●そろそろ来年の音楽家の記念年について。
●今年2012年はジョン・ケージ生誕100周年とか、ショルティをはじめとする多数の巨匠指揮者の生誕100周年があったものの、一般向けには不足と思われたのか、むしろドビュッシー生誕150周年が話題になってしまった気がする。フツー、150なんていう中途半端な数字ではほとんど相手にされないんだけど、かなり例外的な現象だったかなと。
●それに対して、来年2013年はにぎやかだ。なにしろワーグナーとヴェルディがともに生誕200周年を迎えてしまうわけで、ともに非常にリソースを消費してしまう作曲家だけに、すでに199周年の今年あたりから助走が始まっている感もあり。
●で、この二人の存在があまりにも大きいので、例年だったらネタになりそうなブリテンとかルトスワフスキとかアルカンがかすんでしまいそう。むしろストラヴィンスキー「春の祭典」初演100周年のほうが目立つかも。初演が音楽史上の事件として広く知られている作品ナンバーワンだし。
●去年は指揮者の生誕100周年が目立ったけど、今年は歌手の生誕100周年が豪華。
[生誕100周年]
ベンジャミン・ブリテン(作曲家)1913-1976
ヴィトルト・ルトスワフスキ(作曲家)1913-1994
モーリス・オアナ(作曲家)1913-1992
ノーマン・デロ・ジョイオ(作曲家)1913-2008
モートン・グールド(作曲家)1913-1996
ティホン・フレンニコフ(作曲家)1913-2007
高田三郎(作曲)1913-2000
ルネ・レーボヴィッツ(作曲家・指揮者)1913-1972
ジャン・フルネ(指揮者)1913-2008
ティート・ゴッビ(歌手)1913-1984
リチャード・タッカー(歌手)1913-1975
フェルッチョ・タリアヴィーニ(歌手)1913-1995
柴田睦陸(歌手)1913-1988
吉田秀和(評論家)1913-2012
[生誕200周年]
リヒャルト・ワーグナー(作曲家)1813-1883
ジュゼッペ・ヴェルディ(作曲家)1813-1901
ヴァランタン・アルカン(作曲家)1813-1888
アレクサンドル・ダルゴムイシスキー(作曲家)1813-1869
[生誕300周年]
ヨハン・ルートヴィヒ・クレープス(作曲家)1713-1780
[没後300周年]
アルカンジェロ・コレッリ(作曲家)1653-1713
[その他]
ストラヴィンスキー「春の祭典」(1913)初演100周年
●そういえばこの近辺じゃあまり話題になっていないんだけど、来年のラ・フォル・ジュルネ新潟のテーマは「モーツァルト」なんである(→
●R・シュトラウスの「家庭交響曲」が一週間に2つの違うオーケストラで演奏されるという珍しいことに。17日の飯森範親指揮東京交響楽団、21&22日のエド・デ・ワールト指揮NHK交響楽団、ともにメインプロが「家庭交響曲」。会場も同じサントリーホール。N響は2公演あるから、この週はサントリーホールで3回、「家庭交響曲」が演奏されたってことなんすよね。嬉しいような、もったいないような。


●夜はNHKホールでエド・デ・ワールト指揮N響。前半が武満徹「遠い呼び声の彼方へ!」「ノスタルジア~アンドレイ・タルコフスキーの追憶に」と独奏ヴァイオリン(堀正文)を要する曲が2曲。後半はガラッと雰囲気が変わって、ワーグナーの「ワルキューレ」第1幕演奏会形式。これは強烈。大編成のオーケストラ、あのホールの大空間にもかかわらず歌手陣の声がよく通る。エヴァ・マリア・ウェストブレークのジークリンデ、フランク・ファン・アーケンのジークムント、エリック・ハルフヴァルソンのフンディングの3人。字幕が入ったおかげもあり、すっかり「ワルキューレ」の物語世界に没頭できた、なんの舞台もないのに。でもあの第1幕ってストーリー的にはジメジメと3人がもっぱら語り合ってるだけでノートゥング以外はこれといって必要な舞台装置やら演出やらはないのかも。

●