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News: 2010年8月アーカイブ

August 27, 2010

若者はGO! アーノンクールの公開リハーサル

アーノンクール公開リハーサルのチラシ●若者に朗報。11月1日(月)17:00より東京オペラシティにて、ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのリハーサルが、1985年4月2日以降生まれのユース(ただし小学生以上)を対象に公開される。曲はモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」と「ポスト・ホルン」セレナードを予定。「アーノンクール(指揮・お話)」となっているので、多少は客席に向けてもしゃべってくれるのだろうか。若者対象だが、小学生・中学生の保護者は同伴可。申込方法詳細は主催のソニー音楽芸術振興会のサイトへ。
●先日、「舘野泉演奏生活50周年」記者会見の模様をご紹介したが、そこで発表された「EMIレコーディングス・コンプリートBOX」の詳細がHMV ONLINEで紹介されている。全26枚組。初CD化多数。70年代にこんなにたくさんの録音がリリースされていたとは。
●そろそろニッポン代表の新監督が発表される……のかなあ?

August 26, 2010

ドイチェバンクのベルリン・フィルDCH招待とか

●そっと小声で言うが、27日にベルリン・フィルの新シーズンが開幕するのであり、そのデジタル・コンサートホール(ネット生中継)に、ベルリン・フィルのスポンサーであるドイチェバンクが無料招待中(リンク先、重いので注意)。ただしこれ、現地(CET)午後7時開演なんすよね。ってことは19時に7時間を足すと26時、つまり日本の深夜2時か。その時刻からラトル指揮のベートーヴェン/交響曲第4番とマーラー/交響曲第1番「巨人」を見ても平気な深夜族の方はどぞ。
●なお、アーカイブと比べると生中継のほうはそれなりにPCのパワーや回線の太さを必要とする、かもしれない。少なくとも昨季まではそうだった。今季はリニューアルされてるので改善されてる可能性も十分あり。
●ワタシはもう生中継は諦めた。以前は超絶夜型で昼夜逆転生活も心地いいくらいに感じてたんだけど、最近はもう少し常識的な時間帯で生活しているので。
●もう一点。ミネソタ管弦楽団のサイトで音楽監督オスモ・ヴァンスカ指揮によるストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」とブルックナーの交響曲第7番の2曲のライヴ音源を無料でダウンロードできる。ただし、ダウンロードは米国在住者向けとなっているようで、ZipとかPhoneの入力が要求される。ここに日本の番号を入れても「数字がヘンですよ」みたいに跳ねられるので、桁数など米国の書式に一致しているかどうかをチェックしているっぽい。ってことで……。

August 25, 2010

サクサクとベルリン・フィル

●ベルリン・フィルのデジタル・コンサート・ホール(DCH)が、新シーズンの開幕前にサイトをリニューアルした。朗報。これまでよりずっと動作が軽くなり、使いやすくなった。っていうか、今までが異様に重い上にあちこちで小さなストレスが溜まる仕様になってたのが、ようやく3シーズン目にして普通のインターフェイスになったともいえる(笑)。長い曲は楽章ごとのチャプターもできたし(今までなかったんすよ!)。
●昨年までは「シーズン・チケット」だったものが、途中から「12ヶ月チケット」に変更された(いつ入会しても損得がないように)。また「30日チケット」とか「1日チケット」も新たに設けられ、そのいずれでも過去のアーカイブにはフルアクセスが許されるっぽい。ふーむ、なるほど。今まで2シーズンは「シーズン・チケット」を購入してたんだけど、今後は必要に応じて「30日」か「1日」を都度購入する手もありか。どうせ時差が激しくて生中継には付き合えないので、慌てることはない。
●先日Twitterイベントに招かれたピティナ・ピアノコンペティション特級は、梅村知世さんがグランプリおよび聴衆賞を獲得、銀賞に今田篤さん、銅賞に金子淳さん。ソロを弾くセミファイナルまでは違った可能性があったと思うけど、協奏曲のファイナルで差が付いた。難しいものだなあ。コンクールには他者と比較されて勝ち負けや順位が決まるという演奏会ではありえない競技性があって、発見が多かった。Twitter用のブースで一緒になった假屋崎省吾さんはすごくフレンドリーでステキな方でした(やっぱり!)。

August 19, 2010

クラシックのメジャーレーベル音源配信メモ

●あるクラシックのメジャー・レーベル音源を買いたいと思ったのだが、なるべくCDではなくデータで欲しい、という状況だとする。そんなときどこから買うか。データはmp3かFLACのような、特定企業に依存せず、なおかつ自由にバックアップの取れる(DRMのない)ものを買いたいとする(あるとき配信企業が「ウチはこのサービスを止めます」といったときに、買ったものが聴けなくなったり別のPCに移せなくなったりするのはイヤなので、とても)。
●いくつかメモを。現時点で。
iTunes Store。大手だが最近あまり使わない。DRMのないiTunes Plusのデータなら買ってもいいのだが、EMI以外のメジャーレーベル音源は相変わらずほとんどiTunes Plusになっていない模様。米国サイトでは2009年1月から全音源iTunes Plusになったというのに、日本サイトではそうはなっていない。メジャー以外は大半がiTunes Plusなのだが……。Windows上ではプレーヤーそのものが鈍重なことも厳しい。自分の中では iTunes Store は過去の思い出になりつつある。でもいったん国境の壁さえ崩れれば、状況はガラリと変わる。
Amazon.com。ここさえ使えれば、ほとんどの問題は解決される。品揃えも十分。しかし日本のクレジットカードではmp3を購入できない。かつて「Amazon mp3 2008年内に米国外でも提供へ」というニュースが流れたが、たしかに欧州で提供が始まっているものの、日本では始まらないまま。米国カードがあればなあ……。
●eMusic.com。昨年より日本からの登録が不可になっている。
●HMV digital。日本のHMV digitalは今年2月にサービス終了しているが、HMV digital UK および HMV digital Canadaはmp3音源を販売している。しかし、日本からの購入は不可。
●Fnac.com。フランスの大手ショップ。ここもmp3音源を販売していて、フランス語が読めないなりに購入しようとすると決済画面まで行くのだが、最後にカード番号の入力ではねられる(やってみた)。日本のカードでは不可のようだ。
●先日ぼやいたDECCAとDGのサイトでダウンロード購入が(ほとんど)できないという件は、しばらく待っていれば復活するということらしい。ユニバーサル系に関しては、待てばなんとかなりそう。期待。
ClassicsOnline。ここは4大メジャー(ユニバーサル、ワーナー、EMI、SONY)の音源は置いていない。メジャー以外なら国境の壁もなく問題なく購入できるのに、実に惜しい。Naxosが運営しているが、NMLと違ってこちらはダウンロード販売。NMLにはないけど、こちらにはあるものも。ここに限らず、メジャー以外を配信するサイトはいくつもある。
●Google Music。今秋スタートするというウワサだが、中身がどんなものかは未知。
●という現状認識。でもワタシが知らないだけで、どこかであっさり日本のカードで合法的に4大メジャーを一通り購入できるサイトがあるんだろうか?
●思いついて検索をすると、異常な格安でダウンロードさせてくれるサイトがヒットすることがある。主にロシアのドメインとかで。ああいうのは違法なんだろうけど(それともロシア国内では事情が違うのか?)、いずれにせよ怖くて近寄れない。ただ表玄関がずっと閉まったままだと、裏口から入ろうとする人が増えてくるのは世の常なので、チャンネルがAmazonかGoogleかiTunesかその全部なのかはわからないが、どこかのタイミングで国境の壁を崩したほうがレーベルにとっても好ましいという状況になるんじゃないかなあ。クラシックの状況しか知らない人間の寝言かもしれんけど。

August 17, 2010

DECCAラジオがスタート

old_readio.gif●ドイツグラモフォンのDGラジオに続いて、今度はデッカがDECCAラジオをリリース。DECCAの音源からCDを延々とかけてくれるもので、チャンネルはGeneralとMahlerの2つ。メニューをニョキッと下に引っ張り出すと、一時停止させたり、トラックを前後に移動したりできる。ラジオというか、延々と聴いていられる試聴機というかジュークボックスというか。
●以前はDGDECCAはそれぞれぜんぜん別のサイトを作っていたけど、今回DECCAがリニューアルしてサイト丸ごとDGと同じ作りになった。ともにユニバーサル系。効率良すぎ?
●DGは少し前まで7daysストリームという1ユーロ払えば7日間自由に視聴できますっていう試聴システムを提供してくれていたんだが、この企画はなくなった。まあ、そうだろなー、わかる(笑)。
●両レーベルともDownloadっていう表示があるのにダウンロード購入できない音源がやたら多くなっているんだが、これは一時的なものなのかなあ? よくわからず。ああ、Amazon mp3が日本にも上陸してくれれば……と軽くDRMフリー音源配信鎖国状態を嘆く。

August 16, 2010

「音楽の仕事」探訪 Vol.1 日本フィル 企画制作部 和田大資さん

●新シリーズ(になるかもしれない)「音楽の仕事」探訪 。クラシック音楽業界で働く元気な人々に、「仕事」について語っていただこうというミニコーナーです。はたらくおじさん、はたらくおばさん、お兄さん、お姉さん、こんにちは。第一回は日本フィルハーモニー交響楽団の企画制作部長、和田大資(わだ たいすけ)さんにご登場いただきます。

japanphil_wadasan.jpg

――和田さん、本日はよろしくお願いいたします。写真では首席指揮者のラザレフさんといっしょに写っていますね。

和田「これは今年の6月にラザレフが香港フィルを振ったときの写真です。マエストロ・ラザレフからはいつも教えてもらうことがたくさんあります」

――今のお仕事は何年目ですか。前職はどんなことをされていたのでしょう。

和田「5年目です。年は32歳、今年でちょうど社会人10年目の節目を迎えます。前職は、伊勢丹で百貨店マンをしていました」

――百貨店業界のご出身でしたか! クラシック音楽業界にはいろんなご出身の方がいらっしゃいますけど、デパートは珍しいですねー。もともと音楽はお好きだったかと思いますが、今の職場を選んだ理由は?

和田「音楽がひとを幸せにする力とファッションがひとを幸せにする力、どちらも魅力的、でも、自分自身、どちらにより共感できるかなぁ?と考えた結果です」

――おお。さすが、両業界への気遣いが感じられるお返事(笑)。音楽関係でもメディア方面だと割りとデレッとフリーダムな感じの方も多いんですが、和田さんはいつもきちんとしてらっしゃいますよね。あ、でもオケの事務局の方はみなさんそうかも。日本フィルは総勢何名がいらっしゃるんですか?

和田「楽団員が89名、事務局に約30名のスタッフがいます」

――すごい、大企業だ! いや、財団法人だから企業とは言わないんでしたっけ。オケってプレーヤー以外にもたくさんの方が必要なんですよね。普通の会社と同じで営業や経理や総務とかもあって。和田さんはどんなお仕事をしてるんですか?

和田「長期中期短期で、オーケストラの歩む道を考える仕事です。オーケストラのイメージをあげ、顧客起点でファンを増やしたいです。具体的には、いつ、どこで、誰と、何を演奏するのか? コンサートの企画制作をしています」

――この仕事をやってて良かったことはなんですか。もしかして音楽業界だとモテたりしますか。

和田「毎日がすばらしい出会いにあふれていることですね。そして、そこから気づきといっぱいのエネルギーを与えていただけること。でも特にモテません……(笑)」

――毎日がすばらしい出会い……なんだかカッコよくてまぶしいです。逆にこの仕事の辛いところとか、難しいところは?

和田「組織は人。小さい組織なので、個の力の与える影響が大きい。だからこそ、己の力不足を痛感します。この仕事には無限の可能性があると思っています。オンリーワンもナンバーワンも目指すことができる。自分にもっと教養とアイデアがあれば、もっと行動力があれば、もっと語学力があれば(笑)、と思う場面が多いです。日々、感謝と努力です」

――そうなんですか。和田さん、謙虚ですよね。仕事の中で学んだことを、なにか一つだけ教えてください!

和田「 I ではなく、We で話す。つまり、己にとらわれすぎないこと。マネジメント組織における個についての思いは先に述べましたが、自分にこだわりすぎず、もっと大きな視野をもつというか、大きな存在(それは音楽であり、オーケストラであり)を感じながら仕事に取り組むということでしょうか。うまく説明できてますか…?(笑)」

――うーん、深いことをおっしゃいますね~。わかるような気もしますが、ホントにわかったのかと問われると自信がない。自分にこだわりすぎないというのはスゴく共感できます。この仕事に就いてみて、意外だったことはなにかありますか?

和田「そうですね、特にモテないこと……。音楽業界って、なんだかモテそうな感じがしますもんね(笑)」

――つまり、モテたい、と(笑)。なにか将来の野望はありますか? 業界のドンになるとか、世界征服とか?

和田「日本一のオーケストラマンになって、『情熱大陸』に出る。次世代の若者たちのモチベーションとなりたいです」

――げげ、なんというピンポイントかつ具体的な野望。でも日本一って公言できるのってステキです。『情熱大陸』観てないんですけど、和田さんが出演したら録画します! では最後に、いま和田さんがかかわっている仕事で、いちばん力を入れてる公演を教えてください。

和田「8月29日(日)に東京芸術劇場で開催される『シンフォニック・エンタテインメントVol.2』ですね。 作曲家の渡辺俊幸さんをプロデューサーにお迎えし、大人のためのゴージャスなエンタメを作ろう!と生まれた企画です。日本フィル・ポップスとして、お客様に育てていただきたいコンサートです。今回は、ゲストに矢野顕子さんをお迎えし、シンフォニックサウンドとのコラボをお楽しみいただきます」

――えっ、矢野顕子さんがオケの伴奏で歌うんですか。

和田「実は俊幸さんと矢野顕子さんは高校の同級生なんだそうです。二人のトークも必見です。あと俊幸さんならではのアレンジコーナーもおもしろいですよ!」

――では和田さん渾身の企画『シンフォニック・エンタテインメントVol.2』については以下にリンクを張っておきます。ぜひみなさんご来場ください。和田さん、本日はありがとうございました。

和田「はい、ありがとうございました。あ、9月にはわれらがマエストロ・ラザレフが来日しますのでそちらもよろしく! ラザレフ&日本フィル、自信あります!」

シンフォニック・エンタテインメントVol.2
8月29日(日) 午後2時 東京芸術劇場
[チケットぴあ]

August 11, 2010

「LFJ金沢全記録」からアンケート集計結果

●先日、「ラ・フォル・ジュルネ金沢」の記録冊子が届いたのでパラパラと見ていたら、来場者アンケートが載っていた(据置式)。印象に残ったものをいくつかご紹介。無回答の割合は省略したので、足しても100%になりません。

●Q:いくつのコンサートを聴きましたか?

1回 27.5%
2回 21.1%
3回 14.5%
4回 10.2%
5回以上 24.1%

1回のみ27.5%に対して、5回以上の24.1%というのは驚異的。東京では1公演のみが34.9%で、5公演以上は13.9%(記者発表資料をもとに手元集計)。金沢のほうが全体の公演数はずっと少ないのだが、5回以上の割合がかなり多い。謎。

●Q:お住まいは?

金沢市  47.3%
石川県内 26.8%
富山・福井 10.9%
北陸三県外 15.0%

市内からが半数以下とは意外。思ったよりも遠方から来場者がある。石川県内ってのは金沢市を除く県内って意味っすよね。4人に1人が県外から。ちなみに、別の質問で利用交通機関を尋ねていたが、第1位が自家用車で40.2%。東京みたいに交通機関は発達していないので。

●年齢・性別

10代以下 10.4%
20代 11.0%
30代 15.7%
40代 21.2%
50代 19.1%
60代 14.4%
70代以上 6.5%

男性 35.6%
女性 63.3%

年齢層は各年代満遍なくといったところ。30代以下を合わせて4割弱だから、普段のクラシックの演奏会に比べるとずっと若い。男女比は普通でどれくらいなのか知らないんだけど、こんなものなのか。テーマがショパンじゃなくてブルックナーとかワーグナーだったら男だらけになるかもしれない(笑)。

August 7, 2010

佐渡裕のバーンスタイン「キャンディード」

candide.gif●オーチャードホールで佐渡裕指揮「キャンディード」。バーンスタイン没後20周年&兵庫県立芸術文化センター開館5周年記念事業。兵庫で7公演もやって、それから東京で3公演。スゴい。2006年シャトレ座、スカラ座、イングリッシュ・ナショナル・オペラ共同制作のロバート・カーセン演出。カーセン本人も来場していた。アイディア豊富な舞台で一度見ただけでは整理しきれないくらいなんだけど、これくらい手をかけた舞台を見れる(ら抜き)ってのもなかなかないわけで、最良のエンタテインメントを堪能したという気分。
●まずなにが強烈かって、舞台全体がテレビのブラウン管で覆われているんすよ。つまり、これから見る舞台はテレビの中の出来事(狂言回し役の「ヴォルテール」だけがこのブラウン管の外側に立つ)。で、そこで佐渡裕が登場して「キャンディード」序曲を始める、と。それって「題名のない音楽会」じゃん!(笑)。カーセンは日本のテレビ番組なんて知らないで作った演出なんだろうけど、結果的に、大勢の人々がわざわざチケットを買って劇場にやってきてそこで「テレビ」を見るというJ.G.バラード的な世界が実現していたわけだ。佐渡裕がこっちを向いて「みなさんと一緒に新しいページを、めくりましょう!」って言うんじゃないかとハラハラしたぜー。序曲の間、スクリーンに映し出されるオープニング・タイトルのアニメーションはアニメというかイラストが動くタイプで、そこにうっすらモンティ・パイソン時代のテリー・ギリアム風味を感じ取れなくもない。中身はエグいブラック・ユーモア満載なんだし!
●舞台は1956年のアメリカ黄金時代に置き換えられている。テレビも時代の夢をあらわすシンボルの一つだ。主人公キャンディードたちは度を越した楽天主義(オプティミズム)という病を患っている。「この世のすべては常にベストの状態で調和している」とパングロス博士から教わり、無邪気にそれを信じた結果、戦争、天変地異、死刑、殺人と次々に災厄に巻き込まれる。この作品では死んだ登場人物が「実は死んでませんでした」と平然と生き返ってくるのだが、テレビの中ではよくあることだから無問題。紆余曲折を経てキャンディードが映画スターとなったクネゴンデに再会する場面では、クネゴンデはキャンディードと抱擁しつつも視線を舞台上のカメラに向けて喜びを表現する。テレビだから。メディアの前で期待される振る舞いをしてしまう、ワタシたちと同様に。
●歌手陣はみんな芸達者なんだけど、オールド・レディ役のビヴァリー・クラインって人はスゴいね。カジノのレヴューでクネゴンデ(マーニー・ブレッケンリッジ)と一緒に踊る場面なんて抱腹絶倒モノ。キャンディードはジェミー・フィンチ。ヴォルテールとバングロス、マーティンは一人三役でアレックス・ジェニングズが歌う。ヴォルテール役から着替えてバングロス役になるのもホント可笑しい。あ、PAは使ってます。
●白三角頭巾のKKKが出てきたり、クネゴンデがマリリン・モンローだったり、海パン一丁のブッシュ、シラク、ブレア、プーチン、ベルルスコーニとかが出てきたり、死んだり生き返ったり、油田を見つけて金持ちになったり、詐欺師にだまされて一文無しになったりと、ポストモダン的な展開の末にたどり着く結末は名曲 Make Our Garden Grow 「僕らの畑を耕そう」。つまり「この世のすべては常にベストの状態で調和している」なんてボンクラなことを言ってるようじゃダメ。世の中、お上に任せておけばそれでいいなんていうわけがない、まずは自分で畑を耕さなきゃ。共同体の基礎はまず自分が手と体を動かすことから築かれる。ワタシの解釈ではこれは「ゾンビになるな」ということを言っている。
●客席の反応はとてもよかった。ワタシも満喫した。すばらしい。今の気分をカーセンのテレビ演出にふさわしい一言で表現するなら、これしかない。「感動をありがとう!!」

August 6, 2010

ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団 公開リハーサルに学生200名を招待

●11月に開催される「TDKオーケストラコンサート2010」では、フランツ・ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団が来日する。その公開リハーサルに「18歳以上で、音楽を学んでいる学生の方」200名が招待される。日時は2010年11月17日(水)10:00開始予定、場所はサントリーホール。応募者多数の場合は抽選。ご希望の学生さんは以下のTDKさんのサイトからご応募を。「当日学生証を提示」ってことなので、学生のふりしてオッサンが申し込まないように(笑)。

TDKオーケストラコンサート2010

●上記サイトには記載がないけど、17日の午前中ということは、当日夜の本公演はドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、武満徹「夢窓」、ブルックナーの交響曲第7番っていう演目っすね。もちろん今回はリハのみのご招待で本番までは聴けません。

August 3, 2010

舘野泉演奏生活50周年

舘野泉演奏生活50周年
●ピアニストの舘野泉演奏生活50周年記念公演記者会見へ。1960年に東京芸大を卒業した年のデビューリサイタルから数えての50年。2002年に脳溢血で倒れ、2004年の復帰演奏会以降は左手のピアニストとして新たな音楽世界を切り拓いている。舘野さんは登場していきなり「忙しいのと暑いのとで気が狂いそうだよ」と笑って、お元気そう。
●11月10日東京公演をはじめ札幌福岡大阪で演奏生活50周年記念リサイタルが開催される。吉松隆作曲の左手ピアノ、クラリネット、トランペット、ヴァイオリン、チェロのための組曲「優しき玩具たち」、末吉保雄作曲左手ピアノ、フルート、コントラバス、打楽器のための「アイヌ断章」の2つの新作の世界初演、および舘野泉に献呈された間宮芳生およびcobaの作品が演奏される。写真は左より東京公演で共演する北村源三(トランペット)、浜中浩一(クラリネット)、吉松隆、舘野泉、末吉保雄の各氏。吉松さん以外の四氏は芸大の同級生なんだとか。会見中も悠然と思い出話が始まったりとか、実り多い音楽人生を送ってこられた方々ならではの温かい雰囲気が生まれていた。写真には収められなかったんだけど、舘野さんと三手連弾作品のレコーディングが予定されているピアニスト平原あゆみさんも登壇(唯一のお弟子さん)。演奏会の詳細はこちらの主催者サイトへ。
●で、今回は演奏会に加えて、2つのレコード会社から記念企画が発表されている。まずavex-CLASSICSからは、10月20日発売の第1作をはじめ3枚のニュー・アルバムがリリースされる。第1作はcoba「記憶樹」、間宮芳生「風のしるし・オッフェルトリウム」(再録音)、パブロ・エスカンデ「ディヴェルティメント」。今月これからフィンランドで録音して、それを10月に発売する、と。
●もうひとつはEMIからの企画で、なんと全26枚組の「EMIレコーディングス・コンプリートBOX」という大物が。EMIデビューアルバムのショパン(1970年)やCD4枚分のシベリウス/ピアノ名曲大系(1978年)など、初CD化という音源も多数。70年代EMIの録音がこんなに豊富にあったとは。また、ノルドグレン作曲ピアノ協奏曲第1番(尾高忠明指揮札響)のような未発売音源も。BOXでは大きすぎるという方には「舘野泉EMIレコーディングス・セルフ・セレクション」という自選の1枚もあり。いずれも10月20日発売。
●CD関係の詳細は各社サイトにもamazonにもリンク先がまだ見当たらないのが惜しいんだが、近日中には出てくるかと。

August 2, 2010

ルネ・マルタンの「ル・ジュルナル・ド・パリ」

ル・ジュルナル・ド・パリ●「ラ・フォル・ジュルネ」の生みの親であるルネ・マルタン企画のもう一つの音楽祭「ル・ジュルナル・ド・パリ」が来月、東京、名古屋、大阪の三都市で開催される。「ラ・フォル・ジュルネ」というのも最初に耳にしたときは「なんという発音しにくい名前の音楽祭なのか、こんなの絶対日本人には定着しない!」と思ったものであるが、今やみんなぜんぜんフツーに発音している。で、この「ル・ジュルナル・ド・パリ」もかなり難しい名前だが、ジュルナルはフランス語で「日記」なんだそうである。前に「ジュルナルなんとかショパン」ってやってたっすよね。あれが今度は「ル・ジュルナル・ド・パリ」。日本語の副題は「パリ印象主義時代の音楽日記」。
●で、この「ル・ジュルナル・ド・パリ」の特徴を説明してみよう。まず、一日に短い公演が複数行なわれ、一公演の価格が基本2000円/1500円ときわめて安価である。出演者がケフェレック、児玉桃、ペヌティエ、L.F.ペレス、クレール=マリ・ルゲ、モディリアーニ弦楽四重奏団他の実力者がそろい、いろんな人を聴けて……えっ? それ「ラ・フォル・ジュルネ」と同じじゃん! まあ、同じ人が企画してるからそうなるわけであるが、しかし、違うところもはっきりあるんである。
●これはワタシなりの理解なんだが、春の「ラ・フォル・ジュルネ」はファミリー中心のお祭り。間口を広くしてみんなで楽しむ。でも秋の「ル・ジュルナル・ド・パリ」のほうは、もっと落ち着いてて、中身もずっと大人向けだ。会場は東京オペラシティのコンサートホール(あ、東京公演の場合)。演目は「印象主義っていうからドビュッシーとラヴェルなのかな?」と思いきやそれだけではなく、フォーレ、ショーソン、アルベニス、サティ、ルクー、フランクなども取り上げられて、19世紀後半から1920年代までのフランス音楽(フランス人以外もいるが)のピアノ曲、室内楽曲を演奏するシリーズなんである。だから、かなりシブい。曲目を時代順に並べて変遷をたどろうといったコンセプトも、日頃から熱心に音楽を聴いている人向け。じっくり聴きたい方に。
●演目で選ぶか、アーティストで選ぶか。ワタシだったら、曲ではフランクのピアノ五重奏曲か、あるいはフォーレのピアノ曲をまとめて聴くか。ピアニストではまだCDでしか聴いてないクレール=マリ・ルゲと、5月の日本で聴き損ねたルイス・フェレナンド・ペレスあたりかなあ。

ル・ジュルナル・ド・パリ」(曲目一覧チケットぴあ

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