2005年2月アーカイブ

February 25, 2005

アジアカップ&ユーロ2004超観戦記(西部謙司著)

アジアカップ&ユーロ2004超観戦記●遅まきながらアジアカップ&ユーロ2004超観戦記(西部謙司著/双葉社)を読んだ。サッカー批評叢書の一冊。堪能。いまサッカー界で一番読みたいと思わせる人っすね、西部謙司さんは。ジーコ・ジャパンが優勝した中国でのアジアカップと、ギリシャが番狂わせの優勝を果たしたユーロ2004の観戦記。どちらも後々まで記憶が残るようなかなりおもしろい大会だったわけだが、これを読んで反芻し、再びあの幸せなフットボールな日々を思い起こした。
●ピッチ上でなにが起きているかという分析力、確かなサッカー観、行間から感じ取れる「ボールを足で蹴った感じ」、いずれも本を読む楽しさを支えてくれる。でもそれだけじゃダメなんである。人は「正しいこと」が書いてあるからといって、本を読もうとはしない。おもしろいから読むんである。
●たとえば、ユーロでチェコ相手に逆転負けを食らったオランダのアドフォカート監督。あの試合はだれが見ても監督の采配ミスだった。でもアドフォカートには立派な実績もあって、ワタシはなんとなく「名監督」の印象を持っていた。でもオランダ人たちのアドフォカート観は違ったようだ。メディアではアドフォカートは「バカ」と呼ばれていた。愛されて「バカ」と呼ばれたんじゃなくて、本当にバカにされてて「バカ」呼ばわりされていたんである。それについて、

 米ソ冷戦時代、旧ソ連のリーダーだったフルシチョフに「あんたはバカだ」と噛み付いた議員がいた。フルシチョフは「お前を死刑にする」と言い放った。議員は激怒した。「こんなことで死刑にできるのか、え?」。フルシチョフは無表情に答えた。「できる。お前は国家の重要機密を漏らしたからだ」。このフルシチョフぐらいのキレを見せていれば、たぶんアドフォカートは「バカ」と呼ばれることはなかったのだろうが……。

 と来たもんだ。いやあ、笑える。フルシチョフの話はどこかで読んだ気もするが、アドフォカート監督がいかにバカにされているかを語る上で、このエピソードを持ってきて鮮やかなコントラストを作るあたり、たいへんサービス精神に富んでいる。だって「バカ」と対極にあるものだから、こういう切れ味鋭いユーモアというのは。
●あと「ジーコ・ジャパンのなんたるか」についてもこれほど明晰に語った文を読んだことがない。強くオススメ。

February 24, 2005

コンサートでいつ拍手するか

全然拍手しない人もいるよね「おかか1968」ダイアリーで紹介されている、演奏会の拍手を巡る議論がおもしろい(ここから)。読むが吉。今、クラシックの演奏会では楽章間での拍手は原則マナー違反、全曲が終わってから手を叩くのが常識である。しかしこのルールは意外と最近できたものだという。孫引きで恐縮だが、ピエール・モントゥーの「世界中で楽章間の拍手を手控える傾向にあるのは残念です。この習慣がいつどこから始まったのかはわかりませんが、これは作曲者の意思にそぐわないと思います」という発言(1959年)は示唆的だ。楽器や演奏様式については「オーセンティック」であることの価値は認められている一方、「拍手」のようなコンサートのスタイルは別なんだろうか。
●東京での最近の傾向としては、拍手は楽章間はもちろん、全曲が終わったあとも数秒間は控えるのが良いとされているように感じる。どちらかというと不寛容な雰囲気なんである。たとえば「事件」といってもいいくらいの熱演があって、楽章間の拍手が起きるんだったら、これはむしろ洗練されているというかオッケー。でもうっかりした拍手だとマナー違反者の烙印を無言のうちに押されてしまうことは確実。
●どっちがいい? 正直、ワタシは「楽章間で拍手をしない」ほうが好きだ。曲の流れが途切れなくてすむし、そうたびたび拍手が入ってしまっては演奏会全体の進行が悪くなる(せっかちだなあ)。する人としない人がいて、疎らな拍手が起きるのは、気分的にも盛り上がらない。ただ、すでにコンサート会場は必要以上に不寛容な場になっており、新たな聴衆を遠ざけているように感じるので、「楽しい曲」や「元気な曲」(笑)のときはもっと楽章間で拍手してもいいのかもしれない。「悲愴」のマーチの後で拍手をガマンするのは、人間の生理に反している気もする。
●あ、もうひとつ、楽章間の拍手の効用を思いついた。演奏会で睡魔に負けそうなときに役に立つ(笑)。

February 23, 2005

裸自転車男

●今朝、通勤途中に上半身裸の若者が自転車をすっ飛ばしているのを見かけたよ。
●痩せていて、たしか坊主頭と見えたのだが、すっごく暖かそうな毛糸の手袋をしていて、寒いのか暑いのかよくわからん、つうか怖いよ。
●犬の犬死。猿の猿知恵。鳩の鳩胸。←意味レス。

February 22, 2005

ブリュッヘン指揮新日フィル、ほぼ18世紀管

●今、ブリュッヘンが来日している。新日本フィルの定期演奏会に登場。ワタシは彼のファンなので先週末に聴いてきた。ラモー/「ナイス」序曲&シャコンヌ、モーツァルト/交響曲第31番「パリ」、シューマン/交響曲第2番という魅力的なプログラム。前半のラモーとモーツァルトは「ほぼ18世紀オーケストラ」だった。両曲とも18世紀オーケストラとの録音があって好んで聴いているのだが、一瞬目の前で演奏するのが18世紀オーケストラではないかと錯覚してしまった。それくらい頭から尻尾まで鮮明にブリュッヘン印。長身痩躯、若いころから猫背だった巨匠は、自然の摂理に従って今や座って指揮するくらいに老いてしまっているのだが、全身から発散されるオーラの強さは以前と変わらない。
●古楽系の指揮者とはいっても、実際にブリュッヘンが指揮しているのはラモーを別とすればほとんどがバッハ以降、特に古典派に集中している(リコーダー奏者としては別)。なので、ワタシの認識ではブリュッヘンは「ウィーン古典派を得意とする巨匠指揮者」である。リコーダー奏者時代をリアルタイムで聴いていないので、ますますそう思ってしまう。
●あー、ラモー、ホント最高っすよ、といってもこのプログラムはもう終わっていて、あとは25日(金)にサントリーホールでシューベルトの「未完成」&「グレイト」の公演がある(→公式サイト案内)、と勝手に告知。

February 21, 2005

三菱東京UFJ銀行なる銀行ジュゲム計画

●東京三菱とUFJが統合した新銀行の名称が「三菱東京UFJ銀行」という悪夢。全然まちがってるだろ、それはっ! 「三菱UFJ銀行」にしようという案があったそうだが、旧東京銀行出身者に配慮したという。これはおかしい。UFJ銀行内の旧東海銀行および旧三和銀行出身者にも配慮して、「三菱東京東海三和銀行」ないしは「三菱東海東京三和銀行」とすべきではないか。
●東京三菱とUFJが統合した新銀行の名称が「三菱東京UFJ銀行」という悪夢。全然まちがってるだろ、それはっ! 三菱東京とUFJの合併比率は1対0.62であるのだから、公平を期するべきである。UFJ3文字を0.62倍してUFの2文字、すなわち「三菱東京UF銀行」とすべきではないか。
●なんてこと書くと、本気で賛同する人がフツーにいるから世の中怖いよ。

February 18, 2005

新連載「ワンダージュークな日々~ネット音楽配信奮戦記」

●セブンイレブンのおでんCMにバッハのイタリア協奏曲。その組み合わせ、ありえんだろ、おでんとバッハ。
CLASSICA●おなじみ山尾敦史さんに当サイトにて新連載を書いていただけることになった。題は「ワンダージュークな日々~ネット音楽配信奮戦記」。山尾氏がディレクターとして携わるSo-netの音楽配信サービス Wonder Juke クラシックでのあれやこれや、野望、裏話、ヴィジョン、苦悩(?)について綴っていただこうというもの。隔週連載予定。ちゃんと続くのか、忙しそうなのに。続いたらいいなあ、ていうかひとさまに記事書いていただけるって最高(笑)。

February 17, 2005

ジェネレータ、機械対機械

●あ、やっぱり。昨日のJess先生ネタは大好評っすね。これって本当におかしいもんなあ。ワタシはこの種のナンセンスが大好きである(社会に害悪をまき散らさない限りは)。PCを活用した評価システムは、同じくPCによるジェネレータものと対決させられる点でおもしろさが増すわけだが、そういえばPCよりも古典的なメディアでもこれに似た現象があった。
●ちょっと昔だが、電話で「着物に関するアンケート」とやらがかかってきたのである。それが実に乱暴で、かけてきたのは人間ではなく機械の自動アンケート収集システム。着物になんの関心もないワタシに向かって、「これまでに着物を購入したことはありますか。『はい』の方は1を、『いいえ』の方は9を押してください。ピッ!」などとやらかすんである。勝手に電話をかけてきて、しかも機械応答とはなんたる狼藉。この無礼者!
●しかし大丈夫だ。ワタシの「居留守番電話」がしっかりと応対してくれたのだ。

「ただいま、呼び出しております。FAXの方はそのまま送信してください。電話の方は少々おまちください」
「応答が確認できません。『はい』の方は1を、『いいえ』の方は9を押してください。ピッ!」
「ただいま、留守にしております。発信音に続いてメッセージをどうぞ。ピッ」
「応答が確認できません。質問を繰り返します。これまでに着物を購入したことはありますか。『はい』の方は1を、『いいえ』の方は9を押してください。ピッ!」
「……」
「応答が確認できません。『はい』の方は1を、『いいえ』の方は9を押してください。ピッ!」
「……」
ツー、ツー、ツー。

●現場に居合わせたワタシは感動に打ち震えていた。見事なり、機械vs機械の恐るべきナンセンスな戦いよ。

February 16, 2005

小論文自動採点コンピュータJess、ワタシを採点

●大学入試センター、おもしろすぎだよ。「小論文、コンピュータで自動採点 入試センターが試作」(朝日新聞)、まるでエイプリル・フールのネタ記事みたいだが、本気である。小論文を機械的に採点するというアイディアの妥当性については脇に置くとして、こういうのが出てくると、対抗して「高得点小論文自動ジェネレータ」みたいなソフトウェアがネットで流通したりして。ケータイ版とか。
●で、このシステムJessというのだが、公開されているのでワタシ自身の文章を採点させてみた。小論文の課題は「脳内に特定メロディがこびりついたときの脱出策について考察せよ」。制限600字。これについてのワタシの回答は、先日当欄で書いた「脳内ぐるぐるメロディ脱出策」。さあ、Jess先生の採点は?

修辞 3.5 ( 5 )
文が総じて(平均的に)少し長いです。
長すぎる文があります。
句(読点と読点の間、あるいは読点と句点の間)の長すぎる文があります。
漢字の使用が少ないように見受けられます。
連用形や接続助詞の句の並びの多い文が、幾つかあるように見受けられます。

論理 1.0 ( 2 )
議論の掘り下げが不十分であるように見受けられます。

内容 0.7 ( 3 )
質問文との関係が希薄であるように見受けられます。
分量過少による減点 0

最終得点 5.2 ( 10 )

●10点満点で5点ほど(笑)。Jess先生、出直してきます。でもこれ、テキトーな単語と接続詞を使って、形式的に論理展開を持たせれば、まったく無意味な文章でも高得点を取れると見た。Hayesさんのところの名作「全自動音楽評論ジェネレータ 功○くん」で対抗させたら楽しいかもしれない。

February 15, 2005

ボーン・アイデンティティ、ボーン・スプレマシー

こちらは「ボーン・アイデンティティ」●久々に映画館へ。前作「ボーン・アイデンティティ」が非常に楽しめたので、続編「ボーン・スプレマシー」。前作のときも思ったのだが、この邦題、ありっすか? わかんないって、意味が。「ボーン・アイデンティティ」の原作、ロバート・ラドラムのベストセラー小説「暗殺者」を知っている方ならわかるかもしれないが、ワタシが「ボーン」と聞いてなにを連想するかといえば、「bone 骨……?、あ、アイデンティティに繋がるからbornかっ!」てな具合で、まさか人名の「bourneさん」だとは思わない。
●で、マット・デイモンが演じる主人公ジェイソン・ボーンは、元CIAのトップ・エージェント。無敵の殺戮マシンとなるべく訓練を受けていたのだが、記憶喪失によって「自分が何者か」がわからなくなるのが前作。スパイ・アクションなんだけど、全然そんなキャラじゃなかったマット・デイモンが演じているところがおもしろいんである。冷酷無比な殺し屋だったはずなのに、「自分探しの旅」に出かけちゃうわけだから(笑)。で、続編「ボーン・スプレマシー」でも、やっぱり「自分探しの旅」をしちゃう。封印された過去を知り、生きることの価値や命の尊さを知る再生と回復の物語……なんだけど、元が殺し屋だから敵と遭遇したらムチャクチャな殺人マシンと化す。このねじれまくったヒーロー像が味わい深い。
●2作目は前作と比べてアクション依存度が高まっていて、ワタシは少し魅力が薄まったと感じたが、それでも十分楽しめた。映画館を出てきた客は、みんなスパイのように抜け目ない視線を周囲に飛ばしていたよ(ややウソ)。

February 14, 2005

サポーターというサッカーの敵

●あー、腹痛え。チョコ食いすぎて腹痛えー(←ウソ、しかも投げやり)。
バルセロナは大人だった●サポーターがダメだと、試合もチームもダメになるという例をスペインに見た。ロナウジーニョの神技を見るためにサラゴサvsバルセロナを見始めたのだが、開始前からサラゴサのスタジアムが異様なムードに染まっている。どうやら前の試合の主審がヘッポコだったらしく、サラゴサに信じられないほど不利な判定が連発されたらしい。まあ、それはよい、フットボール的には不可避の事故である。
●で、サラゴサのサポーターたちはこの試合もレフェリーにぶち壊されてなるものかと、客席で1万枚を超えるレッドカードをかざして、公平な審判を求めた。しかしこの日は先週と相手も違えば主審も違う。だれもサラゴサなんて小クラブを陥れようなんてしてないって。事実、バルセロナも主審もフェアなプレイを続けた。むしろ主審は場内の雰囲気に圧倒されてサラゴサに味方したというか、遠慮した。
●にもかかわらず、サラゴサのサポーターはひたすら主審とバルセロナを罵倒し続けた。ごく当たり前のファウルを取られただけでいっせいにブー、当然のオフサイドにスキャンダラスに騒ぎ立てる。バルサの選手が正当なタックルをしただけで、「なぜバルセロナに笛を吹かない、カードを出さない、サラゴサには吹いたじゃないか!」とばかりに口笛を吹く。コーナーキックに立ったバルセロナの選手にモノを投げつける。もうメチャクチャである。主審もバルセロナの選手たちも気の毒であった。しかし、内心かなり怒りながらも冷静なプレイを続けたバルサの選手たちは大人である。こういうのを見ると、チャンピオンの資格ありって気がする。
●気の毒といえばサラゴサの選手たちも気の毒。本来、普通に戦えば、バルセロナにだって対抗できたかもしれない(近年ホームではバルサ相手に分がいい)。なのにサポーターたちのルサンチマンが試合を壊してしまった。プレイの内容などと無関係に、ひたすらに審判の判定にだけ場内が反応していたのでは、普段のプレイなんかできるはずがなく、オウンゴールで1点を失い、さらにずるずると失点を重ねて1-4。サラゴサの一部の選手たちは集中力や冷静さを欠いていた。客席がサッカーの敵となり、バルセロナとこの日のレフェリーは勝者となった。

February 12, 2005

せめて古雑誌は捨てれ

●先週のこのニュースはインパクトがあった。六畳間の床が抜け男性落下、けが/東京・目白のアパート。床が抜けるほどの古雑誌とはいったい何の雑誌なのか、激しく気になる。反射的に「ん、レコ芸?」とか思ったりする(←なんでだよ)。しかし床が抜けるほどの本だの雑誌だのレコードだのっては、ヲタ魂に訴えかけてくるもの大ありなのだが、やはり床が抜けちゃマズい。書籍とかレコードはしょうがないが、せめて雑誌は捨てたほうがいいんじゃないか。
本棚に隙間があると落ち着かない●しかし本棚とかCD棚に隙間があると、どうしてこうもモノで埋めたくなるのであろうか。深い本棚があったら、後列と前列の2段構えにしてさらに前列上隙間に横に本を並べるとか、CD棚のCDと棚板が作る薄い隙間にやはり横にしたCDを詰め込むとか。ああ、なんて気持ちいいんだろう、このピッタリ感。もっと詰め込みたいぜ(悪)。

February 10, 2005

なんだよ、あの鉄棒は。ニッポンvs北朝鮮@W杯ドイツ大会最終予選

ニッポン!●はー、脱力した。なんということか。この試合、チケットの入手に失敗してテレビ観戦したのだが、スタジアムで観てたらたまらんだろうねえ。ニッポン2-1北朝鮮
●ジーコが先発させたのはアジア・カップやその後の親善試合でたくましく成長した国内組ニッポン代表。トップ下は小笠原。川口-田中誠、宮本、中沢-福西、遠藤ヤス、右:加地、左:アレックス-小笠原-玉田、鈴木タカの3-5-2。中村俊輔と高原をわざわざヨーロッパから呼んでおいてベンチに置いた。試合開始早々、小笠原がフリーキックで1点取って、これは3-0か4-0の試合になるかなと思った。ところがやはり本番は選手も緊張が過ぎるのか、時間とともにボールを保持できなくなり、相手に前を向かせてしまう。後半に1-1に追いつかれたのはショックだが、前半のうちからその兆しは見えていた。
●しかし、相手は北朝鮮っすよ。退場者や不運なPKでもない限り、ホームで勝てない相手とは思えない。後半、ジーコが高原、中村俊輔の海外組を投入してから、とたんにニッポンの選手は落ち着いてボールを持てるようになり、ボール回しはスムーズ、華麗でスペクタクルなサッカーを展開しはじめた。なんというか、ちょっと生意気になってきた弟分が「一人でできるもん」といってやってみたけど難儀してて、兄貴が横からちょいと手伝ったらスルリとうまくいった、みたいな感じ。試合後のインタヴューで、小笠原の表情が硬かったけど、あれはプライドが傷つけられたんだと思う。
●とはいえ、いくら華麗でもゴールがなければ引き分けていたわけで、「きっとゴールしてくれる」と楽観視しつつも、「いやでも引き分けに終わってもまだまだチャンスはあるし」などと内心で予防線を張ってたりもした。なんか北朝鮮のシュートでヘンなのあったでしょ。ゴール左にはずれたんだけど、鉄棒みたいなのに当たって跳ね返ってサイドネットを揺らしたヤツ。あれさ、逆転ゴール決められたのかと思ったですよ。あんなところからボールが跳ね返ってきたら、入ったようにしか見えん。なんだよ、あの鉄棒は。
●で、ロスタイムに大黒が公式戦デビュー初ゴールを決めてくれて、ようやく安堵できたわけだが、もちろん大黒を讃えつつも、やっぱり思ってしまうんである。国内組だけで予選は勝てるなんて幻想だったのかな、と。
●あとスゴいと思ったのはジーコで、あそこで大黒を投入したのも大胆だし、そもそもベンチにセンターバックを一人も入れていない。だから大黒までベンチ入りできた。これは3バックの一人が欠けても、4バックにすればいいからセンターバックの控えは要らないという計算だろう。次のアウェイの難敵イラン戦では田中誠とアレックスが出場停止。4バックで戦うという手もあるし(左は久々に三浦アツとなるが)、松田を入れて3バックにして中盤左に中村俊輔か小野という手もある。楽しみっすね。

February 9, 2005

フィッシング詐欺とか、カード番号とか

●昨日の朝日新聞朝刊に「フィッシング詐欺、顧客8人に被害 UFJカードが発表」っていう記事が出ていて、どうやら先日ここでご紹介したVISAメール・フィッシング(Notice from VISAだとぉ?)と同じ手口、ていうかルーマニアの現金自動支払い機で引き出したっていうんだから同じ犯人だろ、フツーに考えて。
●昔、クレジットカードってものに十分なじみがなかったころ、ワタシは「カードを使うには本人のサインが必要だ」と思い込んでいた。しかし初期ネット通販で海外のレコードショップで買い物をしたとき、「カード番号をFAXかメールで送れ」みたいな決済方法がとられていて、驚いたんである。え、サイン要らないんだ、じゃあこのカード番号と有効期限があればだれでもワタシのカードで買い物できちゃうわけ?と(実際には数字以外にある程度の個人情報も必要かもしれないが、詳しくは知らない)。で、今や日本でもネット通販でのカード決済はごく一般的なものになった。カード番号ってのは他人に知られないほうがいい。
●ところでカードのネット利用で「情報は××bitで暗号化されてますから」みたいな言い方がされるが、カード番号を盗むには暗号解読なんて必要ないと思う。お店の店員になれば番号盗み放題だろう。もっともクレジットカードの場合、不正利用に対して利用者は保護されていると認識してるので(たぶん)、わずか4桁の暗証番号でしか守られていない銀行キャッシュカードに比べればはるかにマシかも。いまどき磁気カード+4桁の数字って、そんなセキュリティありえねー。

February 8, 2005

人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学

人口減少社会の設計●最近、「これから日本の人口は減るから、長期的には日本の景気は悪くなる」とか「少子化社会だから経済に悪影響がある」とか、いろんな人がスポーンと気軽に未来予測しちゃってくれてるのだが、どうもしっくり来ないというか、やっぱりそういう話は統計なしに語るのって思いっきり意味レスでアホくさくね?と思ったので、「人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学」(松谷明彦、藤正巌著/中公新書)を読んだ。目から鱗がポロポロと落ちた。
●やっぱ統計っすよ。ちゃんとあれがこうなってこうなるってグラフやら表で説明しないとさ。で、ニッポンの人口が2007年をピークとして減少するんだが、それがなぜかといえば「少子化」のせいじゃないとこの本は教えてくれる。人口ピラミッドを見るとわかるのだが、一言でいえば「長寿社会」になったから。高齢社会は必然的に多死社会でもあるとか、言われてみれば当然だけど、こういう視点は持っていなかったなあ。
●で、経済の本なので、人口減少社会では企業や社会のあり方がどんな風に変化するか、たとえば成長社会を前提とした売上高主義や終身雇用はそぐわなくなるけど、経済が縮小してもちゃんと現在の生活水準を維持して行くことはできるんだという将来像が描かれている。ワタシはおおむね安心した。ただ、気がかりなこともある。「人口減少」というテーマとは別に、日本は他の西欧先進国に比べて労働生産性が低いことや、労働分配率が低い(=利益に対して賃金が低い)ことが指摘されていた。たとえば、

ドイツやフランスの労働者が100時間働いて得られるのと同じ量のモノを買おうとするならば、日本の労働者は139時間働かねばならない。アメリカとの比較では147時間にもなる。GDPあるいは国民一人あたりのGDPの目覚しさに比べてあまりにもみじめではないだろうか。

 と言われれば、みじめです、としか言いようがない。しかもである。ワタシは無知でわかっていなかったのだが、日本の「国民一人あたり」GDPは圧倒的に世界最強であるが、実は「労働者一人あたり」GDPだと、ドイツ、フランス、アメリカなどと大差はない。要するに、他の先進国に比べて日本はずっと労働者の割合が高いということにすぎない。大勢が働いて、労働生産性は低いけど長時間労働するから、GDPは高くなる、と。そして、以下の記述がワタシの魂を激しく揺さぶるんである。

1990年代でみると、日本では52~53%の人が働いているが、先進国で過半数の人が働いている国はほかにはない。アメリカでもドイツでも45%前後であり、フランスでは40%を下回っている。

●なんとー! そうだったのか。見る見るうちに全身から勤労意欲が抜けていくのはなぜだ(笑)。これ知ったら日本人はもうみんな働かねえぞ、ったくフランス人は偉すぎるぜ、トレビア~ン。

February 4, 2005

脳内ぐるぐるメロディ脱出策

●「ずーっと頭の中で鳴り続ける気になるメロディ」ってヤツにやられてしまうことがあって、これがあまりにも激しくループしだすと、日中ぼんやりしすぎてしまって社会生活が営めなくなるのは問題。これに対抗するためには、徹底的にリアルでその曲を耳にして味わい尽くすってのがベストであり、ここ数日、ワタシは毎晩プロコフィエフの「シンデレラ」を聴いていたんである。頭の中を占有しているのは、2幕の終わりと3幕にもちょっと出てくるワルツ風の曲で、「シンデレラの出発」という舞踏会のテーマみたいなんである。これ、なんかテレビのCMとかで使われてなかったっけ? ああ、名曲だよなあ。全曲流してダラダラ聴いてても「シンデレラ」は「ロメオとジュリエット」に負けないくらい名曲名旋律そろいで、潤いかげんといい乾きぐあいといい、サービス精神の豊かさといい、やっぱりプロコフィエフってスゴい。そうやって「シンデレラ」を堪能して、次の日には別のプロコフィエフの曲を聴いて、頭ぐるぐる状態のメロディを同趣向でありながら別の曲に巧妙にシフトさせて追い出してしまおうという、かなり小賢しい作戦。
●対北朝鮮戦のニッポン代表メンバー発表。結局国内組に高原と中村俊輔だけを加えると。ってことは、またまた小笠原はベンチでふてくされることになるのか。

February 3, 2005

ニッポン 3-0 シリア@強化試合

シリア●国内組ジーコ・ジャパンが快勝、次はいよいよ本番、W杯最終予選の北朝鮮戦である。しかしサッカーって、難しいよなあ。アジア・カップで一皮むけて、今や国内組ジーコ・ジャパンがしっかりとひとつのチームとしてまとまってしまっていて、海外組をどうしたらいいのか、わからなくなってしまった。
●TBS中継にあったように「海外組は呼んでもベンチに置いたら」っていう案もあるけど、そんなことやったら貸し出し側のクラブは次から選手を出してくれなくなりそう。北朝鮮戦は稲本、高原くらいしか招集しないかもしれないが、今後、たとえばナカタ、小野、稲本、中村俊輔、高原、大久保、柳沢、ひょっとしたら松井あたりまで呼ぶと、もう今のジーコ・ジャパンとはまるっきり別チーム。もっとも欧州組を好きなだけ呼んで合宿までできるなんて機会は、ワールドカップ本大会しかないようなもんだが……。
●でも考えたら、欧州以外はみんな同じ悩みを抱えている。中南米とかアフリカだって、困ってるはず。いっそ実力者は全員欧州に行ってしまうと、ブラジルとアルゼンチン同様、ある意味で悩みはなくなるかも。つまり「国内組」なんてだれも本当の代表だなんて思ってないから、いくら国内組でまとまったチームができても、ロナウドやロナウジーニョは要らないんじゃないかって議論にはならないし、押し出された国内組も小笠原みたいに不満を抱えたりしない、たぶん。

February 2, 2005

脱ロンゲ現象

●しばらく前に、思い切った髪の切り方をしたんである。長年ロンゲであることに一人よがりなアイデンティティを求めてきたわけだが、ふと油断した隙にセビリャの理髪師が大胆すぎるハサミさばきを見せ、気がついたらワタシの髪型はいたくフツーであった。これが意外にも周囲で大反響であって、会う人会う人「うわっ、別人」「誰?」「大丈夫ですか」「グッジョブ!」等、思わぬ反応が返ってくる。その反応はおおむね驚きつつも裏に安心したようなニュアンスが込められ、逆説的にロンゲへの不評度の高さを証明していた気がするのだが、そんなことよりも。
●よく食べに行く中華料理屋のオバチャン、安い旨い早いでワタシは10年以上ここに通っているのだが、その間、ただ一言たりとも言葉をかわしたことのないオバチャンが、ワタシの顔を見て突然豪快に言い放ったのである。「あら~、切ったね。マフラーつけてメガネかけたらヨンさまになるよ、アッハッハッハ!」。もちろんワタシとヨンさまには何ら類似したところはない、すなわちこのオバチャンの頭の中は今ヨンさまでいっぱいであり、思わぬ拍子でその情熱が噴き出てしまっただけにすぎないという、それほどすさまじきは韓流。

February 1, 2005

天に向かってラリホーマ

●お魚くわえたドラネコはどこに行けば見れるですかっ!と胸に七つの傷のある男に尋ねられたので、「ば、ばかもぉ~ん!それがルパンだ!追えぇ~!」と一度リアルで言ってみたかったセリフを返しながら、全力疾走してそのまま山岳地帯に潜伏して冬眠。
●本日の一口名言メモ。

神は友を探して愛をよび求め、悪魔は奴隷を探して服従を強要する。(タゴール)

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