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July 1, 2026

新国立劇場 リヒャルト・シュトラウス「エレクトラ」新制作

新国立劇場 「エレクトラ」
●29日は新国立劇場でリヒャルト・シュトラウスの「エレクトラ」新制作。演出はヨハネス・エラート。平日夜の公演。この日は深夜にワールドカップのニッポンvsブラジル戦もあったので高密度。大野和士指揮東京フィル。エレクトラにアイレ・アッソーニ、クリソテミスにヘドヴィグ・ハウゲルド、クリテムネストラに藤村実穂子、オレストにエギルス・シリンス、エギストに工藤和真。音楽面は充実。この作品にはオーケストラの切り裂くような鋭利さと潤いのある豊麗さの両面が必須だと思うが、東フィルが好演。アッソーニの題名役は、超越的というよりは人間的な苦悩や葛藤を感じさせるエレクトラ。むしろハウゲルドの妹クリソテミスのほうが超然としてパワフル。
●「エレクトラ」は父アガメムノンを殺した母クリテムネストラに対する娘エレクトラの復讐譚だが、この物語には本来前史があって、アガメムノンはトロイア戦争のために娘イフィゲニアを生贄に捧げている。クリテムネストラは娘の復讐としてアガメムノンを殺した。この前史を考えると、クリテムネストラにも正義があるわけで、エレクトラの母殺しに共感できなくなるわけだが、シュトラウスのオペラはそこを描いてはいない。むしろ閉じた物語で、毒親と子の閉じた密室の家庭劇といった感がある。ヨハネス・エラートの演出は舞台上を狭く使って閉塞感のある家庭の情景を切り取るもので、トーンとしてはダーク&ポップ。室内の左右に設置されたブランコ、クマちゃんのぬいぐるみたち、ピンクの公衆電話、白塗りのピエロたちなど、思わせぶり。開幕前から「ドクン、ドクン……」と心臓の鼓動音らしき重低音が流されていた。これらにどんな狙いがあるのか、知ったところで「なるほど」と思えるかどうかはわからない。賛否両論あるはず。ただ、情報量の多さという点では歓迎。隙間が埋まらない伝統演出よりは、饒舌な現代演出のほうが楽しめる。みんな、ブランコを漕ぐ。大人がブランコを漕ぐ場面って、それだけで心がざわざわするのはなぜなのか。
●監視の女に森谷真理、下女に清水華澄、田崎尚美といった実力者たちの名前が並んでいたが、それぞれクリソテミス、クリテムネストラ、エレクトラ役のカバーを兼ねていた。
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●ワールドカップは決勝トーナメント1回戦が猛スピードで消化されている。ドイツがPK戦の末にパラグアイに敗れたのは番狂わせ。