●東京国立博物館の法隆寺宝物館では、国宝の「伎楽面」が金曜と土曜のみ、通年展示されている。伎楽とは飛鳥時代に大陸からもたらされ、奈良時代には各地の寺院で上演された仮面芸能なのだとか。その仮面である「伎楽面」は残っているものの、演目の内容は不明。仮面ごとにさまざまなキャラクターが与えられており、想像力を刺激する。

●たとえば、上は「酔胡王」(飛鳥時代7世紀、以下同様)。酔っぱらった西アジアの王さまを指す。酔ってこういう目つきになったオジサンからは、なるべく遠ざかったほうがよいというのがワタシの経験則である。

●こちらは「力士」。悪者をこらしめる役柄。悪そうなやつに絡まれている女性を救うヒーローといったところ。

●で、こっちがその悪者役の「崑崙」(こんろん)。東南アジアから奴隷として中国にやってきた悪い人たちといった設定らしい。

●このピノキオみたいな鼻の人は「治道」(ちどう)。舞台の露払い役。イタリアのコメディア・デラルテもそうだけど、仮面ごとにキャラが決まっている芸能は世界中にあるのだろう。この種の芸能なら必ず道化役がいたと思うが、伎楽の場合はだれなんでしょね。

●チャッピー(ChatGPT)に着色してもらった「酔胡王」。会場で配布されているパンフレット「国宝 伎楽面 法隆寺に伝えられた古代の仮面」を読むと、これら仮面は制作当時、華やかに彩色されていたという。そこで、一通り伎楽について話して文脈を作っておいてから、「酔胡王」の当時の彩色を推定してもらった。もちろん、これは遊びでしかないが、色があったら見え方が違ってくるのはわかる。

●こっちは「力士」彩色版。ヒーローというより悪役っぽく見えるのだが。顔が怖い。

●こちらは「崑崙」彩色版。これは悪そう。なぜかチャッピーは帽子をかぶせ、「力士」に似た風貌にしてしまう。

●おしまいは「治道」彩色版。またしてもチャッピーは勝手に帽子をかぶせて描いた。なぜ帽子を描くのかと尋ねると、当時は帽子こそ最重要パーツだったともっともらしいことを並べ立てる。まあ、そういうのは話半分で聞いておかないと罠にはまるので、本気にしない。だんだんこちらもAI慣れしてきた。