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September 19, 2018

「ロンドン・デイズ」(鴻上尚史著/小学館文庫)

●先日、amazonに勧められるままに買った「ロンドン・デイズ」(鴻上尚史著/小学館文庫)がおもしろすぎて、つい寝る前に一気読みしてしまった。当時39歳の鴻上尚史がロンドンに演劇留学を果たした一年間について綴った一冊。文庫になったのは今年だが、中身は1997年の出来事。すでに日本で演出家として実績十分の著者が、あえてイギリス流の演劇教育を受けようとギルドホール音楽・演劇学校に留学する。そう、よく音楽家のプロフィールで目にするあのギルドホールではないの。この学校を演劇側の留学生の立場から記述した本を読めるとは。最初の登校日のところで「ほとんどは音楽の生徒らしい。ギルドホール音楽・演劇学校は、圧倒的に音楽の生徒が多いのだ」と書いてあって、そうんなだと軽い驚き。
●著者の体当たり的な悪戦苦闘ぶりが描かれているのだが、苦労の大半は「英語が聞き取れない」ことに起因している(しかもその英語が、出身地や出身階級によって激しく違っている)。先生の話がなにを言ってるのかさっぱりわからないんだけど、紙に書かれた指示は理解できるから「ああ、みんな、日常も筆談してくんないかと思う」(あるある)。高度に抽象的な概念を意味する単語は知ってるのに、子供でもわかるような簡単な単語の組み合わせによる日常的な表現がわからない。そんな外国語学習者にありがちな状況が、どうしても英語を母語としている人にはピンと来てもらえなかったというのもよくわかる話。
●いちばんおもしろいのはギルドホールで出会った同級生や先生たちの描写で、それぞれの強烈なパーソナリティが生き生きと伝わってくる。ときには友達同士、ときには役者と演出家の視点で描かれるのが興味深い。

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