとって一覧性が高い。Facebookのほうがパブリックなもの向けか? 似たようなことをやっても違う結果が出てくる気がする。
●2)はネットへのアクセスをすべてFacebookベースで行なう人にもブログの更新情報を伝えるため。
●あと、これは少し迷っているが、当面は参加者もコメントをしたり投稿をしたりできるようにしておこうと思う。それがFacebookのデフォルト設定なので。ブログのコメントはうまく機能させる自信がなく最初からずっと閉じてきたが、実名参加のFacebookでは別の可能性が開かれているかもしれない。
●というわけで、Facebookをご利用の方は以下の「いいね!」ボタンを押してほしい。この「いいね!」を押すと、あなたのFacebookのニュースフィードに、飯尾洋一のFacebookページの投稿が(たまに)流れるようになる。ぜひとも。

●なお、上の「いいね!」は、各ブログ記事の下にある「いいね!」とは少し意味が違うので説明しておこう。ブログ記事の下にある「いいね!」は、クリックしてもその場限りのもので、それによって何かが継続的に起きるものではない。しかし上にあるようなFacebookページの「いいね!」は、そのページの投稿を購読するといった意味合いがある。つまりTwitterの「フォロー」とほぼ同じだ。なお、個人アカウント同士がフレンズになるのと違い、これは相手の承認は不要。どなたでも歓迎。また、一度「いいね!」したけど、やっぱり止めようと思ったらいつでも止められる。

March 4, 2011

METライブビューイング「ニクソン・イン・チャイナ」

ニクソンと毛沢東METライブビューイングでジョン・アダムズ作曲、ピーター・セラーズ演出の「ニクソン・イン・チャイナ」(中国のニクソン)。これ、もう今日が上映最終日なので紹介するには遅すぎなんだが、本当にスゴい。台本が最強。いや歌手も演出もすばらしくて、特に終幕は圧倒されて映画館の座席で茫然としてしまった。
●題材は史実としてのニクソン大統領の中国訪問(1972年。ワタシは憶えてません)。当時中華人民共和国を承認していなかった米国の大統領が電撃的に訪中し、毛沢東主席と会談した。それがオペラになった。でもこれって87年の作品でヒューストン・オペラで初演されたんすよね? それが今MET初演となったわけで、もう古典的レパートリーとなろうとしてるのかも。題材も1987年と2011年じゃ相当に受け止め方が違ってるはず。最初は身近な「事実」が題材だったのが、いずれ「歴史」になり、さらに「神話」として普遍的な物語に昇華されて受け入れられる、といったプロセスをたどりつつあるのか、過去の名作オペラのいくつかがそうであったように。
●登場人物はまずはみんなその通りの人物として出てくる。ニクソン大統領、大統領夫人、毛沢東、毛沢東夫人、周恩来、キッシンジャー。あまりにそれらしくて戯画的なほど。ジョン・アダムズの反復的な音楽が延々と続くんだけど、反復って諧謔と偏執を描くのに都合がいいんすよね。ニクソン大統領に吃音的に同じ語を反復させたり、毛沢東夫人に赤い本(毛沢東語録)を掲げさせて絶叫させたりとか。ニクソンは見栄っ張りだが小心、大統領夫人は心優しいが想像力に欠ける鈍感な女性(幕間のインタビューじゃ作曲者はファーストレディのことをずいぶん上品に形容していたたが、作品の中身にはぜんぜんそう描かれてないぜ)、キッシンジャーは嫌なヤツ、現実的な話をしようとするアメリカ側に対して観念的な話しか返してこない毛沢東、烈火のような毛沢東夫人、実務家の周恩来……。
●第2幕で劇中劇がバレエとして踊られるんすよ。これ最高に可笑しい。訪中団に対して、中国側が寸劇を見せてくれる。で、ここで民衆を踏みにじる超下品な悪徳地主が出てくるんだけど、これをキッシンジャー役(リチャード・ポール・フィンク)が演じてる! 彼が囚われてる農民の娘に抱きついて「ムヒョー、こいつのムチムチなナイスバディはたまんねーぜー!」って歌いながら体をまさぐる。で、いうことをきかない娘を鞭打ちして虐げる。すると、見ていた大統領夫人が狼狽して「まあ、なんて酷いことするの、かわいそうに」っていって娘を介抱しようとする! やれやれ、なんてイジワルなの。劇として演じられてるのに、大統領夫人は本気で助けようとするんだもの。しかもこれって悪徳地主ってのは資本家のことで、この後、虐げられた女子が立ち上がり逆襲し、共産主義サイコーってなるのに、大統領夫人はその女子を助けようとしてるわけで。これは実際にニクソン訪中時に上演された「紅色娘子軍」っていう革命劇を描いているんだとか。
●しかし圧巻なのはなんといっても第3幕。舞台にずらっとベッドがならんでる。で、それぞれ登場人物がベッドのわきにいて、左にはニクソン夫妻が、右には毛沢東夫妻が、中央には周恩来。このオペラではベッドが出てくることで、登場人物が社会的人物ではなく個人として描かれることを示唆する。これでみんな正面を向いて重唱してこそオペラ。それぞれが私的なモノローグを歌う。過去を振り返り、内心を吐露する。登場人物たちが大統領や主席といった社会的人物としての仮面を剥いだととたん、それまでの歴史的事件を描いた物語は急に陰気でやるせない個人の話に帰結する。まさかこんな風に話を閉じるとは。いや、でもこれってスゴい真実。男は社会的動物なんだけどベッドのそばではこうだよ、と。これはワタシの分類では、涙の感動大作。台本もテキストがよく書けていて、味わい深い台詞がいくつもあった。

March 3, 2011

ヴィルデ・フラング来日中

ヴィルデ・フラング●86年生まれの若いヴァイオリニスト、ヴィルデ・フラングが初来日中。CDはシベリウス&プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲がリリースされている。公演を前にノルウェー大使館で記念イベントが開かれたので足を運んだら、なんと、バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを弾いてくれた(事前に曲目は知らされていない)。なんとなく、インタビューをはさみながらいくつか親しみやすい小品を弾くみたいな展開を予想してたら、がっつりバルトーク。吉。
●会場が音楽専用ホールではなくデッドな音響だったこと、100名程度のごく小さな(といっても大使館の中なんだから十分大きいが)空間と、演奏会とは違ったコンディションではあるが、切れ味鋭いバルトークをバリバリ弾いてくれた。ジャケの「森ガールっぽい雰囲気」とか、何度か見かけたセールス用のキャッチ「北欧の妖精」とかいったイメージとぜんぜん違う。かわいいというよりたくましい。話しぶりも非常に知的な印象。完璧で、優秀。うまい。特にムターと縁が深く、一緒にツアーを回ったり、音楽的なアドバイスを受けたり、「考えられうるあらゆるサポートを受けている」という。
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●さっそくFacebook「いいね!」ボタンを押してくださった方々、ありがとうございます! これは押してもらったから即なにがどうなるというものじゃないんですけど、でもすごく嬉しいんすよね。ワンクリックって偉大だ。「サイト上に何か仕掛けを置いて、それを見た人に反応してもらう」タイプのものって、昔はいろいろできたんだけど、最近はそういうものがなかったからなあ。トラックバックも結局スパムに撲滅されたようなものだし。
●Facebookは仕組みとして実によくできている。なるほど、これはGoogleを凌駕する存在になりうるという話が出てくるのももっともか。
●とりあえず自分のFacebookページを作って、どう活用すべきものなのかと迷い中。このブログとなんらかの形で連動させると同時に、違った機能や役割を持たせるものにしなくては。改めて案内します。

March 1, 2011

LGOとLFJtとKIN

●先日生中継されたシャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のライヴだが、現在彼らのウェブサイトでアーカイブを見ることができる……ていうか、彼らのサイトにアクセスしたとたんにいきなり日本語表示になってて、トップページに置かれたコンサート映像がスタートするという超積極的な仕様。これはまもなく同プログラムの日本公演があるからだが、旧東独のオーケストラがこれだけやるとは……。ドヴォルザーク/ヴァイオリン協奏曲の独奏者カヴァコスの弾きっぷりがカッコいい、集中してて求心的で、なんとなく軽くオタっぽい雰囲気を醸し出してるところが。
●今年は新たに「ラ・フォル・ジュルネ鳥栖」が開催される。佐賀県の鳥栖。東京、金沢、新潟、びわ湖に続くLFJ。有料公演は5月6日と7日、テーマは「ウィーンのベートーヴェン」。九州には縁がなく鳥栖になじみもないのだが、サガン鳥栖ができてさらにLFJもできたので、ワタシの脳内日本地図では九州における鳥栖の存在感が一気に増している。
カズオ・イシグロの「夜想曲集」が文庫になっている。音楽好きには猛烈に味わい深い美しくてシニカルで可笑しい短篇集。「わたしを離さないで」よりも傑作だとワタシは思うぞ。

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