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February 26, 2026

川瀬賢太郎指揮名古屋フィル 東京特別公演 2026

川瀬賢太郎 名古屋フィル
●24日はサントリーホールで川瀬賢太郎指揮名古屋フィルの東京特別公演。プログラムは武満徹の「系図 若い人たちのための音楽詩」(語り:五藤希愛、アコーディオン:大田智美)、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。コンサートマスターは小川響子。「英雄の生涯」に英雄の伴侶が登場するので、この日のテーマは「家族」か。
●武満徹の「系図」は近年演奏される機会の多い曲だと思うが、ライブで聴くと編成の大きさにびっくりする。朗読中心の作品だから、ふつうに考えればコンパクトな編成でよさそうなものだが、厚い響きで、輪郭が少しぼやけたおぼろげなニュアンスを醸し出す。日常と非日常のあわいを感じさせるというか。谷川俊太郎の詩ありきの作品で、少女を通じて描く家族の肖像から見えてくる「平凡な物騒さ」にゾワゾワする。少女らしさを無垢に回収するのではなく、イラッと来る幼さまで表現されているのがこの詩。朗読は五藤希愛、15歳(!)。設定に合致した年齢だが、15歳でこんな大役を堂々とこなせることにひたすら感心。この役、18歳以上なら「若い女性」だと感じるけど、15歳だと本物の「子ども」。等身大の表現が詩に込められた危うさ、生々しさを伝える。
●後半の「英雄の生涯」は壮大でパワフル。完成度が高く、オーケストラの機能性が存分に発揮されていた。川瀬賢太郎らしい前へ前へと進む推進力は健在。気迫のこもった冒頭の後、「英雄の敵」に入るとフルートから始まる管楽器による嘲笑が思い切りよく、痛快。コンサートマスター演じる英雄の伴侶もまれに見る強烈さ、鮮烈さ。すごくうまい。描写性が高く、戦闘シーンはスリリング。全体としては陶酔感は控えめで、精悍でマチズモ的な英雄像が築かれていた。ビターテイストの「英雄の生涯」。

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