News: 2006年3月アーカイブ

March 30, 2006

その海は潜在意識の記憶から実体を生み出し自我さえ与える

●お、昨日のレム訃報にトラックバックがいくつか。実はファンは多いのかもしれん。音楽ファン的には六国峠さんの記事にあるように、レム原作のタルコフスキーの映画「惑星ソラリス」で使われたバッハ「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」が印象的だったという方が多いのでは。冨田勲のシンセ版「ソラリスの海」もあったっけ。タルコフスキーの映画では、江村哲二さんの記事でも触れられていた、東京の首都高が近未来都市として出てくるという大胆すぎる映像が有名(だれかが「あれは未来のロシアでスゴい日本ブームがおきてるんだ」とかムリヤリ解釈してた。笑)。ガキの頃に見たときは途中で退屈して寝てしまったが、これを機にもう一度DVD見るしか。タルコフスキーなんだし。でもまた寝ちゃったらヤだなあ。
●小澤征爾がキャンセルしてフィリップ・オーギャン指揮となった東京オペラの森「オテロ」公演、タイトル・ロールのクリフトン・フォービスも体調不良で降板していたが、本日と4月2日の公演は出演する、と(公式サイトNews)。この「オテロ」、公開ゲネプロしか見ていないんだけど、クリスティーネ・ミーリッツの演出は斬新でおもしろかったっすよ。

March 26, 2006

「運命の力」@新国立劇場

こっそり手紙を見てしまおう、どうせ誰も見ていない……いや、自分が見ている!(ドン・カルロ)

カモン、ヴェルディ●金曜夜は新国立劇場でヴェルディの「運命の力」。レオノーラ役のアンナ・シャファジンスカヤ、ドン・アルヴァロ役のロバート・ディーン・スミス、ともにすばらしかった。いつでも通える地元の劇場でこれだけのものが聴けるんなら満足。もっともワタシは「声の魅力」とは全然無関係のところでオペラを楽しんでいるのだが。井上道義指揮東響、エミリオ・サージ演出。
●で、「運命の力」、この作品を劇場で見るのは初めてだったんだけど、これまたヘンな話である。本来18世紀初頭のスペインを舞台に、自分の意思や信念に反して運命に翻弄される人々を描いており、これがサージ演出では20世紀前半のスペイン市民戦争へと舞台を置き換えている。そこまではよい。でもなー、妹をたぶらかして親父を殺した男を復讐するのはともかく、どうして自分の妹まで殺さなきゃいかんのかね。親父が死んだんなら、せめて妹は大切にしろよ。
●とはいえ、この背景にはたぶらかした男(ドン・アルヴァロ)の血が卑しいという背景がある。ドン・アルヴァロはインカの血を引く混血児で、スペイン側には民族的な差別感情がある。でもさ、それ途中でドン・アルヴァロが独白するところでやっと知ったんだけど、かなり唐突であってそんな設定があるならもっと先に言ってくれー。っていうかそれより重大なのはドン・アルヴァロが「逃げるときに離れ離れになったレオノーラはもう死んじゃった」って早合点するのが不自然すぎるわけで、気になってしょうがないぞ、そっちの説明をちゃんとしろよ。等々、明らかにオペラにふさわしくないツッコミを内心で次々と入れてしまうのであった。もちろんラストシーンもつっこむ。瀕死の兄貴に殺されるのかよ、妹は。ササッとよけろよ。ていうか君ら、全般に血生臭くてどうかしてるよっ!
●「運命の力」はやたらと陰惨な話なのに、コミカルな場面、役柄(行商人トラブーコ、修道士メリトーネ)があって、これは大変興味深い。不気味でブラックなユーモア、シニカルな笑いがある。これを道化的な仕草のコミカルさなど安い笑いに収めてしまうと、かなりつまらないことになるなと勝手に解する。
●レオノーラはどうして女子修道院じゃダメなのかと不思議に思うワタシは、きっとなにか基本的な事柄を了解していない。なにも岩山にひきこもらなくても。

March 19, 2006

超高速モーツァルト・メソッド~ビミョーにモーツァルトイヤーその4

●週末新宿にでかけると Free アルバイトニュースを配布中。……あの、お兄さん、それワタシに手渡そうとするですかっ!
超高速モーツァルト・メソッド●書店に平積みになっておりました「超高速モーツァルト・メソッド」。先日、当欄「1.5倍速でぶっ飛ばせ、いや飛ばさない」って記事で、HDDレコーダーで1.5倍速再生すればベートーヴェンの「第九」70分も47分でめでたく人類抱擁にたどり着くとかふざけて書いたけど、世の中1.5倍速ごときじゃ全然許してくれない。なんと、「モーツァルトの曲を、倍速・4倍速・8倍速・16倍速で聞くことで、脳が入ってくる情報を超高速処理する働きが生じる」んすよ! 国連世界平和賞(ってなんだっけ?)を受賞したという著者の方が仰ってます。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を超高速収録。実感するなあ、モーツァルト・イヤーを。ワタシもがんばって脳内高速再生で「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を16倍速、256倍速速、65536倍速、16777216倍速再生に挑戦、ついには「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と長い名前を呼び終える前に1楽章から4楽章まで全曲再生終了、次回はさらに脳強化して「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲に挑戦。

March 15, 2006

バック・トゥ・ザ・サロン・ミュージック

●「ショパンのアンサンブルを19世紀のサロンの響きで」と題されたコンサートへ(第一生命ホール)。浜松市楽器博物館のフォルテピアノ(プレイエル)でショパンのピアノ三重奏曲やピアノ協奏曲第1番の弦楽五重奏伴奏版を聴けるというめったになさそうな好機。フォルテピアノ小倉喜久子氏、ヴァイオリン桐山建志氏、チェロ花崎薫氏他。
●ショパンのピアノ協奏曲の室内楽版はこれまでにCDでもいくつもあったけど、ワタシは今回初めて聴いた。録音や放送メディアがない時代、オーケストラ部分を室内楽編成で演奏することで、演奏機会を増やし、楽曲を広く伝えることができたというのは容易に想像可能としても、実際に目にすると単にオルタナティヴな協奏曲っていう以上のインパクトがあった。コンサートホールの音楽だったものが、すっかりサロン・ミュージックに変容していて驚愕。チェロ(とフォルテピアノ)以外のみなさんが立って弾いているっていう視覚的な面でも鮮度高げ。プレイエルの響きも満喫できた。オルガンがorgan[器官]なら、プレイエルはinstrument[器械]、スタインウェイはmachine[機械]って気がする。とかいいつつ、でもいつもはラブ機械。さあ、機械の体を手に入れるためにアンドロメダへGO!(意味レス)。
●演奏会の模様は5月1日のNHK-BS2の「クラシック倶楽部」にて放映予定。
●昨晩は冷えたっすね。恒例、DHCのFROM 40にて「オトナのためのクラシック音楽入門」第14回更新なり。

March 7, 2006

「は~、こりゃ極楽だね♨」とマーク入りで呟いたクラシック者

●来月東フィルにてマーラー「復活」を客演指揮するダニエル・ハーディングだが、山尾氏の「ハーディング、NOW!」で案内されているように、「公開リハーサル&ラウンド・トーク」なるものが開催される。4月5日(水)東京オペラシティ、募集人数はなんとドーンと200名様。詳細および応募は以下のハーディング公式サイトから。

http://www.danielharding.com/jp/

●夜中になんか聴きたいなと思ってネットをウロウロして、Sveriges Radio P2でトーマス・ダウスゴー指揮デンマーク放送交響楽団のライヴ。クンツェンの交響曲ト短調を途中から。おお、はじめて聴いたけど、実にいい曲ではないか。続けてモーツァルトのレクイエムへ。おもしろい。ブロードバンド時代になってからクラシック音楽を聴きはじめた人はいきなり天国っすね。ラジオでもオンデマンドでも無料でライヴ音源を山ほど聴ける(しかもなかなか質の高いものを)。エスタブリッシュされた「過去」はCDや有料音楽配信で購入、今まさにそこにある「現在」は無料放送のチャンネルをどんどんザッピングして浴びるように聴く。これにジジイが文句をいうとしたら、それは恵まれすぎている若者への羨望。

March 3, 2006

マゼール/ニューヨーク・フィル ライヴ 3/8まで配信中 ~ビミョーにモーツァルトイヤーその3

●クラシックの音楽配信といえば、演奏団体が自ら音源を提供するというケースも少なくなく、たとえばニューヨーク・フィル。ネットラジオ(FM局)での中継もあるが、他に期間限定でアーカイヴを公開してくれていて、これは時差とか放送日を気にしなくていいからありがたい。現在掲載されているのはマゼール指揮によるモーツァルト後期三大交響曲のライヴ。要Real Player。登録も料金も一切不要で聴けてしまう。天国だなこりゃ。期間は3月8日まで(8日からは次の演奏会、スパーノ指揮、アプショウ独唱のバルトーク&バーンスタイン・プロが掲載される。各公演2週間ずつ公開の模様)。
●そんなわけでPCの音声出力をそれなりのオーディオ装置につなげると大吉……が、配置的にメンドくさげな状況なので、PC付属のおまけスピーカーで聴いてしまった。いやー、実にカッコいいっすよ、マゼールのモーツァルト。時流に逆らってゴージャスでリッチ、しかもマゼール節健在、100%人工的で作為的なルバート、デュナーミクがあちこちで炸裂、楽しすぎる。これ聴いて「うはっ!」って爆笑したりすると、かなり内向きなクラヲタっぽい感じ(笑)。エンタテインメント精神満点、痛快なり。
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●amazon.co.jpにてモーツァルト・ストアオープン。5-15%OFF セール開催中。

March 2, 2006

音楽配信サイトMaXMuseにてBEST CLASSICS100他

●CDから音楽配信への流れってのは、予期してた以上に加速してきてるのかもしれん。少し前までは、「どうせクラシックは他のジャンルより遅れるだろう、ユーザー層に抵抗が強いから」なんて高をくくってたんだけど、新録音の難しくなったクラシックだからこそ、各レーベル旧録音のネット配信をやらなきゃしょうがないってことになりつつあるのかも(あともう一本の柱はライヴ音源の配信)。
●と軽く枕を置いたところで、告知。音楽配信サイトMaXMuse(マックスミューズ)のクラシック・コーナーについて、いくつかお手伝いをさせていただいている。同サイトはJPOP、ハロー!プロジェクトからジャズ、クラシックまでオール・ジャンルを扱う、1曲から購入できるダウンロード販売サイト(要Windows)。クラシックに関しては、今のところマニアな方よりは「これからいろんなのを聴いてみたい」っていう方を念頭に置いてて、まずはベストセラーになっているEMIのBEST CLASSICS100 他を配信。現状、音源は東芝EMIさんの国内制作分とアートユニオンさんのカタログ、今後EMI国外分など拡大予定あり。まだまだ音源数は限られてるけど、慌てるな、「千里の道も一歩から」。
●とりあえず、クラシックでは以下のコーナーができているので、ご一瞥いただければ幸い。

BEST CLASSICS100 (先日のNHKホールでのコンサートレポートあり)
http://www.maxmuse.com/pt/cms/SpecialClassics.html
MaXMuse クラシック/ヒーリング
http://www.maxmuse.com/pt/ForwardGenreShop8.do
MaXMuse モーツァルト特集
http://www.maxmuse.com/pt/cms/SpecialMoz.html

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