
●みんなが見たかった対決が準決勝で実現。ここまでの大会を見て、最強と感じたのがフランス。エムバペという突出した個の力だけではなく、チーム全体としてのフィジカルの強さと速さは圧倒的で、このチームに対抗できる存在を想像できなかった。一方は現在の欧州王者であるスペイン。技術の高さはナンバーワンだとしても、フランスが相手となればパワーとスピードで劣勢なのは明らか。現代のハードワークするフットボールの世界で、ポゼッション前提のスペインがどこまでやれるのか、というのが試合前の見方。
●が、試合が始まって驚愕。そこにはスペインの超絶技巧連発のパス回しにフランスが手も足も出ないという、まさかの光景が。フランスのフィジカルモンスターたちがプレスをかけてくるというのに、スペインの選手は自陣でもするするとパスを回すのだ。ワンタッチパスの精度が異様に高く、さらに足元にぴたりとボールが収まる。そして、視野が広い。逆にフランスにボールを奪われても、ほかのチームなら一気にピンチになるところだが、落ち着いて対応する。すべての局面で相手を上回る技術の高さが前提となっているプレイぶりで、なんというか、勇気づけられる。もしこの試合でフランスがスペインを圧倒していたら、「結局、最後はフィジカルなのね」の結論が出てしまうところだった。スペインは世界中の妄想ゴールゲッターたちの夢を守ってくれた。技術上等!
●スコアはフランス 0-2 スペイン。前半、オヤルサバルがPKを決めたが、これはどうかと思うつまらないファールをとられたもの。一方、後半のペドロ・ポロのゴールはオルモとのコンビネーションからきれいにディフェンスを崩したビューティフル・ゴール。スペインの攻撃はスペクタクル。一方、フランスは攻勢に出た場面がほとんどなく、点差以上の内容の差があった。フランスのプレスにもっと連動性があれば、また違った展開になったとは思う。
●スペインのボール回しは往年の「ティキタカ」風味だったが、かつての「ティキタカ」は成熟度を深めすぎた結果、ボールを回す美しいサッカーから、やがてリスクを冒さない退屈なサッカーへと変貌した感があった。今のスペインも「ボールを保持している限りは相手に攻撃されない」というフィロソフィーでは共通すると思うけど、以前に比べると相手のゴールへと向かうプレーがずっと多く、見ていて楽しい。実のところ、EURO2024でもスペインは準決勝でフランスを破っている。そのときの決勝の相手はイングランドで、スペインが2対1で勝った。今大会でも同じカードが実現する可能性があるわけだが、それは明日の試合の結果次第。
●主審がエルサルバドルのイバン・バートン。日本対スウェーデン戦でも笛を吹いていた人だが、この日も基準に一貫性が感じられず、よくない意味で目立っていた。こんな重要な試合で笛を吹くのだからFIFAでの評価は高いのだろう。いつも「目立つ審判」という印象を持っている。
●会場のダラス・スタジアムには巨大なスクリーンが設置されている模様。インファンティーノFIFA会長が映し出された瞬間に、場内から大ブーイングがわき起こったのは痛快だった。インファンティーノは苦笑い。アメリカ代表バログンへのレッドカード猶予事件はまだ終わっていない。
July 15, 2026