
●19日はサントリーホールでピエタリ・インキネン指揮都響。日フィル時代になんども聴いたインキネンが、都響に客演。だいぶカラーの異なるオーケストラへの客演だが、都響にぴったりのプログラム。ラヴェル「ラ・ヴァルス」、サン=サーンスのピアノ協奏曲第4番(キット・アームストロング)、プロコフィエフの交響曲第3番。1曲目以外はあまりライブでは聴けない曲なのでありがたい。「ラ・ヴァルス」はダークサイド成分控えめで、さっそうと。サン=サーンスのピアノ協奏曲第4番では、ソリストのキット・アームストロングが恐るべきヴィルトゥオジティを発揮。唖然とするほどのテクニック。これまでリサイタルではなんどか聴いているが、コンチェルトは初めて。映える。ただ、自分が期待する作品像とは少し違ってて、香り立つというよりも華麗さに傾く。ソリスト・アンコールでは、左手だけでフーガ風の曲を弾いて、これも鮮やかな離れ技。曲はサン=サーンスの「左手のための6つの練習曲」第2番「フーガのように」。作曲者の難しそうな人柄を感じるタイプの曲。
●後半のプロコフィエフが圧巻。交響曲第3番は、有名な第5番よりもずっと粗削りでおもしろい。この曲の自分のなかでの愛称は、第1楽章冒頭の反復的なモチーフにちなんで「たまごクラブ・ひよこクラブ」。かわいい+グロテスクが実現。プロコフィエフの音楽が持つ運動性、抒情性、ユーモア、皮肉、暴力性などが、雑然と同居しているのが楽しい。強烈な曲だけど、あまり刺々しくならないのはインキネンゆえか。少し上品。終楽章の終わり方に、あっけにとられる。
March 23, 2026