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News: 2013年12月アーカイブ

December 30, 2013

2013年を振り返らない

●祝、マリノス天皇杯決勝進出。相手は広島なので、リーグ戦の雪辱を果たすには最高の舞台。今日の鳥栖戦での2ゴールは美しかった。
●今年も残すところあとわずか。この一年を振り返ってみるべきだろうか。思い起こせば、今年も長かった。1月とか2月に起きたことが「今年の出来事」とは思えないくらい。
●ベストコンサートの回顧は今月の「モーストリー・クラシック」誌に書かせていただいたので、もう少し大きな視点から振り返ってみると、個人的には「コンサートの録音メディア化」と「録音メディアのコンサート化」をいっそう強く感じた一年だった。つまり、コンサートに行くと、たとえば「バッハ管弦楽組曲全曲」のようなCDみたいなプログラムに出会ったり、直近にリリースされたCDそのもののような演目に出会うケースがますます増えてきた(ような気がする)。一方で、録音の聴き方は自分のなかで大きく変わりつつある。定額制音楽配信が充実してきたため、同じ音源を何度も聴くよりも、少しでもたくさんの種類の音源を聴こう、同じ曲を聴くにもなるべく以前に聴いていない音源を聴かなきゃ損だ(?)、みたいな妙な気分にとらわれるようになった。だって、定額制だし。となると、録音に対しても「一回しか聴かない」前提で接するようになってきて、それって実演と同じような一回性が録音物に対しても仮想的にありえるんじゃないかと。録音なんだけど、コンサートと同じように聴いたらそれまで、もう聴けないものになる。録音物であっても音楽の一回性は保たれているはずという錯誤。もはや「愛聴盤」という概念が崩壊しそう。
●ひとつ告知を。大晦日の午後9:20から午後11:55まで、NHK Eテレ「クラシック・ハイライト 2013」に出演しています、畏れ多いことに。2013年の振り返りはこちらで。では、よいお年をお迎えください!

December 28, 2013

USBメモリで「ニーベルングの指環」

USBメモリ版「ニーベルングの指環」●以前、USBメモリ版「コンプリート・バッハ・エディション」をご紹介したが、今度はUSBメモリ版ワーグナー「ニーベルングの指環」がリリースされた。中身はバレンボイム指揮バイロイト祝祭管弦楽団の演奏(ワーナークラシックス)。バッハ全集が入るくらいなんだから、もちろん「指環」など余裕でUSBメモリ1本に収録できる。音源に加えて、ワーグナーについてのBBCのドキュメンタリー映像や、リブレット、解説アプリらしきものなども全部含めて、6450円ぽっきり(Presto Classicalでの本日時点円建て価格、送料別)。
●個人的には、前回の「コンプリート・バッハ・エディション」よりこちらのUSB「指環」のほうがずっと割安に感じる。なぜなら、バッハのほうは320Kbpsのmp3だったが、こちらは無圧縮WAV(つまりCDの中身そのもの)と320Kbpsのmp3の両方が入っている。用途によって好きなほうを使える。また、バッハは32GBのUSBメモリだったが、こちらは16GBで、メモリそのもののコストに割安感を覚える。なんとなれば、データをHDDにコピーしたら後はフツーのUSBメモリとして使用したっていいわけで(バックアップは忘れずに)、音楽ソフトの付録つきUSBメモリを買うという考え方だってありうる(笑)。
●デジタルデータをわざわざ記録媒体に入れて、それを物流に乗せるのは不合理な感じもしなくはないが、16GBともなればネットで長時間かけてダウンロードするより送ってもらうほうが手っとり早いか。というか、そもそも音楽CD自体が「デジタルデータをわざわざ物流に乗せている」わけだが。

December 18, 2013

「R40のクラシック」(飯尾洋一著/廣済堂新書)

R40のクラシック●拙著の告知を。「R40のクラシック ─ 作曲家はアラフォー時代をどう生き、どんな名曲を残したか」(廣済堂新書)が刊行されました。ビジネスマン向けのクラシック入門書という位置づけで、30人の作曲家について、特に40歳前後の創作活動と作品に絞って書かれています。肩肘張った作曲家論ではなく、作曲家についての連載コラム30回分を引き受けたつもりで書きました。場所柄(?)、ごく落ち着いたトーンになっています。
●一年以上も前に書き下ろしで一冊というお話をいただいて、書き下ろしはいくらなんでも無理でしょうとお答えしてしまったのですが、担当編集者さんをはじめとする方々より絶大なるご助力をいただいて刊行にこぎつけた次第。多謝。
●トイトイトイ(←おまじない)。

December 16, 2013

ゴーティエ・カプソン&ユジャ・ワン、ウルバンスキ&東響、デュトワ&N響

●15日はトッパンホールでゴーティエ・カプソンとユジャ・ワンの共演。プログラムはシューマンの幻想小曲集op73、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ ニ短調op40、ラフマニノフのチェロ・ソナタ ト短調op19。これは強烈。シューマンからすでにユジャ・ワンのピアノは伴奏にとどまるものではなく、ラフマニノフでは猛烈にスリリングなデュオが実現。ゴーティエ・カプソンの朗々と歌う音楽の大きさにも感銘。しかし二人とも本当にカッコいい。ユジャ・ワンは前後半で違ったステキすぎる衣装を披露してくれて、どちらも10cm以上はありそうなハイヒール。あの左右非対称なおじぎのスタイルも健在。カプソンもイケメンすぎて笑う(←なんで?)。こんなにカッコよくて、チェロもあれだけ上手いなんてどういうこと? もう自分が独身女子なら楽屋に直行して求婚するレベル。
●アンコールのピアソラ「ル・グラン・タンゴ」で、ユジャ・ワンは紙の楽譜ではなくタブレット端末を持ってきた。譜めくりの方が忙しく立ちあがって画面をタッチする。iPad、なんだろなあ……。Microsoft Surfaceだったら最強(ないか)。客席にデュトワの姿あり。
●14日はサントリーホールでウルバンスキ指揮東京交響楽団。前半はチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」とヴァイオリン協奏曲(神尾真由子)、後半にストラヴィンスキー「春の祭典」。今回もウルバンスキは独特な音楽の作り方で、前回のブラームスと似たような印象。慣習的ではなく、外形的にはアンチドラマ志向なんだけど、制御された色彩や意匠に富んだニュアンスで作品の内側から生命力を引き出してくるというか。変拍子だらけの「春の祭典」でオケに細かくキューを次々と出していくうちに、段々とウルバンスキの動きが妖しさ全開の舞踏に、そして頻出する指揮台上のムーンウォーク。あたかも指揮ロボ。あと少しで両足裏からジェット噴射して浮き上がっていたと思う。サントリーホールの天井がカパッと開いて、フハハハハと不敵な笑いを残しながら天空へと向かうウルバンスキの姿が一瞬見えた気がする。気がする、だけだけど。しかしウルバンスキも相当カッコいい。
●12日はサントリーホールでデュトワ&N響。ラヴェル「クープランの墓」、デュティユーのチェロ協奏曲「遥かなる遠い世界」(ゴーティエ・カプソン)、ベートーヴェンの交響曲第7番という前半と後半でがらりと雰囲気が変わるプログラム。ゴーティエ・カプソンはここでも男前。豊潤で力強い音がする。アンコールにプロコフィエフ「子どもの音楽」から行進曲。超人。ベートーヴェンはデュトワの色がよく出ていた。ホルンは4本に増強、弦は14型かな? 特に前半楽章は描写的で、語り口の巧みさを感じる。全楽章アタッカで、終楽章の爆発まで一気呵成。

December 12, 2013

アンドレアス・シュタイアー&佐藤俊介のモーツァルト

●11日はトッパンホールでアンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)と佐藤俊介(ヴァイオリン)の共演によるオール・モーツァルト・プロ。先週のシュタイアーのソロ(ディアベリ変奏曲)は聴き逃したのだが、こちらのモーツァルトを満喫。精彩に富み、闊達で機敏、陰影も豊か。フォルテピアノはアントン・ワルター(1800年頃)レプリカ。
●前半にヴァイオリン・ソナタ ハ長調K303があって、続いてピアノ・ソナタ第8番イ短調K310。このイ短調があまりにも雄弁な音楽なので「うーん、やっぱり名作ぞろいのピアノ・ソナタが一曲入ってしまうと、ヴァイオリン・ソナタはかすんでしまうんじゃないかなあ」などと案じたが、まったくの杞憂、むしろフォルテピアノではなく主役はヴァイオリン。シュタイアーの鬼才、身振りの大きさにもしっかりと共鳴。ヴァイオリン・ソナタ ホ短調K304、「ああ、私は恋人を失った」の主題による6つの変奏曲 ト短調K360とさらに短調の曲を並べて、最後に華麗で高揚感にあふれるヴァイオリン・ソナタ ニ長調K306で鮮やかなコントラストを描いた。
●あ、こういうときはモーツァルトの「ピアノ・ソナタ」じゃなくて「フォルテピアノ・ソナタ」と書くべきなのか。小さな音しか出ないほうが「フォルテピアノ」で、恐ろしく巨大な音がするほうが「ピアノ」というのは、後世の考古学者に謎を残しそうな気がする。

December 11, 2013

カンブルラン&読響のハンガリー・プロ

●10日はカンブルラン指揮の読響定期へ(サントリーホール)。リゲティ「ロンターノ」、バルトークのピアノ協奏曲第3番(金子三勇士)と6つのルーマニア民族舞曲、組曲「中国の不思議な役人」という最強に魅力的なプログラム。細密で色彩的な響きの芸術を堪能。「中国の不思議な役人」が圧巻。猥雑さ、荒々しさよりも制御された音色の美しさ、解像度の高さで楽しませてくれた。
●ゆったりとした「ロンターノ」は静寂のなかでイビキの律動とともに曲を閉じた。複数。イビキの対位法。あなたたちのなかで演奏会で寝落ちしたことのない者だけが石を投げなさい。
●このプログラム、後半がずいぶん短いなあと思っていたら、定期演奏会でまさかのアンコール。ベルリオーズの「ラコッツィ行進曲」(ハンガリー行進曲)。これでオール・ハンガリー・プロが完結するということで納得。

December 10, 2013

小泉和裕&日本フィル定期の小倉朗、大型本「山田和樹とオーケストラのとびらをひらく」

●そんなわけで、マリノスが撃沈した7日の午後は、サントリーホールの小泉和裕指揮日本フィル定期へ。この日はワタシが公演のプレトークを仰せつかっていたので、テレビは録画観戦になったのだ。で、公演プログラムはベートーヴェンの交響曲第2番、小倉朗の交響曲ト調、ベートーヴェンの交響曲第7番というオール交響曲プロ。「日本フィルシリーズ」でかつて委嘱初演された、小倉朗の交響曲再演が聴きもの。明快な古典的フォーマットで書かれた交響曲で、日本的な響きや諧謔味、オーケストレーションの壮麗さなど聴きどころ満載。実演で耳にするのは初めてだったが、録音で感じていた以上に演奏効果が高く、華やか。バルトークの「管弦楽のための協奏曲」を連想する。そしてやはり時代を反映してということか、「ベタなノリ」は控えめになって、平成の洗練された音楽にバージョンアップされていた。
●交響曲第7番は終始速めのテンポを保った推進力のあるベートーヴェン。第4楽章は白熱して少し危険なくらいの速さだったが、客席は熱狂した。
山田和樹とオーケストラのとびらをひらく●こちらはその日本フィルが企画協力した大型本「山田和樹とオーケストラのとびらをひらく」(アリス館/シリーズ音楽はともだち)。表紙の真ん中に日フィル正指揮者の山田和樹さんのイラスト。よく見ると、その周りに描かれている奏者たちもみんな日フィルの楽員になっている。子供たちに向けて「オーケストラってなんだろう」「指揮者の仕事はなに?」ということをやさしく教えてくれる一冊。さすがに当事者が企画協力しただけのことはあって、児童書ながら端々に現場感覚みたいなものが垣間見える。たとえば、「インスペクター」の仕事の説明に(そんな項目があるのもスゴいが)、リハーサルが予定時間になっても終わらないときは勇気を奮って指揮者に終わりを告げなければなりません、とか書いてある(笑)。楽器の配置も通常配置だけではなく対向配置も併記してあって、今の実情に即している。

December 5, 2013

福間洸太朗N.Y.デビュー10周年リサイタル「五輪書を読みて」

●4日は東京文化会館小ホールで福間洸太朗リサイタル。プログラムがすばらしい。バルトークの「戸外にて」から第1、4、5曲、ドビュッシー「沈める寺」、ショパンのバラード第4番、ストラヴィンスキー~アゴスティ編曲の「火の鳥」、後半にブラームスのピアノ・ソナタ第3番。CDの新譜は「バラード~ショパン作品集」と名曲路線だけど、やはり彼はこういうプログラムで聴きたいなあ。アゴスティ編曲の「火の鳥」は「魔王カスチェイ」で始まって「火の鳥の子守歌」「終曲の賛歌」と続く。やりすぎなくらいの過剰な華麗さ、饒舌さと、技巧の鮮やかさに快哉を叫びたくなる。
●でもこの日の白眉はブラームスのソナタ。あまり家でCDを聴こうとは思えない曲なんだけど、引きこまれて聴いた。シューマンが憑依してるみたいな情熱的な作品で、粗削りのロマンティシズム、ぎこちなさ、アンバランスさゆえの巨大な楽想に圧倒される。第4楽章は交響曲第1番終楽章を連想させる。これを聴くと後のブラームスはずいぶんツルンとなめらかに洗練されたものだなあと思う。スターがブレイクする前のダサダサだった田舎時代の写真を引っぱり出してみたら、実はワイルドでもっとカッコよかった、みたいな。

December 4, 2013

2014年 音楽家の記念年

●そろそろ来年の音楽家の記念年について。
2013年はヴェルディ、ワーグナー、ブリテン、コレッリ、アルカン、「春の祭典」初演等々、やたら豊作だったが、2014年は地味めなラインナップになる(一般的な知名度という意味で)。主な人を以下に。

[生誕100年]
伊福部昭(作曲家)1914-2006
小山清茂(作曲家)1914-2009
早坂文雄(作曲家)1914-1955
アンジェイ・パヌフニク(作曲家)1914-1991
ラファエル・クーベリック(指揮者)1914-1996
キリル・コンドラシン(指揮者)1914-1981
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮者)1914-2005
フェレンツ・フリッチャイ(指揮者)1914-1963
アルヴィド・ヤンソンス(指揮者)1914-1984
ホルヘ・ボレット(ピアニスト)1914-1990
ポール・トルトゥリエ(チェリスト)1914-1990
ヴォルフガング・ヴィントガッセン(歌手)1914-1974

[没後100年]
アナトリー・リャードフ(作曲家) 1855-1914

[生誕300年]
クリストフ・ヴィリバルト・グルック(作曲家)1714-1787
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(作曲家)1714-1788
ニコロ・ヨンメッリ(作曲家)1714-1774

[没後300年]
竹本義太夫(義太夫節創始者)1651-1714

[生誕400年]
八橋検校(近世箏曲開祖)1614-1685

[備考]
リヒャルト・シュトラウス(1864–1949) 生誕150年

●どうすかねえ。C.P.E.バッハ&グルック・イヤー……。あるいは伊福部昭イヤーか。数年前から生誕100年の欄に名指揮者や名演奏家の名前が増えてきた。そういう時代に到達。ジュリーニやクーベリックと並んでフリッチャイの名があって一瞬えっ?と思う。フリッチャイは早世しているので、彼らと同時代の人という感じがしない。
●こういうときは100年単位ではなく、50年単位に刻んで記念の年に注目しようという人が出てくる。リヒャルト・シュトラウス生誕150年とか。2012年のドビュッシー生誕150年みたいに。でもなー。「150年」なんてぜんぜんちょうどじゃないし。50年単位まで言い出すと、生年と没年で25年に1度の割合で記念の年ができてしまうわけで、別の言い方をすればほぼ25人に一人が記念の年に該当しちゃうというインフレ状態。
●ちょうど100歳の年に亡くなると、生誕100n年と没後100n年の年が重なってしまって損だ。しかしそこでがんばって101歳まで生き抜いても、「えっ、去年生誕100n年やったばかりなのに、今年また没後100n年って言われても困る!」みたいな事態になるかもしれない。エリオット・カーターみたいに103歳、104歳の年まで生きたほうが将来の作品受容という点でお得だねっ!

December 3, 2013

バイエルン国立歌劇場の日本向け時差配信に少しだけアクセスしてみた

先日ご紹介したバイエルン国立歌劇場の日本向け時差配信、R・シュトラウス「影のない女」、どれくらいの人数がアクセスしたんすかね。できることなら19時からがっつり見たかったのであるが、結局2幕の途中からかろうじてアクセス。きちんと鑑賞する時間が取れなかったので、配信の様子を確認した程度。字幕は英語のみだった模様。クォリティはLow、High、HDの三段階。Highでつないだところでは、画質はブラウザ内で見る分には十分、最大化するにはやや苦しい。ウチのADSL環境ではHDだと紙芝居状態に。Highでも最初は問題がなかったが、途中から数秒フリーズをなんどか繰り返したので、やむなくLowに変更。
●こうしてみると、ベルリン・フィルのデジタルコンサートホールはまったく同じPC環境でもクォリティが高いし、音質面でもかなり優位があるなあ、とも思うが、なにしろバイエルン国立歌劇場のほうは無料配信なんだから比較するのは無茶な話か。キリル・ペトレンコ指揮のオーケストラは十分魅力的だし、次回があるならまた試してみたい。
●この時差配信に関しては、19時よりも20時とか20時半スタートがいいんじゃないかな。以前にも書いたように、「コンサートの19時開演は早すぎる」という意見はあまり真に受けないようにしているのだが(むしろみんな帰りが遅くなるのを嫌がる)、自宅からアクセスする配信に関して話は別。なぜなら、多くの場合、職場からコンサートホールよりも自宅のほうが遠いし、帰宅したらまず食事になりそうなもの。終演後に電車に揺られて帰宅する必要はないので、遅くなるほうの心配はそんなにいらない。コンサートの時間に合わせるというより、テレビのゴールデンタイムに合わせる発想でいいのでは。

December 2, 2013

ウルバンスキ&東京交響楽団、首席客演指揮者就任披露 ブラームス篇

●1日は東京オペラシティでクシシュトフ・ウルバンスキ指揮の東響へ。以前の公演でも強烈な印象を残してくれたウルバンスキ、82年生まれなのでまだ31歳、しかも童顔でスリム。実年齢よりさらに若く見える。来年はベルリン・フィルへのデビューも決まっている。東響の首席客演指揮者就任披露公演第1弾はペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」、モーツァルトのピアノ協奏曲第18番(フセイン・セルメット)、ブラームスの交響曲第2番。
●ブラームスの交響曲第2番がおもしろい。まるで初めて聴く曲であるかのよう。楽器間の響きのバランスやダイナミクスという点で特異な解釈で、管楽器はほとんどの場所でmfからpppくらいの間で演奏されていたんじゃないだろうか。メリハリの利いた弦楽器に強く焦点が当てられる。これは終楽章のクライマックスで大爆発するための伏線なのかな?と思って聴いていたら、ぜんぜんそんなことはなくて、最後の一音すらmfでふんわり着地するイメージ。聴いたことのないブラームスだけど、奇をてらっている感はないかな。多くの人がこの曲の終楽章に期待する壮麗さはなかったし、熱血ブラームスみたいな要素は徹底して排除されているんだけど、慣習をとっぱらって見えてくる凛々しさや幽玄さがたしかにあって目ウロコ。このブラームスは美しい。次は14日と15日にストラヴィンスキー「春の祭典」他
カレ・ド・ショコラ●帰りになぜか出口の前で森永のチョコレートが配布されていた。カレ・ド・ショコラ、本格ショコラの贅沢な味わい。「フレンチミルク」と記された一口サイズをパクッ。たちまち濃厚なミルクと豊かなカカオの風味が口内に広がる。リッチ・テイスト。でもウルバンスキのブラームスには同じシリーズの「カカオ70」のビターテイストがふさわしいかも。

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