2005年11月アーカイブ

November 30, 2005

「技術力」(西部謙司著/出版文芸社)

技術力●西部謙司氏の最新刊「技術力 ~ サッカー 世界のスタープレーヤー」(出版文芸社)。選手ごとに特にその技術的特徴に着目して綴られたエッセイで、登場するのはアンリやフィーゴ、ランパード、マケレレから松井や中澤まで多彩。おもしろく書ける人は何を書いてもおもしろいんだなと改めて実感。新鮮な視点もあるし、一方ごくフツーにみんなが了解しているようなことも多いんだけど、どれを読んだっておもしろい。たぶんこういう人は「朝起きて顔洗って歯を磨きました」ってことだけを書いたって、読ませる文章になると思う。サービス精神があるから。
●たとえばデコ(バルセロナ)の章に付けられた見出しは「老成」。ポルトガルでもなかなか成功できずに2部リーグにいたり、フットサルに転向したりした苦労人の実力者について。

デコがいれば、どんな状況でも解決できる。例えば、あのリバウドですら、トラップの置き所が悪いといって試合中にドゥンガに怒鳴りつけられていたことがあったぐらいだが、デコにはその手の未熟さが少しもない。妙にプレーが老成している。ボールの止め方、動かし方から、ファウルのもらい方まで、デコは何でも知っている。

 デコっていっつも心配そうな表情をしているなーと思ってたんだけど、あれは知恵がたくさんつまっている人の顔だったんすね。

November 29, 2005

小春日和に公園で

素敵ジャージを装着してウォーキングしながら観察した●近所に公園があるんすよ、広い芝生のエリアがあって、自由にレクリエーション系スポーツを楽しめるような。天気のいい休日の昼間なんて、老若男女好き好きにいろんな遊び方をする。ジョギング、サッカー、キャッチボール、バレーボール、フリスビー、バドミントン、縄跳び、凧揚げ。ジャグリングの練習してる若者もいる。ネタの練習をする芸人の卵も見かける。なんだってありだ。が、その中で異彩を放っていた二人の若い男女が。なんと、社交ダンスっすよ! 厚手のコート着て二人対面で密着しつつ、太陽光を浴びながら芝生で華麗にステップ。なんか新しいもの見た気がするぞ。
●ひきこもりがちな社交的じゃない人のために、非社交ダンスってのはないのか(ありません)。

November 28, 2005

芸術劇場、そして混迷するJ

昼間近所の公園を走ったよ、素敵ジャージで●日曜日の深夜ってテレビのゴールデンタイムだなあ。NHK教育「芸術劇場」のブロムシュテットのバッハ/ロ短調ミサと「やべっちFC」のどっちを録画しようか迷った末に、「やべっちFC」にしてしまったのだが、ちらちらザッピングしてバッハ眺めたらかなり良さげでやや後悔。でも録画するとなかなか観ないんだこれが。
●「芸術劇場」の情報コーナーに、なんか金色(コンジキ)の袈裟をまとった僧侶が出てるなー、と思ったらイーヴォ・ポゴレリッチだった。スキンヘッドですっかり別人、服は袈裟じゃないんだけどそれっぽくて。また精力的に活動するそうで、前向きなエネルギーに溢れてた。そして、澄んだ目が故ポール牧師匠に似てると思った。指パッチンしてくれ、とは言わない。
●Jリーグは大変なことになってしまって、あと一試合しかないのに、セレッソ大阪、ガンバ大阪、浦和レッズ、鹿島アントラーズ、JEF千葉、すべてに優勝の可能性がある。唯一1位のセレッソだけは勝ちさえすれば自力優勝なのだが、ずっと追う立場だったのが、最後の最後に追われる立場になって平常心を保てるかどうか。2位ガンバもチーム状態がよろしくない。事態を複雑にしているのがレッズで、得失点差でセレッソを上回っている。ワタシの予想はまさかの浦和レッズ大逆転優勝。
●アルビレックス新潟の対名古屋戦、あの総田中軍団を支える高校生Jリーガー田中亜土夢が先発出場した模様。やはり名前は「アトム」と呼ぶのだね。

November 25, 2005

平等に6位までプレーオフ参加でどうか

●現在来日中のヤンソンス指揮バイエルン放送響がアジア・ツアー日記を公開中。読むしか……と言いたいところなんだけどドイツ語オンリーなのでワタシにゃムリっす。今回は日本と中国なんすね。
●プロ野球。1位に無条件1勝 パ・プレーオフ制度。見出しをみて、2年連続して年間1位のソフトバンクが優勝できなかったから、もっと1位に優位を与えようっていう話かと勘違いした。だから「だったら1位が優勝にすりゃいいじゃないのさ」と思った。たった6チームで優勝争ってるんだから。でも大人の世界はそうはいかないのだなあ。
●すなわち、ソフトバンクは「1位が優勝」を主張してるけど、多くの球団はこれに反対している。それで会議が延々と続く。まるで来季もソフトバンクが1位って決まってるみたいに。で、「1位が優勝」なんて論外って感じになって、1位に与えるアドバンテージを「3ゲーム差で1勝」とか「サドンデス制」とかいろいろ出て議論が続いた、と。すげえな、こりゃ。しまいにゃ「2位が優勝」とか決まりそうな勢いだ(笑)。ソフトバンクの中の人は頭抱えて絶望してそう。会議ってスゴい。
●ワタシの知る最強の会議は「この会議が何を決めるための会議かを議論する会議」である。「じゃー、いらねーじゃん、この会議」って言っちゃダメだから。
●恒例のコラム、DHCのFROM 40にて「オトナのためのクラシック音楽入門」第9回掲載中。

November 24, 2005

着メロにブリテンのシンプルシンフォニーを設定した日に風と一体になってつぶやいてみた

●テレビの通販番組で「でっかいガチャピン」っていう気になるアイテムが売られていた。なにに使うものなのか。そしてムックは売ってくれないのか。
●チャンネルをかえるとさらに気になるフレーズが聞こえてきた、すなわち「自衛隊が毛ガニを搬送したり」というから、国家的産地直送大作戦が進行しているのかと思ったわけだが、よく考えてみるとこれは「自衛隊がケガ人を搬送したり」にちがいないはずであって、唐突にふと思う、簡単に調理できて手を汚さずに食えるカニはないか、遺伝子組み換えカニ、キュッと指で押すとスルッと肉厚な身が出てきます、足は殻までおいしく食べられます、しかも足が左右に二十本ずつでお得、あっ、甲羅をかじるとラムレーズンアイスの味が! 甲殻類ラブ、ジャイアントトレビア~ン!
●さてここでバトン好きさんへ100の質問です。ウソ。

November 22, 2005

ルートキット、身近じゃない騒動

●今のところ「音楽CDはCDプレーヤーに入れるもの」と思っているワタシは当初ピンと来てなかったんだけど、「音楽CDはPCに入れるもの」っていう現実もフツーにあるわけだ、と改めて思った、米ソニーBMGのルートキットをめぐる騒動を聞いて。→ ソニーCDが明らかにしたセキュリティー業界の本質的問題(HotWired)。サードパーティがユーザーにわからないようにOSにアンインストール不可能ななにかをインストールするってのは、それだけで抵抗感が強い。コピー防止問題以前にコンピュータの作法の問題というか。記事の妥当性は判断つかないけど、「XCP rootkit組み込みマシン、日本は最多の21万台?」(ITmediaニュース)っていうのもある。ただ、一部ユーザー側に極端な拒否反応があって、それもまた共感できないんだな。デジタル著作権管理の話題って、いっつも憂鬱な方向にしか進まない印象があるんだけど、なんでだろ。
●しかしこれ、ある程度PCへの理解がないと何が問題かってのもわかりにくいから、一般の媒体じゃあまり話題にならないかも。日本のソニーミュージックのオフィシャルなお知らせはこちら。今確認したところでは、回収&交換の対象となる一覧にはソニークラシカルのCDは含まれていない。

November 21, 2005

週末フットボール天国、笑ってスーペルゴルゴル

●DVD/HDDレコーダーがあると、どんどんハードディスク内に音楽番組がたまってしまう。サッカーは一回見ると(または結果知っちゃうと)すぐ消すけど、音楽のほうは慌てて見なくても古びないし、一度見ても消したくないものもあるからなあ。
バルセロナ●で、この一週間サッカー系もっとも印象に残ったシーン、トップ3。第3位。セレッソ大阪森島のゴール。完璧なトラップ、完璧なシュート。気がついたらセレッソ大阪、トップのガンバ大阪とわずか勝点1差の2位っすよ。大阪勢で1位と2位。いやー、まさかの展開。初の1シーズン制、ある時点では鹿島の独走でつまらなくなってしまったと思っていたのに。ホント、わからんすね。
●第2位。W杯欧州予選プレーオフ、トルコvsスイスでアウェイのスイスが勝利を決めた瞬間、選手たちがピッチから猛烈な勢いで出口に向かってダッシュ。スタジアムの雰囲気ヤバすぎて、ピッチ上で勝利を喜ぶなんて不可能、急いで脱走。ちょっとおもしろい、絵的に。
●第1位。スペインリーグのレアル・マドリッドvsバルセロナの客席。バルセロナのロナウジーニョがスーパーなゴール連発、レアルのディフェンスを手玉にとっての2ゴール。客席ではホームのレアル・マドリッドのサポーターが虚ろな目をしてスタンディング・オヴェイション。敵がスゴすぎてもはや壊れてる感じ。吹き出しを付けるなら「あひゃひゃひゃひゃ」ってところか。水曜深夜にフジテレビでも放映されるので、非WOWOWの方もぜひご堪能を。
●amazonでスポーツストアがオープンしたということで、ワタシのニッチな欲望を直撃してくれたのがこれ→ モルテン フリーキック練習機 FKT。これ使って毎日練習すれば中村俊輔になれる、かもしれない(なわけない)。お値段約9万円なり。

November 19, 2005

ふたたび「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐●都内に残された数少ない名画座&二番館である新文芸坐で「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」、再見。最初に見たとき、「あ、これはもう一回くらいスクリーンで見ておきたいな」と思っていたのと、ちょっと気晴らしをしたかったのとでいそいそと池袋まで出かけたのだが、いやー、やっぱり唖然とするな、これは。気晴らしどころじゃない。エピソード3はとにかく凄惨なんである。「スターウォーズ」が扱ってる主題は旧作の最初からエピソード3に至るまでずーっと同じなんだけど、昔の勧善懲悪スペース・オペラのノリははるか数万光年の彼方。アナキンが師匠にコテンパにされて溶岩ドロドロの中でのたうつシーンとか、テレビで放映しちゃっても大丈夫なんだろか。お茶の間向きともデート向きとも言えない。
●エピソード1で、アナキン・スカイウォーカーの父親がわからないっていう話があって、「ん、これってなんの伏線なんだろ。アナキンの母は聖母マリアかよ、それにしちゃ小さな脇役だな」と思っていたのだが、エピソード3まで見ると、アナキン(ダース・ベイダー)にとっての父親役はダース・シス(旧シリーズの「皇帝」)が果たしているのだと納得。ルークとアナキン、およびアナキンとダース・シス、旧シリーズと足掛け6作品、親子3代にわたる父殺しの物語とみなせる。
●泣けるシーンも多いんだよな。オビ=ワンとアナキンの対決シーンとか。オビ=ワンが「兄弟だと思っていたのに!」っていうシーンで滂沱。オビ=ワンにも十分共感できるが、もし自分に全銀河生殺与奪の権を握るほどのフォースがあったら、ワタシはアナキンになる。愛のためといえば聞こえはいいが、要は自分の欲望のために銀河を犠牲にする弱い男である。寝る前のポテチ一袋すらガマンできないワタシが、アナキンにならないはずはない。「ビバ!フォースの暗黒面」とか叫んで、ライトセーバー振り回すこと確実。
●こんなふうに未来に銀河系スケールで繰り広げられる冒険活劇を、SF分野では「スペース・オペラ」と呼ぶ。なるほどー、たしかにオペラっぽい、「スターウォーズ」は物語的にも音楽の使い方的にもワーグナーの「ニーベルングの指環」を髣髴とさせるし、血縁者やら友人やらの間のドロドロした血なまぐさい争いはヴェルディだって好みそうだ……っていうのは勘違いで、「スペース・オペラ」は「ソープオペラ」(昼メロ)や「ホースオペラ」(安っぽい西部劇)らから派生して出てきた言葉。
●あ、もうひとつ。これは旧シリーズの第1作が公開された頃から伝わってた有名な話だけど、オビ=ワン・ケノービの役には三船敏郎が出演を依頼されていた。が、彼が断ってしまった。結果としてスターウォーズ・シリーズの重要登場人物にはアジア系が一人もいないことになってしまったが、ワタシら日本人にとっては幸いだったのかも。だって、旧シリーズで三船敏郎がオビ=ワンだったら、新シリーズのオビ=ワンもユアン・マクレガーじゃなくてだれか日本人になったわけでしょ。たぶん、真田広之とか(笑)。それって全然嬉しくない。
●もうすぐ発売されるDVD版、ルーカス他の音声解説やら削除シーン他のオマケが入っている模様。しょうがない、見るか。

November 18, 2005

W杯ドイツ大会全出場国決定

●ようやく32の代表チームが出そろったんである。プレイオフでトリニダード・トバゴ(北中米)とオーストラリア(オセアニア、次回からアジア)が出場を決めて新鮮な顔ぶれに。初出場とかものすごく久しぶりに出場の国がやたら多い。ウクライナ、コートジボワール、ガーナ、アンゴラ、トリニダード・トバゴ、オーストラリア……なんの大会だ?みたいな感じ。各地域で実力差が縮まってきているのはまちがいない。
バーレーンは自滅。残念なり。●で、テレビでバーレーン(アジア)vsトリニダード・トバゴ(北中米)の試合は見たっすよ、熱い気持ちで。やっぱりアジアの代表枠に影響あるかなと思うと、即席バーレーン・サポになる。バーレーンはアウェイで1-1と引き分けて、ホームに帰ってきたんだからかなり有利。アウェイ・ゴール優先ルールなので、0-0でもW杯に初出場決定。サルミーン不在は痛いかもしれないけど(日本戦でオウン・ゴールを決めた人)、でも大丈夫だろうと。
●でもやっぱりダメダメ、バーレーンは。トリニダード・トバゴだってそんなに強くない。昔マンチェスター・ユナイテッドで活躍していたドワイト・ヨークが先発している(いったい何歳だ?)。あと現在J2の横浜FCに所属してるシルビオもいる。まー、J2だからって侮れないけど、でもやっぱりねえ。なんかバーレーンのほうが強そうな気がするじゃないですか。実際、開始直後はバーレーン大丈夫な雰囲気で、中東特有の拡声器で不思議な歌をうたう攻撃が客席から炸裂してて、トリニダード・トバゴは戸惑っているような気がした。
●が、バーレーン自滅。後半4分にCKから相手に一点入れられてから、時間とともに平常心を失う。最悪なのは試合終了直前で時間が惜しいはずなのに、判定を巡って主審に食ってかかったりとか、つまんない挑発したりとか、規律もへったくれもなくなってしまうこと。あー、こりゃひでえ。これが経験がないってことなのかなあ。自分たちで時計の針を進めてしまってもう悲惨。でもトリニダード・トバゴも浮き足立ってて、決定機ボロボロはずすし。0-1。しまいには「どっちもどっちだな」って気分になった。ちょっと前のニッポンも似たようなもんだけど。
●こんなんで争うんだったら、ウルグアイ出してやれよ!ってのは禁句。

November 17, 2005

ニッポンvsアンゴラ、主役は新ユニ

ニッポン!●久々に聖地・国立競技場で開催された代表戦、行ってきたですよ。やっぱり国立はいいなあ。ここがニッポンのホームスタジアムって気がする。もうほとんど使われないけど。
●で、試合はさんざんチャンスをふいにした終了直前、松井の初ゴールで1-0と勝った。今日のアンゴラ見てると到底ワールドカップに出場できるレベルとは思えなかったんだけど、たぶん慣れない超アウェイで本来の力を発揮できなかったのにちがいない。ニッポンもナカタ、中村俊輔、稲本、高原、柳沢、途中から松井と海外組そろえた割には、のんびりした試合になってしまった気がする。が、それはいい。
●いくつか思ったこと。まずナカタ。今日はボランチで後方からゲームを組み立てていた。これだけメンバーがそろった今でも、やっぱりみんなはナカタを頼りにしている。ナカタがディフェンスの前に顔を出してあげないと、いつになってもボールはディフェンス・ラインから出てこない。実際、プレイの質もすごく高い。たぶんW杯ドイツ大会後に代表からは引退するだろうから、この日が生ナカタを見る最後の機会だったのかも。
●高原。ニッポンでいちばん強烈なストライカー。なのに、いつもシュートをはずしていて、どこか調整が狂ってる精密機械みたいにうまくいかない。もしかするとワールドカップになると、ぴったりと何かが合って大爆発するんだろうか。いつか真の高原がやってくる……。
●この試合がなんのための試合か、スタジアムに行くとよくわかる。この日は「adidasの新ユニフォームお披露目のための試合」なんである。先日、発表されたでしょ、刀をモチーフにした新ユニ。で、ゴール裏サポがどーんと巨大ユニを広げるんだけど、あれがもう新ユニに変わってるんすよ! もちろん代表が新ユニを披露するのにあわせてadidasがゴール裏サポに提供しているんだろう(これ、非難しようってつもりはまったくなくて、むしろ賞賛したい。adidasは仕事をがんばってる。プロモーションは大事)。
●でもそんなことよりもっと驚くこと。この日サポーターたちの着ていたレプリカが、目視でおそらく半分程度はすでに新ユニに変わっている。すごいよ、みんな新しいのが発売されるとすぐに新モデルを買うんだ。adidasの期待以上にサポーターは忠実なんである。平日だったからユニ着用率自体は低めだったけど、週末だとゴール裏以外でもほとんどユニ着用っすよ。世界のどこにもこんなにユニ着用率の高いサポはいないと思うし、新モデルが出て数日でユニを買い換える文化を持ったサポもいない、きっと。ワタシは「こんなサッカーの楽しみ方があるのかあ」と本気で驚いた。そして、主催者の期待通り、選手入場ではあらかじめ配布された青い紙を両手で掲げて、音楽にあわせて左右に振る。この光景を見るといつも羊の群れを連想する。これってホントにサッカーの試合なの? 代表戦のサッカーとJリーグのサッカーはどんどん乖離している。あ、君が代は松浦亜弥。アナウンスの瞬間、みんな「ええーーーっ!? ホントに~」って感じで沸いてた。っていうか、ごめん、ワタシも思いっきり「ええーーーっ!?」って叫んでた(笑)。まあ、いいよね。平和がいちばん。

November 16, 2005

「女王様と私」(歌野晶午/角川書店)

女王様と私●すごいなこりゃ。キモヲタ小説の傑作→「女王様と私」(歌野晶午/角川書店)。ミステリなのでネタバレしないように慎重にならなきゃいけないのだが、同じ作者の「葉桜の季節に君を想うということ」からトリックを抜き去っても時事的なテーマ性が残されたように、「女王様と私」にもニートひきこもりオタクのごく近未来の姿をさらりと提示している部分があって、この視点は鋭い。シニカルな笑いに満ちていながらも、描かれたキモオタ像の圧倒的なリアリティに感心するのだが、しかし待て。よく考えたらワタシはこんなにも類型的かつ変態的キモヲタを身近には知らない(いたら大変だ)。でも「これがキモヲタ」っていうワタシらが漠然と描く共通理解があって、それをこれでもかというくらい見事に掬いとって描いてくれる。
●主人公と「妹」絵夢の会話もすごいっすよ(この種のヲタ世界では「妹」ってのはカギ括弧つきの特殊概念なのだ。ワタシゃリアル妹がいるからさっぱり理解できないけど)。

「だから最初にゆったんだぉ、どこでもいいって。だってぇ、絵夢が何とゆおうとぉ、おにぃちゃんが行きたくないところにゎ連れてってもらえなぃんだもン、いっつも」
「そんなことないじゃん」
知らず声が大きくなる。
「でぇ、おにぃちゃんゎどこ行きたいのぉ? 秋葉原ぁ?」
ぱっちり開いた、少し緑が入った瞳で見つめられる。
「行きたくないよ」
「中野ブロードウェイ?」

●小説としての仕掛けの部分でギョッとするようなところがあるってのは、章に付された見出しをみれば想像がつくんだけど、しかしまさかこんなことになろうとは。主人公の人物造形はキモヲタだけあって相応に気色悪いんだが(真性ロリなとことか)、そんなヤツが「このままじゃ日本はダメになる」みたいな義憤を覚えたりするところとか、かなり可笑しい。でもオタクとしての普遍的要素に共感しちゃうところとかあると思うんだな(笑)、クラヲタの場合。普段は口下手なのに、自分が好きなものについて語るときだけやたら饒舌になっちゃうところとか。
●やっぱりオタクは暗黒面に堕ちちゃダメ、黒いオタクより白いオタク、オビ=ワンの教えを守ってアナキンにならないようにしなきゃ(なんじゃそりゃ)。

November 13, 2005

帰ってきたルービックキューブ

ルービックキューブ●どうやらルービックキューブがリバイバルしてるっぽい。このパズル、かつて大ブームとなった。猫も杓子も立方体をカシャカシャと回転させていた。ブームが去った後もおもちゃ屋や雑貨屋の片隅にしっかりと残っていたので普遍的なおもしろさがあるんだと思う。世界大会決勝の決勝で日本人が活躍したというニュースも。
●ガキのころに夢中になった3x3x3の基本のルービックキューブ、ワタシは当時常にこれを1分未満で全面そろえることができた。1分未満は楽勝、しかし30秒を切るのは神業、そんな感じだった。当時のブームを知らない方は「うわ、iioさん、すげえ!」と勘違いしてしまうかもしれないので説明しておくと、ワタシの身の回りのガキどもは誰でもそろえられた。みんなタイムアタックを競い合っていたので、完成できるかどうかなんて問題にもならない。実は思考力じゃなくて、運動神経と反射神経を競ってたんである。
●このパズルには、「どんな状態からでも、必ず完成させる」ためのアルゴリズムがいくつかある。ワタシを含むガキどもは、夢中になってこのアルゴリズムを「暗記した」。誰も理解なんかしちゃいない。楽譜の速くて難しいパッセージを反復練習によって体に覚えこませるかのように、ただひたすら繰り返して体に叩き込んだんである。こういうのは子供は得意である。今のワタシには絶対ムリ。
●現在amazonで販売されているルービックキューブは親切にも「6面完成攻略書付」となっている。仮にそんなオマケがなくてもネットで調べりゃ完成法は必ず見つかるだろう。では、かつてのブームにおいて、子供たちは完成法をどうやって入手したか。いろんな方法があっただろうが、ワタシの記憶では駄菓子屋のガチャガチャ(ガシャポン)のひとつに「ルービックキューブ攻略法」の紙切れが入った景品があって、それを回し読みして完成法を覚えた。ガチャガチャが子供世界のネットワーク機能を果たしていたのだ。

November 11, 2005

素敵ジャージでビバ痩身

PUMAなんて昔はガキの着るものだったぜ●ここしばらくデスクワークを抱え込んでいて、ジメジメと陰性植物のごとく机に張り付いていた。会社辞めて通勤ってものがなくなったので、うっかりするとシダ類でもコケ類でもかかってきやがれってくらいに机とイスに繁生してしまうわけで、ひきこもりライフを満喫していたら、ある日、驚いたのである。ヤバい、体重、増えてるよっ! 体脂肪率と仲良くここ数年の新記録達成してワンツーフィニッシュ。
●これはいかんと思い、プチダイエットを敢行することに決定。近場の公園でジョギング、それが厳しそうならウォーキングで、溜め込んでるっぽい内臓脂肪やら皮下脂肪を燃焼させるのだ。ワタシは形から入る。まず、昼間っから運動するつもりなら、それなりの格好をしなければいけない。怪しい男の人が近所を走り回ってるんです、みたいな苦情を回避するには、スポーティな雰囲気が必要だろう。ジャージを購入するのだ(持ってない)。
●で、「ジャージ」なるものへの予備知識ゼロのワタシは猛然とネットで情報収集を始めたんである。そして驚愕の事実が。いや薄々感づいていたのではあるが、いまや「ジャージ」はオシャレ着と認知されているっぽい。「ジャージ」っすよ。ワタシは「ジャージ」なんていうのは、きっとダイエーとか西友の衣料品売場にどうでもよさげに投げ売られている寝間着の親分くらいにしか思ってなかったのに、いまやオシャレ着。「スーパーサッカー」でいつも水沼さん、毎週ジャージ着て出演してるけど、あれそのままパジャマになってたりしないだろうな、みたいに想像してたワタシ。
●こうなったら最強に素敵ジャージを入手せねばならぬ。あちこちのサイトでいろんな人気ブランドのジャージを比較してみた。人気がありそうでも、なんつうかストリート系っぽい、ヒップホップな(笑)ジャージをワタシが着るのはムリがある。クラシック野郎なんだからジャージもクラシックに正統派スポーツブランドだろう。adidasとかPUMAとか。スパイクとそろえるならUMBRO。nikeはマイケル・ムーアの映画を見て以来、あのロゴを見ると反射的に「低賃金で搾取されるアジアの児童労働者たち」の図が浮かんで、買う気が失せる、あっ、そういえば知ってたですか、adidasとPUMAが兄弟会社であることを。資本関係が兄弟って言うんじゃなくて、ドイツの靴屋のリアル兄弟が喧嘩別れして同じ町に2つの会社を作って、それがadidasとPUMAなんすよ……おっと意識が横道に逸れていく、ともあれ買うならアメリカよりドイツだろ。ドイツ最強。で、やっぱりカズ様がPUMAだからワタシもPUMAだ。えっと、材質は……なんだ結局ポリエステルかよ、だったらダイエーや西友となにが違うんだろなー、むむ、機能性が違うのか、こちらがフィールドセンサーポンチであちらがフィールドセンサートリコット、これはどういう意味なんだろう、よしググッて調べてみよう……。
●はっと気がつくと、ワタシは延々と2時間以上にわたって「ジャージ」についてネットで調べていたのである。すばやくマウスを動かし、滑らかに左クリックする一連の動作を反復し、ワタシは何キロカロリーくらい消費したであろうか(してない)。イスから一歩も動いていないのにこの達成感はなんだろう。
●そしてワタシがオーダーしたPUMAの素敵ジャージに対して、翌日某ショップから丁重な返事が届いており、そこには「ただいまメーカー在庫がございませんので……」との一文。ぬぐぐ。

November 10, 2005

TDK e-Station、CD/DVDプレゼント~ムーティ「ドン・ジョヴァンニ」他

●プレゼント企画のご案内を。TDK e-StationではTDKコアのCD/DVD他のプレゼントを開催中。11月発売予定のムーティ/ウィーン国立歌劇場のモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」(DVD:1999年「ウィーン芸術週間」ライヴ)や、テンシュテット/ロンドン・フィル来日公演(CD:1984年)、オーケストラ・リベラ・クラシカのボッケリーニ 弦楽五重奏曲集(CD)他。ホームページへの感想を答えればオーケーの簡単応募。応募はこちらから。

November 10, 2005

Jリーグ、来季からベンチ入り18人

●小さなニュースだけど朗報なり。ついにJリーグでも来季からベンチ入りが18人になったんである。前にも書いたと思うが現在の16人は少なすぎ。16人だと控えは5人。ゴールキーパー1人は常に必要だから、フィールドプレーヤーは4人。4人はあっという間に埋まる。疲れやすい前線の選手を2人、中盤を1人、守備のユーティリティ・プレーヤーを1人といったような構成になりやすい。こうなると左アウトサイドのスペシャリストとか、サイドバックの選手は、控えだとベンチにも入れない。かつてFC東京の原監督が控えキーパーなしで試合に臨んだことがあったっけ。
●来季からは控えが7人。キーパー1人を確保しても6人、ユーティリティ・プレーヤーが何人かいれば、おおむねすべてのポジションをカバーできる。これでセリエA、スペイン・リーグ、欧州チャンピオンズ・リーグ等と同じ人数になったはず。

November 8, 2005

タワーレコードがNTTドコモの傘下に

レコード店。アジアのどこかの●今日、タワレコ新宿店に行ったらお休み。豪快に空振り。しょうがないので、KIHACHIのソフトクリームを食す、ていうかここを通るとほぼ確実に食す。「ラムレーズン、コーンで」と頼むと、お店の女のコが言う。「ラムレーズンはレーズンが落ちやすいので、カップをおすすめいたしますが」。ソフトはコーンを選ぶべしというのが我が家の家訓なので「コーンで技巧的に食ってみせます」と女子に力強く宣言し、ハラハラドキドキ冷や汗流してレーズンを落とさずに食べつくしたときに感じたのはささやかな敗北感、おちつかねえ、すまんかったよ熊谷喜八と反省。
●で、そのタワーレコードがNTTドコモの傘下に入るという驚きのニュースが。ドコモがタワーレコード株式の42%を取得して、筆頭株主になるという。ちなみにそのタワーレコードの傘下ににナップスタージャパンがある。「ドコモとして音楽配信をするつもりはない」ということだが、携帯電話とレコード店の接点はどこにあるんだろうか。漠然とした印象だけで言えば、音楽(CDではなくデータそのもの)の購入のための窓口&ガイド機能をタワーレコードが提供し、決済と再生端末をドコモのケータイが担うといったイメージなんだろうか?

November 7, 2005

元気ハツラツ(どよ~ん)

●オロナミンCのCMに中村俊輔っすよ。ありえない。「元気ハツラツ?」って聞かれて「すっげーハツラツ」って答えてるんだが、俊輔くらい「溌剌」が似合わないプレーヤーはいないと思うが。本人も苦笑しながら言ってるように見える。なんかこう、ジメジメ~ってところが俊輔の魅力なんじゃないか。太陽の似合わない天才レフティ。
●CMといえば、クラシック音楽ファン的には「ホットペッパー まだ伴奏篇」が最強。映像とセリフのギャップが可笑しすぎて悶絶確実。ホットペッパーって全国区? ちがう気もするので、ご存じない方はリンク先へGO! PCで見れるのだ(ら抜き)。これ考えた人も天才、きっと。

November 6, 2005

JEF千葉、ナビスコカップで初タイトル

●JEF千葉vsガンバ大阪のナビスコカップ決勝、テレビ観戦だったが非常に見ごたえのあるゲームだった。延長も含めて0-0、最後はPKでの決着。90分に主審の微妙な判定で巻のゴールが取り消されたから、どちらのサポでもない者としてはJEFが勝ってくれてほっと安堵。ナビスコはJEF、リーグはガンバ大阪が優勝するのがいちばんいいかなあー、などと自分のチームは無関係なので気楽。両者これだけ質の高いサッカーやってて、いまだタイトルに恵まれてなかったんだから、心情的に応援したくなる。
●JEFとガンバ、ともにユースで育てた選手が多いっていうのが共通点か。JEFの現所属選手では阿部、佐藤、山岸、工藤他。J1のクラブはどこもちゃんとしたユースチームを持ってるけど、現実にはユース出身の選手がトップに定着する例は少ない。
●JEFが他の強豪クラブと違うのは、「選手を買うクラブ」じゃなくて、「選手を売るクラブ」だってところ。元JEFの好選手があちこちにゴロゴロいる(わがマリノスにも中西、そしてかつては城)。売っても売ってもちゃんと育ってくる。もうひとつ際立った特徴は大卒選手が多い(大学を卒業して即JEFに入ってくる選手)。Jリーグじゃダントツじゃないだろか。巻、羽生、坂本、結城、楽山、他にも何人かいる。ユース出身と大卒獲得選手だけでもおおまかに「JEF」になる。そんなクラブは他にない。選手獲得予算の大小じゃクラブの強さは決まらないっていう力強い証明。

November 4, 2005

扇形に戦隊を組めっ! 弦楽四重奏+ソプラノ独唱

●一昨晩はボロメーオ・ストリング・クァルテット(第一生命ホール)へ。シェーンベルクの弦楽四重奏曲第2番を実演で聴けるという貴重な機会だったので楽しみにして出かけたのだが、期待以上にすばらしくて満喫。この曲は四重奏に加えてソプラノ独唱が入る。前半は四重奏のみ、後半の第3、4楽章ではソプラノでゲオルゲの詩。シェーンベルクの書いた曲の中でも一、二を争う美しい音楽なんじゃないだろうか。「グレの歌」や「浄夜」に浸れる方なら大丈夫、それらと同様の意味でスーパー・ロマンティックで官能的な音楽。それにしても弦楽四重奏とソプラノっていう組み合わせがこんなにも調和するものだったとは。録音じゃわからんものっすね。ソプラノの星川美保子さんのクリアな声もすばらしかった。ちなみに同ホールでは「クァルテット・ウェンズデイ」として、弦楽四重奏の意欲的なシリーズを企画していて、本公演もその一環。お近くの方はぜひ。
●たぶん多くの人がそうだと思うんだけど、ワタシもラサール・クァルテットの新ウィーン楽派四重奏曲集の録音でこの曲を知った。CD4枚でシェーンベルク、ベルク、ウェーベルン、一通りそろってる。昔、これ最初に聴いたときは驚いたなあ。なぜかワタシはシェーンベルクの作品番号のないニ長調の曲を最初に取り出してかけたのだが、てっきり中身がまちがってると思ったんである。ありゃ、なんじゃこりゃ、ドヴォルザークが入ってるんじゃね?みたいな。今、ひっさしぶりに取り出して聴いてみたら、やっぱりドヴォルザークっぽい、割と。

November 2, 2005

「連射の日」に高橋名人になりたい

オレコマンダー。ネーミングセンスもいい●これはスゴい! 「オレコマンダー」がテレビで紹介されているのを見て深く感動したのであるが、この「オレコマンダー」とはなにかといえば、ゲームライフをより快適かつ楽しくするためのアイテムであり、これを使えば高橋名人並の連射が可能になるのである、といってもソフトウェア的に連射を実現するなどという無粋なことはしない、なんと驚くべきことに指に装着するのであり、強化されるのは人そのもの。ビバ、肉体。指を曲げるとブルブルブルブルと「オレコマンダー」が指を振動させてくれるのであって、これにより誰もが爽快に連射を楽しめるんである。機械じゃない、指です、震えるのは。手作りの味わいっていうか、スローライフな連射っていうか(なんじゃそりゃ)。
●発売元は株式会社HORI、発売日は11月11日で、これを「連射の日」と定めると(笑)。電池で稼動するってことは、勇気さえあればゲーセンに装備していって連射も可ってこと?

November 1, 2005

人生、宇宙、すべての答え

●昨日googleにアクセスしたら、トップページのロゴに月だとかコウモリだとかよくわかんない絵がくっついてて、「なんの日だっけ、今日は?」と思った。それくらいワタシには浸透してないっす、ハロウィンって。
●Yahoo! Newsにjapan.internet.com提供の記事で、グーグル、電卓機能強化で「人生、宇宙、すべての答え」にも回答。日本語の電卓機能が強化されたというニュースなのだが、末尾に「『人生、宇宙、すべての答え』のような質問にも対応する」と書かれている。フツーの人はなんのことだかわかんないと思う。
●これは以前から英語版では対応していた機能(?)で、自分で調べるのがめんどくさい方のために、解答をばらしてしまおう。「人生、宇宙、すべての答え」とは「42」である。ある宇宙人がスーパーコンピューターを750万年走らせて見つけた真理なのだ。
●っていうのが、しばらく前にご紹介した「銀河ヒッチハイクガイド」に書かれている。そんなバカ本を読んでる時間はないって方は、Wikipediaのここをざっと読めば本を読むのと同じくらい楽しめる(かもしれない)。

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