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March 4, 2026

国立新美術館「テート美術館 YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」

テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート
●久々に国立新美術館へ。現在「テート美術館 YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」展が開催中。80年代後半から00年代初頭にかけての英国のアートに焦点を当てる。YBAは「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」の意。大まかなキーワードを挙げるなら、人種差別、格差、エイズ、同性愛、ジェンダー、IRA、サッチャー政権あたりか。閉塞的な空気を打ち破ろうとするような作品が並ぶ。なにせキービジュアルが上のような感じだったので、平日昼間でも年配層はほとんど見かけず、高感度な雰囲気の若者たちでいっぱい。本当に美術展というのは展示の中身で客層がガラッと入れ替わる。
クリス・オフィリ「ユニオン・ブラック」
●上からぶらさげられているのは、クリス・オフィリの「ユニオン・ブラック」(2003)。英国旗の3色、白青赤を、アフリカ系の人々の解放と自由を掲げる汎アフリカ主義運動で用いられる緑赤黒に置き換えている。説明を見ずとも、アフリカが感じられるのでは。

リサ・ミルロイ「フィンズベリー・スクエア」
●これは妙な静けさがあって気になった。リサ・ミルロイの「フィンズベリー・スクエア」(1995)。新築のオフィスということなんだけど、人の気配、生物の気配がなく、「真新しい廃墟」みたいな印象を受ける。ぱっと見、きれいだけど、ゾワッとするタイプの絵。

コーネリア・パーカー「コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ」
●コーネリア・パーカーの「コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ」(1991)。これは説明を読まなきゃわからないと思う。IRAによる爆破事件が続いた時期、作者は英国陸軍に庭の物置小屋を爆破してもらい、その残骸を拾い上げて天井から吊るし、中央に電球を配置して、爆発の瞬間を再構成した。大作。

●いちばんおもしろいと思ったのは、上の映像作品、マーク・ウォリンジャーの「王国への入り口」(2000)。これは本当におかしい。映像はロンドン・シティ空港の到着ゲートから出てくる人々をとらえている。で、これに付けた音楽がアレグリの「ミゼレーレ」。笑。空港が礼拝堂のような厳かな雰囲気で満たされ、ゲートから出てくる人たちひとりひとりが特別な思いを秘めているように見えてくる。いや、実際にそうなのかもしれないのだが。なんの変哲もない場面が、入国の儀式として再定義され、すべてが意味深長。この映像を眺めるだけでもおもしろいけど、実際の展示は格段にドラマティック。秀逸なアイディア。
●90年代っていうとアート全体の文脈で見ればモダンってことだろうけど、30年前っていう意味ではレトロでもある。全体としてどっちだって言われたら、レトロかな。古めかしい雰囲気を感じるものもあれば、もちろん切っ先の鋭さを今も失っていない作品もある。

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