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September 2, 2026

「ハウスメイド」(フリーダ・マクファデン)

●気軽に読めるミステリーを一冊紹介。フリーダ・マクファデン著の「ハウスメイド」(高橋知子訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)。なんと、全米200万部突破の大ベストセラー。シリーズの続刊も好調らしく、あまりに評判が良いので、まずは第1冊を読んでみた。主人公は10年も刑務所に服役した女性。仕事も住む場所もなく、車のなかで寝起きする窮状にあったが、運よく豪邸に住み込みで働くハウスメイドの仕事を手に入れる。だが、この一家はなにかおかしい。旦那は最高にハンサムで優しいのだが、雇ってくれた奥さんは要求が支離滅裂で意地が悪い。娘は生意気で、異様に扱いづらい。主人公は屋根裏部屋を与えられるが、鍵は外からしか掛けられないことに気づく。
●イヤ~な予感しかしないし、困った出来事が次々と起こるのだが、ミステリーとしての仕掛けはしっかりしていて、ある章を起点として、これまでとはまったく違った光景が見えてくる。意外性があると同時に古典的ともいうべきか。登場人物が少なく、ストーリーが明快で読みやすいのも吉。意外と後味もよい。なので十分におもしろいのだが、200万部も売れたのは、この本がミステリーであると同時にロマンス小説でもあるからだろう。自分はむしろそっちのほうが予期せぬ展開でびっくりした。えっ、そうなっちゃうの、えっ、なんでその人がそうなるわけ?みたいな。しかし、これの性別を逆にした展開は世の中に無数にあるはずで、その点で新たな気づきを得た一冊。
●そういえば、ミステリーで思い出したけど、アガサ・クリスティーが書いたミステリーじゃない小説、「春にして君を離れ」が光文社古典新訳文庫から廣野由美子訳で刊行されている。自分は旧訳でしか読んでないけど、これは打ちのめされるような傑作。クリスティーはミステリーを書かなかったとしても偉大な作家になったんじゃないだろうか。これ、ただの嫌なオバサンの話じゃなくて、ワタシやあなたについての小説だと思う。新訳で読み直してもいいかもしれない。

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