●11日はふたたびサントリーホールのブルーローズ(小ホール)へ。チェンバーミュージック・ガーデンで「葵トリオ ピアノ三重奏の世界」。来年のベートーヴェン没後200年に向けた7年プロジェクトの第6回。プログラムはベートーヴェンのピアノ三重奏曲第6番変ホ長調、武満徹の「ビトゥイーン・タイズ」、ラヴェルのピアノ三重奏曲。葵トリオのメンバーは、ピアノの秋元孝介、ヴァイオリンの小川響子、チェロの伊東裕。
●一曲目のピアノ三重奏曲第6番は、前夜に聴いたエベーヌ弦楽四重奏団のひりひりしたエクストリーム・ベートーヴェンとは別世界。自然な音楽の流れによる伸びやかなベートーヴェン。パッション、歌、ユーモアの要素が一体となった愉悦のひととき。武満の「ビトゥイーン・タイズ」をライブで聴いたのは初めてだと思う。作曲者は曲名に多義的な意味を込めたようだが、文字面だけを見れば、潮の満ち引き、潮の変わり目といった感じだろうか。あわい、移ろい、揺れ動きを表現したような音楽で、明確に水や波のイメージがある。骨格の大きさは違うが、ドビュッシーの「海」のエコーのようにも。15分くらいあって意外と長め。後半はラヴェルのピアノ三重奏曲。ものすごい密度の奇跡の名曲で、比較的聴く機会に恵まれた作品でもある。フレッシュで爽快。3人が一体となった胸のすく快演だった。アンコールにリリ・ブーランジェの「春の朝に」。オーケストラ版ではなんどか聴いているが、ピアノ三重奏版を初めて聴けてうれしい。
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●宣伝を。本日の早朝、メキシコvs南アフリカ戦でワールドカップ2026北中米大会が開催したわけだが、タイミングを合わせてONTOMOに「W杯で世界的人気に! プッチーニの『誰も寝てはならぬ』が“勝利の歌”になった理由」を寄稿した。日本ではあまり語られていないエピソードだと思うので、ご笑覧ください。
June 12, 2026