
●20日はTOPPANホールでチェロの北村陽。前半にサーリアホの「ララバイ~無伴奏チェロのための」(2018)、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ ニ短調、クレンゲルのチェロとピアノのためのスケルツォ、後半にナディア・ブーランジェの3つの小品、プーランクのチェロ・ソナタという意欲的なプログラム。ピアノは薗田奈緒子。一昨年の同ホールのランチタイムコンサートで北村はリゲティ、三善晃、コダーイらによる無伴奏リサイタルを聴かせてくれたが、冒頭のサーリアホはその続編のよう。全編にわたり、尋常ではない切れ味の鋭さに加えて、パッションが豊か。2004年生まれということだけど、エネルギーにあふれていて、濃密。今だからこそできる音楽を聴いた感。ピアノとの息もぴったり。
●前半のおしまいが重いショスタコーヴィチ、後半のおしまいが軽妙なプーランクというプログラムは、なんだか逆みたいにも思えたのだが、聴けば納得。プーランクの終楽章は軽妙なだけではなく、荘厳だったり、壮麗だったり、いろんな要素が短い音楽のなかに渾然一体となっていて、締めくくりにふさわしい。この楽章の冒頭部分(おしまいでドラマティックに回帰する)が、すごくカッコいい(ブリテンの無伴奏チェロ組曲第1番冒頭に似てるなと思ったのだが、帰ってから録音を聴いてみたらそんなに似てなかった……)。ナディア・ブーランジェを聴けたのも収穫。リリではなくナディエのほう。
●アンコールに祈りのような「鳥の歌」。これで終わりと思ったが、さらにロストロポーヴィチの「ユモレスク」という無窮動風の技巧的小品を爆発的に。本編に劣らず鮮烈で、圧倒されるばかり。
March 24, 2026