●累計180万部突破の大ベストセラー、「成瀬は天下を取りにいく」「成瀬は信じた道をいく」に続くシリーズ完結編、「成瀬は都を駆け抜ける」(宮島未奈著/新潮社)を読む。滋賀県大津市に住むヒロイン、成瀬あかりを主人公とした青春小説。今回もこれまでと同様、連作短篇集であり、それぞれの短篇ごとに視点が入れ替わり、周囲のさまざまな人物から見た成瀬の姿が描かれる。成瀬は常に他人からの視点でしか語られず、その内面は決して描かれない。中学生時代から始まったシリーズだが、すでに成瀬は京都大学理学部の学生になっている。あいかわらず、自分をナチュラルに信じることのできる子で、他人の目をまったく気にしない。メンタル健康優良児とでもいうか。みんながこうありたいと望むような人物像なんだと思う。大人も子どももそれぞれの読み方で楽しめて、読後感は爽快。主人公がだんだん大人に近づくにしたがって、描き方が難しくなってくると思うので、これでシリーズ完結は納得。
●琵琶湖小説としても秀逸。読むと琵琶湖に行きたくなる。びわ湖ホールのコンサート予定を調べてみようかな。
January 20, 2026