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May 18, 2017

「中世騎士物語」(ブルフィンチ/岩波文庫)その2 ~ リア王

一昨日のエントリーでもうひとつの「トリスタンとイゾルデ」について紹介したブルフィンチの「中世騎士物語」(岩波文庫)であるが、この本の中には「リア」の物語も出てくる。そう、シェイクスピアが「リア王」として書いた、あのリア。ブルフィンチはミルトンの「歴史」からこの物語を引いてきたそうで、同じ話をシェイクスピアはいくつか物語や登場人物名を変えて悲劇「リア王」に仕立てたという。えっと、それってみんな知ってること? ワタシは知らなかった……。
●シェイクスピア作品では King Lear だけど、この本で登場するのはリア Leir。リア王には男児がなく、娘が3人いた。国を娘に譲ろうと決心し、3人の娘でだれがいちばん自分を愛しているかを計ろうとした。長女と次女はだれよりも父を大切に思っていると語った。しかし末娘は口先だけで情愛の深さを表現することをよしとしなかったため、父王の怒りを買ってフランスに追放される。ふたりの姉の結婚後、リアが100名の騎士とともに長女のもとに移り住むと、「100名の騎士は多すぎて困る」とこれを30名に減らされる。次に次女のもとに赴くと「5人以上の騎士を養うことはできない」と言われてしまう。そして、ふたたび長女のもとに戻ると、今度はただひとりの召使しか許されなかった。哀れなリアは懺悔をしようとフランスの末娘を訪ねる。末娘は落ちぶれた父の姿に涙し、その身分にふさわしい歓待を尽くした。末娘は兵を率いて姉たちの領土に攻め入って降伏させ、ふたたび父を王位につかせた。3年間のリア王の統治の後、末娘が王位を継いで5年間統治するが、姉たちの息子らが謀反を起こして命と王位を失う。
●基本設定はシェイクスピアと同じだが、途中からがずいぶん違う。ここにはリア王の発狂がないし、リア王は復位にも成功してしてる。リア王、がんばった。リア王にしてリア充。ウェーイ。逆に言えばこの話から、あの「リア王」を生み出したシェイクスピアがすごいとも言えるのか。
●昔、「キング・イズ・アライヴ」(クリスチャン・レヴリング監督)っていう映画を見たとき、男女が砂漠の真ん中で遭難して、ただ狂気と孤独のなかで「リア王」を演じようとするというぶっ飛んだ展開に戦慄したっけ。どんだけ「リア王」好きなの、西洋人は。つくづくヴェルディが「リア王」をオペラ化しなかったのが残念。(→その3へ)

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