
●7日は東京文化会館で「東京・春・音楽祭」のワーグナー「さまよえるオランダ人」演奏会形式。アレクサンダー・ソディ指揮N響。近年、ワーグナーシリーズといえばヤノフスキだったが、今回はソディ。歌手陣はカミラ・ニールンドのゼンタ、ミヒャエル・クプファー=ラデツキーのオランダ人、タレク・ナズミのダーラント、オッカ・フォン・デア・ダメラウのマリー、トーマス・エベンシュタインの舵手。合唱は東京オペラシンガーズ。休憩なしの上演方式。ゼンタのニールンドが絶唱。ダイナミクスの幅が史上最大レベルで、強靭さが最強に強まっていた(←強を一文で3回使うテスト)。演技なしの純然たる演奏会形式ということも手伝って、ゼンタが何物にも動じない超然としたキャラクターに思えてくる。人間的な苦悩を抱えたオランダ人よりよほど超越的。
●ソディとN響のコンビは期待以上。なにしろこれまでがヤノフスキの鉄壁のアンサンブルによる緊密なワーグナーだったので、それに比べると開放的でダイナミック。テンポが速く音楽が停滞しない点は同じだけど、勢いがあり、ここぞというところでエネルギーが噴出する。とくに第3幕はスペクタクル。合唱はパワフル。自分はなじみがなかったのだが、序曲と第3幕のおしまいは初稿が用いられていたそうで、第3幕の終わり方は唐突な感じ。
●休憩なしで2時間強。終盤、退席する人の姿がちらほら。客席の多くは年配男性なので、しかたがない。
●オランダ人には名前がない。本当はあるはずだけど、オペラでは一度も呼ばれない。これは名乗ることができない騎士ローエングリンと対になっていると思う。
April 9, 2026