
●6日は高崎遠征。群馬交響楽団と高崎芸術劇場の主催によるGTシンフォニック・コンサートvol.2でプッチーニのオペラ「トスカ」(セミ・ステージ形式)。沼尻竜典の指揮で、高崎を皮切りに、神奈川フィル、名古屋フィルでも同様に「トスカ」が上演される。歌手陣は佐藤康子のトスカ、シュテファン・ポップのカヴァラドッシ、上江隼人のスカルピア、妻屋秀和のアンジェロッティ他。合唱にGTシンフォニック・コンサート・プロフェッショナル・シンガーズ、藤岡市立小野小学校合唱部(児童合唱)。舞台構成は粟國淳。高崎芸術劇場はステージがとても広いので、前方に演技用のスペースを設置して、ここでしっかりと演技する。テーブルなど、大道具、小道具も一通りあり。背景にスクリーンが設置され、主に舞台設定となる場面を静止画で映し出す方式。照明にも一工夫あり、全体としてほとんど舞台上演と変わらない密度で物語を楽しめる形態になっていたと思う。奇をてらった趣向はなく、初めて観る人にも安心の「トスカ」。
●群響を聴くのはかなり久しぶり。8年ぶりかな。今、どこのオーケストラも技術的水準が高まっていると感じるが、群響も例外ではなく、綿密な音作りで、繊細な表現から豪快な咆哮まで雄弁に音のドラマを作りあげる。大空間だが、かなりパワフルで、たたみかける場面は迫力満点。プッチーニのオペラはオーケストラも主役のひとりだと改めて実感。オーケストレーションが魅力なので。歌手陣は好演。なかでもシュテファン・ポップの声が強烈。抜けるような明るい声。子どもたちの合唱のひたむきさに心打たれる。
●自分は名作オペラであってもストーリーを本気で観る派なので、毎回「トスカ」のたびに同じようなことを言うけど、トスカって本当に嫌な女だと思うんすよね。嫉妬深さに加えて、聡明さを欠いているところが耐えがたい。ある意味、事件の張本人。いちばん嫌なのは画家に眼の色を塗り直せと要求するところで、歌手なのに他人の芸術への敬意が足りない。自己中心的で、短絡的で、その場の瞬間的な感情だけで物事を判断する。本当ならカヴァラドッシやアンジェロッティよりも、スカルピアの側にいるはずだった人間なんじゃないかと思うことがある。トスカとスカルピアのそれぞれに信仰告白をさせているところにも、作者からの「似た者同士」的な扱いを感じる。
June 8, 2026