March 17, 2010

「人生のちょっとした煩い」(グレイス・ペイリー著)

「人生のちょっとした煩い」●なぜかわからないのだが、Amazonがワタシにこの本を薦めてきた。「人生のちょっとした煩い」(グレイス・ペイリー著/村上春樹訳/文春文庫)。えっ、グレイス・ペイリー? 読んでないなあ。村上春樹にもあまり親しんでないんだけど。でもなにか気になって、あえてAmazonに言われるがままに買ってみた。すると、悔しいことに、これがおもしろかったんである。
●グレイス・ペイリーは1922年ニューヨーク生まれのロシア系ユダヤ人作家。1959年の本なので時代背景をある程度意識しておく必要があるが、それにしても古びていない。新鮮だけど普遍的。描かれるのは、おおむねタフな女性とどうしようもない男性。辛辣さと独特のユーモアが一体になっていて、特に男の描かれ方っていうのが、女性作家じゃなきゃ書かないだろうっていう身悶えしそうな真実だらけ。今がよければそれでいいみたいな単純な生き物っぷりとか。短篇集なんだけど一作ずつゆっくり付き合ったら(読み飛ばすには密度が濃くて味わい深すぎる)、読み終えるまでにずいぶん時間がかかってしまった。
●お気に入りを3篇挙げるなら、「コンテスト」「変更することのできない直径」「そこに浮かぶ真実」、それと「人生への関心」も外せない。あ、これじゃ4篇か。まあいいか。「人生への関心」は、ある年のクリスマスに夫が奥さんに箒をプレゼントするところからはじまるんすよ。素敵なちり取りとセットになってるヤツ(笑)。やれやれ、降参。

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