2002年4月アーカイブ

April 26, 2002

当選したのはポチ

●やれやれ。W杯チケットを巡る狂騒はまだまだ続きそうだ。国内販売分のなかに故人名義で申し込んだものが当選していたとか。死んだおじいちゃんの名前で、とかそういったことなんだろうけど、ワタシゃ全然驚かないし、申込者がずるいとも思わない。真偽は定かじゃないが「犬・猫まで名前を借りて申し込んだら、ポチが当選してしまった」とかいう楽しすぎる話まで聞こえてくる。
●ワタシ的にも全然他人事ではなくて、海外販売分のTSTチケットをゲットしていったんは争奪戦終了と喜んでいたのだが、いろいろとFIFA側が厄介を起こしてくれたおかげでこれをキャンセル(涙)、別の試合を申し込みなおしているのだがいまだ最終的な結果は見えてこない。
●まあ、売る側がムチャすると買う側もムチャするというか。結局、一番問題なのは「チケットを持っていても申込者本人でなければ入場できません」つう建前で、これがあるから必要以上にみんながんばってしまっている気がする。転売を防ぐために他人に譲渡させないというのなら、せめて定価マイナス手数料で譲渡するような仕組みを主催者側が作ってくれればみんな納得すると思うんだが。
●先日ここで紹介したサイモン・クーパーの新刊「ワールドカップ・メランコリー」に、「フランスW杯のチケットが入手困難なのは、W杯の人気が高いからではない。単に販売方法が拙いだけだ」といったような趣旨のことが書かれていたのが可笑しかった。(04/26)

April 21, 2002

大宮の楽園を訪れた

●圧倒的な体験であった。序盤の天王山ともいうべきジュビロvsマリノス戦の中継があったにもかかわらず、ワタシゃこれを無視して「本物のサッカー」を観にいったのだ。どこへなにを観に行ったか?
●なんと、はるばる大宮公園サッカー場へ出向き、大宮アルディージャvsセレッソ大阪を観戦したのだ。すなわちJ2。J2慣れしている方にとっては「なにを今さら」だろうが、ワタシにとっては生まれてはじめての2部リーグ。現在、東京には2部のチームがないので、近郊で、しかもどうせみるなら日韓代表3人が揃うセレッソ戦を、というわけ。
●スタジアムが近づいてもユニ姿がほとんど見られなかったが、しかし競技場は8000人超、満員に近い。熱い応援が繰り広げられているというわけでもなくて、むしろ地元の人たちのピクニック場のような雰囲気。そして、驚くほど客席からピッチが近い。もうホントに目の前で西澤やら森島がボールを蹴っている。ボールを蹴る音、選手同士でかけあう声、全部聞こえる。ボールが客席に飛んでくることもある。視線の高さもピッチ上とそう変わらない。気分としてはプロサッカーを観に来たというより、友達が出ている試合の応援に来たといったところ。
●アルディージャはなかなかしっかりとしたマネージメントがされているようで、来場者全員にチームカラーのサポート・シートを配ってくれる。これを頭の上に掲げればスタンドが大宮色で染まるわけだ。しかし! ピクニック客たちはもっと正しい用途にこれを使う。みなさん、ことごとくこの紙を尻の下に敷いているわけっす(笑)。ベンチシートだから、そうなるよな。
●ハーフタイムにピッチ上のゴミを拾うオバチャン登場、しかしスタンドに顔見知りを見つけ、ピッチからいきなり世間話開始! うーん、牧歌的。いい雰囲気じゃないっすか。
●大宮はホントいい競技場っす。もうこれがホンモノのサッカー、地域のクラブ。横浜国際とかでやってるのは紛い物とまでは言わないにしても、スタジアムで聴くオペラ・アリアみたいなものだよな。伝わる情報量が数倍違う。
●試合は大宮が守って0-0のドロー。一つわかったこと。西澤のポストプレイは、相手がフランス代表でも大宮アルディージャでもほぼ同じ成功率だな(笑)。つうか、フランス代表からゴールを奪った男がこんなところにいていいのか。
●サッカー的知見をこれほど新たにしてくれた体験は最近なかった。こうなったら次は3部リーグを観るしか。横河電機か佐川急便東京あたりがねらい目。(04/21)

April 18, 2002

ニッポン代表vsコスタリカ代表

●ニッポン代表vsコスタリカ代表戦@横浜国際、久しぶりの代表生観戦。入場者数6万超でほぼ満員。W杯の予行演習モードも込みで混雑ぶりも体験。このスタジアムは都市部にあるので交通機関的には問題が少ない。なので、ほかよりはマシだろうとは思うものの、やはりこれだけの人間が一ヶ所に集まるとフツーの試合とは違ってくる。ぐったり。まあ試合内容が悲しかったせいもかなりあるが。
●ニッポンは国内組のみ。GK:楢崎-DF:松田、宮本、中田コ-MF:明神、戸田、左にアレックス、右に市川、トップ下に小笠原-FW:柳沢、鈴木タカ。序盤からコスタリカに押し込まれる展開で、特に7番のフォンセカ、15番の右アウトサイドの選手に日本の左サイドをなんども破られていた。コスタリカは技術が高く、守備は組織的にプレスをかけてくるスタイル。日本の前線でだれもボールをキープできず、アレックスの個人技による突破以外からはほとんどチャンスが生まれない。前半のうちに、精彩を欠いた小笠原を森島に、楔のパスを受けさせるために柳沢を西澤に交代。
●後半からは市川を下げ、中央に福西、右に明神という中盤構成に。エリア内の中田コのファールでPKを与えてしまったが、大ブーイングのせいもあってか、キッカーのコースが甘く楢崎がセーブ。前半よりは好機も作れていたが、なんどかあったチャンスに鈴木が決められない。内容では負けていたものの、70分に明神が右からあげたクロスボールが、なぜかゴールに入ってしまう。反対側のサイドでよく見えなかったが、ミスキックでアウトに回転がかかりゴールになってしまったというあまり喜べない得点で、「このまま1-0で勝ってしまうのは納得いかない」と思っていたら、77分にフォンセカに代わって入っていた9番(パークス)に簡単にラインの裏を取られ、同点に追いつかれる。
●内容の乏しさに場内からは「俊輔コール」。トルシエは終盤に服部、波戸、俊輔、久保を投入するがあまりに時間がない。服部と俊輔がどうやって同時にピッチに立っていたかというと、4バックの左に服部(右に波戸)、中盤の左に俊輔という構成。奇妙なことに、俊輔はピッチに入っても勝手に(?)中央、さらには右サイドと自由にポジションをとり、一時は左サイドに鈴木が入っているかのような不思議な布陣になっていた。トルシエを無視したのか?>俊輔。ま、さすがにしばらくしたら左サイドにもどっていったが。
●結局、運も味方しての1-1。残念ながら、最近の代表の試合ではもっとも内容の悪い試合になってしまった。コスタリカがいいチームだったことも確かではあるが……。(04/18)

April 11, 2002

ワールドカップ・メランコリー

●サイモン・クーパーの新刊「ワールドカップ・メランコリー」(広済堂出版)を読んだ。サイモン・クーパーは以前この欄でもご紹介した「サッカーの敵」の著者。「サッカーの敵」は近年のサッカー本のなかでもっともおもしろかった本である。で、この「ワールドカップ・メランコリー」、版元は違うものの内容的には「サッカーの敵」落穂拾い編といったところだ。「サッカーの敵」の後に読んでもよし、前に読んでもよし。クーパー流のウィットに富んだ記事がまとめられており、「サッカーの敵」同様、シリアス一辺倒にならず愛情と皮肉を込めて語られているところが吉。
●日本版向けのオリジナル記事として、オランダの小野伸二について書いた章が冒頭に置かれている。この章は単なる日本人向けのリップサービスではない。オランダの国内リーグがどういうものか、フェイエノールトっていうクラブがその中でどう例外的なのか、ちゃんと教えてくれる(たとえばこう。「オランダではまともにボールを蹴ることができる23歳以上の選手はみな外国のリーグへ移籍してしまっている」。その例外がフェイエノールト)。
●著者はイギリス人だが、オランダに10年ほど住んだ経験を持っており、クライフ的な美学に基づいた(つまり非イングランド的な)サッカー観への理解も深い。だから最終章のオランダ・フットボールについての章が一番切なくておもしろかった。全然本筋とは関係ないんだけど、クライフの息子、ジョルディについて散々言われていたジョークってのもおかしかった。「彼はフットボールのテクニックをその母親から受け継いだ」。クライフの名がなければ単にいい選手と呼んでもらただろうに。バルセロナにいたころはかわいそうだったよな→ジョルディ・クライフ。(04/11)

April 4, 2002

今年の阪神はすごくフツーだ

●阪神タイガースはスゴい。「46年ぶりの開幕4連勝」というのも大変なものだが、実は一番スゴいと思うのはちょっと遡って「23年ぶりの開幕2連勝」の時点だ。これ、誤植じゃないかとわが目を疑ったんだけど、複数のソースでそう書いてあるから真実なんだろう。
●仮に毎年勝率4割ジャストしかなかったとしても(=万年最下位の超弱小球団だったとしても)、開幕2連勝する確率は0.4^2=0.16。6~7年に一度は開幕2連勝くらいできそうなもんである。しかも実際には阪神の23年間の平均勝率は0.4よりもずっと高いはずではないか。それなのに、開幕2連勝は23年ぶりだという。
●つまり、スゴいのは過去22年間の阪神タイガースであって、今年はフツーの球団になったのだ。(04/04)

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