2010年2月アーカイブ

February 26, 2010

「百姓貴族」(荒川弘著/WINGS COMICS)

「百姓貴族」●ヤバい、笑い転げて悶絶。なんですか、このおもしろさは。ハガレンこと「鋼の錬金術師」で知られる荒川弘の農家エッセイコミック「百姓貴族」。
●最近知ったんだけど、荒川弘さんの名前って「ひろむ」って読むんすね。そして「ハガレン」読んでてうすうす感じてたように女性である。なんとお子さんまでいる。
●北海道の農家の生まれで、デビュー前に家業の酪農を手伝っていた頃のネタがこのエッセイコミックになってるんだけど、なんというか、その農家のスケール感がその辺の「畑やってます」とはぜんぜん違って、壮大なんである。これ、日本なの?とか。
●牛ネタがことごとく秀逸。牛の世話が日常になってる世界。「牛は案外賢い」という話なんて最高だな。あと都会の感覚からすると結構エグい話題も多いんすよね。やはり生き物は別の生き物の命によって生かされているという、生の本質を常に剥き出しで間近に見ているわけだから。なるほど、こういう環境があってこそ、「ハガレン」的な死生観が生まれたのだなと納得。
●2、3回繰り返して読んでもまだ笑える。超傑作。

February 25, 2010

ラ・フォル・ジュルネ2010、今年は東京、金沢、新潟、びわ湖で。

●今年の「ラ・フォル・ジュルネ」は東京、金沢に加えて、新たに新潟、びわ湖でも開催されることになった(あとワルシャワも)。びわ湖、新潟はそれぞれ時期を少しずらして2日間の開催期間。今年のメインテーマは全世界的にショパンなんだけど、東京と地方では規模が違うこともあって微妙にテーマが異なっている。以下にそれぞれの概要と公式サイトへのリンクを。

【東京】
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2010
「ショパンの宇宙」
2010/4/28~5/4(コア期間は5/2~5/4)
東京国際フォーラム/丸の内周辺エリア

【金沢】
ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2010
「ショパン、ジェネラシオン1810」
2010/4/29~5/5(コア期間は5/3~5/5)
石川県立音楽堂他

【新潟】
ラ・フォル・ジュルネ新潟「熱狂の日」音楽祭2010
「ショパンとバロック」
2010/4/30~5/1
りゅーとぴあ他

【びわ湖】
ラ・フォル・ジュルネびわ湖「熱狂の日」音楽祭2010
「ショパンとモーツァルト」
2010/5/1~5/2
びわ湖ホール他

●金沢の「ジェネラシオン1810」っていうのは、ショパンおよび同世代の3人、シューマン、リスト、メンデルスゾーンを特集するという意味。たしかに、この4人が1809年から1811年のわずか3年間に生まれているというのは、音楽史上の特異点っていう気がする。

February 24, 2010

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010記者発表

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010記者発表●さて、いよいよ今年も「ラ・フォル・ジュルネ」が近づいてきた。東京国際フォーラムで開かれた記者発表へ。今年のテーマは「ショパンの宇宙」。アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンが、その概要を語ってくれた。基本コンセプトは「もしショパン自身が音楽祭を組むとしたら」。つまり、ショパン本人の全作品に加えて、同時代の作曲家達や、ショパン自身が敬愛した過去の作曲家の作品も取り上げられる。公式ブログでのレポートはこちらへ。
●で、オフィシャルな話はオフィシャルなあちこちですることにして、ここでは個人的にこれ楽しみたいなーという話題をいくつか記者発表で配布された資料をもとに。
●まず、ポゴレリッチが出る。これがサプライズ。
●今回、テーマがショパンだからどうなるかと思いきや、またコルボが来る。モーツァルトの「レクイエム」他を演奏するショパンのお葬式再現コンサートもオススメなんだけど、さらに楽しみなのがメンデルスゾーンのオラトリオ「パウロ」。もちろん全曲。いやー、こんなチャンスがLFJにあろうとは。
●バロックも聴く。これはショパンの縁のあるものをやる。具体的にはピエルロ/リチェルカール・コンソートとピエール・アンタイ。前者は今年のナントでもヘンデル他を聴かせてもらって至福。アンタイは「ショパンがピアノの練習をする際にまず弾いた」というバッハの平均律から。
●歌手。オルガ・ペレチャッコ。ナントでは圧倒的な大ブラボー、この人以上の拍手をもらってる人はいなかった。ステージでとにかく映える。美しい歌姫。
●今回、ナントのLFJをすでに体験しているので、その実感からすると、「ショパン以外の作曲家だけでも猛烈楽しめる」。もちろん、ショパンは大事だし聴くんだけど、リストやメンデルスゾーン、ベルリオーズも聴きたいし、フンメルとかモシェレスとかアルカンとかカルクブレンナーとか、日頃聴けないものも聴きたい。(これは日本ではやらないかもしれなけど)ワタシはナントでモシェレスの交響曲第1番を聴けた。こういう曲を満員の聴衆が喜んで聴いてる光景って、それ自体がもうすごくて軽く震撼。
●ショパンのチェロ作品とか歌曲もできればこの機会に聴いておきたいところだが、そこまで手が回るかどうか。
●ステキなピアニストを発見したい。

February 23, 2010

鑑賞可能なレガシーメディア

cassettetape.jpg●今日みつけて感動したブログ。「カセットテープを鑑賞する」。これ、すごくないすか。生まれて初めて手にした録音可能な媒体がカセットテープだったこともあり(魔法かと思った)、そしてかつて主にエアチェックのために大量のカセットテープを購入したこともあって、懐かしく眺めた。カセットってカッコいい。ノーマル、ハイポジション、メタル。メタルは憧れ。
●ワタシの特にお気に入りのデザイン、ベスト3。SONYのCHF。朱色のチープさが愛らしい。TDKのADシリーズ。最強コストパフォーマンス伝説。maxellのUL。「マクセル」という名前の響きだけでヤられる中二病。
●レガシー・メディアにも美しいものとあまり美しくないものがあるような気がする。いや、楽しいものと楽しくないものというかな。前者がカセット。後者はフロッピー。

February 22, 2010

氷上の渡り鳥

スピードスケート。彼らは飛んでいる●本当はオリンピックとか、大好きなんである。24時間、いつテレビをつけてもNHKではオリンピックが放映されているのが理想だ、しかも年中無休とかで。「テレビ番組を見る」というのが少しだけ億劫なんだけど、スポーツ中継への興味に抗えず、録画して2つの競技を見た。
●まずジャンプ・ラージヒル。葛西紀明の2本目のジャンプがカッコいいとかそういうのを別とすると、なにが驚くかって着地だ。あれ、ジャンプっていう名前の競技だけど、実質的には「落下」だと思うんすよ。だって踏み切った位置より高い場所にはほぼ飛んでないわけで、そこから滑空して落下していく競技なんだし。でも、あんな高い場所から猛スピードで落下しても、選手は平気で着地できるってスゴいっすよね。超人。あの着地する瞬間、膝と足首にはどんな力がかかって、それをどう動いて相殺するのか。
●あと、スピード・スケート1500m。彼らは氷上を飛んでいる。500mとか1000mと違って、1500mだと、オリンピックレベルの選手でさえスタミナを消耗して最後に大失速する選手がいる。単にスピードが落ちるとかいうんじゃなくて、あれは渡り鳥の群れの中で体力を消耗した個体が脱落していく無慈悲な光景を連想させる。併走する選手からだいたい2秒以上遅れるとそんな感じになる。もう飛べません。パトラッシュ!みたいな。
●一方、トップレベルの速さで飛ぶ選手にはなにが起きるかというと、「影武者」が併走するのだ。え、意味わかんない? つまり、その時点で1位を狙えるペースで走っている選手に対しては、テレビが現時点トップの選手の走りを影のようなバーで再現してくれるんである。これがあると、今の選手は1位の選手と比べて、ゴール前で失速したなとか、逆にゴール前で追い抜いたとかわかるわけだ。親切だし、スリリング。でもあの「影武者」バーって、なんか少し怖くないっすか。なんていうかな、地面に映った自分の影がよそ見した瞬間に勝手に動いているみたいな感じというか、鏡に映った自分の像が、視線を逸らした瞬間に「ニヤリ」と笑うみたいな感じの恐怖というか。そろそろ「影武者」バーは己の魂と意思を獲得しつつあるような気がする。

February 20, 2010

冬季五輪開催中

●バンクーバー冬季オリンピック、ほとんど見れてないのだが、ちらっと一瞬見ただけでもどれもおもしろそうである。冬季五輪はスリルとスピードのある競技が多いっすよね。スノーボード、アルペンスキー、ジャンプ、リュージュ、スケルトン……。どれも人間業とは思えない。一歩まちがえば死にそうな命知らずの競技だらけで、アイスホッケーが「紳士のスポーツ」に見えてくる。
●スピードスケートもいい。特にコーナーを回るところとかすごくカッコいい。まるで鳥が大空を飛んでいるみたいで。
●そういえば冬季五輪にはサッカーがない。サッカーって冬のスポーツなんじゃなかったっけ。どうして夏の五輪でやってるんだろうか?
●いや、これは考え方が違うな。サッカーは冬のスポーツだから冬季五輪ではできないんである。この時期は欧州のシーズン真っ最中。とてもじゃないが国際大会なんてやってられない。夏はシーズンオフだから大会が開けるのだ。
●むむ、ということは冬季オリンピックを南半球で開くことになったらどうなるのか。これは北半球で夏の時期に開かざるを得ないだろうから、その場合はサッカーを冬季五輪でやるのか、しかしシドニー五輪は普通に夏にやってたぞ、そもそも南半球で冬季五輪をできる場所ってあるのか。ひょっとして南極大会とか。いやいや南極でやるなら一年中ずっと冬だ。なんだかよくわらかんぞ。

February 18, 2010

気象予知官

●うー、寒いっすね、ここのところの東京は。なんか今日も雪が降るみたいな予報が出ていて戦慄。先日、天気予報で「晴れ のち 雨」、降水確率10%みたいな予報があって、雨が降るのか降らないのかどっちなのかじっくりと考え込んでしまった。これは降っても降らなくても天気予報は当たったことになるのか、あるいははずれてしまったことになるのか、よくわからない。わからないけど、しかしワタシの天気予報に関する信頼は絶大なのだ。気象庁グレート。
●だって、一昨日だったかな、「夜になると雪になるでしょう」って予報されてて、朝はそんな気配なんかなかったのに、夜になると本当に雪が降り出した! びっくりですよ。えっ、びっくりしない? いや、びっくりでしょう、だってこれ予知だし、未来の。
天気予知官●ワタシの脳内では気象庁には気象予知官が何名かいる。明日の天気予知担当とか、週間天気予知担当とか、長期気候予知担当とかいる。「さ、始業だ」ってなったら、予知官たちは映画「スキャナーズ」の人みたいに、精神を集中しながら「フウィイイイーン」って効果音付きで未来を見る。「お、お、おお、午前中は晴れている、だが、夜になるとなにかがちらついている、これは雨か、いや違うぞ、雪だ、夜からは雪が降る……」とか、予知官が呟いていると、傍の書記官が記録する。
●短期気象予知官は10名いて、その日、傘を持って出勤した予知官が二人いたら、当日の降水確率は20%と発表される。
●特殊能力を持つものは辛い。桜の開花予知能力を持った若い女性がいたが(愛称:サクラ)、人並み外れた能力を公にして暮らすことに疲れ、「普通の女の子に戻りたい」と言って、職を辞めて田舎に引っ越すことになった。だから開花予知官はもういない。
●さまざまな予知に成功してきた予知官たちだが、今のところ首席地震予知官のポストは空席になっている。まだ誰も予知に成功したという境地には至っていないからだ。地震予知官が精神を集中し、血管を浮き上がらせ、隣の書記官は鼻血をジワリと垂らす。それでも未来は見えない。昨日の早朝にも、前ぶれなく関東地方に震度3の地震があった。地震予知官はまたしても予知に失敗したのだ。

February 17, 2010

ゾンビ標識

zombie_caution1.jpg●この標識を見たら、民間人はその先に足を踏み入れないほうが賢明だろう。

zombie_caution2.jpg●こちらもヤバい。それにしてもこんな森の中みたいな場所でもヤツらが出てくるとは想定外の事態である。いったい森にだれが住んでいたというのか。

zombie_caution3.jpg●ヤツらが通りますよ~的な標識なのか。こんな山岳地帯の道路にまで……。まあ、道路があるわけだから、乗車していた人々がヤツらと化して、そのままこのあたりで棲息している可能性はある。

●以上の写真はピアニストの大井浩明さんからご提供いただきました。ありがとうございます。みなさんも近隣でヤツら関係の標識を見かけたときは、ぜひ写真をお送りください。

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●その大井浩明さんによる「松下眞一追悼個展」が2月27日(土)京都で開かれます。没後20周年を迎えた作曲家・数学者の松下眞一作品(世界初演を含む)および数学を作曲に援用したクセナキス作品という組み合わせ。お近くの方はぜひ。

February 16, 2010

ニッポンvs韓国@東アジア・サッカー選手権2010

ニッポン!●昨日オペラと重なってたので、遅れて録画再生した、ニッポンvs韓国。情報シャットダウンして結果バレせず再生。それにしてもこれはしんどい試合だった。1-3で逆転負けしたことより、内容的にいろんな面で厳しい。
●オーストラリアの主審。試合をコントロールできなかったばかりか、主審が両方の選手にコントロールされてしまった。選手の注文通りに笛を吹いてしまったというか。こちらにPK出して、あちらにもPK、こちらにレッドカード出して(トゥーリオの一発退場)、あちらにもレッドカード。バランスが取れているようなんだけど、実際には決断力を欠いていると見切られてなおさら荒れる。
●この大会、選手のコンディションもずっとよくない。Jリーグ開幕前だし。で、韓国もぜんぜんよくなかったと思うんすよ。少なくともキックオフ時点では、韓国代表はこんなもんじゃないだろうと思ったし、実際ゴールも1点目はPK、2点目はミドルが中澤に当たってコースが変わったから入ったゴール。でも違うのは、向こうはどんどん内容がよくなったことで、3点目以降は完璧だった。
●ニッポン代表は普段よりさらに消極的なパス回しに終始。ただなあ、彼らも大変すよ。どうしてこの体が動いてない時期、寒い時期に、韓国と削り合いをしなければならないのか。この大会、やらなきゃダメ? ワールドカップ・イヤーはお休みってわけにいかないのか。
●岡田監督解任論まで出てきた。ここまで来ると、もう誰が監督になってもチーム作りをする時間はまったくないので、だからこそ交代が可能という考え方もあるかもしれない。でも仮に解任するしたら、だれがやるんすかね。西野監督とか? トニーニョ・セレーゾとか? ストイコヴィチとか? まさかのヒディンクとか。うーん。
●もしかして松木さん!?

February 15, 2010

「ジークフリート」@新国立劇場

●ワーグナー「ニーベルングの指環」、昨年の「ラインの黄金」「ワルキューレ」に続いて、今年はまず「ジークフリート」から。休憩込み6時間。キース・ウォーナー演出、楽しすぎる。今回もポップな舞台で見どころ満載。ところどころ笑えるところが好き。
おもちゃの剣。攻撃力+1●この「指環」って家族の物語でもあり、恋する少年少女の物語でもあるんすよね。第1幕、ミーメ(ヴォルフガング・シュミット)がジークフリート坊や(クリスティアン・フランツ。胸にスーパーマンの「S」マーク付けてます)から邪険に扱われるところなんかも、この薄汚い小人が悪党だと承知してても、赤ん坊の頃から男手ひとつで育ててやったというのに、ジークフリート酷いヤツだな! と思うじゃないっすか。でもミーメってホントにしょうもないヤツなのは事実なんすよね。どうダメか。
●それはさすらい人ことヴォータン(クリスティアン・フランツ)が尋ねてきたときのクイズ大会。ヴォータンは「お前の知りたいこと3つ問え。この首を賭けてなんでも答えてやる」とミーメに挑む。ミーメはここでクイズ番組の司会者みたいに金ピカのジャケットを出してきて着用し(←可笑しすぎ)、問題を出す。ミーメは「名剣ノートゥングの鍛え方を教えてほしい」と本当に知りたいことを尋ねればいいのに、そうしない。そして代わりに「地の底を統べる者は誰か」とか、次々と自分の知ってる問いを3つ出してしまう。
●ここが本当に愚か者なんだろなあ。知りたいことを聞けばいいのに、わざわざ答えの知ってる問いを出す。それはなぜかといえば、自分は知恵者だと思っているから。「僕はこんなにモノを知ってる、賢いんだ」と自己承認欲求丸出しでアピールせずにはいられない。自分の無知を認められない。ミーメといい、アルベリヒといい、小人族はそろいもそろって愚か者で、しかも強欲である。世界をこんな小人たちの好きにさせたらろくでもないことになる。昔からいうもん、「小人閑居して不善をなす」って。えっ、それ違う?
●ノートゥングは「怖れを知らない者」しか鍛えられない。だからジークフリートが自分で鍛える。まずバラバラに細かく砕いて、ジューサーミキサーでミルクかなにかといっしょに攪拌して、ボールに入れてレンジでチン! それから火床で焼きを入れると、はい、出来上がり!
●ジークフリートについて。昨年見たお父さんのジークムントは筋肉モリモリの精悍な戦士だったけど声が出なかった。息子は声は出ていたけれども、怖れを知らない食欲のために丸々としている。きっと少年だから。少年期はジャイアンくらいで、大人になると筋骨逞しい勇者になるパターンってよくある、たぶん。
●第2幕は、着ぐるみの森の動物たち大集合でほのぼの。けだものラブ! で、森の小鳥さん(安井陽子)が宙吊りになって空を飛ぶんだけど、落ちやしないかと見ていてドキドキハラハラ。なんでこんな心配になるのかと思うほど。怖かった。ワタシは怖れを知る凡人なので。しかも最後に着ぐるみ脱いで防火服(火の山に向かうから)に着替えるんすけど、そこでまたドキリ。
●ジークフリートとファフナー(妻屋秀和)対決シーンは、さすがに大蛇を写実的に表現するのではなく、お前らショッカーの戦闘員かと思うような大蛇の手下軍団が出てきて、ジークフリートと戦う。ジークフリートはジャイアンなのでスピードはないが、戦闘員たちはみんな軽々とバク転できるくらい動きにキレがある。にもかかわらず、ジークフリートが全員を倒す。これが魔剣ノートゥングの威力なのかっ!
●この「指環」、舞台内のTVモニターをうまく活用している。2幕のジークフリートとミーメのやり取りとか。あと、映画とジグソーパズルのモチーフは今回も健在。
●第3幕、ブリュンヒルデ(イレーネ・テオリン)が帰ってくる(去年と人は代わってるけど)。「ワルキューレ」の演出で強調されていたように、ブリュンヒルデは子供なんすよね。愛馬グラーネはまた揺り木馬になってる(笑)。ベッドに横たわってて、目覚まし時計が置いてあって、本物の火が燃えている。で、ジークフリートも男の子。思春期の男子と女子の出会い、神話時代のボーイ・ミーツ・ガール。
●「ジークフリート」は音だけで聴いてると発散できる場面がなくて長さを感じるんだけど、舞台で見るとこんなに抒情的でやさしい音楽だったのかとウルっとするシーン多々あり。とりあえず世界の行方についてはおあずけにして、邪悪なヤツはみんな死ぬし、ラブストーリーだし、4作のなかで「美しい物語」はこれだけかも。でもな、これだけじゃ収まらないんだ、こっちは。もっと世界がドッカーン!と壊れたり創られたりしなきゃ。だから、来月も劇場に行かねばならぬ、神代の終焉をこの目にするために。

February 13, 2010

「サッカー日本代表システム進化論」「ねにもつタイプ」

サッカー日本代表システム進化論●さらっと読めて、しかもおもしろい。「サッカー日本代表システム進化論」(西部謙司著/学研文庫)。これは戦術入門書というよりはニッポン代表の歴史書で、「誰が来て何をして、歴史がどう進んだか」を振り返るところがいいんである。視野に納められているのは、森ジャパン以降の日本代表。オフト監督より前から追いかけている。オフト以前の代表が単なる暗黒時代だと思っている方にも一読の価値はあるはず。あと、ワタシのなかで悪名高い「ファルカン・ジャパン」が何をしようとしていたのか、本書を読んで初めて知った気がする。
●「現場の証言」をインタビューで拾い上げていて、これも興味深い。木村和司、横山謙三、柱谷哲二、山口素弘、福西崇史他。
ねにもつタイプ●もひとつ。「ねにもつタイプ」(岸本佐知子著)が文庫化されている。前にもご紹介したけど、未読の方には角度45度くらいの前のめりでオススメ。ただし電車で読んでるとクスクス笑ってしまってヤバい人になりがち。

February 12, 2010

ニッポンvs香港代表@東アジアサッカー選手権2010

ニッポン!●東アジアサッカー選手権第2戦、ニッポンvs香港。なにしろワールドカップ・イヤーに、国内組のみで東アジアで戦うんである。モチベーションが高まらなくてもしょうがない。玉田の2ゴールとトゥーリオのヘディングで3-0と快勝したわけだが、相手が守備的だったこともあって、見ていて心躍るような試合ではなかった。終わった後、またブーイングしている人が(数は少ないけど)いた。気持ちはよくわかる。なぜかって?
●だって寒いから、雨だから。場所は国立競技場。観衆1万6368人は国立での代表戦の不入り記録(Jリーグ開幕以降で)なんだそうだが、むしろよく1万6千も入ったと思う。メインスタンドの一部を除いて屋根はない。気温は3.6度。夜だ。国立は寒いんすよね、風をさえぎるものがないから。ワタシもあそこで何度か経験があるけど、寒い中、カッパを着て観戦してると、体が芯から冷えてくる。気分もすさむ。伝説のプレイでも見せてくれなきゃブーイングしたくなる。寒いと理不尽な欲求が高まるんすよ。
●でも東京はまだ暖かいほうっすよね、全国的には。雪もないし。Jリーグが秋春制にならないことを切に願う。

February 10, 2010

ゾンビと私 その16 「高慢と偏見とゾンビ」を読んだ

高慢と偏見とゾンビ●ようやく読了、「高慢と偏見とゾンビ」(ジェイン・オースティン、セス・グレアム=スミス著/二見文庫)。いやー、なんと言ったらいいのか。おもしろかったっすよ。さすが「全米で誰も予想だにしない100万部を売上げた超話題作」(笑)。
●これ、ジェイン・オースティンの名著「高慢と偏見」を下敷きに(そう、思いっきり下敷きに)、ところどころゾンビが出てくるという小説なんである。8割方は「高慢と偏見」そのまんま。主要登場人物とその造形、ストーリー展開も同じ。ただ、ときどきゾンビ。設定上、18世紀末イギリスには謎の疫病が蔓延して、ゾンビ化していて、主人公エリザベスをはじめとするベネット家の五人姉妹は全員鍛えられた戦士、ダーシー様もきわめて高い戦闘能力を有しており、ゾンビをぶった斬ってくれる、たまに。
●で、ワタシはマジメに堪能したんすよ。あー、ダーシー様の最初の印象ってこんな感じだったなー、とか、長姉のジェインって奥ゆかしくていいよねー、とか、そういえばいたなあ、ウィカムとかいう軽薄な男が!とか。……ていうか、それ要するに「高慢と偏見」再読を楽しんでるだけなんでは。
●そう、実を言えばゾンビ成分は案外薄い(だから本国ではゾンビ3割増量のデラックス愛蔵版も刊行されているんだとか)。ただ、そこのところにワタシはリアリティを感じる。ゾンビうじゃうじゃだったら、人は生き残れない。これ、田舎の話なんすよ。今後世界がゾンビで埋め尽くされた後、これまでにも当連載で言っているように、生き残った人々は都市部を捨てて人口密度の低い農村地帯で暮らす可能性が高い。そうなったとしても、人はゾンビと戦いながらも日々の暮らしの中でロマンスを夢見ることを止めたりはしない。世界で戦争が起きようと、革命が起きようと、半径20メートルの世界で起きるロマンスが色褪せることはない。ならばポスト・ゾンビ時代においても。これは古典の再演出とでもいうべき、予言的なロマンス小説なのだ。
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●ゾンビ関連記事を「ゾンビと私」特設ページにまとめることにした。読み逃した方はぜひ、もう読んだという方は再読を。このゾンビ時代を生き残るために。

February 9, 2010

映像ストリーム配信あれこれ

クラシックのネットラジオと音楽配信リンク集に以下を追加。

medici.tv
簡単な登録さえ済ませれば、コンサートやオペラのライブ映像を見ることができる。無料の映像がいくつか+有料コンテンツ多数。画質はLOWとHIGHあり。1日または月額の定額料金。カタログからの有料ダウンロードも可。今、無料で見られるのはゲルギエフのチャイコフスキー、パリ・オペラ座のマスネ「ウェルテル」、ユロフスキ/OAEのベートーヴェンなど。

OperaLive
ベルギーのリエージュ・オペラ(ワロン王立歌劇場)による映像配信。有料ストリーム配信で1回券と3回券あり。どうしてここが、と思うほどしっかりした作り。

●とはいえ、映像モノはなかなか見られない。年間パスを購入しているベルリン・フィルだってぜんぜん追いつけていないわけで(さらにいえばテレビの音楽番組も録画してためっぱなし、とか)。
●音楽ネタじゃないけど、もうひとつ。NHKバンクーバーオリンピック・ライブストリーミング(2/14~2/28)。日本国内で生放送されない競技を中心にライブストリーミングしてくれるという。国際信号をそのまま届けるということで、日本語実況は付かない。これ、もしかするとアイスホッケー・ファンとかバイアスロン・ファンにはスゴい朗報なのか?

February 7, 2010

ニッポンvs中国代表@東アジアサッカー選手権2010

ニッポン!ニッポンvs中国代表。この試合、本来なら貴重な公式戦であるわけだが、ワールドカップ直前の国内組代表、しかもシーズンオフ中の試合ということで、盛り上がりに欠けるのは必至。場所は味スタ。味スタで代表戦なんだからなあ。新横浜とかさいたまとかより、いろんな面でずっと気軽に行ける場所なんだけど、入場者2万6千人。だって冬の夜だし。気温2.5度だったって。だからテレビでぬくぬく。
●サッカーの試合って、テレビ観戦すると2時間(正味1時間半)だけど、生で観戦するときは野外で3時間半コースなんすよね。何万人の人が入退場するためのノロノロ歩きの時間も相当かかるわけだし、キックオフ1時間前にはスタジアムに着きたいし。でも冬の夜はもうワタシはムリ。いくら欧州でサッカーが冬のスポーツだって言われても、気温2.5度の野外で長時間じっとしてられない。
●で、スコアレスドローっすよ。ブーイングしなきゃどうにもならない。試合内容がひどく低調だったうえに、「うぉー」って立ち上がる機会がなかったんだから。代表戦で久々に聞いた強烈なブーイング。テレビで見てても溜飲が下がった。
●GK:楢崎-DF:内田、トゥーリオ、中澤、長友-MF:稲本、遠藤、中村憲剛(→金崎)、大久保(→佐藤寿人)-FW:岡崎、玉田(→平山)。楢崎がPKを止めた。平山に可能性。中国は再編成中。
●この時期の新潟とか山形とか富山とか札幌とかでJリーグを開催しようという犬飼チェアマン秋春制案が謎すぎ。雪、どうすんの。そして、どんな耐寒性能の高い客を想定してるのか。

February 5, 2010

「ばらの騎士」@METライブビューイング

silverrose.jpgMETライブビューイングで「ばらの騎士」。ルネ・フレミング(元帥夫人)、スーザン・グラハム(オクタヴィアン)、クリスティーネ・シェーファー(ゾフィー)、クリスティン・ジグムンドソン(オックス男爵)。エド・デ・ワールト指揮。1969年ナサニエル・メリルの王道豪華プロダクション。
●いいっすよねー、「ばらの騎士」。「音楽は最高なんだけど、この脚本は変テコだよなー」的な言い訳とか脳内補正を必要としない完璧なオペラ。物語的にこれだけ共感しながら味わえるオペラはなかなかない。じゃ、誰に共感するかというと、やっぱり元帥夫人視点が第一選択肢なんだけど。第二選択肢はオックス男爵。オクタヴィアンは若さがまぶしすぎてウザい。ゾフィーは男子の人生に仕掛けられがちな罠。オペラ界において、ゾフィーとミカエラとリューは三大危険人物という説。
●あー、でももうこの登場人物、全員ワタシよりずっと年下になってるってのもスゴい。オクタヴィアン17歳はいいとして、元帥夫人だって32歳。ぜんぜん若い女のコだ。オックス男爵が35歳くらい? 前にも書いたけど、まだまだフルコートでサッカーできるくらい若い。オックス男爵がゴール前でボレーシュートを打つ場面を思い浮かべることもホントは可能だ。オクタヴィアンがあっという間にオックス男爵のようになることが容易に想像できるし、ゾフィーだってどこかで自分の「カンカン」を見つけるだろう。儚い。
●昔はじめて観たときには「オックス男爵はヤなヤツだなー」と思うだけだったけど、だんだんこのキャラが好きになってくる。とことん下品だけど貴族。オックスの退場シーンって、なんか哀しい。「パパー、パパー」って歌う子役たちが音楽に合わせてすごく楽しそうに踊ってるのがまた悲哀を増すというか。
●幕間は豪華にもドミンゴが司会で登場、歌手にインタビューする。ルネ・フレミングはスーザン・グラハムと本当に仲がいいみたい。「METアカデミー時代からの親友で、二人とも彼がいないときはお互いが唯一のキス相手だったのよ」とか言って笑わせる。

February 4, 2010

行列回避行動

●ラジオ・フランスによるラ・フォル・ジュルネ特集番組がオンデマンドで聴ける。たぶん期間限定。
●トイレの話。ナントのラ・フォル・ジュルネ会場シテ・デ・コングレでも、日本と同じように、演奏会の終演後は女性側に長い行列ができる。両方の広さを比べることはできないが、少なくとも男性側はかなり広々しており(個室がたくさんある)、特に女性のほうが広くなっているとは思えない。
●で、どうなるかというと、男性側にどんどん女性が入ってくるんすよ。フツーに入ってくるし、男性側も気にしていない。男性側の個室は空いているので、こっちだと圧倒的に早いわけだ。非常に合理的。ただ、男性側だとすぐ入れる状況でも女性側に長い行列ができていたりもするので、女性の中でも男性側に入る人と入らない人がいるっぽい。そりゃまあそうか。
ニッポン代表vsベネズエラ代表戦はきちんと見れていないんだが、見せ場の少ない0-0だった模様。シーズン・オフで、しかもW杯の近いこの時期に海外組抜きで代表を編成したんだから、よほどのサプライズ召集でもないと、盛り上がりに欠けてもしょうがない。「どうせ俺たち本番では呼ばれないんだし」と選手がたそがれないことを祈りつつ、次の東アジア選手権での勝利を願う。あっちは公式戦なわけだし。

February 3, 2010

ナント「ラ・フォル・ジュルネ」より帰還

ナント「ラ・フォル・ジュルネ」2010

●ナント「ラ・フォル・ジュルネ」より帰還。ぐったり。移動の疲れというよりも、だだっ広い場所を毎日朝から深夜まで歩き回ったという(しかもずっとノートPC抱えて)、日本でのLFJと同種のお祭りの後の疲労感あり。公式レポートは青澤隆明さんといっしょに書いてます。一人では絶対ムリ。
●今回のテーマは「ショパンの宇宙」。5月の東京と同じ。「ショパンが嫌いなわけじゃないけど、毎日ノクターンやらマズルカを聴き続けるのはしんどいなあ」と少し心配してたんだけど、これはまったくの杞憂。自分が選択的にそういうものを聴いたせいもあるけど、ショパン以外にもベルリオーズ、リスト、パガニーニ、ヘンデル、ロッシーニなどバラエティに富んでいた。バロックもオペラ・アリアもシンフォニーもある。ルネ・マルタンは「ショパンが音楽祭のディレクターだったら、どんなプログラムを組むか」という視点で編成したといってて、ショパンと同時代の音楽に加えて、ショパン自身が好んでいたバロックとかベルカントの要素も入ってくる、と。
●出演アーティスト陣のなかで圧倒的に客席でウケていたのが、ソプラノのOlga Peretyatko(オルガ・ペレチャッコ?)。ほとんど出てきただけで大ブラボーみたいな。声も容姿も美しくて、ものすごく華がある。
●最終日の公演で隣のフランス人の老夫婦から話しかけられた。「フランス語、わかるか?」「いや、ぜんぜんわかりません」「昨晩、このホールで弾いてたよね、ピアノ。すばらしかったよー」「あ……いや、それ小曽根真さんだし。僕、ただのジャーナリストっす」「あっはっは、そりゃ失礼~」的な展開。日本人みな同じ顔。
●そういえば、東京の「ラ・フォル・ジュルネ」でも(公式レポート用に)宮本笑里さんの写真を撮ってたら、「あの……、笑里さんのお兄さんですよね!」って知らない人から話しかけられたっけ。この音楽祭ではよく他人と間違えられる。ていうか笑里さんのお兄さんって誰?

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