News: 2013年2月アーカイブ

February 28, 2013

モーツァルトの交響曲第31番「パリ」と拍手

●モーツァルトが父親に宛てて書いた手紙でぎょっとさせられるのは交響曲第31番「パリ」についての一節だろう。1778年、パリのコンセール・スピリチュエルでの初演について、有名な一節だと思うが、以下ザスローの「モーツァルト全作品事典」から引用。

「さて、いよいよシンフォニーが始まりました。……ちょうど第1楽章アレグロの真ん中に、たぶん受けるにちがいないとわかっていたパッサージュがありました。そこで聴衆はみんな夢中になって――たいへんな拍手喝采でした。――でも、ぼくはそれを書いているとき、どんな効果が生まれるか心得ていたので、最後にもう1度それを出しておきました。――そこでダ・カーポでした」

アーノンクールのモーツァルト交響曲第31番「パリ」●この拍手の場所はアーノンクール説によれば65~73小節。え、ホントに? その直後の派手な部分じゃなくて? 場所については諸説あるようだが、なんにせよ「そこでダ・カーポでした」って一言に引っかかる。ダ・カーポなんてないから、冒頭主題が帰ってくることを指してるのか、あるいはアンコールとしてもう一度第1楽章を演奏したって意味?
●ともあれ、当時のパリの聴衆は演奏中であっても「いいね!」と思った場所で拍手喝采していたことは疑いようがない。コンサートが恐ろしくハイコンテクストな文化だったことを痛感する。そして、飴玉の包み紙をむく音で苦情が出る現在の東京とはずいぶん様子が違う。
●「ここ、いいね!」と思ったら、即座に拍手する「ピリオド聴法」の実践を提案したい!(ウソ)

February 25, 2013

東フィル シェーンベルク「グレの歌」

●2011年3月20日に東京フィル100周年記念公演として予定されていた、シェーンベルクの「グレの歌」。だが、震災直後のあの時期にこの巨大な作品を上演できるはずもなく、公演は中止に。それから2年後、初演100周年の日に東フィルは「グレの歌」上演にこぎつけた。強い信念を感じる。尾高忠明指揮、望月哲也(T)、佐々木典子(S)、加納悦子(A)、吉田浩之(T)、妻屋秀和(B)、新国立劇場合唱団。オケは約150人の超巨大編成で、総勢約300名がオーチャードホールの舞台いっぱいに広がった。
●舞台上にもう信じられないくらい人が乗っている。弦楽五部は20-20-16-16-12。大混雑。木管楽器の位置が遠い。フルート8とかクラリネット7とか、管楽器もとんでもなく厚い。合唱団ははるか彼方から歌う。まさに怪物的大作、暴走する肥大ロマン主義。そして特に第1部、独唱者らは咆哮する厚塗りの管弦楽と同じステージに立って熱唱するという無理難題。聞こえない。が、オーケストラがやさしく音量を控えるようではこの編成の意味がないわけで、これはヴァルデマル王やトーヴェがなにを歌おうがしょせん無力であるとする作品内表現として受けとるしかない。素直にこの者たちの言うことは地上のだれにも届かないのだというメタ表現と解し、マエストロの棒の一振りごとに重戦車級の巨大慣性モーメントを持つモンスター・アンサンブルがズザズザと律動する超弩級スペクタクルに目を見張った。
●前半、作品から受けた印象は一言でいえば「ウルトラ・パルジファル」、少しトリイゾ。パルジファルがもっと最強に強まったらこうなる、的な。第1部が終わった後、なぜか拍手がほとんど出なかったんすよ。出かけたけどすぐ消えて、拍手のないまま指揮者も独唱者も退場して、休憩に入るという不思議な光景に。きっと、みんな「パルジファル」的だと感じていたからにちがいないという無理筋仮説を立ててみる。後半からはオーケストレーションも整理されて、音楽は多彩になり、様々なコントラストを描く。加納悦子さんの山鳩の濃密さは圧巻。最後に混声合唱もいっしょになって、すさまじい音圧で幕切れを迎えるんだけど、まるでオルガンの響きのよう。
東フィル シェーンベルク「グレの歌」●写真は全員に配られた大入り袋の中身。なんと、この日の公演を記念した80円切手だった。そんな手があるとは。もったいなくて使えないが、しかし使わずにしまっておくと時とともに色褪せてゆく気もする。ここぞというときに勝負切手として使うか。ってどういう機会だ、それは。

February 22, 2013

第61回尾高賞贈呈式、NHK交響楽団来シーズン概要発表

第61回尾高賞贈呈式
●22日はアークヒルズクラブにて第61回尾高賞贈呈式。第61回尾高賞は野平一郎「彼方、そして傍らに〜ハープと室内オーケストラのための」(2012/10/22 東京オペラシティにて世界初演)に決定。野平氏の受賞は96年に続いて二度目。受賞作について野平さんは「2つの出会いがあって生まれた作品。ひとつはハーピストの篠﨑史子さんとの出会い。篠﨑さんの現代作品への、またハープのためのレパートリーを構築したいという熱意から生まれた。もう一つは昨年生誕150周年を迎えたドビュッシーへの追憶。自分にとってドビュッシーはかねてよりモデルであり、音楽に対する考え方から生き方までいまだに触発されるところが大きい。今回の受賞により、ゴールのない作曲という道のりにまた歩みを進める重要なきっかけをいただき感謝している」と語っていた。
●続いて、N響2013/14シーズンについて。すでに発表されているように、指揮者陣はブロムシュテット、ノリントン、サンティ、ソヒエフ、デュトワ、ルイージ、アレクサンドル・ヴェデルニコフ、尾高忠明、マリナー、ヤノフスキ、ネーメ・ヤルヴィ、ガエタノ・デスピノーザ、広上淳一、ヘスス・ロペス・コボス、アシュケナージ。で、そのプログラムについて概要の発表があった。ブロムシュテットはブラームス・チクルス、ノリントンはベートーヴェン・シリーズの続き、サンティは演奏会形式でヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」。デュトワはプーランク「グロリア」&ベルリオーズ「テ・デウム」、ショスタコーヴィチ交響曲第15番他。ファビオ・ルイージはオルフ「カルミナ・ブラーナ」、ブルックナー9番他。ソヒエフはチャイコフスキー第5番、プロコフィエフ第5番他。ネーメ・ヤルヴィのプログラムがおもしろくて、スヴェンセンとシベリウスの両交響曲第2番他や、R・シュトラウスの「祝典前奏曲」「紀元2600年祝典曲」「ヨセフの伝説」が目を引く。
●また、夏にはデュトワの指揮でN響がザルツブルク音楽祭に初出演する。曲目は武満徹「ノヴェンバー・ステップス」、細川俊夫のソプラノとオーケストラのための「嘆き」(音楽祭委嘱作品/世界初演)、ベルリオーズの幻想交響曲。

February 21, 2013

準・メルクル&N響、シュフ、サン=サーンス「オルガン付き」

シュフのラッヘンマン+シューベルト●20日はふたたび準・メルクル&N響へ(サントリーホール)。リストの交響詩「レ・プレリュード」、ピアノ協奏曲第1番(ヘルベルト・シュフ)、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」。リストで始まり、リストの思い出に捧げられたサン=サーンス作品へとつながるプログラム。シュフははじめて聴くピアニスト。フィジカルで押すタイプではなく詩情豊かなリスト。録音でもなにか聴いておこうかと思ってネットを見たら、ラッヘンマン+シューベルトとか、ウルマン+ベートーヴェンとか、OEHMS等からおもしろそうなものがいくつか。Schuchって書いてシュフだったのね……。なんか覚えにくい名前だなあと思うが、とりあえずIMEは「主婦」って出してくるので、それで覚える。
●後半、サン=サーンスの「オルガン付き」は爽快。オケがすっかり掃除されたかのように響きが美しい。サントリーでもいつでもこうはいかない、というか、なかなかないのでは。
●この曲ってフランスの「運命」っすよね。暗から明、苦闘から勝利へ、ハ短調からハ長調へ。スケルツォからフィナーレへ突入する感じも。ベートーヴェンがトロンボーンとピッコロで敢行した管弦楽法の拡大を、オルガンと連弾ピアノで果たしている。これで交響曲第3番ではなく第5番だったらなおよかったのに。
●しかし「オルガン付き」はオルガンも必要だし、ピアニストが2人も必要なのがやたらリソースを消費する感じでもあるので、オルガンのないホール、予算の少ないオケでも演奏できる省エネ版があってもいいかもしれない。オルガンなしの交響曲第3b番「オルガンなし」。あるいはオルガンなしでなおかつ連弾ピアノも入らない交響曲第3c番「オルガンなし、ピアノなし」。案外、交響曲第3d番「オルガンあり、ピアノなし」の需要もあるかもしれない。牛丼の「つゆダクねぎ抜き」みたいな。

February 19, 2013

準・メルクル&N響、下野竜也&読響

ラヴェル●15日は準・メルクル&N響へ(NHKホール)。サン=サーンスのチェロ協奏曲第1番(ダニエル・ミュラー・ショット)とラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」(国立音楽大学の合唱)。ともに軽やかな快演。特にラヴェルは色彩豊かで、響きがやわらか。ほっとする。無伴奏合唱が歌う間奏曲の部分で、オケ側の照明を消して合唱だけを照らすという演出があったのがおもしろかった。準・メルクルの指揮は明快で、なんのけれんもないのに視覚的に快い。体操競技的というか。
●18日は下野竜也指揮読響(サントリーホール)。下野竜也が約6年間にわたり務めた正指揮者としての最後の公演ということで、チラシに「卒業」公演と銘打たれていた。曲はブルックナーの交響曲第5番、一曲のみ。さっそく開演前の男子トイレに長大なブルックナー行列ができていた。同コンビのブルックナーは前回第4番「ロマンティック」があまりにマッチョだったので(でも客席からは好評)どうなるかなと思っていたら、決して威圧的にはならず、ていねいで明快なブルックナー。演奏が終わった後もじわりと客席に感銘が広がって、一般参賀に(!)。有終の美を飾った。卒業といっても今後もまだまだ客演の機会はあるとは思うけど、聴衆からホントに愛されているのだなあという様子が伝わってくる。

February 18, 2013

2012年度音楽メディアユーザー実態調査。K-POPとアニメ音楽の狭間で

●日本レコード協会のサイトに「2012年度音楽メディアユーザー実態調査」が公表されている。全国の12~69才男女にインターネットアンケート調査を行ったもの。調査企画は三菱総合研究所。
●通常、日本レコード協会が発表するような統計資料にはあまり用がない。たとえばCDの売上なんかも国内盤だけが対象だったりとか、あまりにも(ワタシらの)実感からかけ離れていることが多いから。ただ、この調査に関してはアンケートであるがゆえに参考になる部分もいくつかあるかも。
●しかしこういう調査を見ると、自分が生きてる世界がいかにニッチか、いやというほどよくわかる。「音楽配信」とか言っても、世間では主たる市場は「着うたフル」なるケータイ文化が担ってきたわけで、もはや言葉の意味すら違う感じ。
●驚いたことはたくさんあるかな……。たとえば、過去半年間で新品CDアルバムを購入したことのある人は、25.8%。3年前は30.7%だから、たしかに急激に減ってきてはいるんだけど、「世間一般の人々」の数値としては意外と高いという印象。で、もっと驚いたのは、過去半年間でレンタルCDアルバムを利用した人が20.7%だってことっすよ! 全年代で。世の中、そんなにレンタルCDって利用されているんだ……。
●「購入した新品CDアルバムのジャンル」は、相変わらず邦楽が圧勝。ジャンル分けとかツッコミどころ満載なんだけど、「日本のポップス」53.5%、「日本のロック」20.0%、「日本のアイドルミュージック」15.5%……。「クラシック」は9.8%。この数値って「K-POP」10.5%より少し小さくて、「アニメ音楽」8.3%より少し大きいくらい。なんか可笑しい。
●あとは「音楽を楽しむために利用したサービス」の順位かな。これは年代によるばらつきが大きいんだけど、1位が無料動画配信サイト60.0%で、2位がラジオ(AMとFM)40.4%、以下3位テレビ、4位カラオケ、5位ビデオソフトと来て、6位にコンサート・ライブ等の生演奏14.9%、7位にネットラジオ13.1%。インターネットで調査してるからネット媒体が実勢より強く出るとは思うけど、YouTubeが音楽に触れるためのいちばん大きな入口だというのはよくわかる。検索すれば出てくるんだもの。

February 14, 2013

ルネ・マルタンのクラシック・ソムリエ・サロン

ルネ・マルタンのクラシック・ソムリエ・サロン
●一昨日のLFJの記者発表の日の夜、東京国際フォーラムの同じ会場でルネ・マルタンのクラシック・ソムリエ・サロンが開催された。これは一般向け公開イベントで、350人くらいが入れるんだけど、それでも抽選になってしまうという大人気企画。マルタンさんが今年の音楽祭のテーマについて紹介した後、次々と曲を流しながらその魅力などについて自然体で語る。
●で、どんな曲をかけたかというと、まず最初にサン=サーンスの「ハバネラ」。冒頭のメロディを聴いて「これを聴くと、いかにもフランスだなあと感じる。空気感がフランスのエスプリそのもの」と。同様の例としてサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」も。で、続いて「もろにスペインっぽい」曲として、シャブリエの「ハバネラ」をかけた。もろフランスももろスペインも「ハバネラ」だったという(笑)。
●そこからロドリーゴ、サティ、アーン、デュリュフレ、ケクラン、ジャン・クラ(クラス)と来て、またサン=サーンスに戻った。ドビュッシーやラヴェルが出てこなかったのは時間がなくなったためか、もとよりそのつもりなのかはわからず。
●ケクランの「ラメント」というホルンを含む室内楽曲について。「CDで知ってすばらしい作品だからこれをぜひプログラムに含めたいと思っていたんだけど、楽譜がない。フランスのケクランの権威とされる音楽学者に問い合わせたら、『そんな曲はない。編曲作品では?』といわれた。それでオーストリアの音楽学者に尋ねたら、ケクランの遺族が手稿譜を見つけ出してくれることになって、それがナントの開幕7日前にやっと届いた。フランスでもそんな具合だから、おそらくこれは日本初演のはず」と。
●ちなみにマルタンさんはケクランを「コクラン」、ジャン・クラを「ジャン・クラス」と発音してました。

February 13, 2013

LFJ2013記者発表、有料公演プログラムも発表!

LFJ2013記者発表
●昨日、LFJ2013記者発表が開かれ、それと同時に有料公演プログラムもウェブ上で公開された。開催日は、5月3日から5日までの3日間、有料公演は135公演、チケット15万枚を売り出す。海外から500人以上、国内300人以上のアーティストが参加。テーマは「パリ、至福の時」。ベルリオーズからブーレーズまでのフランス音楽、そしてパリで活躍したスペイン人作曲家たちの音楽を中心としたプログラム構成。他にこの音楽祭ならではのジャンルを超えた企画もいくつか。「渋さ知らズ」がよみがえらせる20年代パリのキャバレーの狂乱とか、カニサレスのフラメンコ・ギターとか。公式レポートブログもご覧いただければと。
●で、ここからはプログラムを見て個人的に感じたことを。前回、音楽祭最終日の会見をきっかけとして「もっとお客を入れるために有名曲をたくさん取り上げるべきでは?」「いや、それは違うでしょ」的な議論が展開されていた。結果どうなったかというと、LFJはLFJだった。というか、いつにもまして聴いたことのない曲だらけ(笑)。正確に言えば遠目で見たプログラムと近くに寄ったプログラムと見え方が違うというかな。つまり、5000人入るホールAのほうには「ボレロ」や「カルメン」組曲、ラヴェルのピアノ協奏曲が並んでいて、「初めての方でもどれを聴いても安心」というフレンドリーな構えがしっかり作られていて、一方で中小のホールを見るとかつてないほど「ここで聴かなかったら一生聴けないかも」的な演目が並んでいる。
●特に室内楽がスゴいと思ったかなあ。デュポンのピアノ五重奏曲「詩曲」、ルーセルのフルート、ヴィオラ、チェロのための三重奏曲、クラ(クラス)の五重奏曲、アーンのピアノ五重奏曲、カプレのハープ五重奏曲「赤き死の仮面」、グラナドスのピアノ三重奏曲、ピエルネのピアノ三重奏曲、ダンディの弦楽四重奏曲第3番、トゥリーナのピアノ四重奏曲……。ショーソンのピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのコンセールやフランクのピアノ五重奏曲がポピュラー名曲に見えてくる。LFJってフランスの音楽祭なのに、今回初めてじゃないすか、フランス音楽をテーマにするのは。やはり自国の音楽(パリのスペイン人たちも含めて)をやるとなると一歩踏み込んだ感が出てくる。アーティストももともと最適化されているというか。
●それと現代音楽畑からアンサンブル・アンテルコンタンポランが大々的に参加。指揮はスザンナ・マルッキだ。ブーレーズのシュル・アンシーズ他、ブーレーズのピアノのためのアンシーズ、マントヴァーニの「ハンガリー風に」他、ブーレーズのデリーヴ1&ミュライユ「セレンディブ」の3プログラム。これがLFJ価格で聴ける。ホールはCとB7とD7。D7以外は、昨年の様子だと問題なくチケットを取れそうな場所だがどうなるか。
●あとピアニストはベレゾフスキーとかエル=バシャ(ラヴェル全曲シリーズ)、ペレス、ヌーブルジェ他のおなじみのメンバーに福間洸太朗さんほか日本人も多数。ぱっと見て目についたのは、去年ウストヴォルスカヤやらロスラヴェッツをバリバリ弾いて異彩を放っていたユーリ・ファヴォリンが、今年はアルカンの交響曲(ピアノ独奏曲です)とか、ブーレーズのソナタ第1番&デュフール「穏やかな海」他を弾く。あとペヌティエが弾くオアナ「24の前奏曲」なんてのもある。
●と、たくさんありすぎて整理がつかないんだけど、近年のLFJのなかではもっとも迫力のあるプログラムになったのでは。もちろんここに挙げてないだけで名曲もたっぷりと取り上げられているので、「ボレロ」をいろんな演奏で聴くとか、「アランフェス」からフラメンコまでギタリスト三昧とか、お好みのコースが楽しめるはず。

February 12, 2013

ヒュー・ウルフ&N響、サロネン&フィルハーモニア

●9日はヒュー・ウルフ指揮N響へ。ポール・ルイスの独奏でベートーヴェン「皇帝」を聴けたのが吉。こんなにニュアンスに富んだピアノを弾く人だったとは。これまで録音で少しは聴いていたはずなんだけど、なぜかうまくアンテナにひっかからず。もっと聴きたくなった。アデスのオペラ「パウダー・ハー・フェイス」から「ダンス」が日本初演。10分ほどの小曲で、きっと元のオペラが持っているであろう猥雑でいかがわしい雰囲気が伝わってくる。これをプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」組曲の前に置いたのは愛の形の両極を対照させるということか。
●10日は東京芸術劇場でサロネン&フィルハーモニア管弦楽団。首都圏だけでそれぞれ別のホールで4公演目、しっかり客席も埋まっていてここまで人気があるとは。ワタシはこの一公演のみ。シベリウスの交響詩「ポホヨラの娘」とヴァイオリン協奏曲(諏訪内晶子vn)、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」。ここまでの公演の評判をTwitterやfacebookで眺めていると、意外とばらつきがあっておもしろい。この日は3曲ともに最弱音の美しさが効果的に強調されていたのが印象的。「春の祭典」は推進力のある壮烈な快演だったんだけど、仕掛けも満載で、第2部イントロダクションの弱音器つきトランペットがありえないくらい超弱音……というのはこの前ハーディング&新日フィルで聴いた演奏と同じアイディアだ。はやってるの?
●アンコールはなし、客席は沸いて、サロネンの一般参賀2回。きつそうなスケジュールのツアーの掉尾を飾ったといったところか。いまやオーケストラのお約束だが、ジャパン・ツアー・ブログができている。サロネンのTwitterによれば最後は秋葉原に寄ったそうだが、残念ながらメイド喫茶で萌えるマエストロの写真などは載っていない。
●LAフィル時代のサロネンの功績をまとめたサイト、Celebrate SalonenMediaのコーナーには音源や動画、写真などがぎっしり。サウンドクリップ程度のものもあるけど、がっつりまるごと聴けるライヴ音源もあり。

February 8, 2013

映画館はオペラの夢を見るか?

●「パリ・オペラ座ライブビューイング」が2月22日からスタートする。先行するMETライブビューイングと同様、「映画館で観るオペラ」にいよいよパリ・オペラ座も進出。今季はオペラ5作品、バレエ3作品が上映されるとか。歌手のインタビューやバックステージの取材などもさしはさまれるということで、METライブビューイングに近い雰囲気だろうか? プレス向けの試写会が2度ほどあったのだが、都合のつかない日時だったのでワタシは未見。METライブビューイングもスタート当初から相当試行錯誤して今の完成形にたどり着いた(ずいぶんよくなったと思う)。はたしてパリ・オペラ座のほうの完成度はどうだろう。
●本家(?)METライブビューイングは明日からドニゼッティ「マリア・ストゥアルダ」新演出。ジョイス・ディドナートが歌う。
●で、その次の回、3月9日からの「リゴレット」はマイケル・メイヤーの演出で、舞台が20世紀前半のラスヴェガスに置き換えられる。「女性をモノのように扱う即物的な世界観は一昔前のラスヴェガスに重なる」とかいうことなんだが、このドレスリハーサル映像が最強に強まってる。ド派手なヴェガス風セットでマイクを片手に「あれかこれか」を歌うシナトラ風マントヴァ公爵(ピョートル・ベチャワ)。いいなあ。ゴージャス。楽しすぎる。


February 5, 2013

ネットで聴くLFJナント2013

●さて今年も例によってナントで開催されたラ・フォル・ジュルネの模様をネットを通じて聴くことができる。
france musique●france musiqueのオンデマンド配信はこちら。ギターのカニサレス、フラメンコ歌手のアントニア・コントレラス、ヴァイオリンのコパチンスカヤ、ルノー・カプソン、フェイサル・カルイ指揮ラムルー管弦楽団、ヴォックス・クラマンティス、リチェルカール・コンソートなどなど。テーマとなってる時代からは外れているような気がするけど、リチェルカール・コンソートはフツーにラモーとかクープランをやってて、これは東京でも聴けたら嬉しいっすね~。
●来週2月12日が東京のLFJ記者会見なので、そこで出演アーティスト、プログラムが発表になるはず。同日ルネ・マルタンのソムリエ・サロンも開催。
●動画配信はarte LIVE webで。こちらはまだ大半が編集中だけど、日々着々と公開中の模様。山田和樹指揮横浜シンフォニエッタ、ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブル、ルイス・フェルナンド・ペレスのスペイン・プログラムなど。

February 4, 2013

鈴木雅明&優人J.S.バッハ2台チェンバロ協奏曲、LFJナント・ブログレポート

●1日(金)はトッパンホールで「鈴木雅明&優人J.S.バッハ2台チェンバロ協奏曲全曲/ バッハ・コレギウム・ジャパン」。父子共演の2台(2代?)チェンバロ。2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV1060、ハ長調 BWV1061、ハ短調 BWV1062という当初予告のプログラムに加えて、「2台のチェンバロのための序曲」として鈴木優人さんによる管弦楽組曲第1番編曲が演奏された。これがすばらしいんすよね、舞台上での音楽による父子の対話がまぶしすぎて。トッパンホールというぜいたくな小空間ですら広大に感じられる親密な音楽。プログラムを優人さんが書いていたんだけど、実家の音楽室には2台チェンバロが置いてあって、風呂上りに親子でバッハの2台チェンバロ協奏曲を弾いていたのを舞台に乗せることになって「今日は寝間着で街角を歩くような気分」と形容していたのがおかしかった。こんなに麗しい寝間着姿はない。
LFJナントのプログラム冊子●ナントで開催された本家ラ・フォル・ジュルネはこの日曜日に幕。LFJ公式レポート・ブログでその様子が伝えられている。今回のレポートはすごいっすよ。ブログ隊のM君が現地で一人で更新してくれたんだけど、まさかこんなにパワフルにレポートしてくれるとは。なかなかできることじゃありません。てか、普通は絶対ムリ。

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