2003年11月アーカイブ

November 29, 2003

マリノス完全優勝という奇蹟

●もう信じられない。ったく、サッカーの神様ってヤツは。今日ほどサッカーの勝点制度の妙を味わったことはない。
●Jリーグ最終節。試合前の状況はこうだ。
1 ジュビロ磐田 勝点26 (+6)
2 鹿島アントラーズ 勝点24 (+2)
3 横浜F・マリノス 勝点23 (+9)
4 ジェフユナイテッド市原 勝点23 (+4)

 そして最終節のカードが、マリノスvsジュビロ、レッズvsアントラーズ。ワタシのマリノス視点で見ると、こうなる。マリノスが優勝するためにはジュビロに勝つ、さらにアントラーズが勝たない、というのが条件。厳しい。
●それが試合がはじまってみたら、あっという間にマリノスは失点する、しかも若すぎるゴールキーパーが無意味な暴行で退場。ウチのサッカーは10人制かよっ! 毎試合のごとく退場者を出す。ジュビロとアントラーズの二強のような勝ち慣れたチームに比べて、なんと未熟なことか。このままなら、ジュビロが優勝する。マリノスは一人少ないのに、追いつくだけではダメで、逆転しなければジュビロの上には立てない。しかも、たとえ逆転してもアントラーズがレッズに勝てばアントラーズの優勝。チャンネルを変えると、しっかりとアントラーズはリードしている。あそこは優勝のかかった試合で勝点を落としたりしない。アントラーズ2-0レッズ。
●もうこの時点で、ワタシはバカバカしたくなったんである。テレビ消そうかと思った。見るに耐えない。しかし、マリノスは一人少ないのに必死に戦い、相手をパワーで押し込んでいる。ついにセットプレイからマルキーニョスの泥臭い同点ゴールが決まった。大型選手をそろえるウチがヨソに勝っているのはなんといってもパワー。雨も有利に働いたか。が、奇しくも同じ時間、浦和ではエメルソンがPKをミスしているではないかっ! なんだなんだ、せっかく1点取って追いついたと思ったら、レッズが得点機を逃し、これでプラスマイナス・ゼロ(意味不明だか、そういう実感)。なんつう皮肉。
●後半になっても状況は変わらない。マリノスが追いついたのは嬉しいが、このまま引き分ければジュビロ優勝。しかし、勝ったところでアントラーズが優勝するだけのことだ。ワタシはこう解した。「これはサッカーの神様が与えた試練である。今季、大事なところでマリノスは勝ち切れなかった。だから、最後にジュビロを倒し、さらにチャンピオンシップでアントラーズを倒せ、と。二強を叩いてこそ、真の王者になれるのだ」。
●ロスタイムに入った頃だろうか。ジュビロのディフェンスがミスをした。高く浮いたボールを自陣に向かって追いかけた。後ろから久保が追いかけてくる。基本として、こういうボールをワンバウンドさせていはいけない。セーフティにクリアできたはずだが、なぜかディフェンダーはワンバウンドさせた。後ろから久保が競る。パワーのある久保が競り勝って、ボールは浮き球になってキーパーを超えてそのままネットに収まった。数的不利を跳ね返して、奇跡の逆転勝利! チャンピオンシップの相手はこれでジュビロではなくアントラーズだ。われわれが得たのは一試合の勝利に過ぎないかもしれないが、ジュビロはステージ優勝を逃した。呆然とするジュビロの選手たち。
●ここでチャンネルを浦和の試合に変えてみる。マリノスの逆転勝利のおかげで、さぞアントラーズは喜んでいることだろう。虚ろな目で呆然と立ちすくむ小笠原……あれっ!? あれれれれ!? なんと、2-2である。ロスタイムにレッズが追いついた。レッズは一試合の引き分けを手にして、アントラーズはステージ優勝を失った。はっ。信じられないが、マリノスの優勝である。両ステージを制して、完全優勝で年間王者になった。まさか、こんなことが。サッカーの神様の悪戯としか言いようがない。
●これで何年も続いていた二強時代に、マリノスがようやく割ってはいることができた。Jリーグの歴代年間チャンピオンはこうなっている。

1993 ヴェルディ川崎
1994 ヴェルディ川崎
1995 横浜マリノス
1996 鹿島アントラーズ
1997 ジュビロ磐田
1998 鹿島アントラーズ
1999 ジュビロ磐田
2000 鹿島アントラーズ
2001 鹿島アントラーズ
2002 ジュビロ磐田
2003 横浜Fマリノス

 7年間も二強で優勝を分け合っていたのである。二強が急に弱体化するとも思えず、一方で三強時代になるほどマリノスは強くない。来季も大混戦になりそうな気がする。(11/29)

November 27, 2003

オレオレ詐欺

●「オレオレ詐欺」って、最初、サッカーのサポーターがらみの事件だと思わなかった? Jリーグ元年のすべての試合が超満員だった頃に、読売ヴェルディのプラチナ・チケットを餌に、純朴なファンを騙し、サポーター・クラブを騙り、いっしょにオレオレ叫んでいたら、いつの間にやら財布はスッカラカン……みたいな(どんな詐欺だよ)。
●つーか、あの頃のJリーグそのものがオレオレ詐欺だったって話もあるが。(11/27)

November 26, 2003

エルデーディ弦楽四重奏団

●まずナマじゃ聴けないだろうっていう演目に惹かれて、エルデーディ弦楽四重奏団演奏会に行ってきた(東京文化会館・小)。ブリッジの「3つのノヴェレッテ」に始まり、ブリテンの弦楽四重奏曲第2番、エルガーの弦楽四重奏曲。
●いきなり話それるけど、久々に上野だったんすよ。ちょっと仕事のことで頭が一杯で(笑)ボケておりまして、ワタシゃ東京文化会館が「公演口」なのか「中央口」なのかに悩んだ挙句、中央口から出ようとしちゃったですよ(笑)。ワタシゃ何者だよっ! いったい公園口の公園とはどこの公園だというのか。つーか、上野でほかの出口から出たことなんかねーだろっての。ああ、脳みそヤバげ。
●で、ブリテンの弦楽四重奏曲第2番、ヘンな曲だったなあ。アイディア盛りだくさんでカッコいい曲なんだとは思うんだけど、唐突な終楽章のシャコンヌ(←パーセル没後250周年の作曲なので)はシリアスなんだかシニカルなんだかちょっとわかんないかも、ってことで後日CDでも聴いておきたくなった。入手容易なところではNAXOSから出てるのがあって、amazonで1楽章の頭1分だけ試聴できる。
●ワタシは特にイギリス音楽好きってわけじゃないので、エルガーの弦楽四重奏曲もはじめて聴いたんだけど、これはエルガーらしい叙情的な曲で、チェロ協奏曲と似た雰囲気っすかね。e-mollつながりだし。堪能いたしました。
●エルデーディ弦楽四重奏団(蒲生克郷vn、花崎淳生vn、桐山建志va、花崎薫vc)のサイトはこちら。(11/26)

November 25, 2003

ガッテン派

●「へー」ボタンが売切れだったので、代わりに「ガッテン」ボタンを買った(ウソ)。ガッテン、ガッテン、ガッテン。
●予言。連休明けは風邪蔓延。ガッテン、ガッテン、ガッテン(意味レス)。(11/25)

November 24, 2003

川崎フロンターレvsサンフレッチェ広島

●J2のスケジュール終了。結果的には順当に新潟と広島が昇格することになった。昨日の新潟市内は盛り上がったんじゃないかなあ。ワタシが試合を観に行った対水戸戦の印象からいうと、新潟は普段のフツーの試合から浦和レッズを超えるテンションの高さを維持している。観客動員力も最高、実力も高く、J1で戦うにふさわしい。おめでとうございます>新潟の皆様。来季のアウェイの新潟戦は大変っすよ>J1勢。
●が、その一方で勝点1の差で最終節、広島に勝利しながらも昇格を逃したのが川崎フロンターレ。新潟が負けない限り、勝っても昇格できないという厳しい条件だったので、この試合「伝説の一戦」にはならなかったのだが、非常におもしろい試合だった。川崎は美しいサッカー、中盤を組み立てるサッカーをしたいんすね。スタイル的には新潟以上にJ1的かもしれない。
●川崎の監督は石崎信弘。あのJ2時代の大分で毎年最後の最後で昇格を逃しつづけた悲運の監督で、勝点1に泣いたのがこれで3度目。インタヴューで「40数試合もあるのに、いつも最後に勝点が一つ足りない。勝点1の重さをわからないバカな監督ですよ」と自ら嘆いていたが、日本人監督では有数の実力者であることはまちがいない。責任を取って川崎を去る可能性が高そうだが、J1から引き抜きがないのが不思議。ワタシはマリノスの監督がラザロニだった頃、石崎監督引き抜いてくれないかなあといつも思ってた。石崎監督を強くオススメ>今季監督を交代するクラブの方々。(11/24)

November 21, 2003

準メルクルのメンデルスゾーン

●準メルクル指揮のメンデルスゾーンのCDを聴いた。交響曲第3番「スコットランド」と第4番「イタリア」(レーベルはAltus)。すっごくいいじゃないですか。濃厚で、演劇的で、まるでイタリア・オペラみたいによく歌うメンデルスゾーンである。ワタシのなじんでいるメンデルスゾーンってのは、端整でまだちょっぴり古典派残ってる育ちのよろしいサワヤカさんなんだが、これは裏側に愛と裏切りと欲望の物語がしっかり潜んでそうな色気のある天才青年風である。
●しかも、これ、N響なんだよなあ。これくらい表現意欲に溢れる音楽を聴かせてくれるんだったら、CDだけじゃなくて、定期演奏会にも行きたくなる人は多いと思う。ああ、オーケストラって豊かだなあって素直に感動できる。感動できないのは、曲が終わった後に入っているフライング気味の拍手だけだ(あ、ライヴ録音っす。あんまり細かいところに神経質になっちゃう人向きじゃないので、全体の流れ重視でよろしく)。
●ちなみにワタシはメンデルスゾーン好きである。昔、ある人が言った。「メンデルスゾーンとかウェーバーって、もうだれも聴いてなくない? 教科書にしか残ってなくねえ?」。それ、絶対に違うって。ワタシはウェーバーがこの世から消え去ってもちょっとしか悲しくないが、メンデルゾーンが失われたら深く悲しむ。それどころか、シューベルトの全作品より「スコットランド」一曲のほうが大事かもしれん。これ聴いて、改めてそう思った。(11/21)

November 20, 2003

ニッポンvsカメルーン

●大分でのニッポン代表vsカメルーン代表をテレビで観た。0-0だったが、双方攻撃的でスペクタクルに満ちたおもしろい試合で、親善試合にこれ以上は望めないのでは。再認識したのは2つ。ジーコ・ジャパンは美しい。ジーコ・ジャパンはなかなか勝てない。
●メンバーは、GK:楢崎、DF:アレックス、宮本、坪井、山田、MF:稲本、小野、藤田(→遠藤ヤス)、ナカタ、FW:柳沢(→大久保)、高原。相手のカメルーンの個人能力が非常に高かったので、両サイドバックはほとんどディフェンスしかしてしないが、中盤から前のパスワークの巧みさは相変わらずで、技巧を尽くしてボールをキープする。トルシエ・ジャパンはゴール前の勝負以前の段階まではなるべく簡単にボールを運ぼうよという今風のオートマティズムを目指していたのだが、ジーコ・ジャパンでは単純なつなぎのパスまでいちいち高度で複雑で、そして危険である。楽しいが、ピンチを招きやすく、シュートまではめったに行かない。
●去年のワールドカップのベルギー戦とかロシア戦じゃ、勝つためだけの慎重で禁欲的なサッカーしてたのに、あっという間にこうだもんなあ。これでもうちょっとシュートが多ければ、ワールドカップ・レベルで少々勝てなかったとしても、ワタシは満足できそうな気がする。
●坪井と藤田が良かった。リスタートが全体にヘナチョコだった。カメルーン代表監督のシェーファーにちょっと萌えた。中津江村の応援が根本的になにか違ってる気がした。今日の大久保は良かったけど、最近の言動に少し城の匂いを感じてヤバげ。(11/20)

November 19, 2003

Qちゃん

●高齢化社会を実感させる事件。「70歳強盗を70代夫婦が取り押さえ」。笑えない。まったく笑えない。
●Qちゃん、がんばれー。Qちゃん、負けるなー。ドロンパもがんばれー。(意味レス。言ってみただけ、まるっきり)。(11/19)

November 18, 2003

「ポップ1280」

「取るに足りない殺人」がおもしろかったので、引き続きジム・トンプスンの名作(といわれているらしい)「ポップ1280」を読む。「このミス」2001年海外編第1位っていうくらいなので、今話題にするズレ具合もなんだが、いやあ、なんて傑作なんだ。これも「邪悪な精神」と「凡庸な欲望」に共感しながら読んでいくと、最後にとんでもない話になっていて大変なことである。
●カルロス・クライバー久々の正規盤、「田園」をお聴きになった方は、ぜひ「ヲレサマ レコメンド」の該当スレッドに感想を書き込んでやってください。あ、ワタシはまだ買ってないっす。(11/18)

November 17, 2003

スローに草サッカー

●週末にリアル・サッカー。はじめて荒川の河川敷にあるグラウンドに行ったのだが、諸般の事情で人数が集まらず、どのくらい集まらないかっていうと11人そろうかなと思ったら4人だったという衝撃的人数で(苦笑)、不運があったにせよやはり平日夜(ナイター設備付)でなければチームは組めんなと実感。でもまあ、なんとか試合になったので、お付き合いいただいた皆様にひたすら感謝。
●プレイの中身は特に最近実感してるんだけど、著しく肉体の反応速度が遅くなってて、自分でもスローモーションで動いているのがわかる。以前はスピードだけには自信を持っていたのだが。こんな体たらくでは、かつてイングランド代表相手に5人抜きのゴールを決めたことがあるといってもだれも信じてくれないだろうなあ(←軽く電波漏れ)。最後にはお前まで抜いてやったんだよなあ、ピーター、覚えてるだろ?(←重度)。
●あ、Jリーグなんだけど、マリノスのサッカーは10人制かよ。反省レスなチームである。(11/17)

November 13, 2003

ニッポンU20vsオーストラリアU20

●ワールドユースに出場するニッポンU20代表の壮行試合が国立競技場で開催された。相手はオーストラリアU20代表。テレビで見た限りじゃスタンドはガラガラで、さすがに20歳以下の代表には集客力がないのがわかる(チケットの価格がヘンだったのかもしれないがよく知らない)。で、このU20代表、なんと形容するか。すばり、「傲慢」。
●U23五輪代表が「谷間」なら、U20代表は「傲慢」。プレイぶりに自信が満ち溢れ、個々の技術はきわめて高く、気の強い選手が多い。で、どうなるかというと自陣深くのピンチで簡単にボールをクリアすればいいものを、色気を出して失敗し、ピンチを招く。時には審判すら圧倒してしまいそうな不遜さである。「はあ、それ違うだろ、アドバンテージ取れよ」(って言っているみたいな気がする)。U20っすよ。でもまあ、この傲慢さ、決して悪いものともいえない。ワタシは五輪世代よりずっと好きだ。ヘンなPKを取られて0-1で負けてしまったが、勝っていればカッコよかった。技術の高さの割に、決定力に欠けるのが気になる。
●監督は大熊さん。若者相手なのでノリは部活サッカー。主力選手は坂田、角田、永田(初フル代表に選ばれたけどまだまだ)、今野、小林大悟(めちゃくちゃ巧い)他、Jリーグで実績を積みつつある。ジュビロの成岡もいい。で、後半途中から広島の茂木が出てきた。巧い選手がそろう中で、茂木はイマイチ足元が不確かな肉体派だ。見ているとハラハラする。段々、大熊監督の気持ちがわかってきた。カメラに大熊監督が大写しになる。なにか叫んでいるが、さすがに国立競技場なので、いつかの試合のようには肉声が聞こえてこない。でも、きっとこう叫んでいた。「茂木ーーーー! そこががんばるところだーーーーー!」。茂木は去年からずっとがんばらされている気がする。(11/13)

November 12, 2003

「憎しみの連鎖」

●スチュアート・カミンスキーの「憎しみの連鎖」(扶桑社ミステリー文庫)を読んだ。シカゴのユダヤ人老刑事エイブ・リーバーマンを主人公とした警察小説で、シリーズ5作目(たぶん)。ワタシはこのシリーズの大ファンで、新刊を見たら必ず買うことにしていたのだが、1月に発売されたらしい本書を完全に見落としていた。小さな(つうかフツーの)書店だと扶桑社ミステリー文庫は置いていないところも多いっすからね。「読みたい読者」と「売りたい出版社」の間を結ぶ糸は細すぎる。
●で、期待通り、すばらしく傑作。大体毎回テーマになるのは現代アメリカの人種問題と家族の問題。今回はイスラム対ユダヤという対立を軸に、アフリカ系、ラテン系、アジア系など様々な人種が交叉するシカゴの街に起きる犯罪と、それに立ち向かう警察を描く……ってところはそれほど読みどころでもなくて、楽しめるのは奥行きのある人間ドラマの部分。主人公もその相棒の刑事もタフガイなんだけど孫がいる程度には老いているってところがミソで、「人間歳をとっても枯れるばかりじゃなくて、いろんな問題抱えながら毎日やっとこさ生きているんだなあ」って感じが味わい深いんである。登場する大人はしっかりと成熟していて、若者はちゃんと青臭く描かれている。そこがいい。シリーズまるごと強くオススメ。(11/12)

November 11, 2003

古典、新作

●最近、なごみたいときはメニューイン。なんとなく人道主義な気分なので(ウソ)。ヴィヴァルディかモーツァルトの協奏曲集からほぼ適当に選んで聴く。モーツァルトの2台のヴァイオリンとオーボエとチェロのためのコンチェルトーネK190っていう、ちょっと隠れた名曲があって大変すばらしいのだが、なにより驚いたのはワタシがこの曲を知らなかったってこと(笑)。いやあ、どうして知らなかったんだろう。こういうのって特に古典派ではワタシはほぼ落としてないっていう思い込みがあったんだけど、よりによってモーツァルトにあったとは。うーむ、信じられん。とはいえ得をした気もする(笑)。
●素朴に思うのは、クラシックの大作曲家はもうみんな死んでるってところが惜しい。あ、いや現代の作曲家はもちろん現代に活躍してるんだけど、そのあたりも十分に承知の上で言えば、モーツァルトやベートーヴェンは生きていない。R・シュトラウスだってとっくに死んだ。だって想像してみよ。今が18世紀とか、せめて20世紀初頭だったらスゴいっすよ。「来月初演のR・シュトラウスのオペラって、なんか銀の薔薇を持ったヘンなタイツのクソガキが伯爵夫人に萌え萌えの話らしいぜ」「うわー、キモそう。中継はあるの?」「BS-2でドレスデンからナマだってテレビガイドに出てたよ」「ナマは時差がキツいなあ。アキバにCD-R並んだら買っとくかー」みたいな会話が成立するってことですよ。いいなあ。
●そういう会話の後で、はじめて「薔薇の騎士」に接したら、どんな気分になるだろか。まちがいなくCDかDVDの発売が待ち遠しく思えるだろうな。(11/11)

November 8, 2003

業界再編

ソニーと独BMG統合へ 音楽部門で世界最大級。ええっ、そうだったんだ。新会社名は「ソニーBMG」。日本法人がどうなるかなんて、ワタシは知りません。
●↑世界的な音楽産業の再編に続いて、クラシック音楽業界の動きを一つ。CDリリースとウェブサイト運営でユニークな活動を続けるAndanteレーベルと、フランスのナイーヴ・レーベルが共同経営に。来年1月からは新体制で新譜を発売するとのこと。お互い異なる分野で強力なリソースを持っている二社のパートナーシップなので、いいんじゃないかと。(11/08)

November 6, 2003

totoの失敗、愚か者の成功

●toto(サッカーくじ)の売上から配分される来年度のスポーツ団体などへの助成金が、売上額の減少で事実上ゼロになるそうである。やれやれ。
●totoを発売する日本スポーツ振興センターは、「賭け事は悪いことなので止めましょう」という倫理的な反対派の声に配慮して、様々な工夫を凝らしてきた。まず、購入場所を少なく抑えた。東京のちょっとした駅のそばですら売っていない。やっとローソンでも購入できるようになったが、事前に身分証明が必要で、なおかつ「登録キャッシュカードのデビット機能を使うtotoデビット会員は買えるが、現金払いのtoto会員は買えない」など複雑怪奇なルールが定められた。しかもコンビニでは端末からしか買えず、マークシートを持参しても買えない。さらに、「マルチ」は買えても「シングル」は買えないなど、徹底してわかりにくいルールを定めた。
●インターネットにはtoto公式サイトがあるが、ここでは「投票予約」はできるが「購入」はできない。ここでその予約をしてから、売り場に行くと買える。しかし売り場でも何度もキャッシュカードの暗証番号を打ち込んだり、プリントアウトを待ったりと、なかなか時間がかかって、みんなストレスに負けそうになる。公式サイトのFAQは見もので、「なぜこのサイトやtotoの規則が不親切か」について延々と言い訳を並べ立てている。
●そして、極めつけの「配慮」。当選払戻金のパーセンテージを賭け事とは呼べないほど低く設定し、胴元の取り分をうんと大きくした。悪徳賭場でもここまでの寺銭は取れまい。「賭け事は悪いことなので止めましょう」、この反対派のためにこれだけの工夫をして、なるべく購入者が楽しい気持ちを味わえないようにしたわけである。新しいルールが一つ決まるたびに、購入者は新しい失望を一つ味わう。
●そんなわけで、売上額が減った結果、スポーツ団体への助成金がゼロになる。市民が気軽に芝のグラウンドでボールを蹴られるようになる日はまだまだ遠い。ジャック・ティベールの名言をここにもう一度引用しよう。「失敗とは、馬鹿者の成功である」。(11/06)

November 5, 2003

「取るに足りない殺人」

●ジム・トンプスンの「取るに足りない殺人」(扶桑社)を読んだ。今年9月の新刊だが、原著は1950年、つまり半世紀も昔のミステリーなんである。ワタシは全然ミステリー・ファンじゃないので、まったく事情には疎いんだけど、遅れて訳された古典なんでしょう。
●で、これはとてもおもしろかった。悪を悪とも思わない主人公による保険金詐欺を描いた犯罪小説、といってしまうとあんまりおもしろそうじゃないが、登場人物の描写が非常に優れている。邪悪な人間と凡庸な人間の嫌らしさがよく出ていて、この邪悪さや凡庸さがワタシたちの自身の邪悪さや凡庸さと同じものであり、ただ拡大されているだけだという感じがよく伝わってくる。底意地の悪いユーモアもちょっぴりあって、ワタシは好きだ。邪悪な精神と凡庸な欲望ってのは、フツーの人ならだれだって否定できない身に抱えた罠っすからね。そのあたりの救いのなさかげんがいい感じ。
●細かいところでは、はやっていない町の映画館を経営することになって、どうやってそれを繁盛させるかっていう話があって、これなんかもちょっと気が利いている。狡猾な悪知恵なんすけどね。
●読みやすいので、構えて読む必要はなし。ジム・トンプスンは一通り読んでみようかなあ。(11/05)

November 2, 2003

「アート・オブ・ピアノ」

●「ピアノの芸術」というタイトルで、NHK-BS2で「アート・オブ・ピアノ」が放映されていた。これを観るのは2回目だけど、いやあ、抜群におもしろいっすね。パデレフスキ、ラフマニノフ、ホフマン、ホロヴィッツ、リヒテル、ギレリス、バックハウス……。次々と偉大なピアニストたちの貴重な映像が流れ、これに現代の音楽家や音楽関係者が適切なコメントを添えるという、ドキュメンタリーの王道を行く構成。
●ギレリスの映像なんて可笑しいんだよなあ。前線の兵士たちの慰問演奏にやってきたらしく、野外にドーンとピアノを置いてそこでラフマニノフの前奏曲を弾いている。戦闘機のコックピットから聴いている兵士たちまでいるという恐ろしくシュールな光景で、曲が終わると兵隊たちが一斉に拍手をする。意地の悪い映画監督が撮影したブラックジョークのように見えるが、これは本物のできごとだ。
●素朴に笑えるのは、キーシンのミケランジェリに対するコメント。「ミケランジェリはミスタッチ一つしない……(訴えかけるように、真剣な表情で)あのホロヴィッツだって晩年にはミスタッチをしてたのに!」。キーシンが他人の技術的完璧さに溜息をついているような姿って、実にユーモラスじゃないですか。
●幸い「アート・オブ・ピアノ」はDVDで発売されている。この作品に限らず、「アート・オブ」シリーズは傑作ぞろいである。価格が高すぎるのが難点だったのだが、昨日から期間限定で従来の半額程度で買えるキャンペーンが始まった。期間限定になんてしなくてもいいんじゃないかとも思うが、いろいろ事情があるんでしょうね。(11/02)
「アート・オブ・ピアノ 20世紀の偉大なピアニストたち」
「アート・オブ・ヴァイオリン」
「アート・オブ・コンダクティング 今世紀の偉大な名指揮者たち」
「アート・オブ・コンダクティング2 黄金時代の伝説的な指揮者たち」
「アート・オブ・シンギング 偉大なる名歌手たち」

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