
●21日は東京芸術劇場でマキシム・パスカル指揮読響のベートーヴェン「第九」。こちらも一曲のみのプログラム。ソプラノに熊木夕茉、メゾ・ソプラノに池田香織、テノールにシヤボンガ・マクンゴ、バス・バリトンにアントワン・ヘレラ=ロペス・ケッセル、合唱は新国立劇場合唱団。弦楽器は通常配置で14型、合唱は60名くらいかな。
●マキシム・パスカルは長身痩躯、棒を持たずに全身でリード。全般に速めのテンポだが、無理のない設定。弾力性のあるリズムで軽快に進む。スムーズで均整の取れた「第九」。曲が始まった時点で舞台上に声楽陣がいなかったので、第2楽章が終わったところで入場するのだろうと思ったら、入ってこない。じゃあ、第3楽章が終わってから入場するのかと思ったら、やっぱり入ってこず、そのまま第4楽章に突入してしまった。えっと、これはどうなるの? と戸惑っていると、楽章の途中で左右の袖から整然と合唱団と独唱者が入場。バリトン独唱がオペラばりに直前に袖から登場してくるパターンは複数回見たことがあるけど、このパターンは今まであったかな……。視覚的な効果あり。独唱陣は男声側がわりと陽キャ寄り。自在のバリトン、明るい声のテノール。合唱は万全。第4楽章は熱気も増し、祝祭的な幕切れ。盛大なブラボーで、場内は大喝采。
●終演後、用事があり池袋の反対側、サンシャイン方面まで足を運んだが、人出がすごい。いつにも増して混雑しており、注意深く歩かないと人にぶつかりそうで神経をすり減らす。諸人抱き合え!と、さっきまで抱いていた博愛精神が萎む。
December 23, 2025