2006年11月アーカイブ

November 30, 2006

U21日本代表 vs U23パキスタン代表@アジア大会ドーハ2006

ドーハ2006●マジメに仕事しようとした志のある若者たちだったんだけど、世間の人々は案外フマジメで仕事への意欲も低くて、無関心ゆえに若者たちを不当に扱っていたら、どんどんみんなのヤル気が削がれてダメ集団化していった。そんな試合だった、アジア大会の初戦は。
●ニッポンはアジア大会を北京五輪強化試合だと思ってるから、2年後のU23を送り出している。パキスタンは現在のU23にオーバーエイジ枠まで使ってる。でも試合開始直後、名古屋の本田がフリーキックを軽々と決めた。相手のキーパーは飛んできたボールの速度とコースに心底驚いていたはず。「こんなの見たことない、こいつらとオレたち試合やるのかよ?」。
●6-0の退屈な試合になるはずだったのに、主審がムチャクチャ。わけのわからんイエロー出す、相手のラフプレイを見逃す、こっちは体が触れただけでファウル。アジアで実力差の大きすぎる相手と戦うといつもこうなる。近年のフル代表ならこういう相手と戦っても、適当にリードしたら試合を殺してそのまま終わる。でも優秀な若者たちは理不尽な扱いに慣れてなくて、3点リードしてまだ走り続けていたら、しまいにケガ人を出して、退場者まで出し、疲労で足が止まり、そして2点奪われた(涙)。
●本田のキックにパキスタン人たちは顔面蒼白になって恐怖してた。それが終盤2点奪った後は、風のように走り、ニッポンを防戦一方になるまで押し込んだ。笛を持つ大人は、若者をどんな風にでも操ることができる。

November 29, 2006

ピンクのモーツァルト

モーツァルト オーボエ協奏曲●一日遅れでドラマ「のだめ」第7回。今回は黒木くんの回。モーツァルトのオーボエ協奏曲で登場。ドラマ的にはリアル「おなら体操」を見ることができて感動。最終話まであと何回だから次週はあれがこうなってその次でこれが起きるはずだとつい逆算してしまうのが悲しい。いつ最終回かわからなきゃいいのに。
●もうほんの少し先だけど、のだめが「ペトルーシュカ」弾いてて、「今日の料理」が出ちゃう場面が楽しみ。荒唐無稽ってすばらしい。
●昨日からモーツァルトのオーボエ協奏曲が巷でヒットしているはずだと思って、amazonのクラシックのトップセラーリストを見ると、ちゃんとトップ10に一枚入っているではないか。オーボエ協奏曲のCDなんていっぱいあるから分散されちゃうだろうに、それでも入るのかー。いいなあ。テレビの影響力がスゴいのか市場が小さすぎるのかわかんないけど、この世界で共有可能なたあいない話題って貴重だ。
モーツァルト オーボエ四重奏曲モーツァルト コンサート・アリア集●モーツァルトの書いたオーボエ曲、好きな曲トップ3。もちろんオーボエ協奏曲、それからオーボエ四重奏曲、あとはコンサート・アリア「神よ、あなたにお伝えできれば」K418でどうだろ、オーボエ曲じゃないけど前半に出てくるソロがステキすぎるので。

November 28, 2006

90分で一ヵ月分くらい喋る

●「のだ×」の話は明日にしよ。HDDレコーダーってすばらしい。
●何度かご案内申し上げていたDHCカルチャーセミナー「知識ゼロから聴くクラシック」、無事終了。ご来場いただいたみなさまには心よりお礼申し上げます。参加者30名強と盛況。もし3人くらいだったらテーブル一つ囲んでお弁当でも持参してボソボソ語り合おうかとか心配してたわけだが、幸いそんなことにはならなかった。普段から全然喋るほうではないのでなおさら思うのだが、職業的に講師や先生を務めてらっしゃる方々ってホントに凄い。毎日講義をいくつもやるなんて、無尽蔵の対人エネルギーと強靭な声帯がないとムリって気がする。
●セミナーだと役割上「先生」と呼ばれるのも新鮮だった。ワタシは職能的にもメンタリティ的にもあらゆる面で先生と名乗る資格を有していない。でもこういうものはロール・プレイングとかコスプレみたいなもので、グズグズ資格を自問して与えられた役割になり切れないようでは参加者全員が白ける。社会的役割を決めるのはワタシじゃなくて世間だし。だから先生らしくなろうと思い、珍しくスーツを着用してみた。鏡に映った自分の姿を見る。あ、なんか怪しい。お年寄り相手に「エナジー×××」とか売ってるっぽい。「はい、こちらのギガヘルスUSO800を腰に巻いてくださーい、超マイナスイオンと温熱遠赤波動の働きで冷え性がどんどん治りますよ~、寒い冬に最適です!」。はっ、今ワタシは何を口走っているのか。

November 27, 2006

ありえないJ、ありえないフッボー

●祝、レッズ優勝!……と書くことになると思っていたら、驚いたことにそうならなかったんである。どこのクラブにせよ優勝シーンというのが好きであって、せめてその場面だけでもとテレビへ。結果ドローだが、ガンバも京都相手に同点であり、てっきりこのままレッズの優勝が決まると思いきや、レッズの試合終了より1分ほど遅れてロスタイムのガンバに劇的な勝ち越しゴール。おかげでJ優勝の行方は最終節まで持ち越されることに。こんなこともあるのか。
●しかもその最終節が優勝争いの当事者であるレッズvsガンバ大阪っていうのはどうなんだろか。あらかじめ筋書きがあるかのごとくの展開。レッズ・サポはこんなに楽しめていいのかっていうくらい楽しめてると思う。しかも次ホームだし。3点差で負けなければオッケ。でもまあ、サッカーはなにが起きるかわからん。
セルティック、カッコいいぜ●もう一つ。ウィークデイにあったセルティックvsマンチェスター・ユナイテッド@チャンピオンズ・リーグ。アウェイ戦に続いて、またしても中村俊輔のフリーキックが決まる。30mくらいの距離。これが決勝点となって、マンUを差し置いて決勝トーナメント進出決定。これもありえない展開だったなあ、まるで筋書きがあるかのごとくで。
●はっ、これってもしかしたらホントに筋書きがあるんじゃ。ワタシの見てるサッカー世界は誰かの脳内サッカー・ファンタジーの投影なのでは。あなたの見てるサッカー界でも、中村俊輔はマンU相手に2戦連続フリーキックを決めているのか? そしてガンバはロスタイムで決勝点を入れたのか? ドーハの悲劇は起きたのか? マラドーナは5人抜きしたか? ワタシは草サッカーでゴール決めたか?

November 24, 2006

日々は秒速1秒の猛スピードで過ぎてゆく

●ふー。じっくりと音楽を聴いたり本を読んだりする時間がまったく取れなくて四苦八苦、あれやこれやみんなうまく行ってくれるといいのだがと祈りつつ、近頃CDプレーヤーを通り過ぎていった音楽たち、聴かれたというよりは流されてしまったという、留保させられたままのディスクにゴメソ申し訳ないと頭を下げながら、列挙、無謀に。
ブラレイとル・サージュ●もともと大好きな曲であるが、例のドラマ以来また頭のなかでの占拠率高まり中。せっかくであるし新録音をということで、モーツァルト:2台と4手のためのピアノ・ソナタ集。ピアノはエリック・ル・サージュとフランク・ブラレイ。溌剌、快活、猛烈に楽しい。使用楽器は19世紀後半のスタインウェイということで、同時代でもないしモダンでもない中間点。どして。この二人が並ぶと、ワタシのなかでは黒騎士と白騎士ってことになってる、仮に実像オッサンであったとしても。
ブリテン/カンティクル●ブリテン没後30周年。アニヴァーサリー企画がなんのためにあるかといえば、ワタシみたいに全然これまでブリテンになじんでない人間が新たな音楽と出会うため。もともとワタシは男性ヴォーカルの曲を聴かない傾向にあるので、ブリテン&ピーター・ピアーズのコンビは何光年もの彼方に遠ざかりがちである。でも思い切って、ブリテン:カンティクル&ウィリアム・ブレイクの歌と箴言。カンティクルは宗教的なテーマが題材になっているから、むしろ併録の「ウィリアム・ブレイクの歌と箴言」が気になっていた。こっちは有名な「虎よ、虎よ」もあるし、しかも箴言付きで楽しみだなー、と。詩と箴言の選択はピアーズだが、歌はフィッシャー=ディースカウ。ところがこの曲がなかなか晦渋な曲で、むしろカンティクルのほうがよっぽど聴きやすい。訳詩まであるのに、こんなに自分に響いてこないなんて。準備不足といったん退却する。ちなみにブレイクの訳詩は故三浦淳史先生のもので、氏のことを懐かしく思い出した。
アンスネスのブリテン●このままブリテンから逃げ去るのはあまりに癪なので、旧譜からなにかと思って棚から引っ張り出したのが、アンスネスのブリテン:ピアノ協奏曲。まだブリテンが器楽作品をたくさん書いていた初期作品。聴いて少し安堵する。全4楽章、トッカータ、ワルツ、アンプロンプチュ、マーチというものすごい構成の曲。第2楽章のワルツはラヴェルのラ・ヴァルスを連想させるんだけど、なにか関連はあるんだろか。
●しかしブリテン聴くなら、オペラ聴かなきゃなあ。わかっちゃいるが、あと一歩近づくにはなにか触媒が必要。

November 22, 2006

はい、次はコピペの練習です

マウスもいいけど、キーボードもいいぞ●コピペ。そう言ったのである、NHK教育テレビの「パソコンアートを楽しもう!」という番組で。画面にもテロップが出た。「ここで、さきほど描いた円を、右にコピペします」。そして「コピペとはなにか」の解説が始まった。コピーしてペーストすること、である、そりゃもちろん。完全な死角で、この言葉はビミョーな市民権を獲得していた。
●記念に、ワタシお気に入りのコピペを貼っておく。

静まれーぃ!静まれーぃ!
この紋所が目に・・・・静まれーぃ!
皆の者~、静まれっ!静まれっ!静まれーぃ!
このお方をどなたと・・・・静まれーぃ!
ええぃ!静まれっ!静まれーぃ!
さきの副将軍、水戸の御老・・・・し、静まれーぃ!
静まれーぃ!皆の者、静まれーぃ!
水戸・・・・静まれーぃ!静まれーぃ!静まれーぃ!
November 21, 2006

「夢クラ」オートマティスム

●月刊「クラシックライフ」と音楽評論家佐久間学(及川光博)ネタはホントにドス黒くて笑える→「のだ×カンタ×ビレ」(スパム対策につき伏字)。「ガリ寿司」と同じくらい可笑しい。
●かの名作、全自動音楽評論ジェネレータお持ち帰り版があることに今頃気づいた。これってずっとCGIだと思ってたけど、javascriptだったんだ! ということは、これを改造すれば全自動佐久間学ジェネレータを作ることも可能なのか。これはかなり倒錯的だ。もっとキケンな用途としては、自分用に全自動ワタシジェネレータを作るってことだな。十分可能な気がする。いや可能に決まってる。

November 20, 2006

あーあー、ただいまマイクのテスト中、本日は曇天なり

●あと一週間になったのでラストご案内。11/27の18:30~、六本木にてカルチャーセミナー「知識ゼロから聴くクラシック」。ワタシがしゃべります。入門者を意識したこのテーマなのに、世間一般基準でクラヲタ度の濃い当サイトでご案内して効果があるのか?と思わないでもないのだが、マジメで営業熱心なワタシは案内せずにいられない。エクリチュール的には饒舌であっても、パロール的にはとても寡黙な人間なので、日々滑舌を良くすべくトレーニング中。なに喋っても「モゴモゴ」とか「ブツブツ」に聞こえちゃうんだよなー。アー、アー、モゴモゴモゴ、アー、アー、ブツブツブツ。
●週末のJリーグ。リーグ全体としては盛り上がっているようだが、マリノス的には苦難の日々が続く。岡田監督から水沼新監督に変わった時点で、この展開は覚悟してはいたが。優勝も降格も無関係なので、せめて若手を育ててほしいものである。かつて低迷してた時期にユース上がりの石川(現FC東京)とか田中隼磨に経験を積ませたように。

November 18, 2006

新国立劇場が愛称を募集

日本で唯一のオペラ・バレエ専用劇場に「ステキな愛称」を付けていただけませんか! ということなのである。祝、新国立劇場開場10周年。
●しかしな……愛称募集といわれても。メトロポリタン・オペラは「MET(メト)」、ミラノ・スカラ座は「スカラ」と上記ページに例示されているが、それと同様の愛称がすでに新国立劇場にはあるではないか→新国(シンコク)。あっちがメトやスカラなら、こっちはシンコク。他になんと呼べと? ひょっとして二国?
●でもせっかくなんだからちゃんと考えよう。「新国」じゃダメなら「SHINKOKU」でどうだろう。SHINJOとかKONISHIKIみたいに。無意味にシャレるために「SHIN'KOKU」とかもいいかもしれない。ん、「SHIN♪KOKU」とか「SHIN★KOKU」とか。
●初台の劇場だから「ハツゲキ」、あるいは住所は渋谷区だから「シブゲキ」ってのはどうか。それとも柿落としにちなんで「TAKERUハウス」とか(笑)。東京オペラ、東京座、さくら座、ニッポン座、フジヤマ劇場、ヤマト座、大江戸座……。英語名から考える手もあるな。NEW NATIONAL THEATRE,TOKYO だから、略するとNNTT。N2T2、NT^2、T.N.N.T、N.T、うーん、顔文字にはならんか。もうわからん、「オペラ大好きっ子劇場」でいいだろ。それじゃ客が来ないか。あ、「ウィーソ国立歌劇場」ってのはどう? ダメすぎ。やっぱ難しいな、「新国」の愛称は。
●ギルバート&サリヴァンの「ミカド」の舞台が日本の首都Titipuだから、ティティプ座でどう?

November 17, 2006

屋台村といっしょにボジョレー・ナイト

ボジョレー……ってなんだっけ?●東京国際フォーラムの「ボジョレー・ナイト」へ。「熱狂の日」音楽祭でお世話になったみなさまがたとともに、解禁となったボジョレー・ヌーヴォーを味わう。
●今年のボジョレー・ヌーヴォーの特徴を説明してみよう。まず、ホット。そしてスパイシーでありながら、どことなくスウィート、だがその本質はあくまでもホットであり、華麗にして優雅、ワイルドでありながらもちょっぴり懐かしさの漂うような味であった。あ、ゴメソ、これ、ボジョレーじゃなくて屋台のカレーだよ!
●つか、ホント、ワインの違いってわかんなくて。赤ワインと白ワインの違いがわからない。そもそも飲まないし、お酒。でも美味しゅうございました(←オイオイ)。

November 16, 2006

ニッポンvsサウジアラビア@アジア・カップ予選

●アジア・カップのニッポンvsサウジアラビア、もう予選通過が決まってる試合。それでもワクワクするのはオシム・ジャパンだから。今回もメンバーにセンターバックが異様に少ないのでどうなるのかと思っていたら、また今野が下がっている模様。アレックスは相変わらずDF登録だけど、駒野とともに左サイドを崩す役割で、左ウィングから中央で流動的なポジションを取る。トゥーリオも今野も機を見て攻めあがるから、結局攻撃に絡まないのってキーパーの川口だけかもしれん。エレガントなサッカーではなく、ダイレクトにゴールに向かう効率的なサッカーがホントに実現しつつあるからスゴい、オシムは。
●とはいえ、相手のコンディションは低かった。スタジアムは札幌。前回アウェイで戦ったときはあんなに強かったサウジが、こんなに弱まるとは。でもまあ、アウェイの消化試合なんだから無理ないか。そもそも予選で1位と2位とで、本大会の待遇がどう違うのか、現時点で決まっていないというアジア。
●後はベンチの高松と前田遼一が出てくるかどうかだなーと思ったら、なんと、NHK-BSの画面は唐突に津波警報のニュースへ。ああっ、サッカーはどこに。これ、録画で見てるから。実時間ではすでに試合終了してるから民放にチャンネルを変えることもできない。リモコンでビシュビシュと先送りしたら、最後まで津波警報。どうする。っていうか、どうしようもない。あきらめつつ沿岸地域のみなさまの無事を願いながら消えた中継画面に混沌としたニッポンとサウジの合体チームすなわちアル・ケンゴーやアル・トゥリオやアル・ガナハーとかコマノシャリの姿を想像し、そういえば今度のサウジにアル・ドサリは何人、ドサリがドッサリ?、生中継を録画するときは油断してはいけないのだな、アルフ・ライラ・ワ・ライラ、抜け目なく慎重にならねばならぬ、カラフのごとく。

姫 「あらゆる国に住み、あらゆる者の友で、自らと同等の者をガマンできぬものは何か?」
カラフ 「それは太陽である!」
姫 「子どもたちを生み、子が大きくなると飲み込んでしまう母とは何か?」
カラフ 「海。なぜなら川は海へ流れ込むが、もとは海から生じたもの」
姫 「表が白、裏が黒の葉を持っている木とは何か?」
カラフ 「その木とは年! 一年は昼と夜から成るものなり! 姫ゲットー!」
(『千一日物語』~トゥーランドットの物語)
November 15, 2006

「敬愛なるベートーヴェン」(アニエスカ・ホランド監督)

●街に出れば世の中すでに年賀状だのクリスマスだの気が早いなと思うわけだが、来月は12月、大々的にモーツァルト・イヤーである本年においてもやってくる、ベートーヴェン「第九」強化月間。
敬愛なるベートーヴェン
●で、その12月に公開される映画「敬愛なるベートーヴェン」(アニエスカ・ホランド監督)の試写を見てきた。これは映画館で予告編を見かけたときから気にはなっていたんである。ベートーヴェン役はエド・ハリス。すばらしくベートーヴェンになっている。「第九」を指揮したり、ちらりとピアノやヴァイオリンを弾いたりするのだが、千秋先輩どころではなく、竹中ミルヒー直人をも超える。ていうか、それ以上に外見がスゴい、ベトベンすぎて。恐るべし。そして相手役となる作曲家志望の若い女性コピスト(写譜師)役にダイアン・クルーガー。
●「ちょっと待ったぁ!」とここで声がかかるかもしれない。なんだ、その作曲家志望の若い女性コピストってのは、と。予告編でもわかるけど、「第九」の初演時に、彼女が耳の聞こえなくなったベートーヴェンのアシスタントをしてくれるのだ。史実にはそんな女性は登場しないし、「第九」初演時にベートーヴェンに代わって指揮をしたのはウムラウフだ。だから「なんか、ヘンなロマンスが入ってくるとヤだな、まさかこの人が不滅の恋人じゃないだろねえ」と不安に思われるかもしれないが、大丈夫、そんなアドベンチャーな映画じゃないから。
●むしろ女性コピストという架空の登場人物を導入したこと以外は、意外とオーソドックスな作りになっていて、伝記映画って言ってもいいくらいである。もしかしたら並の伝記よりも抑制されたタッチでベートーヴェンを描いている。ベートーヴェンに新たな人物像を付与しようなんていう企みは一切なくて、古典的な人物像で映画化しようっていう意欲を感じた。こうなると「女性コピストって設定は要らないんじゃないか」と一瞬思わなくもないが、この人が物語上何者であるかというはの自分なりに納得したので無問題。
●「第九」前後の話なので、出てくる音楽のほとんどが後期作品っていうのが吉。映画の冒頭だって、いきなり「大フーガ」なんすよ。弦楽四重奏曲第14番とか第15番とかソナタ32番とか。映画の中での演奏シーンは実際に演奏しているようだが、音声はほぼ既存のメジャー音源を重ねている。「第九」のサウンドトラックはハイティンク指揮コンセルトヘボウ管。

November 14, 2006

佐久間センセー、ついに登場

●こうして毎週「のだ×カンター×レ」の話題をとりあげてしまうのだろうかっ! スマソ、ヘンな業者からのス×ム・トラバ対策で一部伏字にしてしまう。ある意味、ヒットしている証明。もちろんフツーのトラバは大歓迎×す、念の×め。あ、無関係な文×まで×字に×てし××た。
●今週は学園祭でのマングースによるピアニカ版のガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルーと、千×様とシュト×ーゼマンの共演でラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番。音楽的には大変盛り上がる場面で、千×様のピアノの弾きこなしも大健闘。テレビ演出的には微妙なところもあったかなと思うけど、ラフマニノフの後でのだ×が「私、ピアノ弾かなきゃ」になるところは名場面っすね。これは味わい深い。
●期待の佐久間センセーは意外なキャラで登場。原作ではこの評論家先生の書く文章はまるっきり詩(というか「ポエム」)になっていて、これがワタシは大好きなんである。批評言語がポエム化しているというのは、メタ批評ってことじゃなくて、「結局みんなポエムなんすよあなたもワタシも」的な可笑しみを読み取れるから鋭いと思うんである。40代くらいでセンセー然としたジミめな人が演ずるのかと思っていたら、もう少し違った路線みたい。でもどんな詩を詠んでくれるのか、楽しみだ。

November 13, 2006

ニッポンU19vs北朝鮮U19。アジア・ユース決勝(結果バレ)

ニッポン!●どうだろか、さすがにU19となるとニッポン代表といえども関心度は薄めだと思うんだが、念のため、今から結果バレするのでビデオ録画の方はご注意あれ。
●っていうか、生中継はどうせないからと、なにげに「やべっち」見てたら、いきなりアジア・ユース決勝の中継になるではないですか。おお、どうするのだ、これから仕事するつもりだったのにうっかり見入ってしまう、「やっぱり梅崎はしっかりしてるなあ」とか「テクニックなら柏木だな」とか、でも北朝鮮も強いんすよ。本気で。フィジカル強いし、技術も思ったよりしっかりしてるし、前に向かう気持ちの強さもある。北朝鮮の先制ゴールに対して、柏木が個人技だけで同点ゴール。
●ニッポンは後半からウチの(=マリノスの)ハーフナー・マイク登場。薄々感じていたことではあったのだが、身長194cmのハーフナー・マイク(広島市出身)って、ヘディングが弱くないか(苦笑)。足元の心配さかげんもアレだが、なかなか頭でも勝てないもどかしさ。いや、未来は明るいはずだ、でもまだ未来じゃない、ハーフナー・マイク。
●1-1から延長に突入すると、圧倒的に北朝鮮がゲームを支配。この時間帯でそんな突破がそんな加速がと連続する驚きの体力で次々と決定機を作り出していたのであり、ゴールが生まれなかったのは謎。そしてPKへ。
●ニッポンは頼りになる男、梅崎が1番手、しかしこれを止められてしまう。ああ、大将(←梅崎の自分的脳内キャラ)。北朝鮮はすごい。全員決めた。しかも何人か上の隅を狙って蹴ってきてたから、練習してて自信もあったんだと思う。ニッポンはそんなところに蹴らないし。欣喜雀躍する北朝鮮の選手たち、U19だから憎たらしくはなくてどっちかといえばかわいいくらいのもんだが、でもなんか悔しい、やっぱり。アジア・ユース、ニッポン初優勝ならず。でも本番はワールド・ユース。

November 12, 2006

ニッポン対サウジアラビア戦代表メンバー発表

●オシム・ジャパン、アジアカップ予選対サウジアラビア戦のメンバーが発表。すでにニッポンは予選通過を決めていることもあってか、フレッシュなメンバーに。

GK:川口、山岸、西川
DF:加地、トゥーリオ、駒野、伊野波、青山直晃
MF:アレックス、羽生、中村憲剛、野沢(鹿島)、鈴木啓太、阿部勇樹、田中隼磨、今野、山岸、長谷部、本田圭佑(名古屋)
FW:巻、我那覇、高松(大分)、前田遼一(磐田)、佐藤寿人

●やっぱり名古屋の本田圭佑は選ばれたのだ。あと磐田の前田遼一初選出。ワタシの脳内サッカー史では、この人はもう3年位前に代表デビューして今頃ブンデスリーガあたりで活躍している予定だったんである。やっと来てくれたというか、どうしてこれまでもっとJで活躍できなかったのか謎というか。鹿島の野沢は上手い。前監督のトニーニョ・セレーゾが言ってた、シュートを枠に入れるみたいなのは、どれだけ練習してもできないヤツもいれば、野沢みたいに練習しなくても最初からできるヤツがいる。日本人選手じゃ貴重なタイプ。高松は伝統的9番タイプ。若い頃から大分を背負って立ってきた現場の叩き上げ感が魅力。ワタシゃ好きだな。

November 10, 2006

「わが悲しき娼婦たちの思い出」(ガルシア・マルケス)その2

●(承前)。「わが悲しき娼婦たちの思い出」の主人公は新聞の音楽時評にも寄稿している。小説の舞台はコロンビアなのであるが、有名演奏家が来演したときなどには演奏会に足を運ぶ。

 美術会館のホールで催されたジャク・チボーとアルフレッド・コルトーのコンサートに特別招待客として招かれたが、そこではセザール・フランクのバイオリンとピアノのためのソナタのすばらしい演奏が行われて、休憩時間に信じられないような賛辞を耳にした。われわれの偉大な音楽家で巨匠のペドロ・ビアバが引きずるようにして私を楽屋まで引っ張っていき、演奏家たちに私を紹介した。私はひどくうろたえて、彼らが演奏してもいないシューマンのソナタはすばらしかったですねと褒めたのだが、誰かが人前であからさまに私の間違いを訂正した。音楽を知らないせいで二つのソナタを取り違えたといううわさが広まった。次の日曜日、自分が担当している音楽時評であのコンサートを取り上げて、うわさを打ち消そうとしたが、説明がまずかったのか事態はいっそう深刻になった。
 人を殺したいと思ったのは、長い人生でも初めてのことだった。

わが悲しき娼婦たちの思い出●ジャーナリストの記憶違いを正すときは命懸けで。っていうか、それあるあるある、っすよ。ありえないまちがいがありえないタイミングで出てくる、これは人間なら絶対ある。主人公の年齢は90歳。90歳だから忘れっぽくなってるかもしれないが、たとえ20歳だってこういう誤りはありえる。そして20歳では想像もつかないことだろうけど、90歳ではじめて殺意を抱く人生もあるってことだ(笑)。
●あ、ここはクラシック音楽サイトだから音楽関係の記述を取り上げてるわけだけど、この小説全編としては、音楽小説でもミステリーでもないので念のため。前回の記事に書いたように、老人小説の傑作にして、魔術的純愛小説だから。川端康成の「眠れる美女」にインスパイアされた小説でもある。

November 9, 2006

ウワサのベト7(回しません) アーノンクール/ウィーン・フィル

ウィーン・フィル●ふたたびアーノンクール指揮ウィーン・フィルへ(サントリーホール)。演目はシューマンの「ライン」とベートーヴェン交響曲第7番。偶然にもこのタイミングでベト7。ドキドキしたですよ。「お前ら、やるならここだろう!」って場所でクルクルと楽器回したり、高々と掲げたりしないかと(←するわけない)。コントラバスのブラームス似のオジサンが「いつもより多く回しております~」とか言ったりはしない。アーノンクールの顔が紅潮してくると、竹中直人シュトレーゼマンみたいに見えてくるし。
●で、「ライン」。先日のブルックナーのエントリでも書いたけど、ワタシは実演に接すると、仮にそれがすばらしい演奏であっても、はじまった瞬間からすでに終わった瞬間を待望する。「ライン」でもそうなった。前回のブルックナーみたいなのが例外。そもそもシューマンの音楽がタナトゥスに結びついてなんの不思議があるだろうか。
●が、ベト7がはじまったら、やっぱり演奏が終わって欲しくなくなった。ずっと続いてほしいベト7、そう、提示部が終わったらすぐ展開部に行かないで繰り返しをちゃんとやって、そして2度目もまた提示部を繰り返し、3度目もまた提示部を繰り返し……ってそれじゃあ終わんないよっ!
●自分のベト7原体験は80年のカール・ベーム/ウィーン・フィルの来日公演(の放送)にあって、これをカセットテープがワカメになるくらい聴いたものだが、冒頭の和音が鳴った瞬間にそれを思い起こした。たしかにアーノンクールではあるんだろうけど、古楽系指揮者が振ったモダン・オケではなく、巨匠指揮者が振ったウィーン・フィルを聴いた。アーノンクールって76歳か、もうありえんな、こんなパワフルで情熱的な76歳。素手でケンカしたらきっと負ける。顔面を真っ赤にしながらオーケストラを煽り立て、嵐のようなベト7が疾風のように駆け抜ける体感時間30分、涙あり笑いあり(リアルで)、これ以上のベト7を聴く機会はないだろうなと確信、その確信が裏切られることを願いつつ。
●比較的近くに皇太子殿下が臨席。ベト7にきっと熱狂。殿下はフラブラしたりしない。指揮マネもしない。飴玉の包み紙むいたりもしない。見習いたい。
●そんなわけで今は狸並にラブベト7だ。♪しょーっしょしょじょ寺の和尚が出てきて、ぽんぽこぽん!ぽんぽこぽん!……。

November 8, 2006

ニッポンU19vsサウジアラビアU19。ワールドユースへ

ニッポン!●一日遅れだけどここで大声でシャウトする! ニッポンU19代表、ワールドユース出場権獲得おめでとう~! イエエエエーーーイ!
●……てか、やっぱり一日遅れると、なんか抜けてる感じになる。ま、しょうがあるまい。今試合展開を思い出しながら、シミジミと勝利の余韻に浸る。
●対サウジ戦、勝てばニッポンは7大会連続でワールドユースに出場できる。でも負けたら出場できない。つまり、ユース年代においてもっとも重要な試合である。この世代で世界を経験するとしないのでは、その後の伸び方が全然違うと信じてるので、ニッポンにとってはW杯予選の次に大切な試合っていうのがワタシの認識。でもそんなギリギリの状況で相手が強豪サウジとは。
●ニッポンはグループリーグを1位で通過したから日程面でサウジより有利、しかも前の試合では何人か休ませてもいる。コンディションでは圧勝のはず。実際序盤からゲームを支配した。先発はGK:林(流通経済大)-DF:内田(鹿島)、槙野(広島)、福元(大分)、堤(浦和)-MF:青山隼(名古屋)、柏木(広島)、田中亜土夢(新潟)、梅崎(大分)-森島康(セレッソ)、河原(新潟)。
●サウジはニッポンのキープレーヤー、柏木にマンマークをつけてきた。鋭い。しかし柏木のフリーキックから河原があっさり先制ゴール。後半からはサウジは体力的に落ちてくるだろうから、これはニッポンの逃げ切りパターンだなと楽に見ていたら、後半サウジは攻撃的な布陣に変更、2度ほどシュートがポストを叩く。そしてついにPKを与え、これが決まって1-1の同点。その後は照明が落ちたりしつつ(あ、場所はインド。また停電っす)膠着状態が続く。ロスタイム、ゴール前でこぼれたボールを途中出場の青木孝太(千葉)が思い切りの良いシュート、これが相手ディフェンダーの股を抜けてゴールへ。劇的な幕切れ。
●やっぱり世界大会出場するってのは大変なのだなあと実感。そして若いってスゴい。さすがU19代表、もう試合をしている間にもリアルタイムですくすくと育ってきている感じがする。ちなみにO35一般くらいだと、試合をしている間にもリアルタイムでボロボロと衰えていくのがわかります。

November 7, 2006

ベト7化する世界

●すっかり「月9」は「のだめカンタービレ」。爆笑。原作のギャグのなかでも、Sオケ連中がヴァイオリンを高く掲げたり、コントラバスをくるりと回したりするあたりは最高におかしかったんだけど、実写化されるとさらにおかしい。ありえない。ありえないからおかしい。しかも感動的な場面になってるし(笑)。さらに千秋のコタツネタがまた笑えるんだな。コタツのCGあり、プリごろ太のアニメありと盛りだくさんで満喫。
ベト7●千秋のベト7指揮姿にも一安心。フツーのテレビドラマは限りなくムチャクチャ可能だから。そしてベト7ラブ。明日からさらに強まってベートーヴェンの交響曲第7番が世を席巻する。隣人がベト7のベスト盤はクライバーかフルトヴェングラーかで議論を戦わせているかもしれない。もしそうなっていたら逃げよう、安全なところまで。
●たまに竹中シュトレーゼマンにキダ・タローがかぶって見えることがある。ちなみに今年は浪速のモーツァルト生誕76周年。

November 6, 2006

「わが悲しき娼婦たちの思い出」(ガルシア・マルケス)

満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた。

わが悲しき娼婦たちの思い出●という一文で開始されるのが、「わが悲しき娼婦たちの思い出」(G・ガルシア・マルケス著/新潮社)。ガルシア・マルケス2004年の作品。新刊。主人公は90歳の老人。年金暮らしであるが、新聞にコラムを寄せる現役ジャーナリストでもあって、日曜版の記事は半世紀以上にわたって書いているものの、実入りはほとんどない。「わが国には著名な演奏家がよく来訪するが、そのときに書いている音楽と演劇関係のコラムにいたっては一文にもならない」というのであるから、老人小説にして、同時に世にも珍しい音楽ジャーナリスト小説でもあるかもしれない(笑)。そんな言葉があるとすればだけど。
●ガルシア・マルケスは「族長の秋」で、愛の欠如を描いた。愛なき独裁者が統治するラテン・アメリカの架空の国を舞台にした物語。「わが悲しき娼婦たちの思い出」で描かれているテーマは、似てるけど少し違う。愛なき人生を送った90歳の男性が14歳の少女との出会いにより真の愛に目覚めるという話なのである。と書くと、まったくつまらなさそうに聞こえるが、そこはガルシア・マルケス、たとえばこの少女だってマジック・リアリズム的存在であって、横たわって眠っているだけで、主人公との直接的コミュニケーションは存在しないのだ。筒井康隆の傑作老人小説に「敵」があって、ワタシはそれを連想しながら読み進めていたのだが、そこまでに辛辣な話ではない。
●90歳の主人公は暑さに耐えながら、冒頭の誕生祝いのために娼館の女主人からの連絡を待つ。

四時に、ドン・パブロ・カザルスが編曲した決定版とも言えるヨハン・セバスティアン・バッハのチェロの独奏のための六つの組曲を聴いて、気持ちを落ち着かせようとした。あの曲はすべての音楽の中でもっとも学識豊かなものだと私は思っているが、いつものように気持ちが静まるどころか、逆にひどく気が滅入ってしまった。少しだるい感じのする曲目を聞いているうちにうとうとまどろんだが、夢の中でむせび泣くようなチェロの音と港を出て行く船の汽笛の音を混同してしまった。

 チェロと汽笛の音をどうして混同するんだよっ!などと突っ込んではいけない。ガルシア・マルケス作品には音、音響に関する詩的な描写がいくつもある。たとえば「星の動く音が苦になって眠れないジャマイカの男」(短篇「大きな翼のある、ひどく年老いた男」)だとか、以前ここで触れた 騾馬の群れの悲鳴と谷底に落下するピアノのためのデュオ とか。これもその一つで、バッハの無伴奏チェロと船の汽笛は物理的音響としてはほど遠いが、意味的比喩的にはうっかりまちがえるほど似ているのだ。
●「再生の物語」とはよくいうが、これは90歳の老人の「誕生の物語」だと思う。もう一つ、音楽ファンには見逃せない一節がある。その話は明後日くらいに続く。

November 4, 2006

アーノンクール/ウィーン・フィル ブルックナー:交響曲第5番

ウィーン・フィル●ウィーン・フィル来日公演へ。今日はブルックナー一曲だけと思っていたら、ヘルスベルク団長の挨拶に続いて、バッハ・コレギウム・ジャパンの声楽メンバーとの共演でモーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」で開演。今年はモーツァルト、サントリーホールのアニヴァーサリーであり、同時に本日は佐治敬三氏の命日でもある、拍手なしでお願いしたい、と。
●で、ブルックナー。壮絶な演奏だった。鳥肌が立ったし、泣けた。同じ組合せでCDが出てて、それはリリースされた頃に耳にしてるはずなんだけど、なぜか印象が薄かった。謎。しかし今日は伝説。いかなる瑕疵の指摘も気にならない。帰ったらオレ的伝説日記帳に新たな1ページを書き加えよう。
●いつもコンサートがはじまった瞬間から、ワタシはすべての演目が終わる瞬間を待ち望んでいる。これはコンサートの中身の良し悪しはまったく無関係で、すばらしい音楽を聴いていてもそうなる。旅行に出れば帰宅する瞬間を、人と会えばさようならの挨拶をする瞬間を、レストランに入れば食後のコーヒーを飲み干した瞬間を、もっとも心地よい瞬間として待ち望む。どんな楽しみな曲だって、聴き終えた瞬間を待望しながら聴いているのだし、作曲家はそれを知っているから、曲のおしまいに力の入ったクライマックスを持ってきて、解放の瞬間の喜びを高めようとする。
●でもこの日のブルックナーは違った。第4楽章が始まった頃から、もうすぐ曲が終わってしまうことを残念に思い、できることならもう一度第1楽章の頭から聴きなおしたい、明日も明後日も明々後日も同じ演奏会を聴き続けるビューティフル・ドリーマーとなりたいと願い、どうしても終わってしまうのならもっと大切に聴けばよかったと悔やんだ。はっ、これはエロスがタナトゥスに優ったということなのか。

November 3, 2006

ニッポンU19vsイランU19@アジア・ユース

イラン●大敗さえしなければグループ・リーグ突破できるというニッポン。正直なところ消化試合に近いということで、夜中に仕事しながらチラチラと見ていた。梅崎のゴールで先制、いやー、いいね、イランには若いうちから勝っておかないと……と思っていたら、後半2失点して逆転されてしまう。ディフェンスが安定せず、ピンチの連続。
●で、こうなると後半の後半くらいから、「なんのための試合か」が意識される。ニッポンは大敗しないことが条件だから、逆転された後は吉田靖監督から「そのままでいい」という指示が出ていたようである。だからみんな血相を変えてマイク・ハーフナーの頭にめがけてボールを放り込んだりはしない。
●でもイランから見ると、この日は事件だった模様。イランは勝たなければいけなかった上に、同時刻に開催されている北朝鮮vsタジキスタンの結果にも左右されるという立場。終盤、イランが時間稼ぎをしてきたから、「あ、これは北朝鮮が勝ってはいないのだな」と思っていた。イランの監督がなにかを激しい身振りで伝えている。試合終了して、イランの選手たちが喜びを爆発させる。当然イランも決勝トーナメントに進んだのかと思ったら、なんと落ちてるじゃないっすか! 2位は北朝鮮だって。な、なんだったのだ、あのイラン選手の時間稼ぎと喜びようは。
●どうやら試合終了直前に北朝鮮が決勝点を奪って、2位の資格を得たらしい。イランには気の毒なことをしたなあ。いやなにもしてないんだけど。

November 1, 2006

ニッポンU19vsタジキスタンU19@アジア・ユース

ニッポン!●次々と試合や大会がやってくるからうっかりすると忘れてしまうのだが、「AFCユース選手権インド2006」が開催中。つまりワールドユース(今回からU20ワールドカップみたいな感じに名称変更するらしいけど)のアジア予選ってことになる。世代で言うと、フル代表の下が五輪代表、さらに下がこのユース代表。かつてトルシエのもとで小野、稲本、高原、本山らの黄金世代が世界で準優勝したのもこの世代。で、ニッポンはグループリーグの第2戦、タジキスタンと対戦。
ニッポンU19ではオシムにフル代表にも選ばれた梅崎(大分)、ヴェンゲル監督に誘われた伊藤翔(中京高校)、Jでもレギュラーで活躍する柏木(広島)、内田 (鹿島)、ディド・ハーフナーの息子でJで出場機会を得つつあるハーフナー・マイク(マリノス)、総田中軍団期待の若手である田中亜土夢(新潟)などタレントも豊富。伊藤翔と流通経済大のGK林彰洋を除けば全員Jリーグ組。
●で、試合は開始早々にデカモリシこと森島康仁(セレッソ大阪)がゴール、さらに森島、柏木、森重(大分)と鮮やかにゴールを決めて4-0で完勝。U19だからミスも多いけど、ミスしてもこのチームは落ち着いている。梅崎はさすが、柏木もよかった。伊藤翔は途中出場で1アシスト。
●でもタジキスタンは全然弱くなかった。今回はたまたま楽に勝たせてもらったという感じで、技術もしっかりしているし、体力はニッポンを上回る。若年層が強化されているようで、今後アジアでは簡単に勝てる相手ではなくなりそうな予感。

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