
●SOMPO美術館が毎年開催している公募展、FACE展2026へ(~3/29)。場所がいいので、毎年のように足を運んでいる。例年に比べると、抽象画がかなり減ったか。グランプリをはじめ各受賞作にもその傾向が強かった気がする。以下、とくにいいなと思った作品。

●優秀賞に選ばれていた「幾千年」(黒澤匠)。蛍光灯自体が製造中止になりつつある過去の遺物であるわけだけど、さらにこの二重環タイプの照明器具は、ずっと前にシーリングタイプに置き換わっていて、ノスタルジックな存在になっている。なんだか超然として、一種の遺構みたいな趣。「幾千年」という題が効いている。審査員コメントではUFOを想起させるという指摘も。そうなのかな。

●こちらは「終わりなき旅」(林寿朗)。異世界というか、ファンタジー小説の一場面のようでもあり。未知の生態系があり、未知の文明がある。反射的に連想したのは、クリストファー・プリーストの「夢幻諸島から」。あるいはリアリズム寄りだと、バルガス=リョサの「世界終末戦争」に出てくる辺境の宗教的理想郷。

●ぱっと見て地図とわかるが、タイトルは「ガザ地区」(原多夫志)。重いテーマと、洗練された表現。碁盤の目のような整然とした道ではなく、太い幹線道路から細い路地まで複雑に入り組んでおり、そこに人々の営みと歴史の積み重ねを感じさせる。

●「くまの眠り」(本多愛実)。ほんわかとした「かわいい」タッチだが、これはどういう状況なのか。ベッドに気持ちよさそうに横たわるくまちゃんがいて、くまちゃんの持ち物らしきぬいぐるがあって、そのすぐそばに巨人が佇んでおり、灰皿には火のついたタバコ。すでにタバコは3本目。くまちゃんの目覚めを待っているのだろうか。灰皿のそばに置かれたオイルライターはタフガイを連想させる。物騒かもしれないし、そうでないかもしれない。この巨人はだれだ?
●合わせて、前回受賞者4名による招待展示「絵画のゆくえ2026」も開催中。