
●さて、本日からワールドカップは準々決勝。ここからはあっという間だ。会場はボストン・スタジアム。まずはフランスvsモロッコ。現在の強豪同士の対戦となったが、フランスが終始ゲームを支配。モロッコはたとえ相手がフランスであってもボール保持にこだわり、自陣深くで相手に囲まれていても落ち着いてボールをキープする志の高いサッカーをする。が、やっぱりそれだと奪われるのだ。モロッコの個の力も高いはずなのに、フランスはさらにその上を行く高さ。尋常ではない。スタッツに試合内容がよくあらわれていて、ボール保持率はほぼ五分五分なのだが、枠内シュートはフランスの10に対してモロッコは1。前評判通り、フランスは今大会で最強だと思う。前半にエムバペがPKを甘いコースに蹴ってキーパーのヤシン・ブヌにキャッチされるという場面があったが、後半にエムバペとデンベレがゴールを決めて、フランス 2-0 モロッコ。どちらも個人能力で決めた得点で、とくにエムバペのゴールは無から生み出したゴールといった感。防ぎようがないと思った。
●両チームともキックオフで、相手の陣地の奥深くにボールを蹴り出すスタイル。相手のスローインになってしまうので、一見、損に思えるのだが、この方式が大きく広がったのは(大島監督のマリノスもやっていた)、統計的なアドバンテージが明白にあるからなのだろう。つまり、キックオフからボールをつないだ場合と、たとえボールを相手に渡してでも相手の陣地の奥まで侵入した場合では、後者のほうが得点につながる確率が高い(あるいは失点する確率が低い)ことが、過去の統計の分析から判明しているのだと思う。一度、答えがわかれば、ほかのチームは自前で分析する必要はなく、まねをすればいい。実際、これは納得できる話なのだ。サッカーの本質は陣取り合戦なので、基本的に相手のゴールの近くでプレーしたほうが得。それから、オシムの言葉も思い出す。オシムは逆の立場から「自分たちのスローインでは、ピッチ上は必ず数的不利になる」と警句を発していたと思うが、まさにそういうこと。スローインは不確定要素が大きく、案外と危険な場面につながりやすい。
●が、一方でモロッコは、相手がこの作戦を採用したときの解決策も見つけているように思った。フランスがキックオフでボールを大きく蹴ってタッチラインの外に出したとき、モロッコの選手はあらかじめディフェンスラインを深くしておいて、即座にスローインをしてセンターバックの選手にボールを渡した。相手の選手が上がってくるより前にすぐにプレーを始めてしまえば、前述の統計的なアドバンテージはなくなるはず。味方と敵の選手が集まった状態でスローインをするからボールを奪われることがあるわけで、そうならないように準備しておけばいいわけだ。このキックオフ戦略はまもなく廃れるかも。
July 10, 2026