●こんな壮絶な試合になるとは、だれに予想できただろう。W杯2026のラウンド16のアルゼンチンvsエジプト戦。DAZNの中継からも、試合前からアルゼンチンが勝って当然のような空気が流れていたかもしれないが、始まってみればエジプトが強敵であることは明らか。相手を恐れずにボールをつなぎ、守備は組織的で、序盤は五分の展開。前半15分にゴール前でヤセル・イブラヒムが頭で合わせて先制ゴール。あれ?と思うほどアルゼンチンの守備が淡泊。これで試合がおもしろくなったと思ったら、その4分後にアルゼンチンがPKを獲得。蹴るのは39歳のエース、メッシ。だが、これを失敗! コースが甘すぎた。実はメッシはよくPKを外す。謎すぎる謎。
●前半を1点リードで終え、後半は攻めるアルゼンチンと守るエジプトの図式が鮮明に。ところが後半13分、自陣深くでボールを奪ったエジプトは、ハッサンが超絶的な粘りのドリブルで右サイドを駆け上がって、中央でモスタファ・ジーコが決める鮮やかなカウンターアタックで2点目! しかし、これにVARが介入し、エジプトが自陣深くでボールを奪った時点でファウルがあったとして、ゴールが取り消されてしまう。えっ、そんなところまで遡ってビデオ判定するの?と、思う人は多いだろう。でも、これはJリーグでも同様にゴールが取り消されるパターンで、自分の理解では「疑惑の判定」でもなんでもない。少なくともJリーグではVARはAPP(アタッキング・ポゼッション・フェイズ)まで遡ることになっている(参照:VARはどこまでさかのぼれる?APPを徹底理解)。そして、そんな判定よりも、もっと痛快なことがある。なんと、後半22分に、ほとんど似たような形で、カウンターからモスタファ・ジーコが本物のゴールを決めたのだ! あまりにもアルゼンチンはカウンターを警戒していない。一度やられてVARに救われたのに、なにも修正しなかったらまた同じ形でやられたという形だ。
●さすがに2点差になったら、アルゼンチンも厳しい。あとはエジプトは守ればいい。このままエジプトが勝つと確信したが、後半38分からクリスティアン・ロメロ、メッシ、エンソ・フェルナンデスがゴールを決めて、まさかまさかの大逆転。アルゼンチンはベンチもサポーターも異常な盛り上がりに。メッシが力を振り絞って凄まじいドリブルでゴール前に切り込んでいく場面があったが、まだこんな爆発的な力が残っていたのかと驚愕。鬼神か。メッシはその直後にボレーで同点ゴールを叩き込んでいる。試合終了後、メッシは滂沱の涙。自分の感情を制御できない状態になっているようだった。こういう姿を見たら、メッシを応援せずにはいられなくなる。アルゼンチン 3-2 エジプト。
●もう一試合のスイスvsコロンビアは0対0の延長戦の末、PK戦でスイスが勝ち抜け。これでベスト8が出そろった。準々決勝はフランスvsモロッコ、スペインvsベルギー、ノルウェーvsイングランド、アルゼンチンvsスイス。なんとなくこの並びは、最後のところがスイスではなくコロンビアだったほうが「きれい」で、PK戦で神様がうっかりまちがったような印象を受ける。いずれにせよ、偶然にも全カードが「優勝経験国vs初優勝を狙う新時代の強豪」の構図になっている。
July 8, 2026