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February 9, 2026

フィリップ・ジョルダン指揮NHK交響楽団のシューマン、ワーグナー

フィリップ・ジョルダン N響
●7日はNHKホールでフィリップ・ジョルダン指揮N響。パリ・オペラ座やウィーン国立歌劇場音楽監督を歴任してきたジョルダンがN響と初共演。お父さんのアルミン・ジョルダンはどっしりとした大柄な指揮者だったが、フィリップはすらりと長身痩躯。遠目にも見栄えがする。プログラムは前半がシューマンの交響曲第3番「ライン」、後半がワーグナーの楽劇「神々の黄昏」から「ジークフリートのラインの旅」「ジークフリートの葬送行進曲」「ブリュンヒルデの自己犠牲」(ソプラノ:タマラ・ウィルソン)。すなわちライン川プロ。
●シューマンは推進力のある演奏。細部から練り上げるというよりは、外枠から大きな音楽の流れを作り出す。圧巻は後半で、得意のワーグナーはさすがの名演。きびきびと音楽が進み、もっさり度ゼロ。その点はヤノフスキが振る「東京・春・音楽祭」のワーグナーとも共通するが、全体のカラーはちがっていて、格段に壮麗で、甘美でもある。タマラ・ウィルソンのソプラノはまろやかで温かい声。尻上がりに熱を帯び、NHKホールの巨大空間と大オーケストラを相手に堂々たるブリュンヒルデ。歌い終わった後、まだまだオーケストラの演奏が続いてクライマックスがやってくるわけだが、その間もブリュンヒルデになりきっている様子が劇場っぽくてよかった。ハープ6台は視覚的に壮観。
●曲が終わった後、NHKホールで完璧な静寂が保たれたのはすごいこと。なにせ人数が多いので。大喝采と盛大なブラボーが続いて、客席は今年いちばんの盛りあがり。ジョルダンのソロカーテンコール、さらにタマラ・ウィルソンといっしょにふたりでカーテンコール。