News: 2012年1月アーカイブ

January 27, 2012

来月のレイチェル・ポッジャー「トリフォニーホール・バッハ・フェスティバル2012」

ポッジャー・フェス●2月18日と19日の週末は、レイチェル・ポッジャー「トリフォニーホール・バッハ・フェスティバル2012」が開かれる。これ、普通のコンサートかと思ってチラシを見たら、2日で7公演もあるんすよね。初日は11:00開演から18:30開演までの4公演、二日目は11:00開演から15:30開演までの3公演。もちろんポッジャー一人で全部弾くわけではなくて、ポッジャーのヴァイオリン・ソロ(+α)、チェンバロのディエゴ・アレスの「ゴルトベルク変奏曲」、ポッジャー+ブレコン・バロックのコンチェルトといろんなパターンがあっての7公演。
●両日とも最後の公演がコンチェルト。曲目はそれぞれ違う。二日目のほうがテレマンが一曲入っていて楽しそうだが、初日の演目も捨てがたい……。ディエゴ・アレスの「ゴルトベルク変奏曲」のみが両日共通プロ。ポッジャーのソロは全部聴けば無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータをコンプリート可。うーん、これはパズルみたいだぞ。両日通すなら悩みはないが、片方だけ行くとすると、どちらのどの公演を選ぶのがベストか……。
●その週末はほかにもたくさんの公演があるから(N響、新国、二期会、イザベル・ファウスト等々)、なんなら別のホールの公演と組み合わせてハシゴするという手もあるわけだ。勝手音楽祭、みたいな。

January 26, 2012

上岡敏之指揮読響のモーツァルト&マーラー

●昨晩は上岡敏之指揮読響定期へ(サントリーホール、25日)。モーツァルトの交響曲第34番ハ長調とマーラーの交響曲第4番(キルステン・ブランク独唱)。大らかでロマンティックなモーツァルト。指揮は踊るよう。左手で背後のバーをつかんで右手の指揮棒を第一ヴァイオリンに向かって差し出すと、片足がぴょこんと上がる。近くに座っていたおばさまが「あら、おっほっほっほっ」と小声で笑った。いいじゃないすか。
●後半のマーラーは期待通りの?上岡節が炸裂。自在に動くテンポ、頻出するポルタメント、ピアニシモの強調。ほかの誰からも聴けない独自のマーラー。おもしろい。第3楽章の終わり、ゆっくりゆっくり静かに終わって、すぐに第4楽章に入らずに普通の楽章間のように間を置いた。
●現在のスタンダードからはかなり距離があるから「変わっている」と感じるが、マーラー当人がメンゲルベルクによる指揮を高く買っていたのだとすると、なにがオーセンティックでなにが異端なのかはわからない。
●テレビ入っていたので、いずれ日テレで放送するかと。
●マーラーの第4番。真摯で美しい曲だけど、グロテスクで怖い曲でもある。第1楽章冒頭の鈴は「かわいい」じゃなくて、「怖い」。R・シュトラウスは「なんちて」が付く作曲家だけど、マーラーは常に「マジ」。マジな人のユーモアは怖い。R・シュトラウスだったら「ティル」でも「ドン・ファン」でも最初の数小節で愉快な気分になり「ワッハハハハハ」と笑える。「死と変容」みたいにマジメくさっても「ふふふ」と笑える。マーラーが笑うと怖い。泣いたりわめいたりしてくれているほうが安心できるタイプ。

January 20, 2012

今週足を運んだコンサートから

●昨日19日(金)はスラットキン指揮N響へ(サントリーホール)。ジャン=ギアン・ケラスがルトスワフスキのチェロ協奏曲を弾いてくれた。この日のプログラムはすばらしい。ロッシーニの「どろぼうかささぎ」序曲、ルトスワフスキのチェロ協奏曲、ショスタコーヴィチの交響曲第10番。一見、ロッシーニだけが作品的に浮いているようにも見えるが、「どろぼうかささぎ」が「小間使いが盗みの濡れ衣を着せられて死刑宣告を受けるが救われる」という権力者による抑圧を描いた作品とすれば、政治的色彩の濃いルトスワフスキ作品、スターリンの死去の後に久々に発表されたショスタコーヴィチの交響曲へときれいに流れは通っている。冒頭両サイドに配置された小太鼓は死刑執行の合図なんだろうから(←といいつつこのオペラは見たことないんだけど)。
●ケラスは先日のアルカント・クァルテットのときに続いて、アンコールで「どうもありがとうございます」と日本語で甲高く発声して、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番のサラバンドを弾いてくれた。
●こういったプログラムだと、客席は熱狂的に喜ぶ人とそうでない人に分かれやすい。盛大なブラボーにはこのプログラムを組んでくれたことへの感謝の意が込められていたと思う。
●17日(火)はオペラシティの〈コンポージアム2011〉サルヴァトーレ・シャリーノの音楽。2011というのは本来昨年に予定されていたのが、地震で延期されたから。シャリーノの「オーケストラのための子守歌」、フルートとオーケストラのための「声による夜の書」、「電話の考古学─13楽器のためのコンチェルタンテ」、「海の音調への練習曲─カウンターテナー、フルート四重奏、サクソフォン四重奏、パーカッション、100本のフルート、100本のサクソフォンによる」が演奏された。客層がスゴく若い。大半が自分より若いので、普段のクラシックのコンサートと雰囲気がまったく異なる。既存の楽器から想像外の響きが次々と聞こえてくるバラエティ企画。たとえば「寝息」とか「電話の着信音」とか。最後の曲は本当に100人ずつはいなかったとは思うが、舞台が大量のフルート奏者とサクソフォン奏者で埋め尽くされるのは壮観だった。彼らのキーノイズでザーッと「雨」が降る。畏れつつ、へんなりと笑う。

January 17, 2012

上岡敏之指揮読響、アルカント・クァルテット

●16日(月)は上岡敏之指揮読響のR・シュトラウス・プロ(オペラシティ)。「死と変容」、四つの最後の歌(アンナ=カタリーナ・ベーンケ)、「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」という演目で楽しみにしていたのだが、期待通りのすばらしさ。「ティル」や「ドン・ファン」の豪快さに胸がすく。個人的に鳥肌度の高いのは「死と変容」。
●前にシュトラウスは「なんちて」が付くっていう話をしたけど、「死と変容」もまさに「死と変容、なんちて」なんすよね。死に瀕して抗いながらも打ち破れ、肉体は朽ちるが魂は天界にて浄化される、なんていう深遠なテーマをエンタテインメント性の豊かな管弦楽作品に仕立てる25歳の若者。いかがわしいものほど真摯さを必要とする(そしてマジメなものほど笑いがほしくなる)。上岡シュトラウスは真摯で饒舌だった。「死と変容」はこうでなくては!(←誰?)
●「死と変容」を「使徒変容」に変換したがるウチの新世紀MS-IME。
●15日(日)はトッパンホールでアルカント・クァルテット。バルトークの弦楽四重奏曲第6番、ハイドンの弦楽四重奏曲ロ短調Op.64-2、ドビュッシーの弦楽四重奏曲。異次元のうまさ。ヴィオラのタベア・ツィンマーマンの存在感がすさまじい。アンティエ・ヴァイトハース第1vn、ダニエル・ゼペック第2vn、ジャン=ギアン・ケラスvcの豪華メンバー。後半がドビュッシーだけでやや短いなと思ったが、アンコールで3曲。クルタークのカプリッチョ、ブラームスの弦楽四重奏曲第3番第3楽章、バッハ「フーガの技法」からコントラプンクトゥス1。アンコールの曲名をケラスが甲高い声の日本語で告げて、軽く萌える。
アルカントのドビュッシー他●そういえばアルカントのドビュッシーは前にCDを買ったきり、ずっと積んだままになっているのだった。聴かねば、聴きたい、聴こう。なぜか得した気分になるという謎。


January 15, 2012

フライブルク・バロック・オーケストラ来日公演

●今回が初来日(!)となるフライブルク・バロック・オーケストラを聴いてきた(11日オペラシティ、14日三鷹市芸術文化センター)。演目はバッハの管弦楽組曲全曲。3番、2番、休憩をはさんで1番、4番と、にぎやかな曲を両端に。2番のみ弦楽器各一名の最小編成。至福のバッハ。弦も管も太鼓もみんな本当にうまい。生気と躍動感に富んでいるけど、ぜんぜん過剰でもアグレッシブでもない。饒舌なバロック・アンサンブルも大好きだが、節度が保たれたバッハももちろん吉、圧倒的に。
●音楽監督はヴァイオリンのゴットフリード・フォン・デア・ゴルツ。体の向き、動き、視線、いろんな手段を使って盛んに意思疎通を図りながらアンサンブルを統率する。こんなにリーダーシップをとってるんだ。でもリーダー以外も演奏中のメンバー間コミュニケーションが多い。顔を見合わせて「ニコッ」とか、まるでおしゃべりしながら演奏してるみたいな感じが伝わってくる。
●フライブルク・バロック・オーケストラって、今までヘンゲルブロック時代の録音をもっぱら聴いてたんすよね。だからヘンゲルブロックの印象が強いんだけど、もうそれってすっかり過去っぽい。だってオフィシャルなプロフィールを見てもヘンゲルブロックの名前が載ってない。公式サイトにもない。まるで黒歴史だったみたいな扱いで、それもなんだか落ち着かないんだけど。

January 13, 2012

ニューヨーク・フィルのマーラー9番携帯電話事件

●11日(水)はオペラシティでフライブルク・バロック・オーケストラ公演へ。この公演についてはまた日を改めて書くつもりだけど、すばらしい演奏会だった。バッハの管弦楽組曲を4曲全部。聴衆の集中度も高くて、熱心な人たちばかりが来てるんだなあという実感があった。でもいつもこんなふうにはいかない。
●火曜夜ニューヨークで開かれたアラン・ギルバート指揮ニューヨーク・フィルのマーラー/交響曲第9番の公演で起きた携帯電話事件が波紋を呼んでいる。よりによってマーラー9番の終楽章終盤で、ケータイの着信音が鳴り出した(iPhoneのマリンバ)。アラン・ギルバートは演奏を止めて客席に向かって着信音を止めるように言ったという。
●その場にいた人たちのブログやTwitterなどをざっと見た限りでは、事態の展開はこんな感じだった模様。着信音は最前列のあたりから鳴り出した。鳴った瞬間はまだオーケストラの音量の大きな部分だったので、すぐに音が止めば被害は最小限で済むと思われた。ところが、着信音が鳴っているのにそのiPhoneの持ち主は音を止めようとしない。延々と鳴り続けた。オーケストラの静かな部分に入ってもまだ鳴っている。その間、2分とも5分とも言われているのだが、これは相当に異様だ。アラン・ギルバートはついに指揮を止めた。そして振り返って客席に向かった。それでも音は止まない。指揮者は「着信音を切るように」と言った。でもまだしばらく鳴り続けている。最前列の音の出所と思われるお客は「自分じゃないよ」といった顔をしている。客席から「出て行け!」「罰金1000ドルだ!」「そいつをつまみ出せ!」と殺気立った声がかかる。その後しばらくして、ついについに着信音が止まった。アラン・ギルバートは客席に向かって「通常ならこのようなことで演奏を止めたりはしないが、今回は異常事態なので止めるしかなかった。申し訳ない」とコメントして大喝采を浴び、楽章の途中から再度演奏した。
●しかしずいぶんこれは不思議な話じゃなかろうか。なぜ持ち主は自分のiPhoneの音を止めない。うっかり音が鳴るのは誰にでもありうることだ(どんなに慎重に注意していても、絶対にミスしない人間などいない)。でも鳴ったら止めればいいじゃないの。アラン・ギルバートに睨まれても、まだシラを切り通して、どうやってピンチを逃れようとしたのか??
●と思っていたら、ノーマン・レブレヒトによれば、事件の主役はiPhoneを買ったばかりの年配男性で、アラーム(着信音ではない)が鳴っているのにそれが自分のiPhoneだとは本当に気づかなかったのだという。それで指揮者に睨まれ、客席から罵声を浴びせられたわけだ。
●自分のiPhoneが鳴っても自分でわからないというのは、どこか悲哀を感じさせるものがある。別に譫妄状態になっているわけでもなく、高齢になればそれくらいのことはありうるだろうなと思うから、自分にも誰にでも。いや、下手をしたら老いていなくてもありうるかも。
●アラン・ギルバート本人は翌日Twitterで「マーラーがマリンバのために作曲しなかった理由がわかった」とつぶやいている。100RT以上をゲット。

※ その後の続報がNYTimes.comに。iPhoneの持ち主は20年来の定期会員とか。
January 11, 2012

映画「ピアノマニア」

ピアノマニア●まもなく公開される映画「ピアノマニア」を一足先に見せていただいた。調律師とピアニストを巡るドキュメンタリー。題材も大変おもしろく、カメラワークも優れていて、見ごたえ大。1月21日~新宿シネマート他、各地で公開。
●主役となるのはスタインウェイ(ハンブルク)の技術主任を務める調律師シュテファン・クニュップファー(いいキャラの持ち主だ)。そして彼とともに理想の音を求めるピアニストたち、ピエール=ロラン・エマール、ラン・ラン、ティル・フェルナー、アルフレート・ブレンデル他が登場する。
●で、このドキュメンタリーの中心となっているのが、調律師シュテファンとエマールが二人三脚でバッハ「フーガの技法」(DG)のレコーディングに挑む部分。早くも録音の1年前からエマールとシュテファンの打ち合わせが始まる(エマールは忙しい)。妥協を知らないエマールは完璧なピアノを求めて、次々とシュテファンにリクエストを出す。「広がる音と密な音の両方」「クラヴィコードのような音、チェンバロのような音、オルガンの音……」。一台のピアノに多様な音色を求める。シュテファンは難題にぶつかりながらも、エマールの要求を少しずつ満たしてゆく。エマールとシュテファンの関係はF1ドライバーとエンジニアの関係を連想させる。
フーガの技法●これ、ゴールは知ってるんすよね、ワタシたちは。エマールが弾いたバッハの「フーガの技法」はすでにCDがリリースされている。エマールはついに最後に求める音に出会って、シュテファンを讃える。「響きが最初から最後まで表情豊かで、しかも控え目だ。私はこの音を夢見てたんだよ」。そう……それがあの録音に入っているわけだ。ところどころクラヴィコードのような音がしたり、オルガンのような音がしたりするだろうか。それともふくよかなモダンピアノの音しか聞こえないだろうか(笑)。
●エマールのフレーズはいいすよね。汎用性高そう。「ん、このラーメンうまい! スープが最初から最後まで表情豊かで、しかも控え目。私はこの味を夢見てたんだよ」とか。

January 5, 2012

東響のUSTREAMライブ配信

●1月7日(土)17時45分~ サントリーホールでの飯森範親指揮東京交響楽団定期演奏会がUSTREAMでライブ配信される。演目はレスピーギの「ローマ三部作」。NIKKEI CHANNELでの配信。これはなかなかの快挙かも。
●で、これが有料なのだ。視聴チケットは525円(税込)。クラシック・ファンにとってUSTREAMでチケットを購入するというハードルが高いのか低いのか微妙なところだと思うが、有料配信自体は歓迎。こういうのは「有料、ただしごく安価」のほうが無料よりうまくいく気がする。今は無料で見たり聴いたりできるすぐれたものがあまりにも多いので、有料じゃないと埋没してしまうというか。「なーんだ、無料なのね」みたいな。
ニコニコ生放送でも配信される。こちらも価格は525ニコニコポイントで、実質的には同じ525円(だと思う)。
●カメラワークも含めて、どれくらいのクォリティなんすかね。興味津々。

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