August 16, 2010

「音楽の仕事」探訪 Vol.1 日本フィル 企画制作部 和田大資さん

●新シリーズ(になるかもしれない)「音楽の仕事」探訪 。クラシック音楽業界で働く元気な人々に、「仕事」について語っていただこうというミニコーナーです。はたらくおじさん、はたらくおばさん、お兄さん、お姉さん、こんにちは。第一回は日本フィルハーモニー交響楽団の企画制作部長、和田大資(わだ たいすけ)さんにご登場いただきます。

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――和田さん、本日はよろしくお願いいたします。写真では首席指揮者のラザレフさんといっしょに写っていますね。

和田「これは今年の6月にラザレフが香港フィルを振ったときの写真です。マエストロ・ラザレフからはいつも教えてもらうことがたくさんあります」

――今のお仕事は何年目ですか。前職はどんなことをされていたのでしょう。

和田「5年目です。年は32歳、今年でちょうど社会人10年目の節目を迎えます。前職は、伊勢丹で百貨店マンをしていました」

――百貨店業界のご出身でしたか! クラシック音楽業界にはいろんなご出身の方がいらっしゃいますけど、デパートは珍しいですねー。もともと音楽はお好きだったかと思いますが、今の職場を選んだ理由は?

和田「音楽がひとを幸せにする力とファッションがひとを幸せにする力、どちらも魅力的、でも、自分自身、どちらにより共感できるかなぁ?と考えた結果です」

――おお。さすが、両業界への気遣いが感じられるお返事(笑)。音楽関係でもメディア方面だと割りとデレッとフリーダムな感じの方も多いんですが、和田さんはいつもきちんとしてらっしゃいますよね。あ、でもオケの事務局の方はみなさんそうかも。日本フィルは総勢何名がいらっしゃるんですか?

和田「楽団員が89名、事務局に約30名のスタッフがいます」

――すごい、大企業だ! いや、財団法人だから企業とは言わないんでしたっけ。オケってプレーヤー以外にもたくさんの方が必要なんですよね。普通の会社と同じで営業や経理や総務とかもあって。和田さんはどんなお仕事をしてるんですか?

和田「長期中期短期で、オーケストラの歩む道を考える仕事です。オーケストラのイメージをあげ、顧客起点でファンを増やしたいです。具体的には、いつ、どこで、誰と、何を演奏するのか? コンサートの企画制作をしています」

――この仕事をやってて良かったことはなんですか。もしかして音楽業界だとモテたりしますか。

和田「毎日がすばらしい出会いにあふれていることですね。そして、そこから気づきといっぱいのエネルギーを与えていただけること。でも特にモテません……(笑)」

――毎日がすばらしい出会い……なんだかカッコよくてまぶしいです。逆にこの仕事の辛いところとか、難しいところは?

和田「組織は人。小さい組織なので、個の力の与える影響が大きい。だからこそ、己の力不足を痛感します。この仕事には無限の可能性があると思っています。オンリーワンもナンバーワンも目指すことができる。自分にもっと教養とアイデアがあれば、もっと行動力があれば、もっと語学力があれば(笑)、と思う場面が多いです。日々、感謝と努力です」

――そうなんですか。和田さん、謙虚ですよね。仕事の中で学んだことを、なにか一つだけ教えてください!

和田「 I ではなく、We で話す。つまり、己にとらわれすぎないこと。マネジメント組織における個についての思いは先に述べましたが、自分にこだわりすぎず、もっと大きな視野をもつというか、大きな存在(それは音楽であり、オーケストラであり)を感じながら仕事に取り組むということでしょうか。うまく説明できてますか…?(笑)」

――うーん、深いことをおっしゃいますね~。わかるような気もしますが、ホントにわかったのかと問われると自信がない。自分にこだわりすぎないというのはスゴく共感できます。この仕事に就いてみて、意外だったことはなにかありますか?

和田「そうですね、特にモテないこと……。音楽業界って、なんだかモテそうな感じがしますもんね(笑)」

――つまり、モテたい、と(笑)。なにか将来の野望はありますか? 業界のドンになるとか、世界征服とか?

和田「日本一のオーケストラマンになって、『情熱大陸』に出る。次世代の若者たちのモチベーションとなりたいです」

――げげ、なんというピンポイントかつ具体的な野望。でも日本一って公言できるのってステキです。『情熱大陸』観てないんですけど、和田さんが出演したら録画します! では最後に、いま和田さんがかかわっている仕事で、いちばん力を入れてる公演を教えてください。

和田「8月29日(日)に東京芸術劇場で開催される『シンフォニック・エンタテインメントVol.2』ですね。 作曲家の渡辺俊幸さんをプロデューサーにお迎えし、大人のためのゴージャスなエンタメを作ろう!と生まれた企画です。日本フィル・ポップスとして、お客様に育てていただきたいコンサートです。今回は、ゲストに矢野顕子さんをお迎えし、シンフォニックサウンドとのコラボをお楽しみいただきます」

――えっ、矢野顕子さんがオケの伴奏で歌うんですか。

和田「実は俊幸さんと矢野顕子さんは高校の同級生なんだそうです。二人のトークも必見です。あと俊幸さんならではのアレンジコーナーもおもしろいですよ!」

――では和田さん渾身の企画『シンフォニック・エンタテインメントVol.2』については以下にリンクを張っておきます。ぜひみなさんご来場ください。和田さん、本日はありがとうございました。

和田「はい、ありがとうございました。あ、9月にはわれらがマエストロ・ラザレフが来日しますのでそちらもよろしく! ラザレフ&日本フィル、自信あります!」

シンフォニック・エンタテインメントVol.2
8月29日(日) 午後2時 東京芸術劇場
[チケットぴあ]

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