
●落穂拾いをいくつか。先月のティーレマン指揮ウィーン・フィルの来日公演で、書こうと思って忘れてたことなんだけど、カーテンコールでティーレマンがドシン!と指揮台に飛び乗るじゃないすか。そのタイミングに合わせて、楽員たちも足でドン!と鳴らすのをやってて、場内「ふふ」ってなったのだった。フォルカーさんの記事で思い出した。ティーレマンもまんざらじゃなさそうな表情だったのが印象的。指揮台が壊れないかとはらはらした。
●新国立劇場のリチャード・ジョーンズ演出「ヴォツェック」、もう上演が終わったので書くけど、ラストシーンが子どもたちによる冒頭の髭剃りシーンの再現になってたんすよ。冒頭シーンとまったく同じ構図と衣装で、子どもたちが同じ所作をする。つまり貧困の再生産を描く。「ホップホップ」をヴォツェックの子が歌うんじゃなくて、子どもバージョンの大尉が歌ってたと思う。「ヴォツェック」の円環構造を明確に視覚化した鮮やかな幕切れであるという人もいれば、あざとく感じる人もいたようで、賛否両論だった模様。あと、今回の「ヴォツェック」で怖かったのは集団のダンスシーン。
●12月は「第九」の季節。「ぶらあぼ」に「第九と日本の100年物語──どのようにして日本人は年末に第九を聴くようになったのか」を寄稿した。日本の年末「第九」の風習について、近年、不思議なネット記事を目にすることが増えてきたので、あらためて整理しておこうと思って書いた。
December 4, 2025