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August 5, 2026

メルヴィル「白鯨」 その1 スターバックスの由来

スターバックス
●夏は読書感想文の季節、名作を読む季節。ハーマン・メルヴィルの「白鯨」(八木敏雄訳/岩波文庫)をたっぷり1か月以上かけて読んだ。新訳で、とても読みやすい。上中下巻の全3冊からなる大長篇だが、電子書籍で読むと厚みとか重量感がわからないのが惜しいところ(それでも電書がいい)。
●この翻訳の訳注を読んで知ったのだが、コーヒー・チェーン店のスターバックスの名前は、「白鯨」の一等航海士スターバックに由来するのだとか。これって有名な話? 訳注によれば、スターバックスのホームページには「スターバックスの名前は『白鯨』に登場するコーヒー好きの一等航海士スターバックに由来しています」と記されているという(ただし、今はもうないかも)。スターバックがコーヒー好きかどうか気になって、上中下巻のそれぞれで「コーヒー」を全文検索してみたが、とくにこの登場人物とコーヒーを結び付けるような記述はなかった(こうして全文検索できるから電子書籍がいいのだ!)。まあ、世の多くの人はコーヒーが好きだから、スターバックもきっと好きなのだろう(投げやり)。
●一等航海士スターバックはクエーカー教徒の家系に生まれ、背が高く、真摯な男で、「二度焼きのビスケットのように引きしまった体をしている」。沈着冷静、堅忍不抜、しかし情にも厚い。「鯨をおそれないような者は、わたしのボートにはひとりも乗せん」と宣言するほどなので、危険を正しく評価できる聡明な航海士ということになる。船長のエイハブが、かつて白鯨に片足を奪われて復讐心に燃える狂気の人であるのに対して、副官のスターバックは理性の人なのだ。スターバックは怪物的なエイハブとしばしば対立し、白鯨に立ち向かうそのときがやってくると、理性によってエイハブを止めようとする。ちなみに、このふたりの対話の場面を描いた第132章は「交響楽」(Symphony)と題されている。両者は決してわかりあえないことがわかる章なんだけど、まるでスターバックとエイハブが恋人同士みたいだなって感じるくらい、ふたりの間に特別な結びつきが生まれている。
●スターバックの人物像にたしかにコーヒーは似合いそうである。カフェインで覚醒していて、いつも現実を見ている。キャラメル・フラペチーノは似合わないかもしれないが。

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