●代表ウィーク英国遠征第2戦は聖地ウェンブリー・スタジアムでのイングランド代表戦。W杯優勝候補と完全アウェイで戦う貴重な機会だが、な、なんと、勝ってしまったのだ、ニッポンが! イングランド 0対1 ニッポン。前回W杯から、ニッポンはスペイン、ドイツ、ブラジル、イングランドといったW杯優勝経験国に勝ったことになる。今回、イングランドにはハリー・ケインら主力にけが人が何人かいたが、ニッポンも遠藤、久保、南野らけが人が多数いたわけで、そこはイーブン。ちなみにイングランド代表監督はドイツの戦術家トーマス・トゥヘル。マインツ時代の岡崎慎司の監督だ。
●ニッポンは先日のスコットランド戦から大幅にメンバーを替えて、現時点でのベストメンバー。先発はGK:鈴木彩艶-DF:渡辺剛、谷口彰悟、伊藤洋輝-MF:佐野海舟、鎌田大地-堂安律、中村敬斗-伊東純也、三笘薫-FW:上田綺世。3-4-2-1というか3-2-4-1というか、ウィングバックにフォワード調の選手を置くいつもの攻撃的布陣なのだが、久保と南野が不在のため、2シャドーに伊東と三笘という、ふだんならウィングバックに入るサイドアタッカーをふたり置いたのが特徴。ウィングバックは堂安と中村。つまり2シャドーとウィングバックが完全に交換可能なのが特色で、流動的に入れ替わることができる。左サイドで三笘と中村が共存できることがわかったのは大きな収穫。これでボランチの一枚は鎌田で、そうなるとさすがにもう一枚はボール奪取能力が必要なので佐野海舟。布陣がスペクタクル。
●でも、相手は個の能力で勝るイングランド。序盤こそ精力的なハイプレスをかけたが、ボールは奪えず、ニッポンは無理せずミドルゾーンでコンパクトにブロックを敷く展開に。イングランドのボール保持率は66パーセント。体感的にはほとんどニッポンが守っていた。前半23分、三笘がボールを奪ってカウンターへ。左サイドを駆け上がった中村がドリブルで持ち込んで、中央にグランダーのクロスを入れ、これを三笘が落ち着いてゴール右下に流し込んでゴール。
●後半20分くらいまでは、ニッポンの組織的な守備がとてもよく、相手にボールを持たせながらも、自分たちのゲームをできていたと思う。イングランドはボールを持ち、シュートも多いのだが、実は枠内シュートがほとんどない。スタッツを見るとシュート21本を打って、枠内は3本。これはニッポンの守備の成功だと思う。ただ、後半20分すぎくらいからは様子が代わり、組織が機能しなくなり、耐えるだけの展開になってしまった。選手交代で瀬古 歩夢、小川航基、田中碧、鈴木淳之介、町野修斗、菅原由勢、鈴木唯人と投入されたのだが、クオリティは下がった。やっとボールを奪っても、前で収める選手がおらず、すぐにまた守備が続く苦しい展開で、終盤はほとんどギャンブル。
●ともあれ、イングランド相手にニッポンは初めて勝利できた。イングランドがアジア相手に負けたのは初めてなのだとか。さすがにここまで結果を残し続ければ、どんな強豪国も今のニッポンを簡単な相手だとは思わなくなるだろう。
2026年4月アーカイブ
イングランド代表vs日本代表 親善試合
METライブビューイング ベッリーニ「清教徒」(チャールズ・エドワーズ演出)
●27日は東劇でMETライブビューイング、ベッリーニの「清教徒」。演出はチャールズ・エドワーズ。METでは50年ぶりとなる新演出だとか。名作とされるわりに実演で聴く機会の少ない名作だが、このオペラのストーリーはどれくらい知られているだろうか。舞台は17世紀、内戦下のイギリス。清教徒側の娘エルヴィーラは王党派の騎士アルトゥーロと愛し合っており、これから結婚式を挙げようというところで、アルトゥーロは捕らわれていた王妃を助け出すために彼女を花嫁に変装させて逃亡する。アルトゥーロに裏切られたと思ったエルヴィーラは発狂する。このふたりの関係に、エルヴィーラに想いを寄せる清教徒側のリッカルドの思惑がからむ。こうして書いていてもわかりやすく書くのはなかなか難しいと感じるのだが、台本ははなはだ粗削りで、自分が劇場監督だったら赤字で真っ赤にして突き返すと思う。が、ベッリーニの音楽はきわめて洗練されており、優雅。抒情的な楽想が無尽蔵にわき出てくるといった様子で、なるほど、ショパンが魅了され、影響を受けたのはこれかと思う。物語より音楽が圧倒的に優位にある。
●歌手陣はエルヴィーラ役のリセット・オロペーサ(オロペサ)が圧巻。声の超絶技巧をたっぷりと。アルトゥーロ役のローレンス・ブラウンリーは、先日の新国立劇場「リゴレット」で公爵役を歌ってくれたばかり。声の甘さ、高音域での余裕が印象的。指揮はマルコ・アルミリアート。録音だから正確にはわからないけど、たぶん歌手にやさしくオーケストラをコントロール。演出はチャールズ・エドワーズ。全般にシリアスすぎるのと、独自のアイディアであるエルヴィーラを画家とみなす趣向が無理筋だと思ったが、舞台美術は荘重ですばらしい。あのエンディングはどう解したらいいんでしょうね。ハッピーエンドを嫌ったのか、どうか。
●これでベッリーニの三大傑作、「清教徒」「ノルマ」「夢遊病の女」をすべてMETライブビューイングで観たことになる。映画館なので、ライブとはまったく違ったリラックスしたモードで観に行けるのが大吉。