December 12, 2014

パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツカンマーフィルの「ブラームス・シンフォニック・クロノロジー」

●毎年12月上旬はものすごくコンサートが立てこむような気がする。そして下旬はぐっと落ち着く。心のなかでこれを「逆第九現象」(仮説)と名付けている。
●で、12月の目玉公演、東京オペラシティでのパーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツカンマーフィルの「ブラームス・シンフォニック・クロノロジー」。4公演にわたってブラームスの交響曲4曲+協奏曲4曲他を一挙に演奏。その初日(10日)と二日目(11日)へ。初日はピアノ協奏曲第1番(ラルス・フォークト)、交響曲第1番、二日目は「ハイドンの主題による変奏曲」、ヴァイオリン協奏曲(クリスティアン・テツラフ)、交響曲第2番。いずれも刺激的で鮮度の非常に高いブラームスだったが、特にインパクトがあったのは交響曲第1番。クリシェを排して再構築したら、生き生きとして、楽しげなブラームス像が浮かび上がってきたというか。極限まで精妙さや均質さを追求して響きの芸術を作りあげるスーパー・オーケストラたちとは、まったく逆の方向性で突きつめられたアンサンブルで、才気煥発とした個々のプレーヤーの集合体としての室内オーケストラという印象。あとテツラフの暴れっぷりが強烈。潤いレスで、切迫感あふれる崖っぷちのブラームス。
●両日ともアンコール2曲、一般参賀あり。会場の反応も鋭敏。中一日の休みを置いて、土日に後半が続くんだけど、ワタシは都合によりこの二日間のみ。大長編を前編だけで止めてしまうような悔しさもあるが、それでも十分にエキサイティングな体験だった。あとは、任せた……ぐふっ。

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