ドミノ・ピザ

2008年4月アーカイブ

April 30, 2008

ELLE JAPONで「クラシック音楽に夢中!」

●明日の朝まで、マンチェスター・ユナイテッドvsバルセロナの結果を知らずに過ごせますように。地上波の放送は本日深夜。でもムリかなー、駅売りのスポーツ新聞の見出しとか、目に入りそうな予感。
ELLE JAPON●今月のELLE JAPON (エル・ジャポン) 6月号で、クラシック音楽特集。企画構成といくつかの記事の原稿をお手伝いさせていただいた。雑誌の性格や対象読者層によって、ページの作り方というか、手順や作法がぜんぜん違う。また一つ、大いに勉強になった。それにしてもオールカラーで、これほど質のいい紙を使って、写真や印刷がこんなにキレイで、388ページの分厚さなのに、定価がたったの580円。理屈としては承知しているけど、現物を目の前にすると、魔法としか思えん。
●メイン特集は「もっと地球を愛したい!」。ディカプリオをはじめとするスターたちが地球環境を憂う。「エコセレブ」という言葉を知った。ECO TRAVELのコーナーにある知床とか屋久島の鮮やかな緑が目にまぶしい。別冊付録に「カルティエBOOK」。これは縁がなさそう(笑)。

April 29, 2008

2002年に散々耳にしたあの曲の名がわからない

ワールドカップ2002チケット●すっかり記憶の彼方に去ってしまっていた、あまりにも懐かしいメロディが突然、テレビから飛び込んできて、動転するワタシ。ホロリ。この三井住友海上のCMを見たか。この曲、2002年のワールドカップでいったい何回耳にしたかわからないが、その後ぜんぜん聞く機会がない。リンク先のサイトには「1994年のFIFAワールドカップで使用されて以来、多くのサッカー国際試合入場時のBGMとして使用されるANTHEMを使用しています」と説明があるが、それは別の曲では?
●じゃあ、この2002年の日韓大会で使用された曲はなんていう名前なんだろか。どこかでフルバージョンが載っていないのか。この曲を耳にすると、カシマスタジアムで見たアルゼンチンやアイルランド、エコパで見たブラジルやイングランドを思い出し、ブルッとして鳥肌が立つ。ロナウジーニョの魔術的ロングシュートとか。気温26度くらいで上半身裸になる暑がりのイングランド人たちとか。カード会社のツアーバスに乗った裕福そうなメキシコ人たちの集団とか。振り返ってみて、夢のような瞬間、あれは現実に起きた出来事なのかと疑ってしまう瞬間というのは、ほかにそう多くはない。

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オデッセイ●↑と書いたら、さっそく親切な方からご教示いただきました。これはヴァンゲリスの「アンセム~2002 FIFA Wolrd Cup公式アンセム」というそのまんまのタイトルで、ベスト盤「オデッセイ」に収録されているそうです。多謝。買うしか。

April 28, 2008

「ラ・フォル・ジュルネ」週間、はじまる

●いよいよ「ラ・フォル・ジュルネ」ウィーク。事前にチケット予約してスケジュールをきっちり決めて行くというのが性に合わないような「当日ぶらり参加」派の方も、無料コンサートや関連イベントも含めてきっと楽しめるはず。ただし、1枚だけでもなにか有料公演のチケットを持っていないと、入場できるエリアが限られてしまって何かと不自由。これからの方は、まだ残券が十分あるホールAやホールCで、シューベルトのミサ曲なり交響曲なりをゲットするのが吉かと。
●今年は並行して「ラ・フォル・ジュルネ金沢」もある。金沢のほうは東京の第一回がそうであったように、テーマはベートーヴェン。有料公演は5月3日~5日まで。ホールも3つしかないので、有楽町の巨大な規模に比べれば小ぢんまりしている。でも環境的には東京にはないぜいたくさもあって、メインの会場となる石川県立音楽堂は1500席ほどのシューボックス型音楽専用ホール。オーケストラ・アンサンブル金沢の本拠地だからこのサイズなんだけど、この小ささがずごくぜいたく。もう一つ、同じ音楽堂にあるのがなんと邦楽ホール。普段、邦楽専用ホールとして使われている場所を、室内楽やピアノ独奏に使うという。あともう一ヶ所は金沢市アートホールという場所で、こちらはよく知らず。東京ともナントとも全然違う「ラ・フォル・ジュルネ」になるんじゃないかと期待している。
●あ、ヨソから「ラ・フォル・ジュルネ金沢」に行く方は、観光ついでに金沢21世紀美術館もマストかと。
●ワタシは東京も金沢も行く。今年も東京の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」公式レポートを山尾氏らと更新しつつも、4日と5日は金沢へ。今のところ、公式レポート以外では、2日夕方に東京でクラシック・ソムリエ・ボックスに入り、3日にデジタルラジオOTTAVAに出演、4日の朝に飛行機に乗って午後イチで金沢の地元局MROラジオLFJ特番に出演、5日に金沢からOTTAVAに電話出演、夜に帰京して、6日はまた東京に復帰という予定あり。終わった後もあれこれ続くから、とにかく体調を崩さないように気をつけねば。

April 25, 2008

バルセロナvsマンチェスター・ユナイテッド@チャンピオンズリーグ準決勝第1戦

バルセロナ●キックオフ27:45。最近ド深夜型の生活をしていないので、生中継してくれてもとても起きていられない(6月のユーロ2008はどうするのか?)。なんとか結果バレせずに録画観戦に成功。
●今季のバルセロナがもう一つということもあるんだけど、そうでなくてもイングランド勢は強いので、かなり苦戦することを予想。たまにBSでプレミアリーグの試合をちらりと眺めると、スピーディな試合展開とフィジカルコンタクトの激しさに圧倒される。全然流派が違う者同士が戦うからおもしろいんだろうなあ、チャンピオンズリーグは。
●ホームのバルセロナは3トップがエトー、メッシ、イニエスタ、中盤にデコ、シャビ、ヤヤ・トゥレがいて、感覚的には「おお、ベストメンバーそろってる」と思うわけだが、アンリはベンチだし、ロナウジーニョはベンチにもいなく、ほぼ過去の思い出。まさかこんなことになろうとは。
●マンチェスター・ユナイテッドはルーニーとテベスがトップにいて、中盤にクリスティアーノ・ロナウドとパク・チソンがいる。パク・チソン、まぶしすぎる。京都にいた頃はここまで偉い選手になるとはわからなかったなー。
●開始早々にガブリエル・ミリトのハンドでPK取られて、がっかり(バルセロナ寄りで見てる)。クリスティアーノ・ロナウドがこれを外してくれて、試合がおもしろくなった。あれだけタレントがいるのに、マンチェスター・ユナイテッドは「守り切る」と覚悟を決めていたようで、前線の選手からガマンしてディフェンス。バルセロナは華麗なパス回しを次々と繰り出して芸術点を積み上げていく(そんなものないけど)。メッシとかシャビとかイニエスタとか、ボールキープが異常に巧くて、つなぎにつないで超絶技巧で魅せてくれた90分。マンチェスター・ユナイテッド相手にボール支配率61%。でも終わってみれば0-0。実質完敗。相手の狙い通りの試合展開になってしまった。
●ただアウェイゴール優先を考えれば、1-1とか2-2よりは0-0のほうがはるかにいい。オールド・トラフォードで勝つのは至難の業という気がするが、1-1なら十分ありうる。「ホームで引分け」といっても、0-0の場合に限ってはそう落胆する必要もないのかもしれん。

April 23, 2008

「魔弾の射手」その2

承前
●「魔弾の射手」の舞台となった村では、射撃の名手が花嫁および森林保護官の後継を勝ち取るシステムになっている。つまり狩猟技術に長けた者が子孫と地位を同時に獲得するわけで、裏返せばそれだけ猟師の腕前が村社会にとっての生命線であり必須のものとされていることを示している。一発必中の技術がなければこの厳しい世界では生き残れないから射撃大会が開催される。狼谷に出かけるマックスに向かって、アガーテは嘆く。「こんな夜遅くに出かけるなんて。猟師には休みがないのね」。
●この社会システムを受け継ぐ限り、村は安泰だろう。保護官は常に射撃の名手であり続ける。男の子が生まれた場合、その子もまた名手となる遺伝的素質を持った者である可能性が高い。女の子が生まれた場合、彼女の魅力または保護官の地位に惹かれた村の若い男たち全員の平均的射撃能力を向上させる効果が期待できる。合理的である。なにか問題でも?
●いや、やっぱりこれはマズい。村が狩猟を産業の基盤としている間はこれでいいかもしれない。でも時代は移り変わり、社会には変革が訪れる。産業革命も起きる。それどころかIT革命も起きる。射撃技術に特化した能力ばかりが発達した人材がそろう村というのは、時代の変化に対して脆弱である。アガーテは家庭を出てドイチェ・バンクの窓口に座ることになるかもしれない。カスパールは魔弾を作る代わりに、ジーメンスの技師になるかもしれない。マックスはドイツ・テレコム狼谷支社のSEになり、おそらくアガーテは嘆く。「こんな夜遅くに出社するなんて。SEには休みがないのね」。
●隠者は射撃大会を止めろというのは宗教的指導者の寛容の精神からではなく、村の人材を多様化し、社会の変革に備えよと警鐘を鳴らしているのかもしれない。一方、悪魔ザミエルは「魔弾」を村人に提供することによって、伝統的狩猟社会を守ろうとしているようにも見える。
●スーツに身を包みアタッシュケースにラップトップを入れた隠者が登場する。もう射撃大会なんか止め止め。森のなかにホテルを建てて、リゾート地にしようぜー。悪魔ザミエルは開発に反対し、守旧派の村人カスパールたちと市民運動を展開する。森の木を切るなー。エコでロハスで地球に優しい村を守ろう。狩ってすばらしいぞ。隠者はアガーテに大規模開発計画のプレゼン用パワポを銀のUSBメモリで渡す。マックスの最後の銃弾はザミエルの陰謀により、アガーテを狙うが、弾丸は胸にぶら下げた銀のUSBメモリに当たって跳ね返り、カスパールに命中する。狼谷は峡谷リゾートとして開発される。隠者は己の所有する二束三文の原野を株式会社ウルフ・ヴァレー・リゾートに高値で売りつけ、笑いが止まらない。幕が降りる(←ヤだよ、そんなオペラ)。

April 22, 2008

「魔弾の射手」

新国立劇場●18日、新国立劇場でウェーバーの「魔弾の射手」を観てきた。ダン・エッティンガー指揮東フィル、マティアス・フォン・シュテークマン演出。序曲の前にセリフだけで一芝居あり。隠者のところにアガーテ(エディット・ハッラー)が食糧を運んであげて会話するんすよ。で、「なんか不吉だから」とかなんとか言って、隠者がアガーテに白いバラを与える。なるほどー。これで3幕の運命の射撃シーンにきちんと伏線が張られてわかりやすい。序曲の前ならダラダラする心配もないので、とても良かったのではないかと。以降、演出はト書きに忠実なタイプ。安心できる一方、狼谷のシーンとか学芸会っぽくなるワナもあって微妙。悪魔ザミエルの衣装にはのけぞった。たとえるなら、現代の仮面ライダーキバに初代ライダーのショッカー戦闘員が出てくるくらいのインパクト(←なにそれ)。
●「魔弾の射手」って、終幕が長々と説教くさくてダレるというか、セリフ配分の手際がイマイチみたいな印象があって、音楽のすばらしさに比べると劇としてはどうかなと思わなくもないけど、テーマは文句なしに共感できるいい話だと思う。主人公の若い猟師マックスは、森林保護官の娘アガーテと結婚したい。でも、そのためには射撃の腕試しに合格しなきゃならない。人生を賭けた「絶対に外せない的がある」状態で力を問われる。
●でもそれって根本的におかしいわけっすよ。無謬性を最優先で求める社会で生き残れる人間は、何もしない人間だけであって(誰もがミスをする。何かをやればやるほどミスは増える。ミスしないのは何もしない人間だけ)、そんな社会からはいずれ果敢さや活力は失われるに決まっている。射撃のスランプに悩んだマックスは、悪魔と取引をして百発百中の魔弾を手に入れる。マックスの弱さを非難できる人間はいない。人は過ちを犯す、だが悪魔の弾なら百発百中だ……。
●ところが実は悪魔だってミスをする。予定では7発の弾丸の内、最後の1発はアガーテの命を奪うはずだった。だが、その一発は隠者の花冠の持つ聖性ゆえか、アガーテを逸れて己の走狗たるカスパールに当たってしまう。
●最後に隠者が登場して領主を諭す。このような無謬性を礎とした社会制度は止めよ、と。となれば、猟師マックスの過ちに対しても寛容な裁きが下されるのは当然だ。百発百中を求めるな。完全無欠な者などいない。あなたも私も誰もがミスをする。だから、このオペラを見終わって、「肝心のところでホルンが外した」とか言ってる人には、ぜんぜん物語のテーマが伝わっていない。

April 21, 2008

曇天に快勝、横河武蔵野FCvs佐川印刷SC

●週末、ふたたびJFLの横河武蔵野FCの試合へ。vs佐川印刷SC(京都)戦。自転車で行けるご近所スタジアムで観戦する、3部リーグ・サッカー。この近さに慣れると(たまに買い物に行くスーパーの裏手とか、そんな感じ)、ますます新横浜の超巨大スタジアムから足が遠のいてしまいそう。でも観戦にかかる所要時間が圧倒的に違うからしょうがない。J1だとどこに行っても移動時間のほうが試合時間より長くなるわけだし。
●で、前回は花見も兼ねつつポカポカと日向ぼっこしながら芝生で寝転がって観戦できたわけだが、この日は残念ながら朝からずっと曇り空で風が冷たい。寒さにやや震えつつスタンド観戦。相変わらずキッズたちが試合と無関係に競技場内を走り回って遊んでいるのが吉。観衆は840名。ワタシら一行でその内の4名だったから、観客動員を0.5%押し上げたことになるのかっ!
●で、前回は相手の鳥取に個々に優れたタレントがいたこともあって、締まったゲームになっていたが、この日は少々集中力が低下気味か、前半は見せ場に乏しい試合に。中盤でボールをつなげず、前線の18番金子めがけてボールを入れるがうまく収まらない、しかし組織的な守備は機能して0-0。後半開始直後に高橋周大のゴールでリードしてからは、積極性も増して見ごたえのある試合になった。ちなみに「周大」で「シュウタ」って読むみたいなんすけど、もう生まれながらにストライカーになることを運命付けられたような名前じゃないっすか。もちろんポジションはフォワード。スゴくない? 途中で「父ちゃん、オレ、野球に転向するわ」とか言われたら、この名前はどうなっていたのか(いや、どうにもならないけど)。
●佐川印刷SCは中盤で6番の選手が効いてた、途中交代したけど。やっぱり体がでかくて強い選手はどのポジションでも有利だなあ。あと9番の選手が「外国人?」と見えたので、帰宅してググってみたら、思い切り日本人だった。
●前回の対戦相手のガイナーレ鳥取のタイ人監督なんすけど、今号の「サッカー批評」にインタヴューが載っておりました。以前、旧JFL(Jリーグが誕生する前の日本フットボールリーグ。当時日本の一部リーグ)でプレイしてて、その後イングランドに移籍した選手だった、と。人に歴史あり。ガイナーレ鳥取はかなりおもしろいことになりそう。
●これで横河武蔵野FCは6勝1分無敗。なんと勝点で首位に並ぶという、予想もしていなかった強さ。いいのか、こんなに強くて。謎。次のホームゲームは5月3日の対流通経済大学戦。「ラ・フォル・ジュルネ」と重なるので欠席。

April 18, 2008

ハードウェア故障によるサービス停止の事後報告

CLASSICA●昨日午後十時より十一時頃まで、当サイトへアクセスできない状態が続いておりました。サーバのハードウェア故障のため、故障部品の交換を行いました。この間にアクセスいただいた皆様には謹んでお詫び申し上げます。故障部品の交換と申しましても、交換したのは私ではございません。サーバの管理会社でございます。アクセス不能となる三〇分ほど前に、管理会社より私に「緊急メンテナンス工事のお知らせ」というメールが届きました。今から三〇分後にウェブもメールもFTPも全部できなくなりますよ、という丁寧なメールでございました。私にできることは、三〇分後に「早く故障部品の交換おわってくれ」と祈ることのみでありました。がんばれ、サーバの中の人、がんばれ、交換部品。祈りが通じたためか、予定よりいくらか早く交換が終わったようでありました。これまでにこのようなアクセスの多い時間帯に、これほどサーバが停止したのは初めてでございます。今回のサービス停止は甚だ遺憾ではありますが、これまでの安定性を考えれば、サーバ管理会社よくやってる、胸を張っていいぞ、そう思うほどであります。それにしても、管理会社はいつもサーバと書きます。業界の人みなさんサーバ、サーバと呼びますので、なにか魚っぽい気がします。レシーバーもレシーバでしょうか。スピーカーもスピーカでしょうか。そう首を傾げつつも、私は日頃よりコンピューターではなくコンピュータ、メロディーではなくメロディと書いているわけです。世界は割り切れないもので満ちております。25は5で割り切れます。しかし27は5で割り切れません。割り切れないものには剰余が出ます。27を5で割ると剰余はいくつでありましょうか。2です。暗算でできます。しかし65536を27で割ったときの剰余はいくつでしょうか。そんなときはググります。Googleは計算機になるのです。検索窓に 65536 mod 27 と放り込めば、答えは7と教えてくれます。便利な世の中になりました。それもサーバが故障しないからこそであります。今回の交換部品が末永く故障せずに健やかに作動することを祈念しつつ、昨晩のサービス停止について重ねてお詫びする次第でございます。

April 17, 2008

手相を見る

●以前、手相占師がこんなこと言ってたんすよ。「ふーむ、あなた近く海外に行く予定があるんじゃないですか。ほら、これが外国線」。って、おいおい、そんな線まであるのかよ。じゃ、国内線とか在来線とか新幹線もあるのかよー。それで外国から戻ってきたら線は消えるのか? 謎すぎる。
●「ふーむ、あなた関東北部のご出身じゃないですか。ほら、ここに東武東上線」とか。

April 16, 2008

須栗屋敏の「相性占い2008」

須栗屋敏●4月は出会いの季節。新たに知り合ったあの人やこの人と自分は果たしてうまくやっていけるのだろうか。そこで、またしても須栗屋敏先生がケータイ着メロサイト「音友クラシックコンサート」にて出張鑑定中。ずばり「相性占い2008」。彼(彼女)、友達、上司、いろんな人とあなたの今年の相性を占います。要、お互いの星座と血液型。運気を上昇させるラッキー・クラシック着メロまで教えてくれる親切仕様。月額100円必要なのが申し訳ないんだけど、以下のQRコードからジャンプするとOK。QRコードがわかんない人はケータイのトップメニューから「着メロ」→「クラシック」を探すのが近道。期間限定企画。

音友クラシックコンサート

●ていうか、須栗屋敏先生、最近サイト外の出番が多いな(笑)。名刺作っておいたほうがいいのかも。肩書きはエア占い師で。

April 15, 2008

「通訳」続き

●知人宅に招かれると、そこには美形のニャンコが。スコティッシュフォールドっていうの? 耳の折れたネコ。人見知りしない若猫だったので、じゃらしたり撫でたり肉球に触ったりして存分に遊ぶ。ていうか、遊んでもらう。
●しかしニャンコとはネコ言語?でコミュニケーション取れるのに、人間同士だと大変な種類の言語があって隣の国の人とも話せない。で、昨日のマラーニの「通訳」みたいな物語が書かれたりする。こういう謎の言語が出てくると、バベルの塔が建つ以前の原始言語を連想する。
●謎の言語といえば思い出すのはサミュエル・R・ディレイニーの「バベル17」(ハヤカワ文庫SF)。敵対勢力による破壊活動が行われる際に、常に発信源不明の謎の通信「バベル17」が交わされていることが発見され、これを暗号とみなした軍が暗号解読技師の経験を持つ詩人の主人公に解読を依頼する。が、主人公はこれが暗号ではなく言語であると看破する。「バベル17」は効率性の非常に高い言語らしくて、既存言語が何センテンスも費やすところをワンフレーズで表現できるみたいな設定になっている。一瞬「んなわけあるか」と思うが、人工言語ならそういうこともありうるかも。プログラミング言語とか。
●ちなみにマラーニは人工言語「ユーロパント」の考案者としても知られているそうで、これは英、独、仏、伊、スペイン語などをごちゃ混ぜにした「勉強せずに話せる唯一の言語」なんだそうである(まあジョークなんだけど)。といっても日本語話者にとってはそれすら読めないが。そういえば漢字を使った漢字文化圏向け人工言語ってないんだろうか。

April 14, 2008

「通訳」(ディエゴ・マラーニ著/東京創元社)

通訳●「思考が言語化する」のではなく、「言語が思考を作る」という考え方があるじゃないっすか、一般に。あの人、英語を話すときはガイジン化する、みたいなのが。フランス語を話してる日本人はフランス人っぽくなるとか。日本にいてもある、たとえばすっかり東京化した関西ネイティブの人。東京にいるときと関西に帰ったときでは、言語だけじゃなくて思考回路や人格まで変わっちゃう。
●じゃあ、「通訳」という職業はなんなのか。それもEUの公的機関で働く多言語の同時通訳者とは。23の言語が用いられるこの世界で、スペイン語が、ギリシャ語が、ルーマニア語が、リトアニア語が、チェコ語が、かわるがわる通訳の脳内をのっとるのであれば、なにが起きるか。「母語を離れることは別人の仮面をかぶることであり、没頭しすぎると戻るのが難しくなる」と語るのは、この奇想天外な小説の著者ディエゴ・マラーニだ。この人、小説家以前にリアル通訳なんすよ、EUの。
●小説「通訳」(東京創元社)の主人公は、EUの国際機関で通訳局長として働く管理職のスイス人。当人は通訳ではなく、「言語は歯ブラシと同様、各人が自分のものだけを口に入れるべき」などと考え、部下の多言語話者たちに対して漠然とした不信感を抱いている。
●あるとき、十五ヶ国語を操る部下の同時通訳に異変が起きる。業務中に意味不明な奇声や口笛を発するようになる。部下は言う。「これは無意味な音なんかじゃない。無意識のうちに謎の言語が成長しているのだ、いや、もしかしたらこれは人類が忘れた古代言語なのではないか!」。もちろん彼は狂人あつかいされ、クビになる。だが、この謎の言語が、あたかもウィルスに感染するのかのように、管理職である主人公の口にまで侵食する。私の口から勝手に出てくるこの奇声、叫び声、発作は何だ、言語障害なのか! まさか神の言語、そんなバカな!
●という物語。予想も付かない方向に話がすっ飛んでいくのでジャンル分け不能。言語小説(そんなコトバあるのか?)の傑作。結末ではワタシは大笑いしながら、ある愉快な小説を連想したんだけど、その題を言うとネタバレになるから言えない。

April 13, 2008

レッツゴー!クラヲくん まとめエントリー

●「おかか1968」さんのところに「レッツゴー!クラヲくん」まとめエントリーができていた。これ見ていちばんウケるのはワタシ自身だろうな。ありがたいことである。

「おかか1968」ダイアリー: クラヲくんまとめ

April 11, 2008

オネーギンとレンスキー

●13日から始まる「東京のオペラの森」、チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」のゲネプロを見てきた。小澤征爾指揮、ファルク・リヒター演出、ウィーン国立歌劇場との共同制作。本公演前なので中身には触れないけど、先鋭すぎる演出ではなく、歌手陣もそろっていて楽しめるのでは。レンスキー役のマリウス・ブレンチウはなかなかの美声。
●関連記事。東京のオペラの森:制作は今年限り(毎日新聞)。
●チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」は、登場するそれぞれの人物像が魅力的で、普遍性のあるテーマを何重にも盛り込んでいるのがいい。オネーギンとタチヤーナ、オネーギンとレンスキー、レンスキーとオリガ、タチヤーナとグレーミン公爵、どういう組み合わせをとっても、それぞれに興味深い関係性があって、オペラの脚本では珍しいくらいよくできている(プロットはアンバランスで特異だけど)。
●たとえば、男性だったらオネーギンとレンスキーのどちらに共感するか。遊び人オネーギンか詩人レンスキーか。放浪者オネーギンか土地の者レンスキーか。モテ男オネーギンか非モテ系レンスキーか。前者は自尊心を失って破滅し、後者は自尊心が強すぎて破滅する。二人の決闘の場面はやはり見ごたえがある。「なんで、そんな決闘する必要なんかあるのさー」ってのがワタシらには不条理であるにしても。
●3幕で、オネーギンが旅をして帰ってきて、見違えるように美しく成熟した女性になったタチヤーナと再会するところで歌うじゃないですか。「オレは家庭も持ってないし、仕事も持ってない、あてもない旅をして帰ってきた……」。オネーギンは粗野なハミダシ者であると悪評を買ったりもするけど、こうしてブラブラしてて、それでもちゃんと華やかな社交界に帰って来れる場所があるんだから、文化資本的にはとても恵まれた人物であることにちがいないんすよね。でも言ってるセリフだけ聞いてると、現代だったら漂流するネットカフェ難民みたいな人物像が該当しなくもないわけで、仮にそうするとレンスキーとかタチヤーナはどういう設定にするのがふさわしいだろう……とか勝手演出を考えると楽しい。
●ちょい役みたいな感じだけど、再会したらタチヤーナが結婚していたという相手、グレーミン公爵も印象に残る人物で、薄っぺらに描かれがちなよくある「金持ちの年寄り」とは全然違う。終場でタチヤーナがグレーミン公爵を裏切らないのは必然だろう。でも、幕切れで、音楽は強烈なクライマックスを築くのに対して、「オネーギンが絶望する」という脚本の腰砕け感がどうもちぐはぐで落ち着かない。かといって安直に自死されても台無しだしなあ。プッチーニやヴェルディならどうやって終わらせただろうか。

April 10, 2008

レッツゴー!クラヲくん2008 名盤編

●連続不条理ドラマ「レッツゴー!クラヲくん」第12回 名盤編


「これはスゴいベートーヴェンだっ! すべての音に意味がない!!」

 

April 8, 2008

映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」

●先日、朝日の夕刊見てたら、映画「つぐない」評が載ってたんだけど、思いっきり豪快に筋を割っていた。おかげで先日ご紹介したマキューアンの原作「贖罪」にとても忠実だってことはわかったんだけど、いいんすかね。

●これから上映される映画を一本ご紹介。映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」。これはもう「のだ◎め」どころじゃないっすよ、クラヲタ・ポイント突きまくりで。史実と虚構が実にバランスよくミックスされた本格伝記風映画、しかも全編ロシア語。しかし話の内容は字幕を読まなくてもなんの場面かわかりそうなくらい、音楽好きにはなじみ深いエピソードが続く。
映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」
●本筋としてラフマニノフと彼をめぐる女性たちっていう核があるんだけど、まあそれは置いといて(おいおい)、クラヲタ的に盛り上がれる場面を挙げてみる。たとえば、ラフマニノフの交響曲第1番初演大失敗シーン。史実として、この曲の初演は失敗だったんだけど、それにはオーケストラの演奏がひどすぎた、特に指揮をしたグラズノフが酔ってたっていう話があって、それをちゃんと映画内で再現してくれている。その場に臨席してたリムスキー=コルサコフがこれまた本物そっくりでおかしい(ていうかラフマニノフ役もかなり本物に似てる)。このとき、ロシア五人組の一人キュイが新聞で苛烈な批評を寄せた話は有名だ。「地獄の音楽院の課題にこの作品が交響曲『エジプトの7つの災難』として提出されれば、きっと地獄の住民を熱狂させるだろう」みたいなヤツ。あれもこの映画のなかでほんの一瞬だけど間接的に登場してサービス満点。
●で、音楽面のストーリーでハイライトになるのはピアノ協奏曲第2番、やっぱり。交響曲第1番で傷ついたラフマニノフが、精神科医ダールの治療で立ち直る。ダールがラフマニノフに向かって懐中時計をぶらぶら左右させて「あなたは眠くな~る」みたいなのをやってくれちゃう。まさに「のだ◎め」の千秋真一飛行機恐怖症克服の元ネタともいうべきシーンがここに!
●ロシア時代だけじゃなくて、アメリカに渡ってからのスタインウェイとの微妙な交流なんかも描かれていて、96分ながら中身はもりだくさん。虚構のさしはさみ方もうまい。ハリウッド的な快速テンポで語られる話ではないので、古典的なスケール感で悠然と味わうのが吉。4月19日(土)Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ他にて全国順次公開。

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April 7, 2008

絶対横河武蔵野FC宣言!

お花見も楽しめる武蔵野陸上競技場だ!
●この週末、わがフットボール史に事件あり。やや遅すぎた花見も兼ねて、武蔵野陸上競技場で横河武蔵野FC対ガイナーレ鳥取を観戦してきたのだ。桜が咲いていたからか、春の麗らかさゆえか、これはもう楽園のフットボール。もうダメ、すばらしすぎる、JFL。
●えっ、話が見えない? えーっと、マリノスとかレッズとかが戦ってるのがJ1。その下にJ2がある。ここまでがJリーグ。でもサッカーの世界では、トップレベルのプロから地域のアマチュアまでが地続きになっている。J2の下に3部リーグがあって、これをJFL(日本フットボールリーグ)という。3部リーグながら、立派な全国リーグ。横河武蔵野FC対ガイナーレ鳥取っていうのはそのJFLのリーグ戦の試合だ。ちなみにJFLの下にもリーグはあって、そこからは地域リーグになる。東京なら関東リーグ1部。
●で、横河武蔵野FCである。もう惚れたかも。いやもしかしたら武蔵野陸上競技場に惚れたのかな。ウチからだとかなりご近所だし。この日の観客数は1002人と大盛況。前節アウェイの三菱水島FC(岡山県)戦での入場者数が141人だったと知れば、この1002人という偉大さがわかるだろう。前半、ワタシはメインスタンド(が一応ある)で観戦していた。周囲には近所のお母さんたちが大勢いる。子どもがサッカー好きだから? チッチッ、そうじゃない、子どもが選手といっしょに入場する晴れ姿を見に来た。キッズたちはたくさんいたが、みんな小さすぎてサッカーよくわかんなくて、勝手に遊んでる。バック側の芝生席はもっと自由だ。ほぼピクニック状態。滑り台ごっこに夢中になるキッズ。縄跳びしてるオジサン。試合中なんだけど。ああ、地元サッカー。後半からは芝生で横になって観戦した。ポカポカして暖かい。
●でもすばらしいですよ、JFLでも。サッカーの質は高い。われらが武蔵野は若手選手中心。Jリーグで実績を残した選手とかは見当たらない。でも相手のガイナーレ鳥取、これがスゴいんだ。だって外国人選手がいるんすよ! 特に9番のハメド(コートジボワール出身)。もう彼が前を向いてボールを持つと誰も止められない。一度なんかジダンみたいなマルセイユ・ルーレットを決めたんすよ。そのときはさすがにスタジアムが「おおっ!」ってわいた(推定120人くらいが)。でも後半は消えがちで、上のレベルでやるのは運動量的にも厳しいな……ってまだこの人20歳かよ! いくらでも伸びるか。ガイナーレ鳥取は左サイドの6番、小井手もいい。上のレベルでもできそう。はっ。3部リーグの鳥取のクラブについてここで力説してどうする。
●でも続ける。鳥取の監督はヴィタヤ・ラオハクルっていうタイ人なんですよ! スゴくない? 3部なのに外国人監督だし。しかもタイから。そして鳥取からアウェイ・サポが来てる!! 真のサッカー魂を見た。
●いかん、武蔵野の話をしなければ。実は個々の選手の体格などを見ると鳥取のほうがずっとスポーツ選手らしい。高さ、強さでは武蔵野はかなわない感じ。だが、試合はずっと武蔵野がゲームを支配していたのだ。組織的なディフェンス力で相手を圧倒、さらに要所要所で体を張ったディフェンスを厭わず、勝利への意欲で鳥取を大きく上回っていた。あとホームであることの優位性はJリーグ以上かもしれない。武蔵野の27番、林俊介が先制ゴールを決め、続いてPKのチャンスに7番の太田康介が落ち着いてゴール、終了間際に鳥取の10番、実信憲明に1ゴールを返されたが、2-1で武蔵野が完勝。初観戦に勝利ゲームを見ることができて嬉しい。
●試合終了後は抽選会に入る。ここからJ1やJ2にはマネできないだろうっていう盛り上がりを見せる。入場券の半券が抽選券になるシステムで、1等は液晶デジタルテレビ。武蔵野の監督や選手がクジを引く。それまでバックスタンドの芝生に寝転がってた人たちが、メインスタンドにどっと集まる。武蔵野サポから湧き起こる「テレビ」コール(笑)。人数これだけだもん、期待するよ、テレビ。あと選手のサイン入りボールとか、地元レストランのお食事券とか。もしかしたら試合より盛り上がってしまうテレビ抽選会。みんな燃えたな。ワタシも心の中で呟いていたし。テレビ来い、テレビ来い、テレビ来いって。
●想像をはるかに超えた楽園ぶりにワタシは激しく心を動かされた。帰り際、横河武蔵野FC後援会に入会している自分がいた。この会員証で毎試合ホームゲームは入場可。でもマリノスはどうする。いやマリノスもわがマリノスであり、それは変わらない。1部と3部くらい離れていれば、当面競合する心配はないわけだし。思い出すのはサカヲタのバイブル、ニック・ホーンビィ著「ぼくのプレミアライフ」。プレミアリーグのアーセナルのファンなんだけど、それとは別に地元の小クラブも応援するみたいな描写があったじゃないっすか。ああいうイングランドのサポと近いようなサッカーの楽しみ方がこのニッポンでできるって、なんたる僥倖。行きたくなるでしょ、スタジアム。JFLの公式サイトはこちら。お近くにチームがあるという方はラッキー。

April 4, 2008

スヴャトスラフに合掌

リヒティ?●そういえば4月から新年度なのだった。高田馬場を通ったら、駅前のロータリーのところで若者が大集合してて、どうも早稲田のサークルの勧誘みたいなことをやってたっぽい。「バレーボール同好会」とか看板持った上級生がいて、その後ろに入部希望の新入生が並ぶ、みたいな感じ。なんだかあの無警戒感が眩しい。
●何日か前にmixiのキーワードランキングで3位が「リヒティ」だったんすよ。反射的にこの人(↑)の顔が浮かんだわけだけど、やっぱり違うのかなあ、リヒティ。愛称としては良さげなんだが、リヒティ。
ピアノスタイル●「ピアノスタイル」2008年4月号はショパン特集。少しだけ原稿を書かせていただいた。おもしろいのは読者投票による「ショパン人気曲ベスト10」。第1位が「幻想即興曲」、第2位がノクターン第20番嬰ハ短調(遺作)、第3位がエチュード「革命」。第1位は予想通りだけど、第2位は自分じゃ絶対思いつかない。「戦場のピアニスト」効果なのか?
●ショパンから一曲選べと言われたら、ワタシならバラード第1番ト短調かなあ。しかしこれはなんとベストテン圏外。だが第7位にバラード第4番が入っている! へー、なんかスゴいな、4番のほうが1番より上に来ちゃうのか。
●エア譜めくりってどうだろう。

April 3, 2008

「贖罪」(イアン・マキューアン著)

贖罪●映画「つぐない」公開にあわせて原作が文庫化されていた、イアン・マキューアンの「贖罪」(新潮文庫)。猛烈に傑作。マキューアンは、現代作曲家を主人公にした「アムステルダム」とか、やはり映画化されている「愛の続き」もよかったけど、読んでていちばんおもしろいのはこれかも。
●この「贖罪」、冒頭にジェイン・オースティンの「ノーサンガー・アビー(アベイ)」の一節が引用されている。で、実際読み始めてみると、舞台は30年代イギリス、裕福な地方の旧家で、作家としての将来を夢見る13歳の少女が少しずつ自我に目覚め、子どもから大人へと育ちつつある自分を感じてる一方、そのお屋敷に住むお姉さんと勤勉な使用人の息子が、子どものころは幼なじみだったのに大きくなると微妙な関係が生まれちゃってドキドキみたいなのがあったりで、実に優雅な恋愛小説が綴られているのだ。こんなに古典的な小説でいいんでしょうかというくらいに。
●どれくらい優雅かっていうと、こんな風景描写があるくらいだ。

 日暮れ時には、西の空高い雲が薄く黄色を流したようになり、その色は時を追って濃さを増し、雲の層も次第に厚くなって、ついには雲のフィルターを通したオレンジ色の輝きが屋敷の巨木の梢に届いて、葉は木の実のような茶色を帯び、葉むらを透かして見える枝はねっとりした黒色、からからに乾いた草地は夕暮れの空の色に染まった。

 色彩の変化による風景の描写は、登場人物の心の色も変化することを示唆し、続く運命的な愛を予告する。
●が、そこはマキューアン。「アムステルダム」や「愛の続き」でも感じたことだけど、この人は天才的に底意地が悪い。若者たちの運命はさわやかな悪意によって翻弄される。どうしてそんな展開がそこに!とか。で、この堂々たる恋愛小説部分だけでも、この小説は十分成立してるんだけど、それだけにはとどまらない。主要登場人物に小説家志望の少女がいる以上、必須の展開であるが、彼女は成人すると小説を書く。いかに物語を書くか。彼女は自分の作品を批評する。とたんにオースティン調はすっ飛んで、小説は自己言及的になる。

 自分が作り上げたもののどこがブライオニーを興奮させたかといえば、それは作品のもつ純粋な幾何学美と本質的な不確定性であって、彼女の考えでは、そうしたものこそが現代的感性の反映なのだった。明快な解答の時代は終わったのだ。人物(キャラクター)と筋書(プロット)の時代も。日記にはキャラクター・スケッチもあったが、実のところブライオニーはもはやキャラクターを信じていなかった。それは十九世紀に属する古風な仕掛けだった。(中略)プロットというのも、さびついて歯車が動かなくなった機械のようなものだ。現代の小説家がキャラクターやプロットを書けないのは、現代の作曲家がモーツァルトの交響曲を書けないのと同じことだ。

 うお! この小説、さっきまでそのキャラクターとプロットで読ませてたのに。モーツァルトだと思ってたら、中の登場人物が12音技法を使ってた!
●だが実を言えば、登場人物が書かなければいけなかったのは「純粋な幾何学美と本質的な不確定性」などではなくモーツァルトだった、という物語でもある。ネタバレを避けるが、結末は現代の古典と呼ぶにふさわしい邪悪な美しさに満ちていた。だれもそのままのモーツァルトを書くことはできないけど、なんとかしてモーツァルトを書きたいし、みんなモーツァルトを聴きたい。じゃあどうするか、というのがこの「贖罪」。

April 2, 2008

全部ウソ

●昨日、日々巡回するあらゆるブログにつき、ワタシはエントリーの日付を確認した上で、その内容すべてがウソであると解した。あのブログもウソ、このブログもウソ、みんなUSO800。
●ニュースを見た。すべてがウソだ。「ガソリンスタンド安値合戦」、きっとウソ。「デモ参加のチベット人ら260人拘束」、おそらくウソ。「島耕作、近く社長就任へ」、絶対ウソ。「勤務中に黒大豆乾燥、筍ゆでる 職員5人を処分 奈良市」、いかにもウソ。「朝鮮労働党機関紙、韓国の李明博政権を名指し批判」、これもウソ。今日、きっと「実はウソでした」記事が載ってるんじゃないか。
●「飲むだけでやせる お茶ウソ 2社に排除命令」。これもウソ。どこがウソか悩むがどこかウソ。飲まないだけで太る お茶ホント。

April 1, 2008

ハーブに聴かせる名曲の調べ、健やかに生長

ワイルドな香りが芳しいイタリアン・パセリ 南東京市三角谷村でハーブ作り名人として知られる草村踏雄さん(88)が、クラシック音楽をハーブに聴かせる取り組みをはじめ話題を呼んでいる。名曲を聴きながらすくすくと育ったイタリアン・パセリはこの夏、フィッシュベル村で開催されるハーブ品評協議会に出品される予定だ。「美しい音楽は人間だけではなく植物も豊かに育てる」と耳にした草村さんは、村の音楽教育委員である蔵尾太郎さん(256)にハーブに聴かせる音楽について相談したところ、クセナキスの音楽が選ばれた。草村さんは朝、昼、夕方、夜、深夜と一日5回、「メタスタシス」や「ヘルマ」「プレイアデス」などが入ったCDを聴かせている。南東京市農業試験場によれば「使用しているスピーカーの出力が十分とはいえず、効果の有無は断定できない」(音響担当)とのことだが、草村さんは「音楽を聴かせるようになって以来、香りがより力強くなった。毎朝の水やりも名曲を聴きながらできるので楽しい」と喜んでいる。

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