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October 21, 2026

オッリ・ムストネン指揮新日フィルのムストネン、ベートーヴェン、メンデルスゾーン

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●18日はサントリーホールでオッリ・ムストネン指揮新日フィル。プログラムはムストネンの「トリプティーク」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」(弾き振り)、メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。ムストネンは上着なしの黒シャツで登場。まずは自作曲を指揮。「トリプティーク」は弦楽合奏のための作品で、短い3楽章構成。意外と穏当な作風というか、古すぎず新しすぎず、聴衆に受け入れやすい曲。彼のピアニストとしての芸風のほうがはるかにラディカル。続くベートーヴェン「皇帝」では譜面を置いて演奏。ピアノは蓋なしだが、少し斜めに角度をつけて配置。ムストネン特有のレガートを拒む点描みたいなタッチは健在で、楔を打ち込むような強烈なアクセントが楽曲にごつごつとした手触りをもたらす。高々と上げた腕を振り落として、ミスタッチも辞さない。異形の「皇帝」だが、進むにつれての白熱ぶりは尋常ではなく、巨大な音楽を作り上げる。数年前、ブロムシュテット&N響と共演したグリーグのピアノ協奏曲を聴いたときは、あまりの独自性にもうついていけないかもと思ったが、この「皇帝」は作品とかみ合って壮絶な名演になった(ただし、拒絶反応を起こす人も多いはず)。アンコールにバッハの「目覚めよと呼ぶ声あり」。
●後半、指揮者としてのムストネンがどんな音楽をするのかと思ったら、なんと、ピアニストとしてのムストネンと同じ路線で、荒ぶるメンデルスゾーン。苛烈な音楽が荒涼たるスコットランドの風景を描き出す。冒頭の木管合奏からずしりと鳴り響き、幻想的というよりは痛切な哀歌。全体に強弱の対比がはっきりし、決然としてパワフル。猛威を振るう自然、過酷な大地、勇猛な戦士たちを連想させる。そういえば、「スコットランド」の第4楽章には、もともとAllegro Guerriero(戦闘的に)という珍しい標語が付けられていたのだった。この日のプログラム、「皇帝」と「スコットランド」が「闘争」という共通テーマで結びつけられていることに気づく。説得力のあるすばらしい演奏だと思ったが、好みが分かれる解釈だったようで、客席の反応は平均的。
●Allegro Guerrieroといえば、以前たまたま気がついたのだが、ブルッフのスコットランド幻想曲の終楽章にも出てくる。当時の欧州人のスコットランドに対する典型的なイメージが反映されているのだろう。勇猛果敢な戦士や荒々しい自然は、ロマン主義者たちにとってグッとくるテーマだったにちがいない。