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February 5, 2026

ジェームズ・フェデック指揮読響のブルックナー

ジェームズ・フェデック 読響
●4日はサントリーホールでジェームズ・フェデック指揮読響。プログラムは細川俊夫のヴァイオリン協奏曲「ゲネシス(生成)」(諏訪内晶子)とブルックナーの交響曲第7番。当初の予定では前半が望月京のヴァイオリンとオーケストラのための新作(世界初演)で、指揮が鬼才マリオ・ヴェンツァーゴだったが、まず作曲家側の事情で曲が変更になり、その後ヴェンツァーゴの体調不良で指揮がジェームズ・フェデックに変わった。ぜんぜん知らない人だったが、フェデックはニューヨーク生まれの新鋭で、ブルックナーを積極的に指揮している模様。細川俊夫とブルックナーの両方を振れる代役を探すのはたいへんだったと思う。
●前半の細川俊夫「ゲネシス」は、ヴェロニカ・エーベルレの出産を祝って彼女とその息子への贈り物として書かれた作品なのだとか。タイトルから想起されるような原初の海、母なる海を思わせるゆるやかで予感に満ちた精緻な響きをオーケストラが作り出し、これに諏訪内晶子のソロが絡み合う。生命の息吹を連想させる確信のソロ。作曲者臨席。この曲、以前にも聴いたことがあると思ったが、N響のMusic Tomorrowだったかどうか。
●後半は奇をてらわないまっすぐなブルックナー。重厚さと抒情性のバランスがとれ、無理のない造形。第2楽章はシンバルで盛大なクライマックス。どこまでが指揮者の目指したものなのか、あるいは読響に刻まれたブルックナー演奏の伝統によるものなのかは判然としないわけだが、オーケストラは一丸となって集中度の高い演奏に。客席の反応は上々で、しっかりとした拍手が続いてフェデックのソロカーテンコールになった。
●曲が終わった後、拍手より先にブラボーの声が複数出た。曲はちゃんと終わっていたので、これをフライングとは言いづらいのだが、ほとんどの聴衆は余韻を味わおうと拍手を控えていたわけで、このあたりは価値観の違いか。なかなか難しい。いずれ、ブルックナーの演奏では能みたいに奏者が退場してから拍手をするという習慣が生まれるかもしれない。

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