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December 1, 2025

阪田知樹×ブラームス カーキ・ソロムニシヴィリ指揮 スロヴェニア・フィル

東京芸術劇場の前の広場
●秋の超高密度演奏会週間、締めくくりは28日の東京芸術劇場で阪田知樹の独奏とカーキ・ソロムニシヴィリ指揮スロヴェニア・フィルによるブラームス。プログラムはユーリ・ミヘヴェツの「妖精の子」序曲、ブラームスのピアノ協奏曲第1番、同第2番。一晩でブラームスのピアノ協奏曲を2曲とも弾いてしまうという力技。スゴすぎる。
●スロヴェニア・フィルはリュブリャナを本拠とするオーケストラ。たぶん聴くのは初めて。ローカル色を残した温かみのあるサウンド。最初の「妖精の子」序曲の作曲者ミヘヴェツはスロヴェニアの作曲家なのだとか。ぜんぜん知らなかったけど、古典派スタイルの明快な序曲で、ベートーヴェンからロッシーニくらいの作風。創意に富むとは言いづらいけど、気持ちのよい曲ではある。
●ブラームスのピアノ協奏曲、第1番と第2番、両方並べるならどちらがメインプログラムになるんだろう。素直に考えれば、より成熟した、人気も高い第2番が後か。でも作品世界の広大さ、激烈な感情表現ということでは第1番が後に来てもおかしくない気がする。どちらが好きかと言われたら、どっちも大好きだけど、心揺さぶるのは第1番。ともあれ、この日はふつうに作曲順に前半が第1番、後半が第2番。第1番、オーケストラは豪放に始まったが、独奏ピアノはこれを落ち着かせるように優しく入る。巨大な音楽を作るというよりは、むしろ抒情的で抑制的。透明感すら感じる。後半の第2番は高揚感にあふれ、輝かしく雄大。音色は澄明。ブラームスを聴く喜びをたっぷりと堪能できた。もう一度、聴きたくなる。冒頭ホルンも第3楽章のチェロのソロもまろやか。さすがにアンコールはない。
●写真は芸劇の前の広場。グローバルリングって言うんだっけ。賑やかそうな催しを準備中だった。

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