2007年11月アーカイブ

November 30, 2007

ほぼ師走体勢な日々

●年末に東京国際フォーラムで開催される「輝け!エア・コンダクター」、12月5日まで募集中。応募に当たって30秒程度の映像が必要なのがやや敷居が高いかなと思ってたんだけど、携帯電話の動画メールとかでオッケーなんだそうです。初代チャンピオンを目指すなら今しか。応募要綱はこちらで。
須栗屋敏●昨日のDHC 秋のカルチャー・セミナー「クラシック音楽入門」にお越しいただいた方々にお礼を。ありがとうございました。「みなさまの来年の運勢は猛吉である」とウチのレジデント・フォーチュンテラー須栗屋敏先生が申しております。
●須栗屋敏先生にそろそろ来年の準備をしてもらわねば。
●オペラなどのDVDをリリースしているTDKコアだが、TDKからコロムビアミュージックエンタテインメントへの株式売却にともなって、サイトのURLもコロムビアに変更されている。社名はそのままなんでしょか。
TDKコア http://cmecr.columbia.co.jp/

November 29, 2007

七つのヴェールの踊り

●今回のドレスデン国立歌劇場(ゼンパーオーパー)、ワタシはなにも行かなかったんだけど、ムスバッハ演出の「サロメ」は相当おもしろかったみたいっすね。「七つのヴェールの踊り」の趣向を人から聞いて笑ってしまった。一歩まちがえると「モンティパイソン」のネタにもなりうる。
●もともと少女が男の生首を求めるという点で「サロメ」はとんでもない話だし、実際にそうするかどうかは別として、「七つのヴェールの踊り」ではサロメが全裸になるという設定だから、このオペラは良くも悪くも話題になりやすい。
●今思いついた顰蹙のがっかり演出。「七つのヴェールの踊り」で、最初からほとんど裸同然の歌手が出てくる。曲とともに歌手は一枚一枚、衣服を着始める。ブラウス、タイツ、スカート、セーター、マフラー、コート……、音楽が高潮するとともにサロメはどんどん厚着にっ! 衝撃の厚着フェチ向け演出。ってのはどうか。

November 28, 2007

ベーゼンドルファーの売却先はヤマハ?

ヤマハが逆転買収へ=ピアノ名門ベーゼンドルファー-英タイムズ紙報道(時事通信)。そのもととなっている英タイムズ紙の記事はこれかな→ Yamaha calls the tune in fight for pianos。もう少し詳しい経緯が書かれている。売却額は1400万ユーロってことであってる? いったんは1100万ユーロを提示したウィーンのJoseph Brodmann Piano Groupに売却されることに決まりかけていたようだが、逆転でヤマハへ、いうことらしい。企業買収のことなんてなにもわからないから、この金額が高いのか安いのかもさっぱりわからない。買う側に関心の集まるニュースだとは思うが、どちらかといえば売る側の事情のほうが知りたいかな。
●紹介するのが遅れてしまった、来日公演を行ったドレスデン国立歌劇場(ゼンパーオーパー)の来日ブログ。ドイツ語なのでワタシは読めないんだけど、写真だけでも。

November 27, 2007

ワールドカップ2010アジア予選組合せ決定

●ワールドカップ2010南ア大会のアジア予選組合せが決定。「やべっちFC」で生中継をしていた場面を見てドキドキしていたんだが、あの南アの抽選会場って観客はゼロなの? 抽選結果が発表されてもだれも「ワー」とも「キャー」とも言わない、無人っぽい寂しさ。まあ、世界的にはきわめて関心の薄いドローなんだろうけど。
●第4シードから第1シードの順に抽選を進めて、結果はこうなった。

1組 オーストラリア、中国、イラク、カタール
2組 日本、バーレーン、オマーン、タイ
3組 韓国、北朝鮮、ヨルダン、トルクメニスタン
4組 サウジアラビア、ウズベキスタン、レバノン、シンガポール
5組 イラン、クウェート、アラブ首長国連邦、シリア

●第1シードのくじを引く前に、1組が中国、イラク(現アジア王者)、カタールまで決まっていたので、この時点で1組が「死のグループ」確定(ここで会場にドッと沸いてほしかったぞ)。ていうか、第2が中国はしょうがないにしても、第3がイラクで第4がカタールというムチャクチャな激戦区。「頼むからニッポンはここに入らないでくれ」と祈ると同時に、「たぶんオーストラリアが来るんじゃないか」と予想したら、ホントにオーストラリアだった。
●「アジア・サッカー連盟のなかでもっとも政治力の弱い第1シードがここに来る」と予感したわけなんだけど、たぶん妄想。でもワタシはこういうくじ引きに仕掛けがないとはなかなか信じられない。あのクジが入っている球体のケース、きっと暖めたのと冷やしたのが入っていて、手で区別できるようになってるのだ、ほら、今回もサウジと韓国は比較的いいグループに入ってるだろう……みたいなサッカー陰謀史観は危険な発想だからやめておくか。
●ニッポンは2番目か3番目に厳しいグループに入った。近年伸張著しいバーレーン、いつも接戦になるオマーン、前回のアジアカップで地域全体が一気にレベルアップした東南アジアの強豪国タイ。まだこれが最終予選ではないので上位2位に入ればOK。ここで落ちる可能性は少ないけど、でもなにが起きるかわからないのがサッカー。「ランクで決まるのなら試合は要らない」は岡田武史元マリノス監督の名言。
●代表監督、オシムの後任にその岡田武史さんという報道が。人選もそうだが、契約期間も気になる。もちろんオシムの容態も。

November 26, 2007

秋晴れにハイク

林道を抜けるとそこは山道だった●J1もJ2も優勝・昇格・降格すべてにおいて大混戦という週末だったが、マリノス的にはモチベーションが見つけにくいこともありサッカーに背を向ける。
●で、そろそろ冬っていうときに秋晴れの週末、しかも二週連続、あれこれ慌しいのに紅葉とか緑とか山歩きの誘惑に負けて、またしても奥武蔵ハイクへ。ウチから一時間で行けるほとんど唯一の山、日和田山→物見山コース、最高標高375mというヌルさ(笑。ちなみに高尾山で600mくらい)、キッズたちの遠足コースレベルという安心感が吉なほのぼのコース。でも見晴らしのいい場所はいくつもあるのでこれで十分だな。ていうかもっと低くても全然OKな軟弱者であり、ラブ管理された自然&整備された道の山歩き。冒険の旅に出かけない派。
●コース途中にポツポツと民家があって、その自然環境のすばらしさに羨望を感じるんだけど、でも実際に住んじゃうとあっという間に都会の便利さが恋しくなるんだろなー。って先週も書いたか。
--------------
告知を一つ。DHC 秋のカルチャー・セミナー「クラシック音楽入門」、いよいよ今週29日(木)18:30~開催します。ワタシが音楽の楽しみについてしゃべります。まだまだ席に余裕がありますので、よろしければ来てやってください。

November 25, 2007

ボーン・アルティメイタム(ポール・グリーングラス監督)

ボーン・アルティメイタム●映画館で「ボーン・アルティメイタム」、前2作を気に入っていたので前売りゲットして。3部作完結編(たぶん)。第1作「ボーン・アイデンティティ」は記憶喪失の状態で海で拾われた男が「自分って誰?」という問いに答えを探す物語だった。以降、題名通り、主人公ボーンは世界各地で「自分探しの旅」を続ける中田ヒデ状態になるわけだが、そのボーンが特殊訓練を受けた殺戮マシンだっていうのが良いのであり、自分探しに決着を付けたのがこの第3作。荒唐無稽なスパイアクション度はさらにパワーアップ、大変楽しい。3作目ですでに自己模倣的なネタの反復もあるけど、おもしろいから気にならない。
●ただし手持ちカメラで画面が猛烈な勢いで揺れたり変わったりする演出があるのが、三半規管脆弱な自分には辛くて、途中ですっかり画面酔い。アクションは人が動けよっ、カメラが動くんじゃなくて!と軽い嘔吐感を感じつつうつむく、求む酔止め薬。映画館の床、危機一髪。主演マット・デイモンは今回もマッチョであり、アクション全体に肉度は高いが、さすがに体型には年齢の影響も出てたかと。とはいえ迫力満点なので、映画館の大スクリーンが圧倒的に吉。

November 22, 2007

東に音楽、西に北京

●寒くなってきた。国立競技場ではニッポンU22の出場権をかけた五輪予選最終戦、vsサウジアラビア。しかしスマソ、サッカーの神様、試合は中継を録画しておいて、ヘンシェル・クァルテットへ(第一生命ホール)。ハイドンの弦楽四重奏曲第74番「騎士」(かなり楽しげ)、ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」、ブラームスの弦楽五重奏曲第2番(+澤和樹ヴィオラ)。満喫、すばらしく。ほぼ完璧同時刻に行われているヤング・ジャパンの結果が気になるが、気になるからといって誰かにいきなり結果を教えられても困るんである。帰ってから見るんだから。でもまあ、この時間にコンサートに来てる人が、いきなり休憩中にワタシめがけて「今3対1ですよ!」とか言う心配はない。
●ワタシは得意の妄想をはじめた。今これだけ見事なクァルテットの演奏がここにある。場所は勝どき。名前、縁起よし。同時刻の千駄ヶ谷となにかがつながってる気がする。「騎士」の終楽章は鮮烈で、でも少しユーモラス。U22でいえば、平山がゴールを決めて、笑みを浮かべながらアネルカのゴール・パフォーマンスをまねる場面だ。1点先制。ヤナーチェクはだれとも似ていない音楽。エキゾチックであるが洗練されている。カレン・ロバートだな。2-0。ブラームスは五重奏なので、ヴィオラが途中出場して中音域を厚くする。おそらく中盤に交代選手が入った。梅崎だろう。完璧なハーモニーで3-0。音楽を堪能し、勝利を予感、満足して帰路についた。
●夜中に録画を再生すると、反町ジャパンはサウジアラビアの予想外の激しい攻撃にさらされ、ゴール前で体を張って守っていた。平山もカレンもベンチにすら入っていない。梅崎はベンチにいるが途中出場しない。泥臭いファイトで0-0。1失点すればすべてが終わっていたが、めでたく五輪出場権は獲得した。水本、偉い。泣く水野。ワタシの妄想力はまだまだ未熟だった。

November 19, 2007

ノーフットボール秋晴れウィークエンド

●先週末は朝日カルチャーセンターで片山杜秀さんのレクチャーを聴講。「現代音楽超入門~西洋と日本人作曲家」というテーマで、武満徹と黛敏郎を鮮やかに対比させてみせたり、津島利章がジョリヴェに師事してたりするんだけど、劇伴の分野で活躍してて、音楽的には「隠密侍危機一発」あたりにジョリヴェの影響がうかがえるのに、世間一般では圧倒的に「仁義なき戦い」のテーマばかりが知られている、とか。おもしろすぎる。1月に「片山杜秀の本1 音盤考現学」が刊行予定(アルテスパブリッシング)。
●オシム監督倒れる。とニュースを耳にして、落ち着かない。祈、回復。
●週末、あれこれ立て込んでいて仕事するつもりだったけど、秋晴れの誘惑に負ける。今年のラストチャンスかなと思い、奥武蔵方面へ出かけて軽い山歩き。山の緑と紅葉を眺め、小川のせせらぎと小鳥のさえずりを聞く。登山は全然イヤだが(しんどいから)、山歩きはしたいという自分の軟弱な欲望を正しく把握する。緑がたくさんあるところはいいなー、こういうところに住めたらすばらしいだろなーと羨望。が、きっと住んだら新宿とか渋谷をうらやんでしまうのかもしれん。どっちも錯覚なのか。でも錯覚力は必要だしなー、人生には。

November 16, 2007

エンリコ・オノフリ指揮のモーツァルトが11/21にリリース!

オノフリのモーツァルト●聴いた人はきっと覚えている、昨年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で鮮烈な印象を残してくれた、エンリコ・オノフリ指揮ディヴィーノ・ソスピーロのモーツァルトを。「聴きなれた交響曲第40番がまるで未知の曲であるかのように響いた」という感想/文言それ自体がいまや消尽されてしまっている感ありで躊躇するけど、でもやっぱり言ってしまう、あのモーツァルトの交響曲第40番がまるで未知の曲であるかのように響いたんすよっ! 先が読めないモーツァルト。オノフリって誰?っていう方には、とりあえずイル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサートマスターと説明。
●で、そのオノフリ指揮ディヴィーノ・ソスピーロのモーツァルトが国内盤CDで11/21にリリースされるのだ(HARBOR RECORDS)。曲はモーツァルトの交響曲第40番とセレナータ・ノットゥルノ(こっちも相当おもしろい)。オマケとして特典DVDがついていて、オノフリ氏のかなりがっつりしたインタヴューとリハーサル風景付き。一足先に中身を聴かせていただいたが、昨年ライヴで聴いた40番そのもの。ブックレットでオノフリ自身が述べてるんだけど、彼はモーツァルトをシュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)の風潮から生まれたものとして見ている。ウィーン古典派のアポロン的な優美な存在じゃなくて、C.P.E.バッハの直後に書かれたアグレッシヴな音楽。「そんなの今さら新しい知見でもなんでもないよ」と思われるかもしれないけど、題目唱えるだけじゃなくて、音楽として実現して、まっさらな状態で出会った聴衆を虜にしちゃう人はそういない。昨年はなにひとつ知らずに聴きにいって腰抜かしたもんなあ。あ、そのときも書いたけど、こういう音楽に出会うたびに、いかに「既知のもの」として片付けずに何度でも驚けるかってのが個人的にきわめて重要。
●ちなみにオノフリは来年1月、浜離宮朝日ホールのヘンデル・フェスティバル・ジャパンに来日して、「水上の音楽」と「戴冠式アンセム」を指揮してくれる。公認ファンサイトができているので、詳細はそちらへ。

エンリコ・オノフリ ファンサイト

November 15, 2007

浦和レッズがアジア・チャンピオンズ・リーグ優勝

アジアだ!●浦和サポのみなさま、アジア・チャンピオンズ・リーグ優勝おめでとうございます。ひたすらに羨望。
●深夜のBSを録画するつもりでいたら、テレ朝が急遽生放送をすることに。ありがたくもあり、一方、あー、あの中継か、飲み屋のオヤジといっしょに観戦状態かぁと軽くため息も出るわけだが、でも見るしか。しかしテレ朝のテンションの高さはよくわからん。
●アウェイで1-1、決勝第2戦は浦和ホーム。0-0でも優勝という有利な状況、さらに満員の埼スタで圧倒的なサポーターの後押しがあって、開始直後は浦和が一方的にボールを保持する展開。でも相手のセパハン(イラン)も気圧されていたが、浦和の選手たちもかなり緊張気味。Jで戦うときは、ポンテはあんなにミスしてくれない。前半22分で永井が豪快なゴールを決めた前後から、ぐっと試合の密度が高まった印象。後半には阿部のゴールで2点目。アウェイゴール優先の関係で、リードしても決して安心できない状況だったけど、きちんと試合を終わらせたのはさすが。浦和はこの試合を2-0で快勝したのも立派なんだけど、それ以上に第1戦アウェイでゴールを決めて引き分けてくるところがスゴい。
●アジア・チャンピオンズ・リーグになってからは日本のクラブの優勝は初めて、前身のアジア・クラブ選手権時代にはジュビロ磐田(1998/99)、読売クラブ(1987)、古河電工(1986)が優勝している。代表レベルではニッポンはどんどん強くなっている気がしてるけど、Jリーグ開幕以降は磐田と浦和しか勝っていない。J開幕直後、今となっては信じられないことだが、バブル経済の余波でJリーグのクラブにゴロゴロと現役ブラジル代表レギュラー・クラスが在籍していた時期があった。あの頃でもJクラブはアジアを制覇することはできなかった。試合日程が国内リーグと重なって、控え選手をアジアの試合に送り込んだりとか、クラブやリーグ全体の総合力で勝てる状態になかったんだと思う。
●マリノスは日産時代に一度準優勝してるものの、Jリーグ以降に出場した3回はいずれも冴えない戦績。2004、2005はグループリーグ敗退。アジアの戦いで疲弊して、国内リーグにも悪影響を及ぼすという罰ゲーム状態で、仮にグループリーグを突破しても到底その先を乗り越えられそうになかった。今回の浦和は選手層が厚いにもかかわらず、ターンオーバーするのではなく、レギュラー選手をほぼ固定してアジアとJと両方を戦ってこの成績。すっかり水をあけられてしまった。
--------

November 14, 2007

「のだめカンタービレ」第19巻、読んだ

のだめカンタービレ●発売日に読む「のだめカンタービレ」第19巻。懐かしい登場人物も帰ってきて、今回も堪能。ラブコメ的に重要ポイントもりだくさんで読後感は爽やか。ゴールが見えてきた感、大あり。あと入試で日本からやってくる、ありがちっぽい女のコの描写が実に味わい深いんすよ。あー、こういうやたら甘え上手で得するタイプの女のコって、リアルに存在する異次元だよなあ、とか。
●コンクールの名前はこれまでも名サッカー選手で(マラドーナとかプラティニ)、今回もカントナ国際コンクール。コンクールなのに、行儀の悪そうな(元)選手ばかりが出てくる。
●今後「のだめ」関連話題はトラックバック閉じておくことにしよ。これなら伏字にしなくて済むし。

November 13, 2007

リアル月面でキューブリックごっこ

●ルナ!と思わず小さく叫んでしまうほどリアルなのである、たぶんすでにテレビで目にした方も多いであろう、「かぐや」ハイビジョンカメラによる映像。どう見ても特撮にしか見えないが、リアルに月面であり、これが夜空に浮かんでいる丸いアレなんである。それをこうしてネットで見る、観察する、凝視する、その月面にあなたは何を求めるのか。
リゲティ:ルクス・エテルナ●ウサギを探しているのか。あっ、あそこでチラッと見えた耳の長い生き物はウサギでは。そう幻視するのも可、バクテリアもいそうにないこの荒涼とした大地に。
●しかしワタシはウサギを探さない。ワタシがじっとこの映像を見つめ、求めていたのはモノリスだ。どこかにモノリスがあるはずだ! ワタシを進化させてくれないか、そこの直方体よ。CDプレーヤーでリゲティ作曲の「ルクス・エテルナ」あるいは「レクイエム」をかけて上記の映像を見る。見える、きっと見える、モノリスが。おウチで「2007年プチ宇宙の旅」。進化の手ごたえをガツッと感じたときのために「ツァラトゥストラ」を脇に用意する。想像上のオルガンの重低音に鳥肌イン・アドヴァンス。

November 12, 2007

死のシンフォニー (トマス・ハウザー著)

ベートーヴェソ●古い本だが、「死のシンフォニー」(トマス・ハウザー著/創元推理文庫)を読んだ。IIZUKA T'sさんのブログで知ったミステリー。先日のフェルメール贋作関連エントリー(その12)と、関係してるようなしてないような話。
●原題はBeethoven Conspiracy(ベートーヴェンの陰謀)。ニューヨークに住むある若い女性ヴィオラ奏者のもとを、謎の男がパート譜を持って訪れる。「大金を支払うので、この曲を練習して、渡欧して演奏してほしい、ただし本件については一切口外しないでくれ」という。弾いてみるとまったく知らない曲であるが、この曲調はもしかしてベートーヴェン? でも未知のベートーヴェン作品があるとは思えないし……。ミステリなので殺人が起きる。刑事が事件を追う。
●クラシック音楽ファンにとってはとても楽しめる小説だ。未知のベートーヴェン(?)作品を巡って犯罪が企まれるという着想がいい。刑事が事件解決の鍵はベートーヴェンにあると推理して、捜査のために図書館で楽聖の生涯を調べるという趣向も吉(ややムリめだけど)。ただしクラシック好き以外にとってもおもしろい小説かどうかはよくわからない。作品が少し古くて、今だったら編集者にこの2倍くらいの厚さにふくらませてくれって言われるんじゃないだろか。文庫で300ページにも満たない。
●マルCが84年で、初版87年、今は品切か絶版。なので古本でしか手に入らない。少し前なら、こういう本を狙って買うなんてことはできそうもなかったわけだが、今ならamazonのマーケットプレイスに出品している古書店(や個人)からあっけないほど簡単に買える。場合によっちゃ、持ってる本でも書棚から探すより古本を発注するほうが手っ取り早かったりして。こういう便利さが、「絶版本を救え!」的な本への愛情から生まれたわけじゃなくて、効率的に大量に商品を売ろうというオンラインショップのシステムによって付随的に実現しちゃってるのがスゴい。

November 9, 2007

まあ、そう踊るなよ

●朝、NHKをつけっぱなしにしていたら、「おしりかじり虫」のメロディとともに、こんなテロップが流れた。

ただいまの時間は予定を変更して「みんなのうた『おしりかじり虫』 おどって、こたえて、かじってナンボ!」をお送りします。

 予定を変更してまで流さなければならない「おしりかじり虫」、そして飛ばされた番組がなんだったのか、激しく謎。
これ、アニメだからよかったんだけどなー●あと「おしりかじり虫」があのアニメじゃなくて、着ぐるみなんすよ。で、その周りでキッズが踊るっていう実写バージョンになってて、もう紅白出場確実っぽい勢いなんだけど、「おしりかじり虫」が紅組なのか白組なのかも気になる。昆虫類はどちらに分類されるのか、前例を調べてみなければ!(調べません)。
●「おしりかじられ虫」はいないのかなあ。

November 8, 2007

ノーモア結果バレ

●オマイガッ、あー。もうヤになった。ヤダヤダ。
アジアだ!●昨晩、せっかくアジア・チャンピオンズ・リーグ決勝の浦和レッズの試合を見ようと思ってたのにさー。これ、生放送じゃなかったんすね。うっかりiGoogle開いたら、見出しに結果が出てるじゃないの(涙)。それ、テレビ中継前に結果バレさせるのがひょっとして「報道」ってヤツなのか!
●その点、Yahoo! Japanはエラい。トップページに「レッズACL決勝第1戦の結果」と見出しを打って、クリックした人だけが結果を知ることができる(最近こんな風に改善された)。ワタシのなかでのYahoo! Japan好感度が256%アップ。
●ま、iGoogleのほうはワタシが自分で選んで配置した新聞社系ニュース提供元がやってくれたことなので、墓穴を掘っただけともいえる。豪快に叩き込んだオウンゴール。この憤怒と失望をどこにぶつければいいのか。もうKIHACHIのソフトクリーム2個連続食いしてやる!(意味不明)

November 7, 2007

グルダとモーツァルトのソナタ第7番ハ長調 K309

グルダ モーツァルト・テープス2●再びフリードリヒ・グルダのモーツァルト・テープス2の話を。このやや音質に難のある続編2枚組と、前作の比較的音質良好なグルダ・モーツァルト・テープ3枚組を合わせると、モーツァルトの「ピアノ・ソナタほぼ全集」ができあがる。埋もれていたグルダの録音がよみがえったのは大変すばらしい。しかし、「ほぼ全集」であって、2曲だけ欠けているのが気になっていた。「どうしても使える録音がなかったんだろう」と勝手に解していたが、後日続編のほうの解説書を見てその謎が解けた。息子のパウル・グルダが書いている。
●2曲欠けているのは、第7番ハ長調K309はグルダは真作ではない(アポクリファ)と考えていたから、第18番ヘ長調K533/494のほうはもともと別に書かれた2作品がまとめられたものだから、ということなんである(あっ、CDの解説書本文には英独仏語どれもK533/594と書かれているけど、これはK533/494の誤植)。後者のほうは問題がない。K533/494というケッヘル番号が示すように、この曲はまずロンドK494が単独の作品として書かれて、その後アレグロとアンダンテK533が書かれ、両者を合わせてソナタとして出版された。だから第3楽章のほうが先に書かれているわけだ。モーツァルトも承知の上のことだと思うので、ソナタにしちゃえばいいのにと個人的には思うが、もともとソナタじゃないといわれればその通り。でも惜しくない? この曲のアンダンテは後期のモーツァルトならではの簡潔な音楽で、ワタシの脳内では、ソナタ第16番変ロ長調K570とかピアノ協奏曲第27番とかクラリネット協奏曲とかと同じような位置に分類されている。グルダがソナタの仲間に入れてくれなくて残念だ。
グルダ、モーツァルト●で、前者、第7番ハ長調K309が真作じゃないって話はワタシには初耳で驚いたんである。K309、新しいケッヘル目録の番号だとK284b。どのソナタ全集にもフツーに収められている曲だと思うが、ほかにもそういうことを言っている人っているの? パウル・グルダもそのあたりさらっと書かないで、もう少し事情を説明してほしかったぞ。で、第7番ハ長調K309、あなたはお好きだろうか。ワタシはこの曲の第1楽章が大好きなんである。世間一般ではマンハイム時代の作品ということになっているこの曲、特に第1楽章はモーツァルトのソナタのなかでも目立って「明るい」。いや明るいというか、行き過ぎた躁状態というか、この浮かれぐあいはアンバランスだろうっていうほどの気前のよさである。調子に乗りすぎ、少し壊れ気味のモーツァルト。やや歪な魅力がある。でも、第2楽章、第3楽章はもっとバランスが取れている。そして、ワタシにはどこからどう聴いてもモーツァルトに聞こえる。
●もし仮にこの曲がモーツァルトじゃなくて、たとえば「モーシァルト」って人の作品でしたと判明したとしたらどうする? きっと、ワタシはモーシァルトのファンになる。そして願う、だれか優れたピアニストがモーシァルト全集を弾いてくれと。

November 6, 2007

「もやしもん」毎週録画中

もやしもん●フジテレビの深夜アニメ枠で「もやしもん」放映中。いやー、これ、期待以上にいいんすよ。原作コミックのほうも大変おもしろいのであるが、それがアニメになったら絵がきれいになっている(笑)。しかも登場人物の見分けがつく(カラーだし)。さらに菌がもっとかわいくなっている。
●「もやしもん」の主人公は「菌を肉眼で見る能力を持つ」と設定されてて、表皮ブドウ菌やらボツリヌス菌までがラブリーな登場人物ならぬ登場菌物として出てくる。これもなかなか良いのであるが、でもやっぱり学園マンガ、というか農大マンガってところが最大の魅力。東京農大がモデルなのか。ワタシ自身は農大生でも農学部生でもなかったけど、ここで描かれてる学生の日常っていうのがやたらと懐かしい感じがする。しかも非常にリアル。先輩の学生が研究室でこっそり密造酒作るみたいなムチャな話って、どこからどう見ても実話っぽい。うっかり研究室に足を踏み入れたら、新入生なのに朝まで徹夜で実験の手伝いさせられるみたいな話とか、魔窟化する学生寮の感じとか。テレビじゃあんまり見かけないノスタルジックな光景だ。「もやしもん」のヒットで、農学志望の若者が増えるという美しい展開を期待。
-----------------------
●告知を一点。11/16(金)19:00より、片山杜秀さんが朝日カルチャーセンターにて「現代音楽超入門~西洋と日本人作曲家」をレクチャーします。日本の近現代の音楽史を知りたいっていう方はこちらからお申し込みを!

November 5, 2007

「輝け!エア・コンダクター」初代チャンピオンはあなたかもしれない

●年末、東京国際フォーラムにて開催される「ハルモニア07-08」、ハルモニア杯をゲットすると来年の「熱狂の日」音楽祭への出場権が得られたりするのであるが、そのアマオケ部門の合間にとんでもない余興 画期的な競技が開催されることになったのである。ズバリ、

輝け!エア・コンダクター

 エア・コンダクター略してエア・コン。この分野では一歩先を行くエア・ギターの世界では、金剛地武志やダイノジおおちのワールド・チャンピオンシップでの活躍ぶりが伝えられるところであるが、エア・コンダクター競技はまだ全然始まってないんである。それが東京国際フォーラムという晴れがましい場所で始まるのであって、世界を目指すならまず東京を制せよ、今なら優勝チャンスはあなたにもあるかもしれない!
●そう力強く宣言し、参加者を募る、エア・コン。応募要綱は上記に詳細が書かれているので参照されたし。まさか勘違いはないと思うが、エア・ギターと同じでエア・コンダクターであって、これに勝っても第二の小澤征爾への道は開けない。むしろ金剛地武志への道を切り拓いてほしい。あっ、いや、金剛地武志って知らなくてOKです。魂のエア・コンを期待。衣装は自前で。
●審査員は大活躍中のギタリスト鈴木大介さん(本物)と、ワタシ(苦笑)です。企画は山尾敦史さん
●祈る、健闘。

November 2, 2007

2014ブラジル、2018は?

ブラジル●ワールドカップ2014年大会はブラジルに決定。2010年はアフリカ大陸からということで南ア、2014年は南米ということでブラジル。なんだかアドヴェンチャーな感じの開催国が連続することになってしまった。アフリカ→南米での開催は規定路線だったからサプライズはなし。しかし、2010年の南アですら本当に予定通り開催されるのか猜疑の眼差しで見てたのだが、物事はどんどん進んでいくのだなと。2010年とか、あるいは2014年とか「スタジアムの建設が間に合いそうもないので、急遽ニッポンで代替開催を!」とかならんかなと邪悪すぎる夢想をいだかんでもなかったが、んなわけないか。
●で、さすがFIFAなのは、2018年からは大陸間持ち回り開催ルールがなくなって(苦笑)、開催の意欲を示しているのがオランダ&ベルギー、中国、オーストラリア、メキシコ、米国、ロシア、そしてイングランド。で、日本も招致検討委員会設置を提案。まー、そりゃな~。単独開催はしたい。2018年は全然ムリっぽいとしてもヤル気だけは見せておいたほうがいいとは思う。でも同じアジアの枠内だけで考えても、中国に対抗するのは厳しそうだ。2018年なんていうずっと先の話を気にしてもしょうがないが、遊びとしてなんとなく予想するなら、イングランドと中国が2018と2022を分け合うのが本命、穴はロシアと見た。経済発展の著しい国としてBRICSなんて言うようだけど、Bブラジル、Rロシア、Iインド、C中国、S南ア(元来は複数形のsっぽいが)とすると、サッカー国じゃないインドをのぞいたすべての国が2010年からズラッと並ぶ。過去を振り返ればニッポンと韓国が2002、アメリカが1994。世の趨勢ってことか。

November 1, 2007

クラシックでわかる世界史(西原稔著)

クラシックでわかる世界史●新しい出版社アルテスパブリッシングの「村上春樹にご用心」(内田樹著)に続く第2弾は、「クラシックでわかる世界史」(西原稔著)。クラシック者は大雑把な音楽史年表みたいなものはなんとなく頭に浮かべられるし、物事はこんな順番で進み、発展したという音楽史観をその人なりに抱いていると思うんだけど、ついつい歴史を音楽の世界の中だけで完結させがちだったりする。音楽の世界の一歩外を出たときのヨコの関係がイマイチ見えない。でも音楽史を動かす原動力は芸術家の創作意欲ばかりじゃなくて、その外側にある社会の枠組み、政治や経済、宗教によるところが大きいわけで、まだ読み始めたところなんだけど、この本は世界史と音楽史をあちこちの重要ポイントでピタッと連結させてくれそうなんである。たとえばウィーン時代のベートーヴェンのパトロンというと、ボヘミアとかハンガリー、ロシアなどに領地を構える貴族たちやオーストリアの財界人たちが多く、ハプスブルク家皇帝の名前が挙がらない。どうしてそうなったのか。ってことがすっきりと腑に落ちる。オススメ。

このアーカイブについて

このページには、2007年11月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2007年10月です。

次のアーカイブは2007年12月です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。

ショップ

国内盤は日本語で、輸入盤は欧文で検索。