●いつも大声で独り言をしゃべりながら往来を歩くオバチャンがいる。いや、おそらく独り言ではないんである。話しぶりからすると、会話相手はいる、見えないだけで。生き生きとした話しぶりで、明らかにだれかに向かって話しているふうなのだ。
●「ねえ、あんた、本当にあたしの話、聞いてるの?」
「ああ、聞いてるよ、隣んちの奥さんが人の悪口ばかり言っててイヤんなるって話だろう。それだったら、前にも言っただろう、あそこんちとは付き合うな。最初っから、話さなきゃいいんだ」
「違うんだよ、何度いったらわかるんだ、あたしはねえ、あんたにあたしの話を聞いてほしいんだよ。別に解決策を相談してるんじゃないの。ほぉそうなんだそりゃお前も大変だねえって、ふんふん言いながら相槌を打ってくれりゃあいいんだよ」
「じゃあ別にオレが話を聞いてなくたって一緒じゃねえか。お前が困ってるからマジメに解決してやろうとしてるんだよ」
「そうじゃないんだよ、どうしてわかんないのかねえ、男の人は。あたしはただ話を聞いてほしいんだって言ってるじゃないのさ。それで気が済むんだから、愚痴の一つや二つ、黙って聞いてくれたっていいじゃないの」
「わかった、だったらこうしようじゃねえか。なあ、ここでオレがいちいち相槌を打たなくても、代わりに杓文字を立てておいてもお前は困らないよな。話を聞いてやるだけなら杓文字だって柄杓だっていいわけだろう? 意見してほしいわけじゃないんなら、オレじゃなくてもヒトじゃなくてもいいんだよ。だからこれからは杓文字に向かって話せ」
「……」
「っていうかよ、杓文字じゃなくてもいいわけだ。空気ならどうだ。空気は黙ってお前の話を聞くぜ? だからな、たった今から、このあたりの空気をオレだと思って話せ。いくらでもお前の話を聞いてやるから。ここにあるのが空気であり杓文字でありオレだ。わかったな。さあ話せ」
●あのオバチャンが大声で独り言を話しているのは、きっとそんな顛末があったからだと踏んでいる。
Uselessの最近のブログ記事
オバチャンの正体
ペプシ1.5リットル
見出しのつけ方
●雑誌でも書籍でも、見出しのつけ方は大切である。多くの場合、見出しは編集者がつける(が、最近はライターが書くことも多い気がする)。特に雑誌になると、大見出しがあって、リードがあって、本文中に小見出しが何本も入って……と見出しの数が増える。見出しは記事の内容を簡潔に伝えるものでなくてはならない。だが、あまりに淡々として新聞みたいになってしまうと、引きが弱くなる。「ついに出会った至高の名盤とは!?」みたいに、とにきは煽らなければならない。あとは「ん、これってなんだろう?」と読者に思わせるような変化球も(たまに)必要になる。
●↑と、いうのが活字時代の見出しだった。ところがブログになると事情はぜんぜん違ってくる。ワタシも最初のうちはつい見出しで読者の気をひこうとか考えてしまったのだが、これはあまり得策ではないと気づいた。ブログの見出しは人間の読者よりも、検索エンジンを相手に書かなければいけないんである。つまり、アンナ・ネトレプコについて記事を書くんだったら、「ネトレプコ」で検索したときにどれだけそのページの順位が上に来るかによって、そのページの先々の累積的なヒット数が変わってくる。そこで紙媒体のノリで「メトロポリタン・オペラの常連客が立ち上がって拍手を送る美貌の歌手とは」みたいに見出しをつけてしまうと、「ネトレプコ」で検索してもなかなかヒットしない。じゃあどうするのがいいかっていうと、たぶんその記事の見出しは「アンナ・ネトレプコ」とか「ネトレプコ大好き」とか「ネトレプコとは」にしたほうがいい。なんの工夫もなく、そのまんまのほうがいいんである。「そのまんま」というのは、細かいことをいえば最高ではないが(つまり対検索エンジン的により効率のよいテクニックはあるかもしれないが)、少なくともかなりよい方法ではある。労力も不要だし。
●このエントリーは見出しのつけ方について書いている。したがって、見出しは「見出しのつけ方」がふさわしい。
猛暑日に飲みたいドリンク
●東京は猛然と急激に暑くなった。34度、灼熱の6月。東電の電力使用率は午前中に90%を超えた、といっても大地震直後の計画停電シーズンにはもっと差し迫った数字を見ていたから、それは気にならない。節電にも協力する。しかし暑さそのものにはどう対抗したらいいのか。まずはとにかく水分補給だ。適切に水分と、そして糖分も摂らねばならない。
●そこでまず、「まろやかバナナクリームソーダ」だ。UCCのサイトにも「その他飲料」としてしか扱われず、商品URL一つ作ってもらえないという存在感の薄さだが、これは鋭い。クリームソーダといえば、普通はメロンソーダ。でもクリームソーダをペットボトルで提供しても、十分にはクリーミーにならず、しかももともとメロン感もない。そこでメロンをバナナに置換する。ドロッとしたバナナ・テイストの擬似クリーミー感によってクリームソーダ幻想を喚起させるというあざとさ。狡知に長けている。ドロッとしてスカッというアンビバレントな喉ごしの愉悦。おいしい。だが最大の弱点がある。「カロリーゼロ」なのだ。糖分補給にならない。カロリーなくして満足なし。あと一歩でこの夏を制覇することができたのに。惜しい。
●だが待てよ。メロンをバナナで置換する戦略があるならば、メロンとバナナの合一も可能ではないか。その可能性に気づいたのがタカナシ乳業だ。「メロンバナナミルク」(乳飲料)。ヲタク男子ならバナナミルク、大好きだよね。そのバナナにメロンが加わって、メロンバナナミルクという鬼に金棒感。紙パックも好ましい。黄色く熟れた甘そうなバナナ、そしてゴージャスなマスクメロンのイラストを、果汁2%でありながら堂々と描いたパッケージ・デザインの大胆不敵さも好印象を与える。その果汁2%のうち、バナナとメロンは1%ずつなのか、それとも1.9%と0.1%なのか。そんなことを思い悩むのも愉快である。唯一の難点は、メーカーサイトに商品の固定URLがないどころか、商品そのものも掲載されていないという、ネットプレゼンスのなさ。見切らないでほしい。
●最後にもう一点。大塚食品の tonika (トニカ)。音楽的なネーミングだが、狙うのは「味も刺激も新ジャンル」という「ビター炭酸」。この分野には待望の新商品だ。「ビターで、炭酸? だったらビール飲めよ」と思われるかもしれないが、飲めない/飲まない人間には、大人向けの苦味を味わえる炭酸飲料というのは貴重な存在だ。飲んでみると、たしかにほのかに苦く、しかもピーチ味だ。なんと、ピーチ味・果汁3%という贅沢仕様。しかし、なぜ「ピーチ味・果汁3%」なのだろうか。これはもしかすると「ピーチ味だけど、ピーチの果汁が3%とは言ってませんよ」という意味だろうか? ピーチ味だけど、果汁はピーチとバナナとミカンが1%ずつとか。あるいはピーチレスで全部バナナでした的などんでん返しがあるとか? エキサイティングである。ただ、甘みもあるのに、これがまたカロリーオフなんである。なぜ果糖ぶどう糖液糖が入っていないのか。それと290mlという内容量の微妙な少なさが爽快感を減じていることは否めない。カロリーあり350mlバージョンの登場が待たれる。時代はカロリーオフからカロリー・リッチへ!
ニッポン代表、非公式サッカー世界王者タイトルを当面保持か
●ニッポン代表、7月に招かれていた南米選手権を辞退。残念である。が、これはしょうがない。震災でJリーグの開幕が遅れてしまったので、国内リーグの日程を優先するしかない。
●で、これでサッカー世界王者のタイトルは当分、ニッポン代表が保持することになった。えっ、なんだそりゃって? あるんすよ、「非公式サッカー世界王者」Unofficial Football World Championships ってのが。つまり、ボクシングと同じ考え方をするんだけど、世界王者と戦ってもし勝ったらそのチームが新たな世界王者なんじゃないかと思うじゃないすか、ファンのバカ話のレベルで。で、仮想的にチャンピオンベルトみたいなのがサッカー界で次々移動しているとすると、どこが王者かっていうのを延々と歴史をさかのぼって調べた人がいて、ちゃんと UFWC っていう公式サイトも立ち上がっている。公式サイトっていうのは、この「非公式タイトルの公式サイト」って意味だが。
●これ、スコットランドのファンがふざけて考え出したっていうんだけど、好きだなあ、このノリ。1872年にイングランドとスコットランドと対戦したのが史上最初の国際試合ということで、初代チャンピオンであるイングランドから100年以上この非公式タイトルは続いている(仮想的に)。2010年のワールドカップ前にはこのタイトルはオランダが持っていた。が、決勝でスペインがオランダに勝利して、ワールドカップ・チャンピオンになるとともに「非公式サッカー世界王者」にもなった。その後、2010年9月の親善試合でアルゼンチンがスペインに勝って世界王者になった。で、その一ヵ月後、なんとなんと、埼玉でニッポンがアルゼンチンと親善試合をして1-0で勝ったわけだ。ニッポン、ついに世界王者へ(笑)。ニッポンはそれまで過去5回「非公式サッカー世界王者」に挑んで、そのすべてに勝つことができなかったそうだが、そんなの誰も知らないって。
●で、ニッポンは韓国との親善試合を経て、1月のアジア・カップに挑み、無敗のまま優勝した。つまり依然このタイトルを防衛し続けているわけだ(引き分けはタイトル防衛となる)。これで南米選手権に臨めば、ニッポンが無敗で終わらない限りタイトルは南米勢に移ってしまうところだったが……。
●ところで、先日、ニッポン代表はJリーグ選抜Team As Oneと試合をしたではないか。もしあれで代表が負けていたら、このタイトルは半永久的にJリーグ選抜Team As Oneが保持することになったのではないかと心配する方もいらっしゃるかもしれない。が、UFWCのサイトによればあの試合はタイトルマッチとはみなされていないんである。ただし、試合のレポートはちゃんとサイトに掲載されている。Japan 2-1 J-League Team As One ということで、得点者の欄には Miura (J-League)と書かれている。非公式タイトルの非公式試合の記録だけど、世界に向けて(?)三浦カズの名が刻まれているということになんだか感激する。
夏の東亰23区では輪番発電を実施
●計画停電を4月1日も実施しないことを決めた東亰雷カだが、この夏の電力不足は避けられそうにない。現在の東亰雷カの電力供給力は約3800万キロワット。しかし7~9月は約6000万キロワットが必要となると予測される。夏はさらに規模を拡大して輪番停電が実施される見込みだが、これまでのところ東亰23区では荒川区と足立区を除いて停電対象外となっており、「なぜ東亰23区ばかりが優遇されるのか」といった不公平感が高まっている。しかし東亰雷カでは「首都機能維持のためには23区の多くを対象外とせざるをえない」とし、不公平感の解消のため「荒川区と足立区を除く区部では輪番停電に代わって、輪番発電を区民の皆さんにお願いしたい」と発表している。輪番発電は各家庭および事業所にパーソナル発電機(写真)を導入し、あらかじめ定められたグループごとに各回3時間以内程度の発電を利用者に義務付けるもの。「再生可能な自然エネルギーによる発電であるため、区民のみなさまにもご理解をいただけるものと思う」(同社広報部)と発表されているが、どこまで区民の協力が得られるかは未知数だ。
●なお、輪番発電の実施の発表にともない、区部の組み分け抽選会も同時に開催され、その模様は全23区に衛星生中継された。グループ分けは以下の通り。もっとも気温の高い時間帯に発電することになったグループBが「死のグループ」とみなされている。「夏を迎える前にしっかりと暑さ対策のトレーニングを積んで発電に臨みたい」(中野区民)といった声も。また、千代田区が今回も対象外となったことは議論を呼びそうだ。
| GroupA( 9:00~12:00) 中央区、港区、文京区、世田谷区、品川区 |
| GroupB(12:00~15:00) 新宿区、中野区、杉並区、練馬区、大田区 |
| GroupC(15:00~18:00) 墨田区、江東区、北区、板橋区、江戸川区 |
| GroupD(18:00~21:00) 渋谷区、目黒区、台東区、豊島区、葛飾区 |
妻がプログラマの夫に買い物を頼んだら
●Twitter上で見かけた「プログラマにお使いを頼んだら」ジョーク。出典はここかな。
●妻がプログラマの夫に買い物を頼んだ。「牛乳を1つ買ってきてくれるかしら。もし玉子があったら6つ買ってきてちょうだい」。しばらくすると、夫が牛乳を6パック買ってきた。「いったいどうして牛乳を6パックも買ってきたのよ!?」「だって、玉子があったから」
あの人たちのクリスマス
●心なしかスパムメールが減ったかのように感じる年末。特に外国産。スパム業のみなさんもクリスマス休暇に入るのだろう。メリークリスマス。クリスマスイブになると、スパマーたちにもサンタさんはやってくる。煙突から大量のサンタさんが侵入してきて、彼らの靴下のなかにダイエット食品や激安向精神薬や推奨銘柄一覧や「大金を相続したから送金を手伝ってほしいナイジェリア人の手紙」を届けてくれるにちがいない。そしてプレゼントをゲットしたスパマーたちは、これらを世界中の人々へと再分配するのだ。