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November 6, 2025

小川響子&鈴木康浩&辻本玲のモーツァルト、シューマン

●5日はHakuju Hallで小川響子&鈴木康浩&辻本玲の弦楽三重奏。ゲストにピアノの津田裕也。前半にモーツァルトのディヴェルティメント変ホ長調K.563、後半にシューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調という変ホ長調プロ。成熟度の高いモーツァルトの傑作で、3人の腕利きが丁々発止と渡り合う。弦楽四重奏と違って弦楽三重奏は全員が主役だなと改めて実感。小川響子のヴァイオリンはもちろんのこと、チェロの辻本玲、ヴィオラの鈴木康浩がすこぶる雄弁で、起伏に富んだ鮮やかなモーツァルトに。切れ込みの鋭さとユーモアが両立した最高水準の演奏だったと思う。後半のシューマンのピアノ四重奏曲も高揚感にあふれ、力強い。ピアノが入っても、弦の3人と完全に調和した響きを作り出していた。
●アンコールの前に辻本玲がマイクを持って登場。「たまたま変ホ長調の曲がそろったこと」を述べ、アンコールにモーツァルトのピアノ四重奏曲第2番変ホ長調の第1楽章。あらゆるクラシックのなかでもトップクラスの好きなメロディが出てくる曲なのだとか。少し短めのプログラムだけど、ダブル・メインプログラムで密度が濃い。充足。