ドミノ・ピザ
April 22, 2013

さいたまでユジャ・ワン

ユジャ・ワン Fantasia●話題のユジャ・ワンを彩の国さいたま芸術劇場で(20日)。強烈。ほとんどアスリート的な瞬発力というか敏捷性があるんだけど、曲芸的なつまらなさはまったく感じさせない。クールでカッコいいんすよ、ラフマニノフとかを弾いても。16日から6連戦の5日目だけど、とてもそうは思えないほどの集中力で、ドキッとするような衣装から、アルバム「ファンタジア」収録曲から構成されるアンコールまで、すべてにおいてプロフェッショナル。
●身体にぴったりそった黒のワンショルダー超ミニワンピ超ハイヒールというテンションの高い衣装で登場(この日は「お色直し」はなかった)。昨年、サンフランシスコ交響楽団と共演したときにも思ったけど、両手をだらりと下げながら歩き、左右非対称なフォームで深くスピーディにお辞儀するというユジャ・スタイルが激しくカッコかわいい。ああ、スターだなあ、と。
●曲目は前半にスクリャービンのピアノ・ソナタ第2番「幻想ソナタ」と第6番、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」、休憩後にローウェル・リーバーマンの「ガーゴイル」、ラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番(1931年改訂版)。サンフランシスコ響のときは予定されていたショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番がラフマニノフの「パガニーニ・ラプソディ」に変更されて少し落胆したんだけど、これで溜飲が下がった。もう「ラ・ヴァルス」なんてあまりの鮮烈さに笑ってしまう。でも剛腕ピアニストの押し一辺倒の超絶技巧ではなくて、綿密に設計されたデュナーミクにもとづいてクライマックスへと突き進むといった印象。後半のラフマニノフも華麗さや甘美さというこの作曲家についてまわるイメージから解放された凛々しいラフマニノフ。この終楽章って、前半の終わりの「ラ・ヴァルス」と呼応しているんすよね。似てるもの。ラフマニノフは1931年改訂版だけど初稿は1913年、ラヴェルのほうは1919~20年作曲。ラヴェルはこの曲を知っていたんだろうか?
●アンコールにラフマニノフのエレジーop3-1、シューベルト~リスト編「糸をつむぐグレートヒェン」、ビゼー~ホロヴィッツ編「カルメンの主題による変奏曲」(痛快)、ショパンのワルツ第7番嬰ハ短調。客席爆発、スタンディングオベーション多数。サイン会の長蛇の列が地平線まで続いていた(←それはウソ)。プロコフィエフのトッカータがアンコールになかったことが心残りではあるけど、これだけ聴ければ満足するしか。
●ユジャ・ワンは6月にもまた来日する。デュトワ&ロイヤル・フィル来日公演でショパンのピアノ協奏曲第1番。ショパンとはっ。

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