2005年9月アーカイブ

September 30, 2005

あなたはtotoの買い方をいくつ知っているか

フランスのトトカルチョは70%を払い戻すらしいtoto、累積赤字150億円に 会計検査院指摘(朝日新聞)。以前からtoto運営を見ていると、独立行政法人日本スポーツ振興センターというところはどうかしてるんじゃないかと思ってたから、会計がちょっとくらい変でも驚きはしない。toto不人気の原因はその購入方法のややこしさと払戻率50%の低さにある……って話は前にもしたからいいか。
●totoを買うためには3つの方式がある。簡単に説明しちゃおう。

1. toto販売所で買う。マークシート方式。シングルもマルチも買える。誰でも事前登録なしにその場で買えるが、購入可能なお店が少なく、しかも減少傾向にある(都内区部のワタシの最寄り3駅近辺に一店舗も存在しない)。

2. コンビニで買う(ローソンまたはファミマ)。店頭の端末に入力するか(かなり居心地が悪い)、事前にインターネットで投票を済ませておく。デビットカードなどの会員登録が必要。マルチは買えるが、なぜかシングルは買えない。

3. インターネットで買う。投票も決済もネットで可能になった。マルチもシングルも買える。ただし、そのためにはイーバンク銀行に決済口座を開かなくてはならない。

 購入のための敷居は高い。ちなみにこの3つの購入方法には何一つ互換性がない。たとえば、1のために塗ったマークシートを2のコンビニに持って行っても購入できない。また、2のコンビニでの購入のためにネットで投票を済ませておいても、これで1や3の方法で購入することはできない。
●ルールは果てしなく複雑である。2ではシングルに投票できないというのが不条理。また2のためにデビットカードを登録してtotoカードを作ると、現金で決済ができなくなる。3のネット販売は今月から開始されたもの。悪くはない。しかしイーバンクのような決済用口座を概念として容易に理解でき、他銀行のネットバンキングと連携して出金・入金がスムーズにできるほどネット慣れした人間がどれほどいるのか。「デビットカードってなんだっけ?」くらいがフツーの日本人だろ。
●宝くじだって買うのに事前にデビットカード登録して毎回暗証番号押せとか、指定ネットバンクに決済口座開けなんて言われたら誰も買わないっすよ。

September 29, 2005

「チャーリーとチョコレート工場」(ティム・バートン)

●映画館で「チャーリーとチョコレート工場」。惜しくもロアルド・ダールの原作を通過して育ってしまったワタシだが、この映画を見てる間はすっかり精神年齢10歳くらいのガキに退行して椅子から身を乗り出して大興奮、うおおおお、オレもチョコレート工場行きてー、絶対行きてー。ウォンカさんの「めちゃウマチョコ」食いてえ~、食わせろ~、はぁはぁ。
●冒頭のフルCGと思しきチョコレート工場内部の場面からすでにワクワク度マックス。だいたいチョコレート工場ってなんだよ。思い出した、ガキの頃のオレ様の夢ナンバーワン。「板チョコをガブガブと一枚丸ごと食いたい、さらに二枚、三枚とチョコ食い放題をやってみたい」。虫歯の怖さを知らないガキならではの無邪気でデンジャラスな欲望、ましてや工場が隣にあれば入ってみたいだろう、そしてそこで働く小人やリスを見つけたら喜びのあまり卒倒すること必至。同時に本当は大人のワタシは、クソ生意気なガキとバカ親どもがティム・バートン監督にいかなる懲罰を受けるのかを楽しみにして、イヒイヒと邪悪な笑みを浮かべる。ジョニー・デップ演ずるウォンカさんは圧巻。なんと親しみの持てるウォンカさんなのだ。ああ、ウチの前を流れる川が「チョコレートの川」だったらなあ。チョコレートこそ甘物界の王。ざぶん。

September 28, 2005

箕輪義信、ニッポン代表に選出

川崎フロンターレ●なにしろ白いペレ「ジーコ」が代表監督なんである。王国ブラジルの10番っすよ。そりゃあ、人を見る目は確かに決まってる。名前や実績、人気なんかに左右されるはずがない。で、今度のニッポン代表欧州遠征、川崎フロンターレから箕輪義信が初選出。Jリーグオールスター組不在時の代表選出とはいえ、本人は嬉しいだろうなあ。ジーコの記者会見はこちら(スポーツナビ)、フロンターレ公式サイトの箕輪本人メッセージはこちら
●箕輪は仙台大学出身、磐田に入団するが出場機会に恵まれず、移籍した川崎で2001年にレギュラーの座を獲得。現在29歳のディフェンダー。当時川崎はJ2だから、ってことは1部リーグでの出場は今季しかないのか!? いやー、ジーコ、スゴい。いつどこでだれを見てるか、ホントにわからない。よし、ワタシもがんばろう(なにを?)。

September 27, 2005

映像で見る、カラヤンのベルリオーズ

カラヤン 幻想交響曲●む、今週のNHK-BS2「クラシック倶楽部」(←この「倶楽部」ってどうにかならんか)は珍しく古い映像をやっているではないか。どれもDVDで見れると思うが、未見の方にはオススメで、昨日はカラヤン指揮パリ管弦楽団のベルリオーズ「幻想交響曲」。カラー映像/モノラル音声、EMIからDVD発売済だが、未見だったのでこれを機に堪能。
●なにしろスタジオ収録なんすよ。オーケストラのスタジオ録音すら減ってきている今時からすると、1970年当時はクラシック音楽の映像媒体にかける夢みたいなのがスゴく大きかったのがわかる(少なくともカラヤン的には)。演奏会を撮るのとは対極で、スタジオで照明とかカメラワークの演出をきちんとやって、「芸術作品」として映像を撮る。結局そんなやり方は受け入れられなかったことを2000年代のワタシらは知っているが。
●で、ワタシはカラヤンは20世紀最大の指揮者だったと思っているし、いまだにその録音を聴くのが猛烈に大好きなのだが、それでも感じるのは「カラヤンの録音はちっとも色褪せないのに映像はことごとく古びている」ってこと。あまりに古びていて、ここでのカラヤンの指揮姿が戯画的に見えるんである。なんというか、クラヲタの指揮マネ芸みたいな印象。これは栗田貫一がルパン3世役の声優をやっているという倒錯的な現実に近い。この映像を見ててもすべてが作り物、演出過多なので(カメラワークだけじゃない、カラヤンの表情すらも)、カラヤンの指揮棒に反応してオーケストラが鳴っているという気がまったくしない。別収録の音声に合わせて、みんなで演奏しているフリしてるでしょ、みたいな。1970年にはそこまではやってないと思うが、そんな感じ。
●だってずっと目をつぶって指揮してるんすよ。目をつぶったまま、深刻ぶった表情を見せたり、ちょっと和らいだ顔つきになったり、この意識の過剰さは「瞑目のカメラ目線」って言ってもいい。それに生前はこの帝王ぶりをみんなで自然と受け入れたけど、今になって考えると、目を閉じて指揮するなんて、やっぱりありえない。ワタシがプレーヤーだったら、そんなコミュニケーションを拒絶するような不気味な指揮者はイヤだ。
●あと映像演出。たとえば「ワルプルギスの夜の夢」だと、赤い照明をバックに、カラヤンに強い逆光を当ててみせたり、オーケストラのプレーヤーを完全にシルエットだけにして浮き上がらせたりとかする。想像だけど、1970年時点ではカラヤンじゃなくても、こんなふうに曲調と同期させた映像演出をしようっていう考え方はさほど妙なものじゃなかったんじゃないか。でもこれはもうムリ。映画やドラマで主人公の不安な胸中を表現するために、高い木に止まったカラスが「クァー、クァー」って鳴くシーンを挿入するとかいうのと同じで、視聴者はあまりのダサさに逃げ出したくなる。
●あれ、なんか悪口書いてるみたいだな、これ。「だからカラヤンはカッコいいのだ」っていう話を書くつもりだったのに。まあいいか。カラヤン超オススメなり(←なんだその投げやりな賛辞は)。
●DHCさんのFROM 40にて「オトナのためのクラシック音楽入門」第6回掲載中。よろしければ。

September 26, 2005

月の土地、格安販売中?

●TVで「チューボーですよ!」を見てたらゲストの矢口真里が「月の土地」を買ったと話していた。この「月の土地」販売ビジネス、何年か前にアメリカではじまったと聞いていたが、日本国内でもちゃんと代理店ができて販売を開始したようである。なにしろ月だ。買ったってなんにも使えやしない。だから格安で、あなたにもワタシにも買える。クレジットカード決済、代引きも可(笑)。買いたい方はこちらのルナエンバシージャパンからどうぞ。
●米国ルナエンバシー社は、宇宙条約の盲点を突いてサンフランシスコの行政機関に出頭し月の土地の所有権の申し立てを行ったら、これが合法的に受理されたから売っているっていう主張をしている。マジメな人なら「たかがサンフランシスコの行政機関が認めたら月の土地が所有できるってのかよ、ったくしょーがねーなー、アメリカ人は」と怒ってしまうかもしれない。そりゃまあそうだ。アホくさい。でもまあ、本気にするのも大人気ないわけで、ちょっとしたシャレで買う夢のあるプレゼントっていうノリなんだろう。月どころか、金星と火星の土地まで販売されはじめて、太陽系土地バブルが起きないかと心配になるくらいである。
●しかし月までどうやって行きゃいいのか。ハイドンのオペラに「月の世界」 Il Mondo Della Lunaという作品がある。インチキ天文学者が望遠鏡で客にニセの月世界を見せて金を稼いでいる。騙されやすい金持ちに「月の世界へ連れて行く」といって睡眠薬を飲ませ、目が覚めたところで「ここは月の世界なり~、われは月の皇帝なり~」とか演じちゃう他愛のない喜劇で、さすが18世紀、まだまだ本格SFの誕生は遠いのだが、ともあれオペラはハッピーエンドで終わる。ルナエンバシー社の話を聞いて、この作品を連想した。

September 25, 2005

本日の西葛西の王、三浦カズ

江戸川区陸上競技場●なぜ江戸川区陸上競技場開催なのか、という疑問はさておき、J2リーグ戦の横浜FCvsザスパ草津へ行ってきた。われらがキング・カズにシドニーFCからオファーが届いてるとなれば、首都圏で生カズ体験ができる機会は限られている。もともといつまでも現在のように毎試合先発してくれるかどうかもわからんわけで、自分的日本サッカー界最大のヒーローをリスペクトするために西葛西へGO! ディズニーランドも葛西臨海公園もこの日の江戸川区陸上競技場の輝きにはかなうまい。6950人収容、もちろんベンチシート。雨ざーざー、カッパ必須。屋根ほぼなし。全席自由。「カズー!」って叫んだら本人まで聞こえる距離。吉なり。
●えー、カズはゴール前付近にデンと構えて、おいしいボールが来たらシュートを打つ役で、後半早々に交代する選手だと思ってる人、いないっすかー? それ、ぜんっぜん違うから。90分フル出場で、驚異的な運動量、チームでもっともチャンスを作ってるのがカズ。ゴールも狙うが、左サイドに流れてフェイント→ドリブル→フェイント→クロスでシュート機会を作り、敵のセンターバックやキーパーがボールを保持すればいちいち律儀にプレスをかけるために走り、しまいにゃディフェンスにまで活躍してしまうという、ありえない働き者っぷり。惜しげもなく足技も見せてくれて、お客へのサービス精神満点。全身からオーラ出まくってた。
●カズ以外で目立ったのは横浜FCでは8番の吉武。後半消えてしまったけど、スピード、突破力がありそうな印象。全体に大型選手が多いパワフルなチームで、カズが小柄に見える。ザスパ草津では6番の鳥居塚がすばらしかった。中盤の底からワイドに展開できて、自分でも攻め上がれる。このチームのキー・プレーヤー。
●試合結果は横浜FC 1-0 草津。J2下位同士の対戦、J1との差はもちろんあらゆるところにあるんだけど、やっぱり個々の選手のアスリートとしての運動能力差が一番大きいかなという印象。マリノスの選手を間近で見ると、中澤は化け物のように巨大でパワフル、坂田は疾風のように速い、みんな人間じゃねーって感じだけど、J2下位だと人間同士の戦いとして見られる。逆に技術面では数年前のJ1くらいのレベルには来てるんじゃないだろか。あ、山口素は出場、城は欠場。
●しかし横浜FCのコア・サポーターから見ると、カズの存在って微妙なのかもしれんね、シドニーからオファーが出てしまった時点で。

September 22, 2005

ソフトクリーム多段式

オレ様の大好物、それはソフトクリーム●自由の女神も驚きかねない特大ソフトが売り物の中野ブロードウェイB1デイリーチコのすぐそばで、若い女性が一人、階段にペシャリと腰掛けてソフトクリームを食していた。マックス8段重ねまで可能だが、それは4段。だが4段だって猛烈勇敢チャレンジャーであり、ワタシは羨望の眼差しを投げかけた。が、アンビリーバボー、女の子はあろうことか4段の一番下からプラスティック・スプーンですくって食べているのである。4段重ねの4段目、すなわち全体の土台であり、多段式ソフトの礎。ここから食べるのは自爆的な暴挙であり、甘物界の禁忌、なぜそのような無謀なことをしなければならないのか。ワタシは彼女に一声かけた。「お嬢さん、そんなにもこの世界に絶望しているのですか」と(ウソ)。

September 21, 2005

「モーダルな事象」(奥泉光)

モーダルな事象「モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」(奥泉光/新潮社)読了。「本格ミステリ・マスターズ」シリーズの一冊なので探偵小説であり、伝奇ノベルであり、キャンパスノベルでもあってサービス満点、しかも笑える。大阪の短大に勤務する冴えない大学助教授と、忘れられた童話作家の遺稿の出会いをきっかけに次々と事件が起こる、という本筋の抜群のおもしろさとは別に、やたらとおかしかったのが桑潟幸一助教授という人物像。
●太宰治研究者を標榜するものの、文学者としてはさっぱり実績もなくて、恩師のささやかなコネだけを頼りにやっと授業崩壊してるような短大の助教授になったという先生。「日本近代文学者総覧」なる大辞典で「太宰治」の項目の執筆依頼が来ないかと期待していたものの、やってきた原稿依頼は名前も知らないような作家の項目ばかり。だれも専門家がいないような落穂拾いみたいな仕事を頼まれちゃう。ところがそのどうでもいい作家群の一人、原稿を書いた助教授本人もこれまで知らなかった無名の童話作家が世間で大ブレイク、いきなり助教授はその童話作家唯一の専門家ってことになって、関連する仕事がいくつも来ちゃう。
●あー、これ、あるあるあるある。ホントにありがち。ていうか、ワタシ自身編集者側の立場で何度か経験がある。「わ、この前、専門の人が見つかんなくて、困りに困って○○さんに××の原稿ムリヤリ頼んじゃったら、大手出版社も○○さんに××の原稿依頼しちゃったよっ!」みたいな。でもいいんすよ。超マイナー分野なんてそんなもので、付け焼刃でもハッタリでもなんでもいいから、だれかが「えいやっ!」って担ってくれないと永久に拾われない。
●東京の出版社の編集者に対してやたら尊大になったり卑屈になったりする挙動不審なセンセーぶりとかも秀逸。ある、っていうか全然フツー。

September 20, 2005

ニューオーリンズで20日ぶりに発見された男

●ハリケーン「カトリーナ」上陸以来、自宅にとどまっていた39歳の男性が20日ぶりに発見された(→共同/ロイター)。あんな環境で、20日間も生き延びることができただなんて、どんな逞しい男かと思った、見出しを目にしたときは。

呼び掛けに対する反応はなかったものの、家の中に人の気配がするため、救助隊はこれまで食料や水を男性の家の前に置いてきたという。男性は「誰のことも怖かった。洪水以来、ずっとここにいた」と話している。

 生き延びた男は他者への絶対的な不信を盾にしてひきこもっていた。不信によって助かることもあるだろうし、逆に身を滅ぼすこともあるだろう。どっちがいいかはわからないけど、報道を見てるとこの人の気持ちもわかる。一部無秩序化して銃撃戦があったりとか、「マッドマックス」ばりの現実があったわけだから。災害も怖いが人間はもっと怖い、と。
あ、イメージ写真です、この氾濫する川は●ウチのポストに区役所から「被災された皆様へ」と題された紙が。先日の都内豪雨の件で、被災した人々への税金・保険料の減免などの公的支援やゴミ処理の方法について説明されている。ワタシは幸い無事だったので無関係だが、目の前の川が氾濫したんだから、念のため仮に自分のところが床上浸水したらどうなるかを確認しておいた。住民税、国民健康保険、介護保険、国民年金の減免、災害見舞金などいろいろあり、意外と手厚いものだなという印象。ワタシのなかで区役所への好感度が大きくアップ、今月も喜んで住民税を納めようという気持ちになれた(ような気がする、なんとなく、かすかに、おそらく)。

September 19, 2005

気になるアキバ

●つくばエクスプレスが開通したり、巨大なヨドバシカメラがオープンしたりと、秋葉原が変貌しつつある模様、これは早くこの目で確認しに行かねばと思いつつも機会に恵まれず、とりあえずAKIBA PC hotline!のヨドバシAkibaオープンの記事にさっくり目を通して予習。なんかすごい巨大なビル建ってて、これはヲタクシティから電気街への回帰なのか。ふと思い出したが、秋葉原名物(?)おでんの缶詰の自販機ってのはまだ健在なのだろうか。
●どうせなら秋葉原からつくばエキスプレスに乗るのが黄金コースかなと思って、路線図を見ると、柏の葉キャンパスを通るようである。なるほど、柏の葉競技場のレイソル戦観戦ルートに使える。ただ、柏の葉競技場って写真で見るからにサッカー見たくないスタジアムなんだよなあ。レイソル戦なら断然日立柏サッカー場のほうがいい(ここを見れば一目瞭然)。そもそも今季の柏ホームのマリノス戦は、すでに4月になぜか国立競技場で行われているのであった。

September 17, 2005

Yahoo! JAPANがRSSリーダーを提供

●おっと。少々慌しくしていて、ここの更新を一日サボってしまったら、右側のMyBlogListの順位が果てしなく落ちているではないか(更新順になっているのだ)。こういったMyBlogListはRSS(Really Simple Syndication)という仕組みを使っていて、サイトの更新情報や記事見出しを即時的に拾ってきてくれる。ブログサイトは基本的にこのRSSを配信する仕様になっている。
●で、近頃ずいぶん色々なRSSリーダーなるものを見かけるようになってきたのだが、Yahoo! JapanもMy Yahoo!のなかにこの機能を組み込んでくれた。いつも読みに行くブログ(に限らずRSSを配信しているサイト)を登録しておくと便利である。My Yahoo!のなかの一モジュールとしてRSSリーダーが追加されるので、日ごろMy Yahoo!をよく使うって方にはオススメ。以下をクリックすると簡単にCLASSICA What's New!を登録できるぞ。

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September 15, 2005

レアル・マドリッド、美しく華麗に連敗中

レアル・マドリッドには「組織的守備」などという卑小な概念はない●み、見事なり、レアル・マドリッド。二日続けて銀河系軍団ことレアル・マドリッドの試合をビデオ観戦したのだが、2試合とも負けてるよ! 国内リーグでホームのセルタ戦で負けたのは不運もあったが、チャンピオンズリーグ第1節のアウェイのリヨン戦ではなんと0-3。前半に3失点。リヨンは一本PKを外しているのに。しかし負けっぷりがアッパレ(死語)で、かえって偉大なクラブと思えてしまうから不思議。
●実際リヨンは強くて、ひょっとしたら優勝するんじゃないかと思った。マルセイユ以来のフランスのクラブ優勝の予感。決勝はパリだし。ジュニーニョの長距離フリーキックも泣けた、すばらしくて。レアル・マドリッドはジダンとロナウドを欠いていて、今年のベンチにはもうオーウェンもフィーゴもいない。ロビーニョは活躍。それにしてもフランス代表といいレアル・マドリッドといい、周囲にどれだけ優れた選手がいてもジダンがいなくなると寂しいチームになってしまう。
●去年だっけ? 同じくチャンピオンズリーグで、レアル・マドリッドがドイツのレヴァークーゼンに大敗した試合があったけど、あのときはジダンが負傷退場だったか。そのときレヴァークーゼンにいたブラジル人ストライカーのフランサが、いま柏レイソルにいるという、衝撃的なはずなのにイマイチ衝撃が伝わってこない事実。
●ちなみにレアル・マドリッド公式サイトには日本語ページがある。かなり日本語が自由奔放意味不明なのだが、これって機械翻訳なんだろか。
●恒例、DHCさんのFROM 40にて「オトナのためのクラシック音楽入門」第5回掲載中なり。

September 14, 2005

切れ目レスにまとめれ!

●うーむ。ドヴォルザークの交響曲全集のCDを物色してたんだけど、クーベリック/ベルリン・フィルケルテス/ロンドン響も曲の途中でCDをまたいじゃうんすね。これは惜しい、惜しすぎる。一曲聴いた後に、第一楽章だけ入ってて、第二楽章からは次のCDへGOっていう少々お行儀の悪いパターン。いや、CDの枚数が増えるよりはいいんだけど、たとえばノイマン/チェコ・フィルだと同じ6枚組でちゃんと切れ目レスできれいに収まってるわけで、それを思うと惜しい。
●きっとDGとDECCAの中の人もあれこれ組み合わせを試してみて、どうしてもうまく切れ目レスに6枚にできなかったんだろなあ、たぶん。クーベリックのは今月国内盤でバラ売りのが出るからそっちを買えばいいんだけど、でもそれはそれでビミョーで、「第5番」だけで一枚だったりする。えっ、余白になんか交響詩とか入れないとデータ領域余りすぎで空間効率的にどうなんだろ、とか思わんでもない。あー、小さい、ワタシゃなんて小さいことを気にしているんでしょーか。
●LP時代には楽章の切れ目でもなんでもない曲のど真ん中でB面にひっくり返ってもフツーだったことが、今から思うと信じられん。

September 13, 2005

「銀河ヒッチハイク・ガイド」(ダグラス・アダムス/河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド●なーんと、書店に行ったらダグラス・アダムスの「銀河ヒッチハイク・ガイド」が並んでいるではないですか! ワタシが持っている「銀河ヒッチハイク・ガイド」は20年くらい前の新潮文庫版だが、新訳で河出文庫から復刊されている。しかも映画化されて現在公開中。げげ。たぶん、ご存じない方のほうが多いと思うが、「モンティ・パイソン」とか好きな人なら必読。どんな話か。曖昧な記憶とよそのサイトの映画版紹介文をもとにいうと、こんな話。
●地球で二番目に知性が高いのがイルカ、三番目が人類。で、イルカは銀河系のバイパス工事で地球が破壊されちゃうってのをいち早く知って、人類にこれをイルカ言語で知らせてあげる。イルカ言語はボディランゲージだから、イルカは飛び上がって輪をくぐり一回転することで伝達しようとするんだけど、人類はなにを勘違いしたか手を叩いてイルカに魚を投げ与えるばかり。イルカは人類を救うのをあきらめて、「♪人類のみなさん、さようならー。おいしいお魚をありがとうー」って歌って去っていく。で、あっさり人類は消滅しちゃうんだが、ただ一人、たまたま友人に「銀河ヒッチハイクガイド」編集者がいた平凡なイギリス人アーサーだけが生き残る……。
●ってところから始まる大変イギリス的な話なんすけどね(笑)。今、ウチの本棚を探してみたが、新潮文庫版が出てこない。あ、ちなみに文庫では続編「宇宙の果てのレストラン」も出ている。問題は映画のほうで、これをぜひ見たいのだが、東京では六本木でしか公開されていない。しかも客の入りが悪けりゃすぐ降ろそうかっていう腰のひけた上映予定のように見える。うーん、六本木ってワタシの生活圏から一万光年彼方ってくらい縁がないからなあ(サントリーホールは六本木に含めないとする)。なんか六本木に建物できたでしょ、そこにある映画館。えーと、なんていったっけ、あの新しい六本木名所の名前。アークヒルズじゃなくて、WAVEじゃなくて、うーむ、マジ思い出せん。映画はWOWOW放映まで待って、原作だけ新訳で再読しておくか。

September 12, 2005

税金のムダ使われない

●こりゃ二大政党制どころじゃなかったっすね。民主党の次の代表は小沢一郎になるんだろか……。
●選挙期間中「税金のムダ使いをなくす」って言ってる人が多くて、違和感があった。もっと効率的な使い方をしたらいいってのは正論だけど、でも税金で野球のユニフォームを買おうが、酒池肉林の大宴会をしようが、ワタシは全然腹が立たない。モラルには反してたとしても、結果的に税金を消費に使ったので、実質その分減税されたことになるから。ワタシに直接は戻ってこないかもしれないけど、なんらかの消費である限り、民間に帰ってきて「天下の回りもの」になってくれる。一番腹が立つのは、その野球のユニフォーム代を使わずに内部留保されてしまう「払い損」で、これこそ「税金のムダ使われない」として厳しく糾弾されるべきではないだろうか。取ったんならちゃんと使え、と。
●以上のロジックで「ここがおかしい」と看破した人、教えてくれなくていいのでそっと胸に納めておいてやってください。

September 11, 2005

浦和のエスクデロ、思い出せん

●選挙なり。何日か前、朝日新聞の夕刊にあるアーサー・ビナードのコラムがおもしろかった。二大政党についてこんな風に形容してた。「毎回ハンバーガーとチーズバーガーのどっちかを選ぶような、食傷し切った後味最低の投票となる。料理は種類がいろいろあっていいはずなのに」。
●Jリーグ、テレビで浦和vs大分をちらちらと。アレックスの守備が気になる。この日の大分を見ていると、どうしてここが降格争いをしているのか謎。浦和のホームゲームにもかかわらず、大分が2-1で完勝。個人能力では浦和が圧倒的に高いんだけど、余裕を持ちすぎというか、あれではスタンドからのブーイングもやむをえないか。
●それにしても浦和のエスクデロ、17歳とは。92年に浦和に所属したアルゼンチン人、エスクデロ兄弟の弟セルヒオの長男だっていうんだけど、うーん、思い出せない。遠からず日本国籍を取得するらしいので(小さい頃から日本に住んでいるから日本語も流暢)、将来は代表を狙えるかも。もっとも日本代表のフォワードは、カレン・ロバートとハーフナー・マイク(ディド・ハーフナーの息子、マリノス所属)の2トップで一時代を築くと勝手な夢を見ている。ヨーロッパ各国代表がそうなっているように、ニッポン代表もいろんな人種の日本人から構成されるようになっていくのは確実かつ自然なことだろう。

September 9, 2005

ラトル/ベルリン・フィル、公開リハーサルにご招待

ベルリン・フィル●当サイト「みんなの告知板」にご案内をいただいたので、こちらでもご紹介しておこう。今秋来日するラトル指揮ベルリン・フィル/TDKオーケストラコンサートの公開リハーサルに抽選で200名様を招待していただけるんである。11月20日(日)10:30開始予定、場所は東京・NHKホール。一応、応募条件があって、音楽を学んでいる、あるいはアマチュアで音楽活動をされている方。あくまでリハーサルなので、まちがってもコンサートじゃないっすよ、念のため。10月8日(土)締切。ネット応募可なので、ご覧になりたい方は以下のサイトへ「ビバTDK」ってつぶやきながら飛ぶが吉。

>> TDK オーケストラコンサート2005「公開リハーサル」ご招待
http://www.tdk.co.jp/concert/index.htm

September 8, 2005

スペクタクルざる対決。ニッポンvsホンジュラス

ニッポン!●中盤より前を欧州組で固めた親善試合。5-4 の逆転勝利……って、なにこれ? 前半1-3、後半4-1。普通の監督なら卒倒しそうな展開だが、ジーコ監督は勝利した瞬間、両の拳を突き上げてガッツポーズを取る。偉大だ、ジーコは。1-0より5-4だ! これがサッカーの快楽だ!
●とはいえ、ニッポン代表としちゃマズい。ワールドカップ中南米予選で敗退しているチーム相手に4点取られてるんだもん。中盤から前は、稲本-中田コ、俊輔-ナカタ、柳沢-高原。後ろはいつもの4バック。中盤の底からディフェンスラインの間がルーズに空いてしまった感じ。稲本と中田コじゃダメなのか。ナカタは好パス連発ですばらしかったんだけど、つまらないミスが失点につながってしまった。残念。
●アレックスの左サイドは相手のやりたい放題。サイド攻撃ってこんなに簡単に点が入っちゃうんだあ、みたいな。アレックスの位置が高すぎたから裏を使われたわけじゃなくて、むしろ低すぎたのかも。左サイドバックっていうプレースタイルじゃないのは百も承知だが、それにしてもディフェンスは悲惨。というか浦和でも微妙なことになってるようだし、不調なのか。
●まー、でもしょうがないか。3バックにしちゃうと中盤一人減らしてセンターバック一人増やさなきゃいけない。今日の代表以外にも中盤には小野も松井もいるんすよ。そりゃやっぱり4バックにしたくなる。左利きの中田コが左サイドバックをしてくれるんだったら数合わせとしては悪くないけど、違和感っていう点ではアレックスとあまり変わらない。
●結論。昨日のことは早く忘れる。90分で9点。きっとそれは夢。

September 7, 2005

豪雨が去って

●近所を歩いてみて、先日の大雨の被害が思ったよりも大きかったことに気づいた。あるアパートなどは1階がすべて浸水したらしく、各部屋それぞれ外に濡れた畳を立てかけてあった。水を浴びた電気製品、パソコン、家具などが大量に運び出されている。ボンネットを開けたままの車、倒れたまま放置されているバイク。家の中がすっからかんになっているのではないかというほど道端に積まれた荷物の山、大量のゴミ。区役所が被害のあった家を訪問して消毒作業を行っている。浸水後は大変な勢いで雑菌が繁殖するのだという。高さがちょっと低くなっているところに被害が集中していて、平気なところは川のすぐそばでもまったく平気。ウチも運良く無事だった。それにしても東京都区部にこのような水害の可能性があったとは。善福寺川も妙正寺川も普段はあるんだかないんだからわからないような小さな川である。
●被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。当分雨にはうんざり。

September 6, 2005

混迷、ウズベキスタンvsバーレーン@W杯予選プレーオフ

ウズベキスタン●ニッポンのW杯ドイツ大会予選はすでに終わっているが、アジアの戦いは続いている。アジア第5位を決めるプレーオフ、ウズベキスタンvsバーレーン、一昨日の放送を見たが、どちらも本大会初出場の可能性が見えているので、見ごたえ大あり。
●パッと見たところ、バーレーンのほうが上手い。ニッポンも苦戦させられたけど、個人の技術やスピードでウズベキスタンを圧倒できそうな感じ。しかしゲームを支配したのはウズベキスタン。カシモフとか、あのフランス大会予選の生き残りメンバーが何人かいる。サポーターに後押しされて、気持ちの強さと規律の高さでバーレーン相手にガマン強く戦って 1-0。サポーターの喜び方も大変なものだった。そりゃそうだろうなあ、勝ち抜けばまさかまさかのワールドカップ初出場なんだから。
●が、なんと、この試合を、FIFAが誤審のため無効とした。ええっ! ウズベキスタンに与えられたPKの際、味方選手がキックよりも先にペナルティエリアに入ってしまい、主審は笛を吹いた。普通ならPKやり直しである。しかし、主審はバーレーンに間接FKを与え、PKの機会自体を取り消した。そう、追加点のチャンスをつぶされてウズベキスタンには気の毒だなと思ったんだよ……って、あれれ?? 別にいーじゃん、ウズベキスタンは勝ったんだから。なんで再試合になるわけよ?
●つまり、試合はウズベキスタンが1-0で勝ったけど、誤審がなければウズベキスタンは2-0で勝てたかもしれない。だから再試合にするとな。おいおい、負けたバーレーンが圧倒的に得ではないか。あ、怪しいぞ、怪しすぎる。そしてなんとも間の悪いことに、この誤審をしてしまったのがJリーグでもおなじみ、日本の吉田主審である。勝ったほうに不利な笛を吹いたのを理由に、試合結果が取り消されるなんて、吉田氏もおそらく困惑しているにちがいない。不可解なり、アジア。

September 5, 2005

えっ、避難勧告ってどこへ?

●都内に猛烈大雨。ウチは川沿いにあるのだが、思いっきりこいつが氾濫しやがって、どこまで川でどこまで道なのかわからない。川と道が一体になって濁流と化していた。橋の上で警官が数人待機。区役所は避難勧告出すんだが、避難って言われてもねえ。身の危険までは迫ってなくて、むしろ家がヤバい。近所の少し高さが低くなっているようなところは浸水しちゃってたみたい。エントランスにジャブジャブ水が入っているマンションとかもあって悲惨。ウチも目の前の濁流の水位が徐々にあがっているのも気になったが、ふと気がついたら、なぜか川とは逆のベランダ側のほうが水位がさらに上昇していて焦った。下が土なんだけど、意外と水が抜けてくれないんすね。雑草が水草になってる。台所とか洗濯機置場の排水溝がときどき「ゴボゴボ、ゴボゴボ」とか言い出して、もう下水もキャパ満杯ですって感じで煽る煽る。
●ネットで川の水位が10分毎に測定されるサイトをみつけ、そこで情報収集しつつ、自分のとこの水位を落ち着いて目測。幸い、「このラインまで来たら、浸水覚悟、最悪避難」と決めていたラインにまでは水位は到達せず、しばらくするとネットの10分毎水位も下がってきた。BBSなどでも川沿いの各地で水位下降の報告あり。ふう、焦ったがもう安全。NHKの全国ニュースで区内で避難勧告ありの報道が流れて出した頃には、すっかり水位は下がっていた。

September 4, 2005

ざけんなハリウッド、Fever Pitchってのはなあ!

●ううっ、また勝てなかったマリノス。それにしても優勝争いから脱力、じゃない、脱落すると、ホントにNHKで中継してもらえなくなるんすね。至極当然か。ここ数年、毎年優勝争いしていたから、なーんで今年はこんなに中継が少ないんだろって思ってたですよ!(←大顰蹙、傲慢すぎ)
●そもそもマリノス・ファンは近年恵まれすぎていた。サッカーには「勝ち」「負け」「引き分け」、3つもあるんすよ。「勝ち」なんて少ないのがフツー。多くを望まない、望まない、望まない。サッカーの基本は挫折とフラストレーションだ。
●で、思い出した。ニック・ホーンビィ著の「ぼくのプレミアライフ」といえばサッカー馬鹿必読の名著といって良い。フットボール・ファンのどうしようもなさが綴られたバイブルである。原題を Fever Pitch という。ワタシはこの作品が映画化されると聞いた。
●ある日、テレビで映画情報番組を見ていたら、全米なんとかかんとか話題の映画ランキングで出てきたのですよ、Fever Pitch が! そしてワタシは愕然としたのだ。わが目を疑ったのだが、この公式サイトを見れば、なにが起こったか一目瞭然である。なんと、ハリウッドのすっとこどっこい(かなり死語)どもは、アメリカ市場向けにFever Pitch の「サッカー」というテーマを「野球」に置換し、ラブストーリーに仕立てやがった。
●あーあ、やってくれたな。Fever Pitchのサッカー要素は野球に置換できないって。野球がつまらないというつもりは毛頭ない。意味が、文脈が、メンタリティが、全然違うと思うのだが。
ぼくのプレミアライフ フィーバーピッチ 日本版ジャケット●と、ひとしきり嘆いた後でフォローしておくが、実はFever Pitchは1997年にコリン・ファース主演で英国で映画化されていて、日本でも「ぼくのプレミアライフ フィーバーピッチ」として昨年DVD化されているというではないか(もちろんこっちはサッカーが野球に化けていたりなんかしない)。ハリウッド版はそのリメイクということか。この英国版、映画館では日本未公開(やっぱり)。だったら、こっちをやってくれないか、映画館で! 絶対ハリウッド版よりおもしろいって。しかもなぜか海外版DVDを調べたらジャケットがちょっぴりセクシーで、「18禁」にレイティングされてた(笑)。日本版ジャケットはずいぶんほのぼのムードじゃないのさ。

September 2, 2005

排水溝のプロンプター

stormdrain.jpg●たまたまテレビをつけたら映画「アメリ」を放送していたので、途中から眺める。やっぱおもしろいな、これ。映画館で見たときも笑った小ネタなんだけど、排水溝のプロンプターが最高におかしい。写真みたいな排水溝をプロンプター・ボックスに見立てるんすよ(オペラとかで歌手/役者にセリフの出だしをそっとささやいて教えてくれる人が入ってるとこ)。アメリみたいな気弱な人が言葉が出てこなくてモゴモゴしているときに、気の利いたセリフをこっそり教えてくれるオジサンがここに入っているわけ(笑)。いいよねえ、そういう排水溝があったら。

September 1, 2005

「コカイン・ナイト」(J・G・バラード)

コカイン・ナイト●なんという傑作。文庫化されたのを機に読んだのだが、もっと早く読んでおくべきだった、「コカイン・ナイト」(J・G・バラード著/新潮文庫)。J・G・バラードは60年代から未来に向かって警鐘を鳴らし続けてきた。なにがすごいって、その姿勢が96年の本作でも変わってないってこと。だって、バラードは30年生まれだからこの時点で60代後半っすよ。それでも未来を向くのか。
●「コカイン・ナイト」は「病理社会の心理学」をテーマにした三部作の第一作として書かれている、というと晦渋な小説かと思われそうだが、あらすじだけなぞるとフツーにミステリーである。主人公は旅行作家。地中海の高級リゾート地で殺人事件が起きる。主人公の弟がそこで犯人として逮捕される。旅行作家は弟の無実を証明しようと、リゾート地に乗り込み、真犯人を探す。
●で、音楽ファン向けに、登場人物の一人の台詞を。これがこの小説の重要なテーマになっているので一部伏字にしてしまうが、○○にはネガティヴな言葉が入る。

「芸術と○○は常に、相並んで繁栄の道を歩んできたのです」

 これは名言。表立ってはだれも肯定できない類の真実だろう。
●現代の都市生活者が思い描く理想の生活が、「停滞したリゾート地で引きこもって眺める衛星テレビ」という形に収斂していくのも、すごくピンと来る。病んだ社会を描き、これだけペシミズムに支配されているのに、読んでいるとウキウキした気分になってしまうのはどういうわけか。

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