
●17日はミューザ川崎でロレンツォ・ヴィオッティ指揮東響。新たに音楽監督に就任するヴィオッティのお披露目。ウィーン・フィル定期に招かれるなど、欧州で大活躍中の気鋭が、ジョナサン・ノットの跡を継いだ。前日のサントリーホールに続いて、この日もチケットは完売。前任のノットがあまりに大きな成功を収めたので、これから東響はどうなるのかなという期待半分不安半分で足を運んだが、コンサートは大成功に終わった。
●プログラムはベートーヴェンの交響曲第1番とマーラーの交響曲第1番「巨人」のダブル「第1番」。これが最初の一歩ということか。ベートーヴェンは弦が10型。対向配置かと思いきや、下手から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと並べるオーソドックスなストコフスキ配置。いや、今はもうなにがオーソドックスなのか、わからないが。チェロを外に置くのは少数派。音域順にきれいに並んで、なるほど、この並びだと弦楽器全体がひとつの楽器のようにまとまって響くものだなとは思う。モダンで精悍、推進力みなぎるベートーヴェン。意欲満々で完成度が高い。第3楽章から第4楽章へ、間髪入れずにアタッカで入ったのがおもしろかった。
●後半はマーラー「巨人」。第1楽章冒頭は、かすかな弱音で始まる、無から音楽がわきあがる方式。エネルギーにあふれると同時に、ていねいに彫琢された輝かしい音楽。第3楽章のコントラバスの「グーチョキパー」はトゥッティだった。ソロの場合の異様な剥き出し感に比べると、角の取れた幻想的な雰囲気になる。終楽章は一段とテンションを高めてエキサイティング。壮麗なクライマックスを築き、最後の一音が終わるやいなや客席から大喝采。新音楽監督を熱烈歓迎といったムードで、当然のごとくヴィオッティのソロ・カーテンコールに。
●マーラーの「巨人」って勝負曲だな、と思う。大事なところで出てくる。
May 18, 2026