July 1, 2009

ラフマニノフの「鐘」

●フィギュアスケートの浅田真央が、今季のフリーの演技にラフマニノフの「鐘」を使用。と、ニュースで聞いて「えっ、それってどの曲だっけ?」と戸惑ったのはワタシだけじゃないと思う。
●この「鐘」っていうのは、有名な前奏曲嬰ハ短調Op.3-2のことなんだそうだ。この曲、ワタシはそう認識してなかったんだけど、最近は「鐘」っていう愛称が付くことが多いっぽい。初期の作品ながら作曲者本人がリサイタルで好んで弾いた(弾かされた)人気曲で、曲名でピンと来なくても聴けば「ああ、あれか」とわかるタイプの曲。古い録音だが、ラフマニノフ本人の演奏も残っている(このCDの16トラック目。amazonで試聴しようとすると「バッハ=ラフマニノフ編」と本来次のトラックに付くべき文言が誤ってくっついていて紛らわしい)。このディスクでも「鐘」なんてタイトルは付いていないんだが、「前奏曲嬰ハ短調」じゃフツーの人はなかなか興味を持ってくれないので、この手の愛称は歓迎する派。音楽の内容にも即してるし、これからはワタシも「鐘」って呼ぼう……いやどうかな。
●ラフマニノフは「鐘」がやたら出てくる。そもそも「鐘」っていう作品が別にある。管弦楽、合唱、独唱のための「鐘」作品35。フィギュアスケートのファンがまちがってこっちのほうを買ったりしないか心配だ。ていうかまちがってもそれはそれで悪くないか。ピアノ協奏曲第2番の冒頭も「鐘」の音だ。ロシア正教の「鐘」なんか聞いたことがなくても、「鐘」って伝わる。無伴奏の合唱曲「晩祷」からもところどころ鐘のような響きが聞こえてくる。鐘の音を慕うのは、少年時代への郷愁からか、あるいはロシア人としてのアイデンティティの表明なのか。

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