December 8, 2009

ヘンデル「リナルド」@BCJ

ヘンデル、ヘンデル、ヘーンデル!●東京オペラシティで鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのヘンデル「リナルド」(演奏会形式、12月6日)。これは楽しかった。「リナルド」というと、えーと、あのアリアが突出して有名じゃないっすか。あれ、なんて言ったっけ、いきなり度忘れしたぞ、「流れよわが涙」じゃなくて、うーん、あっ、そうだ、「私を泣かせてください」だ。でもそれ以外は冗長なんじゃないかと心配してたら、ぜんぜんそうじゃなくて、むしろサービス満点で愉快。
●物語に文学的な味わいなんかないんすよ、道徳的なお話で。その代わりに劇場に来た人を退屈させないためのさまざまなギミックにあふれている。ビシャーン!って雷鳴が轟いたり、嵐が吹いたり、小鳥がさえずったり、魔女が出てきたり、変身があったり、バトルシーン(バッタリア)があったり……。小鳥のさえずりは初演時には本物の鳥を放ったそうなんだけど、それって山っ気たっぷりの見世物小屋的なセンスっすよね。こういうのが18世紀初頭のロンドンにはあったわけだ。このセンスを20世紀に継承したのは主に映画とかテレビなのかも。愉快であるがゆえに客席で笑う瞬間っていいな~。
●先日Twitterでもつぶやいたけど、ヘンデルのオラトリオ「時と悟りの勝利」を聴いていたら、途中でおなじみ「私を泣かせてください」が流れてきたんすよ。調べてみると「時と悟りの勝利」のほうがオリジナルで、ヘンデルは「リナルド」にこの曲を流用したと。というか「リナルド」は流用だらけ。ハノーファーからロンドンに初めて渡ったヘンデルは、当地での最初のオペラとしてわずか2週間でこの曲を書いた。短期間に絶対に成功するオペラを書かなければならない、となれば、旧作から自信作を何曲か借りてくるのもわかるし、初めてのお客さんにもウケのよいわかりやすい仕掛けを施すのも納得。ヘンデルの(そして興行主の)サービス精神の豊かさ、聴衆へのフレンドリーさがすばらしい。
●魔女ってよく出てくるじゃないですか、ヘンデル。ヘンデルだけじゃなくて去年聴いたハイドンの「騎士オルランド」にも魔女アルチーナがいた。みんな魔女が大好き。彼女たちの子孫が「魔笛」の「夜の女王」なのか。あと変装で登場人物が入れ替わるネタも大好きっすよね、数百年にわたって。
●魔女アルミーダを歌ったのはレイチェル・ニコルズ。パワフルでなんか厚かましい魔女感ありでステキ。2幕で「私を泣かせてください」を歌うお姫様役は森麻季。アリアの後に盛大な拍手。というか2幕が終わった時点で、まるで終演したかのような熱烈な拍手があって、お客さんの喜びっぷりもマックス。

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